【本編完結】残念令嬢が初恋の人と結婚したら愛人がいたので死んで復讐してみたいと思います

命の恩人

二人の行為をあのまま聞いているほどの図太さはなかった。

（……まさか姉があそこまでするなんて……）

ある意味納得だし、ある意味で滑稽だった。

状況と会話から推測するに、あの事件の後に意識不明だった私はやはりいない存在とされたのだ。

そして、姉がアレクを助け怪我を負ったことにしたのだろう。

（……でも、身体の関係になれば傷痕はバレてしまう？）

そんな疑問がよぎるが、王家ともつながりの深いアレクの命の恩人であること、才色兼備な公爵令嬢であることなどが加味され、王太子からすぐに婚約の打診が入ったのだろう。

（……何より悔しいのは、姉はアレクをこれっぽっちも愛してなんないないこと……！）

そんな姉にアレクを奪われた。

次期に王妃になれるのだ。

王太子妃は公爵夫人よりも遥かに姉には魅力的な地位だっただからーー。

（……でも、窮屈な王太子妃の生活を考えて、アレクを保険にした。火遊びってところ？）

アレクは姉を慕っていたのかはわからない。

が、事件をとおして姉には逆らえなくなってしまったーー。

なぜなら、自分を助けてくれた命の恩人だから。

それが偽りの命の恩人とも知らずにーー。

姉は単なるガス抜き出来る火遊びの存在が欲しかった。それが、アレク。

（私を隠れ蓑にすれば、公爵家にも通いやすいし……）

さすが姉だ……。

さて、どうするか？

ここまで来たら、絶好に私は自由になる。

そして、私を苦しめた存在に罰を与えなくては。