【本編完結】残念令嬢が初恋の人と結婚したら愛人がいたので死んで復讐してみたいと思います

紅位碧子 kurenaiaoko

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妻からの手紙~アレク視点3

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仕方なく執務室に戻った私は、リリアナの手紙を読み始めた。

その手紙はリリアナの几帳面な美しい字で綴られていた。慌てて書いたためか所々インクが滲んでいる。

(……そういえば、リリアナからの手紙なんて久しぶりだな……)

幼馴染みであるリリアナから昔は良く手紙をもらっていた。

白い結婚ではあるが、書類上では立派な妻であるリリアナ。

家令や使用人からの評判も良く、最近では領地経営の手伝いまでしてくれている。

そう考えると良く出来た妻だった。

手紙は一枚にまとめられていたため、すぐに読むことが出来た。

けれど、読み終わると、あまりの内容に手紙を持つ手が動かなかった。

……思考が停止してしまったのだ。

(……この内容はなのか?)

まるでどこか小説のような内容に自分のことだと認識するまでに時間がかかる。

(……私は一体何を見て、何をしてきたのか?)

その手紙は、鈍器で頭を殴られるほどの衝撃だった。



『アレク様

この手紙を手にしている、ということは私はもうこの世にいないか、意識不明なのかも知れません。

はじめに、私はお飾りであれ、白い結婚であってもアレクの妻になれて本当に嬉しかったです。

なぜなら、幼い頃初めて会ったアレクに一目惚れしたから。

それからずっとお慕いしていました。

才色兼備な姉と優秀な弟に恵まれ、私はいつも卑屈でした。

結婚したらこんな私でもアレクの役に立てるかも知れないと勉強やレッスンも頑張りました。

けれど、結婚してからもやっぱり私は人間でした。

初夜のあの日、アレクから言われた言葉に衝撃を受けたけれど、やっぱり私なんて誰にも必要とされていないのだなあと……。

やっぱり傷モノになった私では、抱きたくないよね?

心の中では、あの事件の時に出来た背中の酷い傷は、私がアルクを庇って出来た傷だから、醜い傷だけど受け入れてくれる、と浅はかにも考えてた。

私にとってはアレクを助けた名誉の傷だし、後悔してない。けれど、アレクに拒絶されて本当に悲しかった。

でもアレクは義務感で私を娶ってくれただけでも感謝しなくてはいけないのに……。

こんな私でごめんなさい。

先ほど、アレクと姉がそういう関係であることを知りました。

アレクの愛する人は姉だったのね。

私は二人を見守りながらアレクの妻でいるほど器量良しではありません。

公爵家に出戻ることも許されないため、この世を去ります。

さよなら、アレク。

追記
ユンとシリカを罰しないで下さい。
二人は私の恩人です。

私がこの世を去ったら、
二人に良い仕事を与えて下さい。お願いします。

リリアナ』
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