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番外編2
お忍びの理由
シリウスの執務室を出ようとした際に、手紙を渡された。
部屋に戻り手紙を開くと、シリウスの几帳面な美しい文字がとびこんできた。
『リリアナへ
いつもありがとう。
今晩は久しぶりに語り合いたい。
私の好きなハーブティーを用意して待っていて。
シリウス』
(……今晩、閨を共にしたいと言うことね)
私はシリカにその旨を伝え、食事を早めに済ませると湯浴みの準備に取り掛かる。
帰省前に閨を共にしていたが、その際にも噂の話は一切したことはなかった。
(せっかくだから、なんでお忍びで行ったのか聞いてみよう!)
湯船にお気に入りのヒノキオイルを入れゆったりと入浴する。
「リリアナ様、久しぶりにセクシーな夜着準備しますねっ!」
シリカが張り切ってシリウスの好きな白のセクシーな夜着を着せてくれた。
「……リリアナ様っ、楽しい時間を!」
シリカは陛下ご所望のハーブティーを準備すると、部屋を後にした。
◇◇◇
(……何から切り出そう……?)
閨ごとにはもはやドキドキはしなくなってしまったが、今回は愛人疑惑があり帰省した事実があるため、それが後ろめたかった。
(……まあ、考えていても仕方ないか……)
元々、愛人を応援するつもりでいたくらいなのだ。
大抵のことは乗り切れる自信があった。
王妃なんてそれくらいのメンタルがないとやっていけないのだ。
「……リリアナ?」
名前を呼ばれ振り返ると、同じく夜着に着替えたシリウスがいた。
「考え事をしていたのかい?」
「あ……っと、はい……」
「今回、突然リリアナから帰省したいと申し出があっ…て……正直もう戻らないのかも知れないと思っていたんだ」
「……戻らない?私がですか?なぜ?」
シリウスは私が実家に帰って戻ってこないと思っていたことに驚いてしまった。
「……いや、その……あの噂を聞いて信じたのかと……」
「……シリウス。私のほうこそごめんなさい。話を聞かなくて……。実家に帰省したのはその……あの噂の真相を確かめようと思ったからなの」
「……リリアナ自らが?」
「……ええ。そうしないとシリウスを応援出来ないと思ったから」
「……応援?」
「私、シリウスと結婚して本当に幸せで、とても良くして頂いているし、残念令嬢と言われた私なんかがずっとシリウスを独占しているのが申し訳なくて……。もし、シリウスが本当に愛する人がいて私に遠慮していたらあれだし。自分でシリウスに相応しい相手か見てみようと思って……」
「つまり、リリアナはその……私に愛人が出来たなら応援しようと思っていた?」
私はコクンと頷いた。
「……あぁ、今更ながら、自分がお忍びで行ったことを悔やむよ。きちんとリリアナに伝えてから行くべきだった。そうしていたら、そもそもこんな事件にはならなかっただろう?」
確かにその通りなだけに、頷く訳にもいかず私はただ微笑みを浮かべていた。
「……なぜお忍びで行かれたのですか?王妃を応援する会ならば、教えて頂ければ私が対処致しましたのに……」
「……ああ、そうなんだがその……一緒に王妃を応援するのがその……楽しかったんだ」
「……?一緒にですか?」
シリウス曰く、王だけが知る王妃をあの会で披露していたそうで、それがすごく楽しかったそうだ。
「いい息抜きだったし、王妃グッズを見るのも楽しみだった……」
「た、た、楽しみ……ですか?」
予想を超えたシリウスの話に、理解が追いつかなかった。
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