人間もどき

二季

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人間もどきには彼女がいる

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 僕はとてつもない変態だ。
 彼女がおならすれば喜んで嗅ぎに行くし、彼女の足の臭いを嗅げば、なんとなく味見してしまう。
 付き合い始めて1年が過ぎたが、今日はとうとうナプキンに付いていた経血を目の前で舐めた。
 これまでのドン引き度2~3程度であったが、今回は40まで跳ね上がったらしい。
 経血を舐めて、たかだか40とは出来た彼女だよね。
 ちなみにだが、鉄の味がするかと思いきや、無味無臭で心底驚いた。
 それを彼女に伝えた所、「お前は驚くな」とのこと。
 どうやら、相手を驚かせた場合は驚いてはいけないらしい。
 変な彼女である。


 そんな僕らの馴れ初めは、高校時代まで遡る。
 同じクラスだった彼女を見て、なんか雰囲気でヤれそうと感じた僕は、入学して1週間で告白した。

「ヤらせてください」

「付き合わないと無理」

「じゃあ付き合って」

 結果は分かりきっているが、玉砕である。
 しかし、ヤれそうな相手に拒否られたという事実にプライドが許さなかったのだろう。

「いや、あいつに罰ゲームで告白しろって言われてさ」

 僕は、完膚なきまでのクズムーブをかました。


 それから卒業まで3年間同じクラスだったが、一言も口を聞くことはなかった。
 こちらも気まずいし、あちらも気まずい。
 圧倒的なクズが、見下していた相手にフラれたのである。
 そりゃそうだ。


 それから8年が経ち、高校の同級生達とBBQをすることになった。
 その頃の僕は、東京での一人暮らしを終え、実家に戻り、人間もどきとして生きていたのである。
 終いの棲家は水道とガスが止まり、便器には山盛りのカピカピうんこがこんもりとしていた。
 部屋はペットボトルの空とゴミで散乱しており、小蝿やゴキブリがルームメイトだった。
 毎晩コンビニ弁当1つだけで生活を続け、万年床で生活をすればあら不思議。
 体重が-20kgになってしまった。
 最後の最後は、地元から家族が乗り込んできて、片付けを済ませて、退去手続きからの強制送還である。


 このようなことがあった直後であったため、側から見ればストリートファイターのブランカがBBQの現場に乗り込んできたみたいになってしまった。
 本能の赴くままに酒を飲み、肉を喰らい、人間とコミュニケーションを図るのである。
 後からその時のことを訊いてみたのだが、彼女曰く、

「目が合わず、会話も続かず、ひたすら肉と酒を貪っていて、人間として認識していなかった」

 とてもかなしい。


 それから一年後。
 恒例行事となったBBQはグレードアップを果たし、コテージでのお泊まり+BBQとなった。
 相も変わらず仕事はしていなかったので、計画担当は専ら僕と、比較的自由にスマホを弄れた彼女が担当した。
 他の友達からしてみれば、仕事終わりに携帯を開いたら600件の通知がある訳で。
 今更ではあるが、とても可哀想なことをしてしまったと思っている。


 BBQ当日。
 少しだけ人間の尊厳を取り戻した僕は、服装をバッチリキメて、髪を切って丸眼鏡をかけて、外見だけを一般人並みに取り繕った。
 これが功を奏したらしい。
 コテージに向かい、肉を焼き、酒を飲む。
 やってることは1年前と対して変わらないが、人間との交流がそこにあった。


 そこからLINEのやり取りが続き、話の流れからデートに誘われ、漫画喫茶で一夜を共にして翌朝にゴールイン。
 人間の女の子と、かつてブランカだった人間もどきがくっついたのである。


 そんなことがあったので、彼女は僕に対する『許せるライン』がとても広い。
 普通の彼女が『飼育』とすれば、うちの彼女は『放牧』によって僕と付き合ってくれている。
 だからこそ、足も舐めるし経血も舐める訳だ。


 とまあ、今回は彼女との馴れ初めを書いてみたが、これからは『エッセイ』『ラジオ』『ネタ』の三軸で活動していきたいと思っている。
 あくまでも小説家やライトノベル作家ではなく、文章というプラットフォームを使った芸人もどき程度に認識して欲しい。
 自分で言うのもなんだが、個性や経験という名の人間力があり、笑いのセンスも尖ってはいるがそこそこだ。
 やってることは芸人と変わらないが、演技力のない僕は、僕のフィールドで戦おうと決めた。

 僕の武器は、作品ではなく生み出す人間にある。
 家から出ずに仕事したい。
 楽して生きたい。
 安定しつつ、大金を稼ぎたい。
 私は欲望のままに生きるので、そんな人間の書く作品を、人生の彩りとして活用しつつ、その対価として金銭的な応援やシンプルな応援が欲しい。
 割合的には金銭的な応援>>>>>>>>シンプルな応援である。

 無くても生きられるが、あった方がいい。
 そんな人間になりたい。
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