おっさんが願うもの 〜異世界行ったらイケメンに大切にされ、溺愛され、聖女と呼ばれ、陰謀に巻き込まれ。それでも幸せ目指して真面目に頑張ります〜

猫の手

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2人の聖女編 〜魔獣化被害者の治療〜

307.おっさん、勇気を振り絞る

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 午後4時。
 王城の転移魔法の広間に、ユージーンとアレックスの見送りに集まった。
「お世話になりました」
 魔法陣に入る前に、一人一人に笑顔で挨拶と握手をかわしていく。
 最後に俺の前に来たユージーンは、少し寂しそうに笑い、両手で手を握ってきた。
「ショーヘイさん。本当にありがとうございました。
 貴方に会えて本当に良かった」
 少し潤んだ目で言われ、俺も満面の笑みで返す。
「またすぐ会えるだろ?」
 彼は俺の言葉に笑顔になるとギュッとハグをし、それが少しだけ長くてディーにツッコまれていた。
 続いてアレックスが俺達の前に来る。
「ショーヘー、ありがとう」
 彼が美しく優しい笑顔を浮かべているのを見て、昨日のデクスターとの食事がきっといい方向に向かったのだと思った。
 本当はどうなったのか根掘り葉掘り聞きたい。だが、そんなことは出来るわけもなく、野次馬根性を抑える。
「こちらこそ、ありがとう」
 襲撃で戦ってくれたお礼を伝える。
 いつか、俺達とアレックスとデクスター、5人で飲みたいなと考えながら握手をかわした。
 アレックスはロイとディーと軽口を叩き合い、彼らは笑顔で拳をぶつけ合う挨拶をする。



 2人が一緒に来た執事と共に魔法陣へ入って行く。
 それに続いてオスカーも魔法陣に入る。
「それじゃ行ってくる」
 彼は里帰りに合わせて、アレックスと共にバルト家までの護衛を担う。
 これから彼らは元シギアーノ領領都、現アストリア特別管区の中心都市『トーラス』まで転移し、そこから帝国側から迎えに来たバルト家の私兵部隊と合流し約1週間かけてバルト領に戻ることになっている。
 オスカーが向かう帝都レイベルクはバルト領からさらに1週間かかるので、オスカーは約1ヵ月近く不在となる。

 魔法陣が起動する時間になり、俺達は笑顔で彼らが転移するのを見送った。

 狩猟祭の後、ユージーンとの見合い、ジョンとのデート、キドナを巻き込んだ黒幕の謀略。
 約2ヶ月間に渡って起こった連続した出来事は、ユージーンの帰途によって終わりを迎えた。
 思い返すと慌ただしく過ぎて行った日々だった。
 転移魔法の広間を出た後、俺は密かにゆっくりと息を吐いた。


「俺たちはもう少しやることがあるから、先に戻っててくれ」
「夕食前には帰ります」
 瑠璃宮に戻ろうとして、ロイとディーに言われ笑顔で了承する。
 同じ場所に帰るということが、同棲しているような気分になり、毎日一緒に居られることがとにかく嬉しくて仕方がない。
「俺も図書室に寄ってから帰るよ」
「またなんか借りるのか」
「ああ。カレーリアに行く前に聖教会について勉強しとこうと思ってさ」
 そう答えると、2人とも苦笑いを浮かべていた。

 俺はその足で聖教会に関する本を借り、ジャニスと共に瑠璃宮に戻る。
 ミルコはよく本を借りに来る俺に本当に嬉しそうにしていた。
 2人が帰ってくるまで、俺は借りてきた本を読もうと思ったが、コートを片付けにフィッティングルームに入った時に白い箱が目に入ってしまって、再びエロ下着に思考が支配されそうになるのを頑張って抑え込んだ。

 ロイとディーが帰ってくるまでにはまだ1時間ほど時間があると考え、俺は本を読むよりもジャニスとお喋りすることにした。
 だが、どうしても頭の片隅にはエロ下着があり、話の内容が身につけるもの、服についての話題になっていった。
「聖女になる時も、夜会の時もそうだけどさ。俺、ああいう衣装を着ると女装してる気分になるんだよな。化粧もするしw」
 笑いながら言うとジャニスはキョトンとし、そして笑い出した。
「スカートじゃないもの。女装じゃないわwww」
 ジャニスは綺麗で派手ではあるけど、女性っぽくもない、れっきとした男の服だと言った。
 確かにそうなのだろう。貴族の中には似たような服を着ている男性もよく見かける。
 男女差のあまりない世界でも、スカートは女性が履く物である。
 女性っぽい服というのは俺の完全な思い込みで、元の世界の常識から来るものだと、ようやく理解し始めてきたところだ。
「先入観、なんだろうな」
 他国では男でもスカートを履く文化もあったし、民族衣装としてこの世界と似たような服もあった。
 要するに日本という国で生まれ育ち、その文化が俺に先入観を植えつけていると思った。
「誰も女装してるなんて思ってないわよ」
 ジャニスは可笑しそうに笑うが、俺は苦笑いを浮かべる。
「そっか。ショーヘーちゃんがいつもそっちが着たいって言ってたのはそういう意味だったのね」
 ジャニスは騎士服を見て羨ましそうにしている翔平を思い出して理解した。
 単純に動きにくいからそう言っていると思っていたが、まさか女装しているようだと思っているとは思わなかった。
「まあでも、いくら男性用とは言っても、似合う似合わないはあるわよね。
 ロイ、ディー、グレイで想像してみるとわかると思うけどw」
 そう言われ、俺はこの間の夜会で着た『男性用ドレス』を頭の中で3人に着せてみた。
「ぶはっ!!!」
 そして思い切り吹き出した。
 ディーは確実に似合う。ロイも、まあ大丈夫だろう。だが、グレイは……。
「あっはっはっは!!!」
 グレイは確実に似合わない。形を変えて、ただ足元までのロングローブなら大丈夫だろうが、ドレスのようなタイプは無理だと思った。
「ジャニスもきっと似合うよ」
「当然よ」
 笑いながら言うとジャニスはドヤ顔で返す。
 それから誰が似合って誰が似合わないのか、2人でゲラゲラ笑いながら話した。




 この話が割とあのエロ下着への抵抗感を薄めることになった。

 確かにあの下着は男性用に作られているようだった。
 女性用のを男がつけるわけではない。
 ああいうスケスケヒラヒラのエロ下着は女性だけが身につけるという俺の先入観があるせいなのだ。
 元の世界での今までの価値観がそうさせる。
 男女という区切りを無くせば、恋人にセクシーな下着を着てもらいたいというだけの話だ。

 俺は2人にそういう下着を着てもらいたいだろうか、と考えてみる。
 俺が贈られた物は2人にはどうかと思うが、あの中にあった極端に布地が少ない紐パンを2人がつけた姿を妄想し、一気に顔を真っ赤に染めた。

 ロイとディーの鍛えられた肉体にあの紐パン。
「………」
 俺は真っ赤になった顔を両手で覆い、テーブルに突っ伏す。
 いいかも、と思ってしまった自分に驚きつつ、性的興奮が湧き起こるのを感じた。

 この世界に来て、男同士という恋愛を受け入れるばかりか、同性の体に性的興奮を感じる思考の変化にかなり驚く。
 だが、それはロイとディーに限ったことだ。これを別の男で想像したなら、当然すぐに萎えてしまう。

 俺は本当に2人を愛しているんだと、改めて思い知らされた。
 そんな2人が俺にエロ下着を着て欲しいと言う。
 物はともかくとして、俺のために2人で買いに行き一緒に選んでくれたという事実は嬉しいと思う。


 俺は火照った頬を摩りながらため息をつく。
 頭では理解出来たが、やはりまだ抵抗感は残る。
 絶対に嫌だと言えなくなったが、それでも身につけるまでに、気持ちの整理をつける時間が必要だと思った。



 ジャニスは突然顔を赤くして突っ伏した翔平に驚きつつ、翔平が何に悩んでいたのかを何となく察した。
 心の中で、
「いいなあ、あたしも恋愛したい。恋人が欲しい」
 と呟いた。


 







 その後は至って平穏な日々が続く。
 2日に1度のペースで俺は騎士団の訓練場に出向き、騎士達に混ざって基礎訓練に参加し、その後短剣術の訓練を受ける。
 キースが引き続き師匠となり、身体強化の魔法を使いながら戦いの基礎を学ぶ。

 午後の予定がない時は執務室に籠って勉強に勤しむ。
 目下集中しているのは、治癒魔法と聖教会についての勉強だ。
 多くの本を読み、わからないことが出るとメモに取って、後から人に教えてもらうということを繰り返した。



 1月10日の、チェルニー伯爵領の魔獣化被害者の治療を行うまで、全員ではないがチームメンバーと研究会が数度行われた。
 実際に医務局に怪我で入院している人達を治療したり、イメージを具現化する魔法陣の構築などが始まり、俺は医療関係の魔法書を読みながら参加していた。
 そんな中、俺は治療イメージに関して気付いたことがあったが、それはジュノーであることを知らないチームメンバーの前でで口にすることは出来ず、この治療の旅程の中で、ロマと話す時間を取ってもらうことにした。



 チェルニー領へ向かう前々日の1月8日。
 共有リヴィングでキースや騎士達と現地での行程確認を打ち合わせている時に、アランが瑠璃宮を尋ねて来た。
「一緒に行けない?」
「すまんな。ロイには別件で任せたい仕事が出来てな」
「ええ~。聞いてね~よ」
「今言ったからな」
 文句を言うロイに、アランが笑う。
「チェルニーから戻ったら次はカレーリアに行くだろ。だから先に打ち合わせ諸々済ませて欲しいんだ」
 アランは、キースと共に月末に開催されるキドナと属国契約を結ぶ臣従儀礼式典の統括を任せると言った。キースは式典の進行や付随する夜会などを。ロイは招かれるバシリオを始めとしたキドナ側の警護や視察などの外交的対応を。
「ミネルヴァとレインがいるだろ」
 ブーブーと文句を言うロイにアランは笑う。
 騎士団長であるミネルヴァや、要人警護の任務につくことが多い第1部隊のレインがいると指摘する。
「お前もこの時期、2人とも多忙なのは知ってるだろ」
 アランが言うと、ロイは黙り込む。

 俺はキースに何のことだ?と視線を向けると、キースが教えてくれる。
 聞けば毎年この時期に、騎士団、獣士団、魔導士団、国軍から選抜された者達による大規模な軍事演習が行われるという。真冬と真夏に行われ、猛暑と極寒という過酷な状況下において適切な行動が取れるように、1週間遠征に出て訓練を行う。
 その統括がミネルヴァであり、各団長や隊長、軍指揮官も準備に追われている。

「お前が適任なんだよ」
 アランは2カ国の重要な式典を執り仕切るのに、元獣士団団長という統率能力、さらに次期公爵という立場と身分は相応しいと言った。
「仕方ないですね」
 ディーがポンとロイの肩を叩く。
「俺よりディーの方が…」
 ロイはブツブツと呟くが、ディーもまた軍事演習の準備やさらにキドナの魔導士団設立、技術協力に関して忙しくしているのを知っている。
 誰か他にいないかと考えたが、結局は自分しか時間に余裕がないのだと思った。
「4日間会えないだけだろ。我慢してくれ」
 アランが苦笑しながら言うと、ロイははあとため息をつき、観念したように了承した。
「時間もあまりない。あらかたキースがすでに進めているが、すぐに一緒に準備に取りかかってくれ」
「わかりました。謹んで拝命します」
 ロイが立ち上がるとアランとキースに向かって右手を胸に当てる。
 俺はそのロイの姿にニコリと笑う。
 なんだかんだ言ってもロイは仕事に対しては実直で真面目だ。
 どこにも所属していないロイは、軍関係や各団の顧問的な仕事をしていると聞いたが、どれも真面目に取り組んでいたのを知っている。
 こうして、正式な職務を与えられた時は言葉も態度も改め、切り替える姿は惚れ惚れする。
 そのかっこいい姿に、後でたっぷり褒めてあげようと心に決めた。




 チェルニー領へは、ロマとロイ抜きの護衛騎士全員、研究チームから5名、執事のバーニーと身の回りの世話として2名の戦闘メイドが行くことが決まった。

 出発は10日の午前11時。転移魔法で2度に分けて飛ぶ。
 チェルニー領領都『バーリッジ』にある領主邸敷地内にある別邸に全員で宿泊する。
 到着後、領主邸での昼食会があり、終わるとすぐに魔獣化被害者達の現状の報告を受ける。
 翌日11日は領都から被害者達のいる街『クロール』まで馬車移動する。朝出発して、夜の到着になる。
 12日に治療し、13日に帰路につくという行程となった。



 打ち合わせを解散した後、俺は執務室で魔道具開発部からドライヤーの試作完成品を受け取った。
 これまで何度か試作品を持ち込まれており、その度に相談して改良を何度か繰り返している。
 アビゲイル、オリヴィエ、エミリアの女性護衛騎士にも試作品を試してもらっており、この3人に残ってもらい一緒に打ち合わせる。
 俺は発案者だが、もうここまで来ると俺が出来ることはない。女性3人が開発部の2人と使用感や改良について話し合うのを眺めているだけで、今日持ち込まれた物で完成となったようだ。
 今後は魔道具開発部のみでの仕事となり、製品化に向けての特許申請、生産ギルドと連携した生産体制の協議など、俺が出来ることはない。
 これにより、ドライヤー開発は終わりとなる。
 早ければ、3ヶ月後には販売が開始されると聞いた。
 これに関して、特許権は発案者である俺にあり、売り上げの数%が振り込まれることになるらしい。売買の権利に関して、この国の商業関係はまだ理解出来ていないので、フィッシャーが統括している生産ギルドへ一任することにした。









 チェルニー領へ向かう前日、ディーは夕食後に、明日からの荷造りをしてくると一度王宮に戻った。
 ロイは昨日の打ち合わせ後から式典の準備に忙しくなり、昨日は瑠璃宮に戻らなかった。だが、今日は瑠璃宮に帰るが夕食は王宮で済ませてくるという連絡があった。


 俺は2人が戻るのを待ちながら本を読んでいたのだが、夜10時を過ぎたところで、もうそろそろ帰ってくるだろうと本を閉じて立ち上がる。
 そして、緊張した面持ちでフィッティングルームへと向かった。


 目の前にある白い箱をじっと見つめ、しばらく無言で立ち尽くす。
 ものすごく緊張していた。
 これを貰った日に揉めたきり、2人は何も言ってこなかった。
 2人は俺が保留にしたことを受け入れて、それ以上無理強いもお願いもして来ない。
 俺はジャニスと話してから、幾度となく葛藤を繰り返していた。
 2人は俺に着て欲しいと思うのは理解し納得もした。
 後は俺がこれを着る勇気を振り絞るだけ。


 これは決して女性用ではなく男性用であり、女装ではない。
 単純に恋人のエロい姿を見たいという、性的興奮を得るためだけの小道具だ。


 俺はそう考え意を決して箱の蓋を開け、そっと中身を取り出すと広げてみる。
「はあああ~」
 その真っ白いスケスケのベビードールのような羽織物を広げ、大きなため息をついた。
 俺は自分でこれが似合うとは思えない。これを着た自分に吐き気すら覚える。
 だが、2人はきっと俺に似合うと思って買った。


 仕方ない…。あいつらが望むなら……。


 俺は泣きそうになりながら、ゆっくりと服を脱ぎ全裸になると、クリーンで全身を丁寧に清めてから半ばヤケクソで身につけた。
 身につけた姿を自分で見る勇気はなく、着方があっているかどうかもわからないままスケスケの羽織物を着ると急いで寝室に行き、ベッドに潜り込むと頭から布団を被って隠れた。
 誰にも見られないとわかっていても、羞恥心に死にそうだった。
 
 






 10時半、ロイとディーは示し合わせたわけではないが、瑠璃宮へ帰る時間が一緒になった。
「明日から4日間ショーヘーに会えない…」
 トボトボと瑠璃宮に向かって歩くロイに、ディーは慰めるように肩を叩く。
「4日間だけですよ」
 ニヤニヤしながら言うディーに、他人事だと思って、とディーをヘッドロックして、頭を拳でグリグリする。
「いたたた!痛い!」
 笑いながら抗議すると、ロイはすぐに頭を離して笑う。
「正直言うとね、嬉しいですよ」
「何が」
 翔平を独り占め出来るからか、とロイはムクれるがディーは微笑む。
「違いますよ。ロイが国の重鎮になることがです」
「重鎮って…」
 ロイはそんな大層な立場じゃ、と言おうとしたが、ランドール家の後継という立場が、必然的に国を動かす1人になったのだと苦笑した。
「獣士団を辞めて、ショーヘイを見つけるまで5年も自由業で…。
 いつかこっち側に戻ってもらおうと思っていましたけど…。思ったより早く実現出来て嬉しいですよ」
 ディーが嬉しそうに笑い、ロイは照れくさそうに口元を歪める。
「これからもよろしくお願いしますね」
「俺を馬車馬のようにこき使おうってか」
 2人でニカッと歯を見せて笑い合った。



 瑠璃宮に入り、出迎えた当直の執事に、今日はもう寝るだけだからと伝え、戸締りをしてもらう。
「ただいま~」
 ロイが共有リヴィングから個別リヴィングへと入っても翔平の姿が見えなかった。
「あれ?」
 部屋の灯りはそのままだが、翔平がいない。
「もう寝ちゃったんですかね」
「かもな」
 10時半という時間だが、明日はチェルニー領への移動日だから早目に寝たのかもと思った。
 待ってて欲しかったな、と思いつつ、俺たちも寝るかと、そおっと寝室へ入る。
 すると、ベッドの布団が膨らんでいて、やっぱり先に寝たんだと思いつつ、寝夜着に着替えるためにフィッティングルームへ向かった。

 クリーンをかけ寝夜着に着替え、数分で寝室に戻ると、両サイドからいつもの定位置で眠るためにベッドに上がる。
 そして翔平を起こさないように静かに布団を捲り…、

「お、おか、えり……」

 小さく丸くなった翔平の微かな声を聞いた。

「っふぐ!」
「う!!」
 途端に2人が鼻と口を抑え、目に入った衝撃に一気に興奮ゲージがMAXを振り切り、その破壊力のある姿にベッドの上でもんどり打った。
「…あの…」
 翔平は全身を真っ赤にしながら、のろのろと起き上がるとちょこんと座る。
 スケスケでヒラヒラのベールのようなガウンを着て、その半透明の布地越しに乳首を隠す紐ビキニ、座っているためよく見えないが、お尻の部分に見える紐パンの紐。そして首に巻かれたリボンとフリルのついたチョーカーに、同じタイプの両手足の飾り。
 恥ずかしがって、もじもじしている姿がなおセクシーでそそられる。
「「………」」
 ロイとディーは自分達が選んだこの下着が正解だった、間違いなかったと口を開けたまま呆然とした。
「いい…」
「いいです…」
 やっと声を出し、ゴクリと浅ましく唾を飲み込む。
「ショーヘー!」
「ショーヘイ!」
 2人が襲いかかった。





 まさに獣になった2人が翔平に遅いかかる。
 寝夜着を脱ぐのももどかしい。
 翔平を押し倒し、貪るようにキスをする。
「ちょ…待っ…」
 かなり鼻息荒くして興奮状態の2人を止めようとするが、全く言葉が届かない。
 俺はこの格好がこんなに効果絶大だと思わなかった。
 まるで媚薬を打たれたように、2人が大興奮している。さっきから体に触れてくる2人のペニスはガチガチに硬くなり、明らかに発情がいつも以上であることが理解出来た。
 2人が我先にと俺を追い上げる。
 エロ下着を着た俺を見て感想を言う余裕もないようで、あっという間に寝夜着を脱ぎ捨て、俺の体を弄った。
 だが決して下着を脱がすことはしない。
 唯一スケスケのガウンの前を開けられたくらいで、脱がされることはなかった。
 小さな三角形で隠された乳首を、下着の上からしゃぶり、生地が濡れて行く。動いたことで少しだけずれ、ピンク色の乳首が顔を覗かせると、さらに興奮したようにむしゃぶりついてきた。
「あ、あん、んぅ!」
 ジュルジュルと左右同時に舌と唇で愛撫され、空いた手でペニスを小さな布越しに撫でられると、ビクビクと腰が跳ねた。
「ショーヘー……ショーヘー…可愛いよ…」
「素敵だ…綺麗です…」
 興奮した状態でずっと2人の口から熱い息とともに褒める言葉が紡がれ、俺は言葉でも愛撫されている錯覚を覚える。
 ロイの手が俺の足を開かせると、意味のない下着を少しだけずらし、アナルを指で撫でる。
「ん、あ」
 ディーが紐パンのペニスを隠す三角の布地をずらすと、蜜を垂らしながらぷるんと天を向いた。
「はあ…可愛い…」
 アナルにロイの指が挿入され、そのまま中を解すように長壁をなぞり、入口を広げられる。
 その間もキスや乳首への愛撫は止まらず、俺は2人から与えられる快感に翻弄された。





 結局、下着を脱がされることはなかった。
 だが、もはや下着のことなどどうでもよくなっていた。
 ロイの上に重なってキスしながら、僅かに下着をずらされた状態で背後からディーを受け入れて激しく抽送を繰り返される。
 決して脱がされることのない下着はぐちゃぐちゃに濡れ、その紐がペニスに擦られて快感を生んだ。
 ディーが中に射精するとすぐに引き抜かれ、直後下からロイを受け入れる。
 下から突き上げられ上半身を起こすと、背後から前に伸びたディーの手が乳首とペニスを撫でた。
「あ“ぁ!あ、あぅ、ん!」
 グポン、グプン、と下から打ち込むように中を抉られ、その動きに合わせて嬌声を上げる。


 前から後から、横から、下から、のしかかられるように上から、交互に2人を受け入れる。
 何度も中に注がれ、収まりきれない精液がトロトロと溢れ落ちる。だが、それを塞ぐように再び挿入され、腹の中を掻き回され、終わりの見えない快楽に溺れて行く。

 一体どれほど彼らを受け入れ、その中に注がれたのか、翔平はその余韻に指一本動かせず、体を投げ出していた。
 2人は、翔平の恍惚とした表情、3人の汗と精液、翔平が噴いた潮でぐちゃぐちゃになった体を見ながら手淫に耽り、最後、その胸と腹、下着に射精した。





 休むことなく続いたSEXで、ロイもディーも荒い呼吸を繰り返し、ベッドに座り込んだ。
「やべえわ…破壊力半端なかった」
「…ですね。凄かったです」
 2人は興奮状態から平常に戻り、思った以上に翔平の姿に煽られたと感想を言った。
「…し…死ぬ、かと…思った…」
 強烈なSEXだったにも関わらず、翔平は最後まで意識を保っていた。
 というか連続すぎて、しかも激しすぎて意識を失うことが出来なかったのだ。快感に意識が飛びそうになっても、間髪入れずに新たな快感に襲われて気を失なうことも出来なかった。
 もう指一本動かすことも出来なくなっており、最後の方では腹上死という言葉がよぎったほどだった。
「ごめん、ショーヘー。大丈夫か?」
「すみません、辛くなかったですか?」
 俺に近付き、気遣う言葉を投げかけてくる。
「大丈夫、だけど、もう、動けない」
 はははと乾いた笑いを漏らし、はあとため息をついた。


 あれだけやったのに、2人はまだ動ける。
 2人で後始末を初め、動けない俺の着替え、ベッドメイクを済ませた。
 ベッドヘッドによしかかるように3人で座り、ロイが淹れてきたお茶を飲む。
「ショーヘーのはポーション入りな」
 SEXの疲労回復にポーションってどうよ、と苦笑しつつ、温かいお茶と中に入っているポーションで体力が少しだけ回復する。
「いやあ…ありゃあダメだな」
「そうですね…」
 不意にロイが呟き、ディーが同意する。
「何が?」
 何のことだと聞き返すと、2人とも苦笑した。
「下着ですよ」
「マジで理性ぶっ飛ぶ。あれでも必死にセーブしたんだ」
 あれで!?と耳を疑う。
「残念ですが…。封印するしかないですね…」
 本当に心から残念がるようにディーが呟き、俺は思わず笑ってしまった。
「それより、着てくれてありがとうな」
 ロイが俺の頭を引き寄せて額にチュッとキスをする。
「本当に。諦めてました」
 ディーも反対側から頬にキスをしてくる。
「…いや…かなり抵抗はあるよ…今も」
 苦笑しながら答え、悩んだと伝えた。
「俺なりに頑張ったんだよ。
 せっかく買ってくれたし…、2人が俺のために選んでくれたものだし…」
 顔を赤くしながら、かなり勇気のいることだったと正直に言った。
 それを聞いて2人は嬉しそうに微笑むと左右からギュウッと抱きしめてくれ、まあ頑張った甲斐はあったのだと、良しとしようと思った。
 封印するということは、もう2度とあんな下着をつけることはないだろうと、ホッとする。
「今度はもっとおとなしい感じのを」
「そうですね。今回の物はちょっとあからさま過ぎましたね」
「は?」
 2人の言葉に、俺は目が点になる。
「いや、封印って…」
「今回の下着はってっことですよ」
 ディーがキョトンとして言い、俺はこれで終わりって言う意味じゃないのかと呆然とした。
「次はどんなのにしようかな~」
「ほら、前にゲーテで着てた赤いの、あれなんかいいですよね」
 俺をはさんで、2人はうきうきと楽しそうに俺に着せるエロ下着の話をする。
「………ない」
「ん?」
「もう着ねーからな!!!」
「「えー!!」」
「買って来ても即効燃やす!!」
 俺は鬼の形相で2人に怒鳴りつけた。
「そんなあ!!」
「盛り上がったじゃん!!」
「うるさい!!」
 ベッドに潜り込むと頭からバフッと布団をかぶった。
「なー、ショーヘー、頼むよお」
「また着てくださいよー」
 ゆさゆさと体を揺すられてお願いされるが、絶対にうんと言わなかった。
 何度か泣き言のように体を揺すりながら懇願されたが、断固として無視を決め込むと、2人とも諦めたようで、そのままベッドに横になり静かになった。


 もう絶対にあんな物着るもんか。


 そう決意を固め、目を閉じた。
 


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