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王都への旅路 〜ドルキア砦〜
44.おっさん、酔っ払う
朝食後、テーブルの上に地図を広げて、どのルートで王都へ向かうかを相談するが、ギルバートがまたもや次の行き先を提案してきた。
「ここからさらに東、ドルキア砦に向かってください」
自分を含めた4人がジトっとギルバートを見つめる。
「何です?その目は」
「まぁた何か企んでんじゃねーだろーな」
「おや、人聞きの悪い」
ロイに指摘されて、心外なとでも言いたげな表情をした。
心外も何も、このイグリットの騒動に巻き込まれるように仕向けたのはどこのどいつだと言いたいのを、全員が堪える。
「ドルキアには現在、獣士団第4部隊、騎士団第2部隊が駐留しています。そこで彼らと合流して、王都へ向かってください」
「それも、兄の指示ですか」
「その通りです」
宰相である兄サイファーからの指示だとギルバートは言った。
先日、ギルバートが早馬で送った書簡が無事に王都へついたらしく、アランからのイグリット領の件も含めて、密書がギルバートに届いたということだった。
「サイファーもアランも、ずいぶん回りくどいことをしてくる…」
ディーが文句のように言う。
「宰相によれば、国外からのジュノー襲撃についてはもう警戒を解いても良いとのことです。
なので、国境沿いに駐留させていた各士団を引き上げさせるついでに、ショーヘイ君を護衛するようにと」
サイファーが何らかの外交手段を講じて圧をかけた結果だろうが、何をしたのかは聞くまいと、ディーがため息をついた。
「ここからドルキアまでは馬車で約1週間。それから王都までは2週間から3週間ってところか」
グレイが指で地図上の行程をなぞっていく。
「問題があるとすれば、指輪の男でしょう」
ギルバートが顎に手を添えて考える素振りを見せる。
「一応、ユリア様にお願いして調べてもらってはいますが…」
ここでディーの妹の名前が出て、すごく不思議に感じ、隣のロイの顔を見上げると、ロイは「後でな」と耳打ちしてくれた。
「各々、それでよろしいな?」
嫌だ、なんて言えないだろう、とほぼ全員がそう思いつつ頷いた。
「もうすでに準備は始めていますから、午後には出発なさい」
ニコッと微笑むが、その笑顔は優しげなものではなく、戦場に立つ武人そのものだった。
一気に慌ただしくなり、バタバタと荷物の整理を始める。
イグリットの自警団が持ってきてくれた、村の荷馬車に積んであった荷物を、使用人たちが改めてランドール家家紋入りの黒塗りの馬車に乗せ替え、新たに追加された着替えや物資の説明を受けた。
そうこうしている内にあっという間に旅支度が完成し、出発の時間となる。
「ショーヘイ様」
いつもの自警団姿のジュリアがいつもより女らしく見えるのは、きっと自分とグレイだけだろう。
その彼女にいきなり抱きしめられた。
その豊満なおっぱいに顔を挟まれて、嬉しいやら恥ずかしいやら、赤面した。
「ありがとうございました」
目に涙を浮かべて、笑顔でいるジュリアを見て、こちらもウルッときてしまう。
「どうかご無事で…」
「ジュリアさんも、頑張ってくださいね。でも、1人で抱え込まないで」
そう励ますと、ジュリアがニッコリと微笑んだ。
ロイが御者席に乗り、自分とディーが先に馬車に乗り込む。
「ロイ、ちょっと待ってやって」
馬車の中からロイに伝えると、ロイもニヤニヤしながら、あいよ、と答えた。
ギルバートも、使用人たちも、グレイとジュリアの別れの姿に、さりげなくその場を離れる。
「ジュリア、必ず迎えに来る」
「グレイ…」
お互いに手を取り合って、うっとりと見つめ合い、そして口付ける。
馬車の中からチラッとその様子を見て、ほんわかと気持ちが暖かくなる。
「グレイにも春が来ましたねぇ」
ディーのその一言に思わず笑ってしまった。
長い別れを済ませて、グレイが馬車に乗ってくる。何度もジュリアを振り返って、ジュリアもじっとグレイを見つめていた。
「よし、行くぞ」
ロイが手綱を操り、馬車がゆっくりと走り出すと、ジュリアの目から涙が溢れた。
「…待っています…」
馬車が見えなくなり、ギュッと胸元で両手を握りしめると、小さく呟いた。
「ジュリア嬢、いや、イグリット卿。これからが大変ですよ」
ギルバートが後ろから声をかけ、ジュリアが微笑みながら振り返る。
「はい。ご指導よろしくお願いします」
「大丈夫。1ヶ月もすれば王都で会えますよ。貴方の叙爵も進めなくてはなりませんしね」
そう、ギルバートが微笑んで、王都で必ず会えるとジュリアに伝えた。
「…はい」
ジュリアが最高の笑顔で微笑んだ。
「おっさん、涙が止まらないよ」
実際にウルウルさせながら感動の別れに浸る。
「うるせーな」
ゲシっとグレイに足を蹴られる。その顔は耳まで真っ赤になっていて、恥ずかしそうに、かなり照れていた。
「ありがとうな、ショーへー」
視線を逸らしたまま、グレイがボソリと呟く。
「何言ってんだい、一緒に旅をする仲じゃないか」
時代劇風に言葉を返すと、ディーが吹き出した。
ロイも御者席で大口を開けて笑っていた。
「後はディーだけだな」
笑われたことへの仕返しのように、グレイが大声で言う。
途端にディーがムッと口を結んだ。
「私は別に」
「ディーは、まず兄妹をどうにかしないとなー」
ロイが大声で言う。
「兄妹?なんで?」
不思議に思って首を傾げた。
「3人が3人とも、重度のブラコンだ」
グレイがニヤニヤしながらディーを見る。
「ブラコン…ブラザーコンプレックス?」
「そ。もーディーゼルが可愛くて可愛くて、大好きで大好きで」
ロイがゲラゲラと笑うと、ディーが御者席のロイに手を伸ばして、脇腹にワンパン入れる。
「った!あっぶねーな!!」
手綱を握った手が緩み、慌てて握り直すが、まだゲラゲラと笑っていた。
「へー。お兄さんも妹さんもか」
「ああ。だからディーの相手はまず3人のお眼鏡に叶う人じゃないと無理だ」
「あー…そーなんだー…」
「もーやめてくださいよ…」
ディーが泣きそうな顔をする。
小姑付きかぁ、これは相手を見つけるのはかなり大変そうだ、と心から同情する。
「そういや、王女殿下に指輪の男の調査ってなんで?」
出発の準備でユリアについて教えてもらうのを忘れていたので、話ついでに聞いてみる。
「あー…ユリアね…」
途端に3人の表情が曇った。
「??」
「性癖がヤバいんだよな…」
ロイが呟くように言うのを聞き逃さなかった。
「性癖って…」
「ユリアは、我が国の暗部を一手に担っていまして…」
ディーが目を逸らしつつ答える。
「…暗部って…一手に…?」
暗部と聞いてすぐに思い浮かんだのは、秘密警察だった。
諜報活動とか暗殺とか、そういう類をする部署のことだよな、とスパイ映画を思い出していた。
「なんて言いましょうか…」
ディーが自分の妹の説明にすごく困った表情を見せる。
「サドだな。ありゃどーみても」
「あー、まぁ、そうですね…」
ディーも否定しない。
「うわぁ…」
思わずそう声を漏らした。だが、少し興味も湧く。
「弟をかなり溺愛するお兄様2人と妹。大変だよなー」
ロイが同情するような口調で言うが、その後にワハハハハと笑い出す。
「まぁ、お前にもそのうち春が来るさ」
グレイが自分に春が来たとドヤ顔で言い、ディーは盛大なため息をついた。
「大変だな…、ディー」
凹んだディーの背中を撫ぜて、慰める。
「うわーん」
ディーがそう言って、ロイに対する意趣返しもあるのか、自分に抱きついて泣き真似をする。
「あ、おい!どさくさに紛れて何やってんだ!」
とロイが慌て、馬車が大きく左右に揺れて、頭を馬車の壁にぶつけた。
「まっすぐ走れ~」
グレイがすかさず突っ込みを入れるので、思わず笑ってしまった。
馬車旅が始まって3日、何事もなく順調に進む。
やはりランドール家の家紋は効果絶大で、盗賊に襲われることも、ジュノーを狙った他国の襲撃も一切なかった。
3日目の夜、立ち寄った小さな街で宿を取り、宿の酒場で行程の確認をする。
ドルキアまで半分くらいの位置まで進んでいた。
馬車酔いもしないわけではないが、かなり慣れてきていて、寝られるほど余裕はないが、御者席に座って馬の操作方法を習ったりすることは出来るようになっていた。
確認を済ませて、食事となる。
「酒、飲んでいい?」
「別に構いませんよ」
財布を持つディーに確認を取る。
「お、いいねぇ。今日は飲むか」
グレイが嬉しそうにニコニコする。
すかさずロイが人数分のエールを注文する。
「美味~い」
すこぶる上機嫌でエールを飲む。
「お酒、好きなんですね」
「んーまぁね。毎日ではないけど、よく晩酌はしてたな。仕事終わりに同僚と呑みにも行ったし」
「ショーヘイさんの世界のお酒ってどんなのですか?」
「あはは、残念。こっちとそんなに変わんないわ」
ディーがすかさずジュノーの知識を収集しようとするので、先にそう言っておく。
4人でワイワイと食べて呑んで、楽しくてついつい酒が進んだ。
「っていうか…、ショーヘー酒強いな」
「そっかぁ?」
普通だよー、と答えつつ果実酒を飲む。
「いや、強いでしょ…かなり…」
同じペースで呑んでいたディーが赤い顔でグラグラしている。
ロイとグレイはまだ大丈夫なようだ。
「んふふふ」
不意に笑った自分に、3人がギョッとした。
「楽しーねー」
ニコニコしながらまた一口飲む。
「もしかして、かなり酔ってんのか?」
「そうでもないよ~」
すぐにそう答えるあたり、大丈夫なような気もするが、様子がおかしいと3人とも思った。
「もうお開きにしましょうか」
ディーが嫌な予感がしてそう言う。
「えー、なんでー」
ドンと果実酒の瓶をテーブルに置いた。
「あっつ…」
そう言いながら、シャツのボタンを数個外して前をはだけ、手でパタパタと首元をあおぐ。
首筋から胸元まで、アルコールでほんのり染まり、汗ばんだ肌が妙な色気を出していて、3人がゴクリと唾を飲み込んだ。
気が付けば、周囲にいた他の酒場の客が数人、翔平をじっとりと熱の籠った目で見ている。
「ショ、ショーヘー、もういいだろ?」
「……やだ」
そう言い、再び果実酒を呑んで、ニコニコする。
「んふふ、ふふふふ」
ピンク色に染まってトロンとした目で含み笑いをしたかと思うと、急にロイの肩へ腕を回し、
「ロイ、キス」
そう言ったかと思うと、ゆっくりとロイの唇へキスした。
途端に周りから、揶揄うような声とヒューっと口笛が鳴らされる。
「ん…」
ねっとりと舌を絡ませて、唇を離すと、ゆっくりと自分の唇を舐めた。
その翔平の色っぽさにロイが唖然とする。
「お、おい」
グレイが慌てて翔平の肩を掴むと、今度はグレイへ向き直り、両腕を首に回すと、グレイにも濃厚なキスをした。
「ショーヘー!」
驚いたロイが慌てて翔平をグレイから引き剥がす。
「邪魔すんな」
パシッとロイの手を振り払うと、呆然として口を開けたまま動けなくなっているディーの所へふらふらと歩いていくと、ディーの頭を両手で掴んで、これまた濃厚なキスをする。
「ん…ん…」
ゆっくりと味わうように舌を絡ませると、ディーがハッと正気を取り戻して真っ赤になりながら翔平を引き剥がした。
「いいぞー、もっとやれー」
周りから声援のような掛け声がかかり、翔平が振り返ってその声援に応えると、再びロイへ近寄り、ロイの首へ両腕を回す。
ロイも翔平の背中と腰に腕を回し、客達の前で濃厚なキスを披露した。
途端に上がる歓声に、上機嫌になった翔平が体をロイに擦り寄せて、見せつけるように舌を絡ませる。
「ぁ…ん…」
鼻にかかった翔平の甘い喘ぎに、ロイの理性が切れそうになる。
「いいぞー!脱げー!」
客のその一言で、ハッとディーとグレイが我に返り、大急ぎで立ち上がると、ロイと翔平を引っ張って酒場から逃げ出した。
「なんだー、もう終わりかー」
客達の笑い声と冷やかす言葉に、酔いなんてすっかり覚めてしまった。
「あとは、こっちでやれ!」
なんとか2人でロイと翔平を宿泊する部屋に押し込めると、どっと汗が吹き出た。
「もう、ショーヘイさんにお酒は飲ませちゃダメです…」
「キス魔だったとは…」
廊下でぐったりとして、ため息をついた。
部屋に放り込まれた翔平が、ジリジリとロイに迫る。
「ショ、ショーヘー、お前」
「んふふふ」
ずっと笑いながらロイに迫り、ロイをベットに押し倒すと、ペロリと舌なめずりをすると、再びキスをしてくる。
「ん…んぅ…」
鼻にかかった甘い吐息を吐きながら、ロイの舌を、唇を舐め、甘噛みしてくる。
「キス、好きか…?」
「うん…好き…もっと」
そう言って、何度も唇を重ね、舌を絡ませてくる翔平に、もう我慢の限界だった。
翔平に押し倒された体勢を逆転しようとしたが、翔平がロイのシャツのボタンを外し始め前をはだけると、その首に胸にキスをしてきた。
「!!!」
そこで、理性が吹っ飛んだ。
ガバッと起き上がって翔平の肩を掴んで引き剥がし、体勢を変えようとしたが、突然翔平がカクンと力を失った。
「…は?」
そっと翔平の顔を覗き込むと、目を閉じてスヤスヤと眠っていた。
幸せそうに眠ってしまった翔平を見て、ワナワナと震える。
「嘘だろー!!」
ロイが叫ぶ。
翔平をベッドに横たえ、すっかり元気にヤル気満々になってしまった下半身を見て途方にくれる。
このまま寝込みを襲おうかと思ったが、反応のない翔平を抱いても何の意味もない。
大きく盛大なため息をつき、ロイは1人で処理をする。あまりの虚しさに涙が出た。
「んー!よく寝た」
起き上がって大きく伸びをしながら、爽快な朝に気分も上がる。
「良かったな、良く寝れて」
「うわ!」
隣のベッドで、じっとりとロイが自分を睨んでいるのに気付いて、思わず声が出る。
「何、どうした」
「覚えてねーのかよ…」
再び睨まれて、頭の上に?マークが浮かぶ。
それから不機嫌なロイを宥めていると、ドアがノックされてディーとグレイが部屋に入ってくる。
そして、衝撃の事実を知る。
「嘘…」
「嘘言ってどーすんだ」
昨夜の自分の醜態を聞き、青ざめる。
「お前、一緒に呑みに行った奴になんか言われたことねーのか」
グレイにそう言われて、ハタと思い出す。
「そういえば、言われたかも…。深酒するなって…」
すごい勢いで同僚に真剣に言われて、何かしたんだ、とは思った記憶はある。それから、飲み会の席では酒を勧められることもあまりなくなって、記憶を失くすまで呑んだのは、それ以来なかったことに気付いた。
「俺、キス魔だったのか…」
「いきなり笑い出したかと思ったら、色気振りまいてディープキスですよ。焦りますって」
ディーも呆れたように言う。
「すみません…」
小さくなって謝る。
「ひでーよ、その気にさせといて、いきなり爆睡だぜ?俺の息子の行き場がなくなって可哀想で可哀想で」
そのロイの言葉に真っ赤になる。
「その気にって…」
「お前から誘ったくせに…」
しくしくとロイが泣き真似をしだすと、ディーもグレイも笑いを堪え切れずに吹き出した。
「災難だったなー、ロイ」
「それは可哀想ですね」
と2人とも涙を流して爆笑する。
「あー…、それは…、ごめん」
なんとなく謝る。
「ということで、ショーヘイさん、お酒は控えてください」
「…はい」
すっかり小さくなって返事した。
酒、好きなのにな…、と思いつつ、自分がキス魔だと知って若干ショックだった。
その後、昨夜の状況を揶揄いを含めて詳細に教えてもらって、とんでもない自分の姿に青ざめて、本当にもう深酒は止めようと心に決めた。
「ここからさらに東、ドルキア砦に向かってください」
自分を含めた4人がジトっとギルバートを見つめる。
「何です?その目は」
「まぁた何か企んでんじゃねーだろーな」
「おや、人聞きの悪い」
ロイに指摘されて、心外なとでも言いたげな表情をした。
心外も何も、このイグリットの騒動に巻き込まれるように仕向けたのはどこのどいつだと言いたいのを、全員が堪える。
「ドルキアには現在、獣士団第4部隊、騎士団第2部隊が駐留しています。そこで彼らと合流して、王都へ向かってください」
「それも、兄の指示ですか」
「その通りです」
宰相である兄サイファーからの指示だとギルバートは言った。
先日、ギルバートが早馬で送った書簡が無事に王都へついたらしく、アランからのイグリット領の件も含めて、密書がギルバートに届いたということだった。
「サイファーもアランも、ずいぶん回りくどいことをしてくる…」
ディーが文句のように言う。
「宰相によれば、国外からのジュノー襲撃についてはもう警戒を解いても良いとのことです。
なので、国境沿いに駐留させていた各士団を引き上げさせるついでに、ショーヘイ君を護衛するようにと」
サイファーが何らかの外交手段を講じて圧をかけた結果だろうが、何をしたのかは聞くまいと、ディーがため息をついた。
「ここからドルキアまでは馬車で約1週間。それから王都までは2週間から3週間ってところか」
グレイが指で地図上の行程をなぞっていく。
「問題があるとすれば、指輪の男でしょう」
ギルバートが顎に手を添えて考える素振りを見せる。
「一応、ユリア様にお願いして調べてもらってはいますが…」
ここでディーの妹の名前が出て、すごく不思議に感じ、隣のロイの顔を見上げると、ロイは「後でな」と耳打ちしてくれた。
「各々、それでよろしいな?」
嫌だ、なんて言えないだろう、とほぼ全員がそう思いつつ頷いた。
「もうすでに準備は始めていますから、午後には出発なさい」
ニコッと微笑むが、その笑顔は優しげなものではなく、戦場に立つ武人そのものだった。
一気に慌ただしくなり、バタバタと荷物の整理を始める。
イグリットの自警団が持ってきてくれた、村の荷馬車に積んであった荷物を、使用人たちが改めてランドール家家紋入りの黒塗りの馬車に乗せ替え、新たに追加された着替えや物資の説明を受けた。
そうこうしている内にあっという間に旅支度が完成し、出発の時間となる。
「ショーヘイ様」
いつもの自警団姿のジュリアがいつもより女らしく見えるのは、きっと自分とグレイだけだろう。
その彼女にいきなり抱きしめられた。
その豊満なおっぱいに顔を挟まれて、嬉しいやら恥ずかしいやら、赤面した。
「ありがとうございました」
目に涙を浮かべて、笑顔でいるジュリアを見て、こちらもウルッときてしまう。
「どうかご無事で…」
「ジュリアさんも、頑張ってくださいね。でも、1人で抱え込まないで」
そう励ますと、ジュリアがニッコリと微笑んだ。
ロイが御者席に乗り、自分とディーが先に馬車に乗り込む。
「ロイ、ちょっと待ってやって」
馬車の中からロイに伝えると、ロイもニヤニヤしながら、あいよ、と答えた。
ギルバートも、使用人たちも、グレイとジュリアの別れの姿に、さりげなくその場を離れる。
「ジュリア、必ず迎えに来る」
「グレイ…」
お互いに手を取り合って、うっとりと見つめ合い、そして口付ける。
馬車の中からチラッとその様子を見て、ほんわかと気持ちが暖かくなる。
「グレイにも春が来ましたねぇ」
ディーのその一言に思わず笑ってしまった。
長い別れを済ませて、グレイが馬車に乗ってくる。何度もジュリアを振り返って、ジュリアもじっとグレイを見つめていた。
「よし、行くぞ」
ロイが手綱を操り、馬車がゆっくりと走り出すと、ジュリアの目から涙が溢れた。
「…待っています…」
馬車が見えなくなり、ギュッと胸元で両手を握りしめると、小さく呟いた。
「ジュリア嬢、いや、イグリット卿。これからが大変ですよ」
ギルバートが後ろから声をかけ、ジュリアが微笑みながら振り返る。
「はい。ご指導よろしくお願いします」
「大丈夫。1ヶ月もすれば王都で会えますよ。貴方の叙爵も進めなくてはなりませんしね」
そう、ギルバートが微笑んで、王都で必ず会えるとジュリアに伝えた。
「…はい」
ジュリアが最高の笑顔で微笑んだ。
「おっさん、涙が止まらないよ」
実際にウルウルさせながら感動の別れに浸る。
「うるせーな」
ゲシっとグレイに足を蹴られる。その顔は耳まで真っ赤になっていて、恥ずかしそうに、かなり照れていた。
「ありがとうな、ショーへー」
視線を逸らしたまま、グレイがボソリと呟く。
「何言ってんだい、一緒に旅をする仲じゃないか」
時代劇風に言葉を返すと、ディーが吹き出した。
ロイも御者席で大口を開けて笑っていた。
「後はディーだけだな」
笑われたことへの仕返しのように、グレイが大声で言う。
途端にディーがムッと口を結んだ。
「私は別に」
「ディーは、まず兄妹をどうにかしないとなー」
ロイが大声で言う。
「兄妹?なんで?」
不思議に思って首を傾げた。
「3人が3人とも、重度のブラコンだ」
グレイがニヤニヤしながらディーを見る。
「ブラコン…ブラザーコンプレックス?」
「そ。もーディーゼルが可愛くて可愛くて、大好きで大好きで」
ロイがゲラゲラと笑うと、ディーが御者席のロイに手を伸ばして、脇腹にワンパン入れる。
「った!あっぶねーな!!」
手綱を握った手が緩み、慌てて握り直すが、まだゲラゲラと笑っていた。
「へー。お兄さんも妹さんもか」
「ああ。だからディーの相手はまず3人のお眼鏡に叶う人じゃないと無理だ」
「あー…そーなんだー…」
「もーやめてくださいよ…」
ディーが泣きそうな顔をする。
小姑付きかぁ、これは相手を見つけるのはかなり大変そうだ、と心から同情する。
「そういや、王女殿下に指輪の男の調査ってなんで?」
出発の準備でユリアについて教えてもらうのを忘れていたので、話ついでに聞いてみる。
「あー…ユリアね…」
途端に3人の表情が曇った。
「??」
「性癖がヤバいんだよな…」
ロイが呟くように言うのを聞き逃さなかった。
「性癖って…」
「ユリアは、我が国の暗部を一手に担っていまして…」
ディーが目を逸らしつつ答える。
「…暗部って…一手に…?」
暗部と聞いてすぐに思い浮かんだのは、秘密警察だった。
諜報活動とか暗殺とか、そういう類をする部署のことだよな、とスパイ映画を思い出していた。
「なんて言いましょうか…」
ディーが自分の妹の説明にすごく困った表情を見せる。
「サドだな。ありゃどーみても」
「あー、まぁ、そうですね…」
ディーも否定しない。
「うわぁ…」
思わずそう声を漏らした。だが、少し興味も湧く。
「弟をかなり溺愛するお兄様2人と妹。大変だよなー」
ロイが同情するような口調で言うが、その後にワハハハハと笑い出す。
「まぁ、お前にもそのうち春が来るさ」
グレイが自分に春が来たとドヤ顔で言い、ディーは盛大なため息をついた。
「大変だな…、ディー」
凹んだディーの背中を撫ぜて、慰める。
「うわーん」
ディーがそう言って、ロイに対する意趣返しもあるのか、自分に抱きついて泣き真似をする。
「あ、おい!どさくさに紛れて何やってんだ!」
とロイが慌て、馬車が大きく左右に揺れて、頭を馬車の壁にぶつけた。
「まっすぐ走れ~」
グレイがすかさず突っ込みを入れるので、思わず笑ってしまった。
馬車旅が始まって3日、何事もなく順調に進む。
やはりランドール家の家紋は効果絶大で、盗賊に襲われることも、ジュノーを狙った他国の襲撃も一切なかった。
3日目の夜、立ち寄った小さな街で宿を取り、宿の酒場で行程の確認をする。
ドルキアまで半分くらいの位置まで進んでいた。
馬車酔いもしないわけではないが、かなり慣れてきていて、寝られるほど余裕はないが、御者席に座って馬の操作方法を習ったりすることは出来るようになっていた。
確認を済ませて、食事となる。
「酒、飲んでいい?」
「別に構いませんよ」
財布を持つディーに確認を取る。
「お、いいねぇ。今日は飲むか」
グレイが嬉しそうにニコニコする。
すかさずロイが人数分のエールを注文する。
「美味~い」
すこぶる上機嫌でエールを飲む。
「お酒、好きなんですね」
「んーまぁね。毎日ではないけど、よく晩酌はしてたな。仕事終わりに同僚と呑みにも行ったし」
「ショーヘイさんの世界のお酒ってどんなのですか?」
「あはは、残念。こっちとそんなに変わんないわ」
ディーがすかさずジュノーの知識を収集しようとするので、先にそう言っておく。
4人でワイワイと食べて呑んで、楽しくてついつい酒が進んだ。
「っていうか…、ショーヘー酒強いな」
「そっかぁ?」
普通だよー、と答えつつ果実酒を飲む。
「いや、強いでしょ…かなり…」
同じペースで呑んでいたディーが赤い顔でグラグラしている。
ロイとグレイはまだ大丈夫なようだ。
「んふふふ」
不意に笑った自分に、3人がギョッとした。
「楽しーねー」
ニコニコしながらまた一口飲む。
「もしかして、かなり酔ってんのか?」
「そうでもないよ~」
すぐにそう答えるあたり、大丈夫なような気もするが、様子がおかしいと3人とも思った。
「もうお開きにしましょうか」
ディーが嫌な予感がしてそう言う。
「えー、なんでー」
ドンと果実酒の瓶をテーブルに置いた。
「あっつ…」
そう言いながら、シャツのボタンを数個外して前をはだけ、手でパタパタと首元をあおぐ。
首筋から胸元まで、アルコールでほんのり染まり、汗ばんだ肌が妙な色気を出していて、3人がゴクリと唾を飲み込んだ。
気が付けば、周囲にいた他の酒場の客が数人、翔平をじっとりと熱の籠った目で見ている。
「ショ、ショーヘー、もういいだろ?」
「……やだ」
そう言い、再び果実酒を呑んで、ニコニコする。
「んふふ、ふふふふ」
ピンク色に染まってトロンとした目で含み笑いをしたかと思うと、急にロイの肩へ腕を回し、
「ロイ、キス」
そう言ったかと思うと、ゆっくりとロイの唇へキスした。
途端に周りから、揶揄うような声とヒューっと口笛が鳴らされる。
「ん…」
ねっとりと舌を絡ませて、唇を離すと、ゆっくりと自分の唇を舐めた。
その翔平の色っぽさにロイが唖然とする。
「お、おい」
グレイが慌てて翔平の肩を掴むと、今度はグレイへ向き直り、両腕を首に回すと、グレイにも濃厚なキスをした。
「ショーヘー!」
驚いたロイが慌てて翔平をグレイから引き剥がす。
「邪魔すんな」
パシッとロイの手を振り払うと、呆然として口を開けたまま動けなくなっているディーの所へふらふらと歩いていくと、ディーの頭を両手で掴んで、これまた濃厚なキスをする。
「ん…ん…」
ゆっくりと味わうように舌を絡ませると、ディーがハッと正気を取り戻して真っ赤になりながら翔平を引き剥がした。
「いいぞー、もっとやれー」
周りから声援のような掛け声がかかり、翔平が振り返ってその声援に応えると、再びロイへ近寄り、ロイの首へ両腕を回す。
ロイも翔平の背中と腰に腕を回し、客達の前で濃厚なキスを披露した。
途端に上がる歓声に、上機嫌になった翔平が体をロイに擦り寄せて、見せつけるように舌を絡ませる。
「ぁ…ん…」
鼻にかかった翔平の甘い喘ぎに、ロイの理性が切れそうになる。
「いいぞー!脱げー!」
客のその一言で、ハッとディーとグレイが我に返り、大急ぎで立ち上がると、ロイと翔平を引っ張って酒場から逃げ出した。
「なんだー、もう終わりかー」
客達の笑い声と冷やかす言葉に、酔いなんてすっかり覚めてしまった。
「あとは、こっちでやれ!」
なんとか2人でロイと翔平を宿泊する部屋に押し込めると、どっと汗が吹き出た。
「もう、ショーヘイさんにお酒は飲ませちゃダメです…」
「キス魔だったとは…」
廊下でぐったりとして、ため息をついた。
部屋に放り込まれた翔平が、ジリジリとロイに迫る。
「ショ、ショーヘー、お前」
「んふふふ」
ずっと笑いながらロイに迫り、ロイをベットに押し倒すと、ペロリと舌なめずりをすると、再びキスをしてくる。
「ん…んぅ…」
鼻にかかった甘い吐息を吐きながら、ロイの舌を、唇を舐め、甘噛みしてくる。
「キス、好きか…?」
「うん…好き…もっと」
そう言って、何度も唇を重ね、舌を絡ませてくる翔平に、もう我慢の限界だった。
翔平に押し倒された体勢を逆転しようとしたが、翔平がロイのシャツのボタンを外し始め前をはだけると、その首に胸にキスをしてきた。
「!!!」
そこで、理性が吹っ飛んだ。
ガバッと起き上がって翔平の肩を掴んで引き剥がし、体勢を変えようとしたが、突然翔平がカクンと力を失った。
「…は?」
そっと翔平の顔を覗き込むと、目を閉じてスヤスヤと眠っていた。
幸せそうに眠ってしまった翔平を見て、ワナワナと震える。
「嘘だろー!!」
ロイが叫ぶ。
翔平をベッドに横たえ、すっかり元気にヤル気満々になってしまった下半身を見て途方にくれる。
このまま寝込みを襲おうかと思ったが、反応のない翔平を抱いても何の意味もない。
大きく盛大なため息をつき、ロイは1人で処理をする。あまりの虚しさに涙が出た。
「んー!よく寝た」
起き上がって大きく伸びをしながら、爽快な朝に気分も上がる。
「良かったな、良く寝れて」
「うわ!」
隣のベッドで、じっとりとロイが自分を睨んでいるのに気付いて、思わず声が出る。
「何、どうした」
「覚えてねーのかよ…」
再び睨まれて、頭の上に?マークが浮かぶ。
それから不機嫌なロイを宥めていると、ドアがノックされてディーとグレイが部屋に入ってくる。
そして、衝撃の事実を知る。
「嘘…」
「嘘言ってどーすんだ」
昨夜の自分の醜態を聞き、青ざめる。
「お前、一緒に呑みに行った奴になんか言われたことねーのか」
グレイにそう言われて、ハタと思い出す。
「そういえば、言われたかも…。深酒するなって…」
すごい勢いで同僚に真剣に言われて、何かしたんだ、とは思った記憶はある。それから、飲み会の席では酒を勧められることもあまりなくなって、記憶を失くすまで呑んだのは、それ以来なかったことに気付いた。
「俺、キス魔だったのか…」
「いきなり笑い出したかと思ったら、色気振りまいてディープキスですよ。焦りますって」
ディーも呆れたように言う。
「すみません…」
小さくなって謝る。
「ひでーよ、その気にさせといて、いきなり爆睡だぜ?俺の息子の行き場がなくなって可哀想で可哀想で」
そのロイの言葉に真っ赤になる。
「その気にって…」
「お前から誘ったくせに…」
しくしくとロイが泣き真似をしだすと、ディーもグレイも笑いを堪え切れずに吹き出した。
「災難だったなー、ロイ」
「それは可哀想ですね」
と2人とも涙を流して爆笑する。
「あー…、それは…、ごめん」
なんとなく謝る。
「ということで、ショーヘイさん、お酒は控えてください」
「…はい」
すっかり小さくなって返事した。
酒、好きなのにな…、と思いつつ、自分がキス魔だと知って若干ショックだった。
その後、昨夜の状況を揶揄いを含めて詳細に教えてもらって、とんでもない自分の姿に青ざめて、本当にもう深酒は止めようと心に決めた。
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