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キドナ編 〜キドナからの招待(誘拐拉致)〜
247.おっさん、再び共鳴する
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闘技場から屋敷に戻り、再び応接室に入ると仕事内容の説明を受ける。
「まさかあそこまでお強いとは…」
バイロンが執事と共に契約書の準備をしながら、先ほどの手合わせを思い出して興奮冷めやらぬといった感じで言った。
「ダニーもデニーも強いぞ。俺ほどじゃないがな」
笑いながらロイが言うと、
「戦闘狂のお前と比べる方がおかしい」
ダニエルが揶揄うように言った。
「戦う前からわかっていたが、ここまで差があるとはなぁ。私もまだまだだ」
「そうおっしゃられても、伯爵様も相当な腕前ですね」
バシリオが久しぶりに見たバルカムの槍術に100歳になっても変わっていないなと心の中で呟く。
子供の頃、ギデオンとバルカムの模擬戦を見たことを思い出していた。
「それでは伯爵様、ご説明を」
契約書の準備が終わり、バルカムに促した。
「うむ」
バルカムは頷くと、笑顔から一変し真顔になる。
「現在のキドナの状況は噂などで知っていると思うがいかがかね?」
「はい。内戦の兆しがあり、傭兵を募っていると」
バルカムの質問にデクスターが答える。
「その通りだ。
1ヶ月と少し前、第2王子であるバシリオ様が不在中にフォスター王がお倒れになった。
以前から体調を崩されておったのだが…タイミングが良すぎる」
バルカムは眉間に皺を寄せて、声を一段と低くした。
それは、王の病もナイゼルによるものだと疑っているようだった。
「バシリオ殿下はどちらに?」
デクスターが確認する。
「殿下は、王太子の暴挙を陳謝するために公国の狩猟祭へ参加していたのだ。
ナイゼル様は公国の聖女様を武力を持って略奪しようと計画され、今までに2度失敗している」
「バシリオ様は、公国のアラン、ディーゼル両殿下、聖女様が狩猟祭に参加されると知り、国王や王太子には内緒で…」
「だが、バレていた。
狩猟祭へ参加されれば、2週間以上不在となる。
まさにそのタイミングを狙って、奴は動いたのだよ」
バルカムが話したキドナの現在までの流れや現状は、ロイ達が得た情報や考察と一致する。
ただ一つだけ、バシリオが行方不明になってからの聖女襲撃は知らないようだった。
もちろん、バルカムを含むバシリオ派は、戻ってこないバシリオを懸命に探し出そうとし、かつ、ナイゼルにも公国に捜索協力の依頼をし、国を上げて探すべきだと幾度となく進言している。だが、ナイゼルはそれを了としないばかりか、許可なく勝手に動くことを禁じた。
そのナイゼルの動きから、ナイゼルがはっきりとバシリオを亡き者にしようとしていると判断し、国内ではナイゼル派を牽制しつつ、公国へ間者を送り、バシリオを探し、暗殺を未然に防ぐべく奮闘していた。
だがそんな苦労の甲斐もなく、バルカム達は、12月3日にバシリオの右腕を見せられ、訃報を知らされた。
ナイゼルはバシリオを殺害したのは公国であり、報復する権利があると言った。
「それまでに粛清された者達は、バシリオ殿下を食い物にする虫だと、害虫を駆除しただけだとのたまったのだ」
バルカムは悔しそうにギリギリと歯を食いしばる。
「我が親友のギデオンは、国王派として中立を保ってきた。
だが、奴はこともあろうに、ギデオンを内乱を先導した国家反逆罪で捕らえ、即日処刑した!」
ダン!とバルカムはテーブルを拳で殴りつける。
「ギデオンは、ただ王への面会を求めただけなのだぞ!なのに奴は!」
バルカムの肩が怒りで震え、握りしめた両手は力を込めすぎて白くなっていた。
「伯爵様は、バシリオ殿下を殺害したのは王太子殿下であると考えておいでです。
今現在も、その証拠を得るために、影を使って動いておりますが…」
バイロンが怒りで黙り込んでしまったバルカムに変わって続きを言い、確証は得られなかったと小さく首を振った。
「12月4日、王太子殿下は公国と会談を行いました。
その中で、ユリア・サンドラーク王女殿下を王妃にお迎えしたいと。ですが、実際の所はバシリオ様の代償として差し出せということです…」
「公国側に対して20日までに猶予を与えたそうだ」
バルカムが怒りを抑え込むと、顔を上げる。
「現状は表立って動けない。だが、状況が変わったのだ。
私達は、20日に一斉決起する」
バルカムは強い意志を持った目でロイ達を見渡し、ニヤリと笑った。
同日、ディー達は宿場町ポルタの宿の一室で会議を開いていた。
普通の宿屋の4人部屋に帝国側のモーリスとスミスを除いた9人が集まり、椅子やベッドに腰掛けていた。
その9人の視線がドアの前に立つ1人の男に注がれていた。
男、オリバーは錚々たる顔ぶれに見つめられ、18個の目に生きた心地がしなかった。
蛇に睨まれた蛙のように体を硬直させる。
「彼がバシリオ様の影、オリバー殿です」
ウィルがにこやかに全員に紹介し、オリバーは丁寧に頭を下げた。
オリバーは8日にロイとバシリオに指示を受けた後、一刻も早く王都に戻り、バシリオ派であり今もなおナイゼルに反発している貴族や騎士を集めようとしていた。
元々王太子に反発している者は数多く存在するが、その反発精神には大きな差があった。
中には、国や王族への忠義などどうでもよく、単純に己の利益のみを考えている者も多くいる。
当然自己保身のためにナイゼルへ抵抗しているものは除外し、純粋にバシリオへの忠誠心を持つ者を選ばねばならなかった。
人選を誤れば、決起の前に組織自体が潰されかねない。
慎重に行動しなければと考えていた。
その矢先、12月10日にロイ達よりも1日早く宿場町リーズに立ち寄ったオリバーは黒騎士からコンタクトを受ける。
食事に誘われる形で女性2人に声をかけられ、最初はただのナンパかと思ったのだが、両側から腕を絡め取り密着してきた女性から囁くように言われた言葉で、公国側の影だと知った。
そして今日13日。
本来であればロイ達よりも早くブリストルへ到着してはずだが、オリバーは来た道を引き返し、宿場町ポルタの宿でディー達と合流することになった。
「お久しぶりです、オリバー殿。ディーゼル・サンドラークです」
ディーが立ち上がり、ドアの前で緊張しているオリバーに近寄ると右手を差し出す。
「一度、お会いしたことがありますが、覚えてらっしゃいますか?」
ディーに尋ねられ、オリバーは忘れるわけがないと、その当時の記憶を鮮明に思い出し、ニコリと微笑む。
バシリオの影になる以前、15年ほど前の子供の頃の話だ。外交とは関係がない、王子の見聞を広めるための旅行に自分も同行し、そこでディーと会っている。
その時、なんと美しい人かと子供心に思い、見惚れてしまったのを覚えている。さらに当時14歳だったにも関わらず、第3王子としての威厳や風格を兼ね備えたディーに衝撃を受けた。
「覚えておりますとも。お久しぶりです」
ディーを正面から見て、相変わらず美しい人だと思いつつ、握手を交わして笑顔を向けるが、緊張で手汗を掻いていないかと心配してしまった。
「オリバー殿、早速ですが現在の状況を」
ディーに椅子に座るように促されたが、ギルバートの低い声にさらに緊張してしまい、立ったままで返事をする。
「ご提案を受けて2日。早速バルカム元騎士団長へ密書を送り動き始めております。
仲間からの報告によりますと、各騎士団に所属している騎士はもとより、隊長、班長クラスが部下を連れて参加し始めたと」
オリバーは黒騎士2人から、ある提案を受けていた。
それは、反抗勢力を組織するにあたり、建前上の本物の部隊を形成することだった。
今現在数多くの傭兵がキドナに入り込んでおり、中にはレベルの低い、ただの荒くれ者も複数もいて、王都の治安は悪くなっていた。
貴族に雇われているといっても、その仕事内容は雇い主を守ることであり、王都にある邸宅周辺を警護と称してうろつき、一般人へ絡み、因縁を付け危害を加えるという事案も増えていた。
貴族お抱えの私兵ということもあり自警団に捕えられてもすぐに釈放されることが多く、雇い主の貴族に訴えることも出来ない。
そこで、表向きは王都の治安維持部隊として活動する特別部隊を編成し、その長として元々バシリオ派のバート騎士団長を据えるように提案された。
バートにはこの組織が20日の決起における部隊となるよう人選してもらい、本当の目的を知る者を最小限に抑えてもらう。
この部隊は現存する騎士、国軍兵士の壁を作らず有志の集まりとし、この活動に賛同する者だけを仲間とすること。
さらに、派閥関係なく各貴族から特別部隊へ出資金を募り、その金を使って武器・防具類を購入する。
公、侯、伯などの高位貴族が出資したとなれば、ナイゼル派であっても出さないわけには行かなくなる。微々たる額であるかもしれないが、ナイゼル派の金を少しでもこちら側へ回させるという目的もあった。
この提案を聞き、オリバーは思わず笑ってしまった。
一体誰がこんなことを考えたのかと尋ねると、黒騎士の女性2人は微笑むだけで教えてはくれなかった。
「順調ですね」
ギルバートがニコリと微笑むと、オリバーはかの有名な最強の武人に褒められた気分になり、気持ちが高揚してしまった。
「後は決起当日の動きよね」
ジャニスが椅子に腰掛け長い足を組み直しながら言った。
「あたし達も、当然身元を隠して傭兵として入り込むのよね?」
「そのつもりです」
ディーが答え、計画の説明を始める。
ここにオリバーを呼んだのも、この話をするためだった。
ディー達はこの後二手に別れる。
ディー、ジャニス、アビゲイル、フィン、エミリアは素性を隠し傭兵としてバルカム伯爵家へ入り、ロイ達と合流したのち共に行動する。
ギルバート、オスカー、オリヴィエ、ウィル、モーリス、スミスは正式に公国側の特使として王宮へ向かうことにし、事前にナイゼルに先触れを出した。
だが、受け入れを拒否され、王城や城砦への立ち入りを認められなかった。代わりに、ナイゼル派ドーソン侯爵家の王都邸への滞在を許可され、ナイゼルとの面会は20日の会談後となることが決定した。
ナイゼルは公国側が4日の会談後に動いたことを把握しており、特使を送ってくることも想定済みだった。
当然翔平が到着する前に公国側の人間を王城に入れるわけには行かない。
だが、特使としてやってきたのがランドール公爵という公国最高位の貴族と、帝国から2つの公爵家の代理人ということで、無碍に追い返すわけにもいかなかった。
ギルバート達の目的は、話合いによる解決であると安易に考えており、同行している帝国側の代理人も、見届け人ではなく、両国間の仲裁に入る調停人であると勘違いしていた。
全ては20日。
20日の会談が終われば、晴れてジュノー(聖女)は名実ともにナイゼルのものとなる。
ナイゼルにとっては、それが終わるまでは黙って見ていろということなのだ。
当然そんなナイゼルの考えは公国側はお見通しである。
ただ、近くに来ている、と知らしめることに意味があった。
公国としては、20日に王城の中に入れればいいだけで、その前段階はむしろ外にいた方が動きやすい。その方がロイ達や反抗組織との連携も取りやすい。
無論、20日にロイ達や決起した反対組織を王城内へ侵入させる役割も担っている。
ディーがこちら側の20日までの動きを伝えた上で、尋ねる。
「オリバー。王宮内部の情報を手に入れることは可能ですか」
ディーに尋ねられ、オリバーは言い淀む。
「現在、影が1人メイドとして潜入しております。
ですが、使用人達は監視されており、探りを入れることは不可能に近いかと」
本当は他にも内通者はいた。だが、粛清の手は使用人にも伸びており、その命が危ぶまれたため、内戦に怯える使用人が一斉に辞職した時に合わせて、その者達も退去させた。
潜入している1人は今現在命懸けで任務にあたっている。
ディーはオリバーの表情から察した。
「何かを探れとは言いません。
ただ、この先奴の元へ到着する聖女を…。ショーヘイのことを気にかけてもらえれば…」
ディーは懇願するように言った。
本当は彼が到着した後、どのような扱いを受け、どこへ監禁されるのか、その待遇と場所を調べてもらいたい。
だが、それは非常に厳しいだろうこともわかっている。
聖女が1人で公国を出て奴の元へ向かっているのは、ナイゼルと黒幕の配下しか知らない。
自分を擁立する派閥といっても、奴は信用していない。おそらくナイゼルはその事実を自分の部下にすら伝えておらず、20日以降に全てを都合よく公表する。
そうすることで、より自分が王に相応しいとアピールするつもりだ。奴はそういう性格だ。
「オリバー君。聖女自身について探りを入れる必要はありません。
ただ、ナイゼル周辺を注視してもらいたいのです。
彼が王宮内で出入りする場所、食事内容、彼の機嫌、メイドとして見れる範囲で構いません」
ギルバートが補足説明を入れると、オリバーはそれなら可能です、と受け入れた。
「我々が王都に到着するのは3日後16日を予定しています。
到着してからまた会いましょう」
「わかりました。
王都で秘密裏に会合出来る場所をご用意してお待ちしております」
オリバーが頭を下げる。
「よろしくお願いします」
ディーは再び立ち上がるとオリバーの前に行き、握手を交わした。
オリバーは宿を出ると雪の中、馬を駆る。
一刻も早く王都へ行き、まずはバルカム伯爵家に入ったバシリオと合流し、今の話を伝えること。
そして、反対組織の連絡役としての動きを頭の中で構想を練る。
あと1週間しかない。
1週間で全ての準備を整えなければと、オリバーは全速力で王都へ向かった。
会議が終わり、それぞれが自分の部屋へと戻って行く。
ディーもまた1人部屋の自分の部屋へ戻ろうとしたが、ジャニスとアビゲイルに引き止められた。
「ディー。あまり思い詰めちゃダメよ」
「そうよ。酷い顔をしてるわ」
2人にじっと顔を見られ、ディーは薄く笑う。
「そんなに、酷い顔をしてますか?」
「自分で思ってるよりもね」
さらに酷い酷いと言われ、ディーは笑った。
「ショーへーちゃんが心配なのはわかるわ。でも、先にディーが潰れそうよ」
「眠れてないんでしょ?」
アビゲイルがディーの目の隈を指摘すると、ディーは指先でその隈をなぞる。
「そんな顔でショーへーちゃんに会ったら、逆に心配されるし、怒られるわよ?」
ジャニスは苦笑しながらディーの肩を優しく叩く。
「そうですね」
ディーはジャニスの言葉にその通りだと笑う。
翔平の性格なら、確実に心配し、しかも不摂生を怒るだろうと、自分のことを棚にあげる行動を想像して笑った。
「ねぇ、ディー」
アビゲイルが不意に真顔になると、ディーを見つめる。
「これはあたしの予感だけどね。きっと、ショーへーちゃんはディーが考えるような最悪なことにはならないと思うのよ」
アビゲイルは自分でも気休めかもしれないが、と何かを考えるような素振りをする。
「でも、ショーへーちゃんはきっと大丈夫だって、あたしの勘が囁くのよね」
根拠はないけど、とアビゲイルは笑う。
「女の直感ってやつ?」
ジャニスが茶化すように言ったが、
「でも、あたしもそう感じるわ」
フッと笑顔を浮かべる。
「ディー。あなたが心から愛した人は、きっと大丈夫よ。そう信じましょう?」
「そうよ。だからあなたはショーへーちゃんと再会した時、いつもの綺麗な顔でいなきゃ駄目よ」
ジャニスの手がディーの頬に触れる。
「あらやだ。肌が少し荒れてるわよ」
そう言われ、思わず破顔した。
「ジャニス、アビー。ありがとう」
ディーは2人の言葉に心を覆っていたドス黒いモヤが薄くなったのを感じる。
「ちゃんと寝なさいね」
ポンポンと2人に肩や背中を叩かれ、別れた。
2人に慰められ、感謝しないと、とディーは肌荒れと言われた頬を摩りながら自室へ戻る。
確かに、ここ最近眠れていなかった。
熟睡出来ず、悪夢を見続けている。
夢の中で翔平は黒い影に犯され、泣き叫んでいた。
助けてと叫び、必死に逃げようと手を伸ばすが引きずり戻される。そして終いにはその影に全てを飲み込まれ、消えてしまう。
そんな夢を毎日のように見て、うなされていた。
起きている時もずっと翔平のことを考えてしまい、彼が今どんな状況にあるのか、それを考えるだけで吐きそうになるほど胸が苦しくなる。
思考は悪い方へ向かい、何度もこれでは駄目だと気持ちを切り替えても、また夢を見て元へ戻ってしまう。堂々巡りだった。
「ショーヘイ…」
自室に戻りベッドに倒れ込むと、小さく愛しい人の名を呟いた。
己の中に混ざっているという翔平の魔力を探すように、全身の魔力の流れを意識する。
完全に溶け込んでしまっているのか、その存在は全くわからない。
だが、翔平の魔力を感じたくて、その温かく優しい魔力が恋しくて、追い求めた。
名前を呼ばれたような気がして、俺は目を覚ました。
「ディー…?」
壁の方を向いて丸まって寝ていた姿勢のまま、わずかに口を動かして自分を呼んだであろう人の名を呼ぶ。
途端に、ジワリと胸の中に熱が籠るように熱くなった。
錯覚だとは思えない。
ああ…。
ディーが…俺を求めてる。
はっきりとそう感じた。
ギュッと両手で胸元を握りしめ、目を閉じる。
ひたすら愛しい名前を呼び、翔平もディーを求める。
ディーの綺麗な顔。優しい笑顔。心地よい声。
全て鮮明に思い出せる。
体全ての細胞がディーを記憶している。
触れた時の感触。
囁かれた時の吐息。
思い出すだけで全身が熱くなった。
ディー…。
ディーゼル。
ディーゼル…。
会いたい…。
翔平の体から力が抜けて行く。
握りしめた両手から力が失われ、パタリとシーツの上に落ちると、意識を失うように眠りに落ちた。
それと同時に別の所で意識が覚醒する。
ディーに会いたい。
その思いが魔力を覚醒させていた。
フワリと浮き上がる感覚を覚え、ゆらゆらと波間に浮かんでいるような心地良さが全身を包んだ。
ゆっくりと目を開けると、自分が本当に浮かんでいることを知る。
『これ…あの時の…』
目線を下に向けると、ベッドで丸くなって眠っている自分の姿を見ることが出来た。
その状態は、約2週間前にも起こった現象だった。
ロイの危機を察知し、数百キロ離れたロイの元へ意識を乗せた魔力だけで移動した。
今、あの時と同じように、ディーへの思いが同じ現象を引き起こしていた。
翔平は気付いていないが、ディーが強く翔平を求めたことが、翔平の魔力を覚醒させていた。
翔平はディーを思い浮かべる。
ディーの元へ行きたい、会いたいと強く願うと、引き寄せられるように勝手に移動を始める。
宿の壁をすり抜け、上空高く舞い上がった翔平は、そのまま空を飛んだ。
『こっち…?』
向かう先にディーがいるとわかっているが、その進行方向は思っていたのと逆で、公国の方ではなく、さらに北へと進んでいた。
下に見える街や村の灯りを幾つか通過し、飛び出して十数分後には高度を下げて街へと降り始める。
その時はひたすらディーのことだけ、ディーに会いたいとだけ考えており、ここが何処なのか、何故自分よりも北にいるのか、という疑問を考えなくなっていた。
フワリと大きな建物の窓の前に浮かぶと、そのまま窓をすり抜けて中へ入る。
そして、ベッドに横たわるディーの姿を見つけた。
『ディー』
翔平は、着替えもせず布団も被らず、ベッドに横になり丸まっているディーへ近寄ると、そっとその体を抱きしめる。
『会いたかった…』
抱きしめているが、触れることは出来ない。今の俺は魔力だけで実体はなく、触れようとしてもその体を通り抜けてしまう。
だが、それだけでも充分だった。
王都を黙って抜け出し、約10日ぶりの恋人の姿に、涙が流れる。愛しさが胸を締め付けた。
『ディーゼル…』
翔平はディーを包み込むように、その体に溶け込むように重なる。
また夢を見る。
闇の中、1人取り残されたように立ち尽くし、耐え難い不安と恐怖に身も心も襲われていた。
また、あれを見させられるのか、とディーは俯いていた顔を上げる。
だが、目に映ったのは、影に犯されて泣き叫ぶ翔平ではなく、優しく微笑む翔平の姿だった。
ディーの周囲を覆っていた闇が、その姿を見た途端、ブワッと一陣の風が吹き抜けるように一瞬で消え去り、真っ白い光の空間に包まれる。
『ショーヘイ…』
目を大きく見開き、目の前に現れた翔平を見つめた。
『ディー、会いたかった』
翔平が嬉しそうに微笑み、前に一歩進む。次の瞬間、両手を広げてディーに向かって駆け出し、飛びついた。
『ディー…、ディーゼル…』
『…ショーヘイ…、ショー…』
翔平の両手がしっかりとディーの体を抱きしめ、ディーも翔平の体を力強く抱きしめ返した。
互いに名を呼び合いながら、存在を確認し合う。
しばらく抱き合った後、僅かに体を離すと、指を絡ませて手を握りしめ、間近で顔を確認する。
2人ともボロボロと涙を流し、愛する人に会えた喜びで泣き笑いを浮かべる。
そして、静かに唇を重ねた。
『ショーヘイ…どうして1人で行ってしまったんですか』
何度もキスを繰り返した後、ディーはじっと翔平を見つめ、悲しげに質問した。
『ごめんな。これしか方法がなかった』
『…黙って1人で行くなんて…』
ディーの顔がさらに辛そうに歪み、翔平はごめんと謝る。
『ユリアちゃんを守るためだよ。
彼女は、絶対に守らなければならない人だ。必要な人なんだ』
そう言われ、ディーは口を噤む。
翔平が妹を守るためにしたことだとは理解している。それが嬉しいとも思う。
だが、自分を犠牲にしてまで守る必要があるのか、という思いもあった。
嬉しいが悲しい。自分が何も出来ない立場にいることが辛く、翔平に背負わせてしまったことへの罪悪感や悲しみ、無力さが複雑な思いを作り出していた。
『ディー、大丈夫。俺は大丈夫だから』
翔平がディーの頬に触れ、優しくキスを落とす。
『大丈夫。大丈夫だよ』
頬を撫で笑顔を浮かべる翔平に、ディーは切なげな表情を浮かべた。
『貴方の大丈夫は信用出来ません』
そう泣きそうな表情で言うと、翔平はおかしそうに破顔した。
『ディー…。何があっても、俺はお前を愛してる。
お前とロイだけを愛しているよ』
それは手紙にも書いてあった言葉だった。
何かがあると理解し、覚悟を決めた上での言葉だが、翔平は嬉しそうに言う。
『俺は全力で抵抗して、お前達が来るのを待ってるから』
翔平の両手がディーの顔を挟む。
『だから迎えに来い。来てくれるって信じてる』
翔平がディーの頬をムニムニとはさんで動かし笑った。
『…必ず、行きます』
『うん、待ってる』
翔平は、ディーの唇へチュッと口付けを落とすと、静かに両手を離し僅かに離れる。
『ショーヘイ…。何があっても、私も貴方を愛しています。
ロイも、きっと』
下ろされた手に触れ、離れたくないと強く握るが、翔平はそのまま静かに後退していく。
『ああ…知ってる…』
翔平が嬉そうに微笑むと、さらに後退して、その手が離れた。
『ディー…好きだよ…』
その姿が薄くなる。
もう時間切れで、このまま消えてしまうと、ディーは追いかけるように手を伸ばした。
『愛してます!貴方だけだ!!ショーヘイ!!』
ディーが叫ぶが、翔平の体はどんどん薄くなり嬉しそうに微笑む姿のまま、フワリと消えた。
翔平のいた場所に、金色の粒がキラキラと降り注ぎ、ディーは伸ばした手でその魔力の欠片を握りしめた。
『愛しています…』
その小さな欠片を胸元に引き寄せ、呟いた。
12月14日。
ゆっくりと目を開けた。途端に目の端からこぼれ落ちる涙をそのままにして、何度か瞬きを繰り返した。
久しぶりに良く眠れた。
悪夢を見ることなく熟睡出来た。
「ショーヘイ…」
ジワリと胸の中が熱くなる。
はっきりと翔平と共にいたと自覚した。
己の中にある翔平の魔力が、ロイの時と同じように共鳴し、実体はなくても、意識の中で会えたとわかった。
「ショーヘイ」
最後に感じた翔平の温かい魔力を思い出し、ディーは握りしめていた拳を胸元に引き寄せると、名を呟く。
あれだけ心を蝕んでいた深い闇が引いている。
大丈夫、と言った翔平の笑顔が、心を癒してくれたと悟った。
またしても、翔平が救ってくれた。
「ショーヘイ…」
愛している。
愛されている。
翔平への愛が、翔平からの愛が、ディーを包み込み、満たしていった。
「まさかあそこまでお強いとは…」
バイロンが執事と共に契約書の準備をしながら、先ほどの手合わせを思い出して興奮冷めやらぬといった感じで言った。
「ダニーもデニーも強いぞ。俺ほどじゃないがな」
笑いながらロイが言うと、
「戦闘狂のお前と比べる方がおかしい」
ダニエルが揶揄うように言った。
「戦う前からわかっていたが、ここまで差があるとはなぁ。私もまだまだだ」
「そうおっしゃられても、伯爵様も相当な腕前ですね」
バシリオが久しぶりに見たバルカムの槍術に100歳になっても変わっていないなと心の中で呟く。
子供の頃、ギデオンとバルカムの模擬戦を見たことを思い出していた。
「それでは伯爵様、ご説明を」
契約書の準備が終わり、バルカムに促した。
「うむ」
バルカムは頷くと、笑顔から一変し真顔になる。
「現在のキドナの状況は噂などで知っていると思うがいかがかね?」
「はい。内戦の兆しがあり、傭兵を募っていると」
バルカムの質問にデクスターが答える。
「その通りだ。
1ヶ月と少し前、第2王子であるバシリオ様が不在中にフォスター王がお倒れになった。
以前から体調を崩されておったのだが…タイミングが良すぎる」
バルカムは眉間に皺を寄せて、声を一段と低くした。
それは、王の病もナイゼルによるものだと疑っているようだった。
「バシリオ殿下はどちらに?」
デクスターが確認する。
「殿下は、王太子の暴挙を陳謝するために公国の狩猟祭へ参加していたのだ。
ナイゼル様は公国の聖女様を武力を持って略奪しようと計画され、今までに2度失敗している」
「バシリオ様は、公国のアラン、ディーゼル両殿下、聖女様が狩猟祭に参加されると知り、国王や王太子には内緒で…」
「だが、バレていた。
狩猟祭へ参加されれば、2週間以上不在となる。
まさにそのタイミングを狙って、奴は動いたのだよ」
バルカムが話したキドナの現在までの流れや現状は、ロイ達が得た情報や考察と一致する。
ただ一つだけ、バシリオが行方不明になってからの聖女襲撃は知らないようだった。
もちろん、バルカムを含むバシリオ派は、戻ってこないバシリオを懸命に探し出そうとし、かつ、ナイゼルにも公国に捜索協力の依頼をし、国を上げて探すべきだと幾度となく進言している。だが、ナイゼルはそれを了としないばかりか、許可なく勝手に動くことを禁じた。
そのナイゼルの動きから、ナイゼルがはっきりとバシリオを亡き者にしようとしていると判断し、国内ではナイゼル派を牽制しつつ、公国へ間者を送り、バシリオを探し、暗殺を未然に防ぐべく奮闘していた。
だがそんな苦労の甲斐もなく、バルカム達は、12月3日にバシリオの右腕を見せられ、訃報を知らされた。
ナイゼルはバシリオを殺害したのは公国であり、報復する権利があると言った。
「それまでに粛清された者達は、バシリオ殿下を食い物にする虫だと、害虫を駆除しただけだとのたまったのだ」
バルカムは悔しそうにギリギリと歯を食いしばる。
「我が親友のギデオンは、国王派として中立を保ってきた。
だが、奴はこともあろうに、ギデオンを内乱を先導した国家反逆罪で捕らえ、即日処刑した!」
ダン!とバルカムはテーブルを拳で殴りつける。
「ギデオンは、ただ王への面会を求めただけなのだぞ!なのに奴は!」
バルカムの肩が怒りで震え、握りしめた両手は力を込めすぎて白くなっていた。
「伯爵様は、バシリオ殿下を殺害したのは王太子殿下であると考えておいでです。
今現在も、その証拠を得るために、影を使って動いておりますが…」
バイロンが怒りで黙り込んでしまったバルカムに変わって続きを言い、確証は得られなかったと小さく首を振った。
「12月4日、王太子殿下は公国と会談を行いました。
その中で、ユリア・サンドラーク王女殿下を王妃にお迎えしたいと。ですが、実際の所はバシリオ様の代償として差し出せということです…」
「公国側に対して20日までに猶予を与えたそうだ」
バルカムが怒りを抑え込むと、顔を上げる。
「現状は表立って動けない。だが、状況が変わったのだ。
私達は、20日に一斉決起する」
バルカムは強い意志を持った目でロイ達を見渡し、ニヤリと笑った。
同日、ディー達は宿場町ポルタの宿の一室で会議を開いていた。
普通の宿屋の4人部屋に帝国側のモーリスとスミスを除いた9人が集まり、椅子やベッドに腰掛けていた。
その9人の視線がドアの前に立つ1人の男に注がれていた。
男、オリバーは錚々たる顔ぶれに見つめられ、18個の目に生きた心地がしなかった。
蛇に睨まれた蛙のように体を硬直させる。
「彼がバシリオ様の影、オリバー殿です」
ウィルがにこやかに全員に紹介し、オリバーは丁寧に頭を下げた。
オリバーは8日にロイとバシリオに指示を受けた後、一刻も早く王都に戻り、バシリオ派であり今もなおナイゼルに反発している貴族や騎士を集めようとしていた。
元々王太子に反発している者は数多く存在するが、その反発精神には大きな差があった。
中には、国や王族への忠義などどうでもよく、単純に己の利益のみを考えている者も多くいる。
当然自己保身のためにナイゼルへ抵抗しているものは除外し、純粋にバシリオへの忠誠心を持つ者を選ばねばならなかった。
人選を誤れば、決起の前に組織自体が潰されかねない。
慎重に行動しなければと考えていた。
その矢先、12月10日にロイ達よりも1日早く宿場町リーズに立ち寄ったオリバーは黒騎士からコンタクトを受ける。
食事に誘われる形で女性2人に声をかけられ、最初はただのナンパかと思ったのだが、両側から腕を絡め取り密着してきた女性から囁くように言われた言葉で、公国側の影だと知った。
そして今日13日。
本来であればロイ達よりも早くブリストルへ到着してはずだが、オリバーは来た道を引き返し、宿場町ポルタの宿でディー達と合流することになった。
「お久しぶりです、オリバー殿。ディーゼル・サンドラークです」
ディーが立ち上がり、ドアの前で緊張しているオリバーに近寄ると右手を差し出す。
「一度、お会いしたことがありますが、覚えてらっしゃいますか?」
ディーに尋ねられ、オリバーは忘れるわけがないと、その当時の記憶を鮮明に思い出し、ニコリと微笑む。
バシリオの影になる以前、15年ほど前の子供の頃の話だ。外交とは関係がない、王子の見聞を広めるための旅行に自分も同行し、そこでディーと会っている。
その時、なんと美しい人かと子供心に思い、見惚れてしまったのを覚えている。さらに当時14歳だったにも関わらず、第3王子としての威厳や風格を兼ね備えたディーに衝撃を受けた。
「覚えておりますとも。お久しぶりです」
ディーを正面から見て、相変わらず美しい人だと思いつつ、握手を交わして笑顔を向けるが、緊張で手汗を掻いていないかと心配してしまった。
「オリバー殿、早速ですが現在の状況を」
ディーに椅子に座るように促されたが、ギルバートの低い声にさらに緊張してしまい、立ったままで返事をする。
「ご提案を受けて2日。早速バルカム元騎士団長へ密書を送り動き始めております。
仲間からの報告によりますと、各騎士団に所属している騎士はもとより、隊長、班長クラスが部下を連れて参加し始めたと」
オリバーは黒騎士2人から、ある提案を受けていた。
それは、反抗勢力を組織するにあたり、建前上の本物の部隊を形成することだった。
今現在数多くの傭兵がキドナに入り込んでおり、中にはレベルの低い、ただの荒くれ者も複数もいて、王都の治安は悪くなっていた。
貴族に雇われているといっても、その仕事内容は雇い主を守ることであり、王都にある邸宅周辺を警護と称してうろつき、一般人へ絡み、因縁を付け危害を加えるという事案も増えていた。
貴族お抱えの私兵ということもあり自警団に捕えられてもすぐに釈放されることが多く、雇い主の貴族に訴えることも出来ない。
そこで、表向きは王都の治安維持部隊として活動する特別部隊を編成し、その長として元々バシリオ派のバート騎士団長を据えるように提案された。
バートにはこの組織が20日の決起における部隊となるよう人選してもらい、本当の目的を知る者を最小限に抑えてもらう。
この部隊は現存する騎士、国軍兵士の壁を作らず有志の集まりとし、この活動に賛同する者だけを仲間とすること。
さらに、派閥関係なく各貴族から特別部隊へ出資金を募り、その金を使って武器・防具類を購入する。
公、侯、伯などの高位貴族が出資したとなれば、ナイゼル派であっても出さないわけには行かなくなる。微々たる額であるかもしれないが、ナイゼル派の金を少しでもこちら側へ回させるという目的もあった。
この提案を聞き、オリバーは思わず笑ってしまった。
一体誰がこんなことを考えたのかと尋ねると、黒騎士の女性2人は微笑むだけで教えてはくれなかった。
「順調ですね」
ギルバートがニコリと微笑むと、オリバーはかの有名な最強の武人に褒められた気分になり、気持ちが高揚してしまった。
「後は決起当日の動きよね」
ジャニスが椅子に腰掛け長い足を組み直しながら言った。
「あたし達も、当然身元を隠して傭兵として入り込むのよね?」
「そのつもりです」
ディーが答え、計画の説明を始める。
ここにオリバーを呼んだのも、この話をするためだった。
ディー達はこの後二手に別れる。
ディー、ジャニス、アビゲイル、フィン、エミリアは素性を隠し傭兵としてバルカム伯爵家へ入り、ロイ達と合流したのち共に行動する。
ギルバート、オスカー、オリヴィエ、ウィル、モーリス、スミスは正式に公国側の特使として王宮へ向かうことにし、事前にナイゼルに先触れを出した。
だが、受け入れを拒否され、王城や城砦への立ち入りを認められなかった。代わりに、ナイゼル派ドーソン侯爵家の王都邸への滞在を許可され、ナイゼルとの面会は20日の会談後となることが決定した。
ナイゼルは公国側が4日の会談後に動いたことを把握しており、特使を送ってくることも想定済みだった。
当然翔平が到着する前に公国側の人間を王城に入れるわけには行かない。
だが、特使としてやってきたのがランドール公爵という公国最高位の貴族と、帝国から2つの公爵家の代理人ということで、無碍に追い返すわけにもいかなかった。
ギルバート達の目的は、話合いによる解決であると安易に考えており、同行している帝国側の代理人も、見届け人ではなく、両国間の仲裁に入る調停人であると勘違いしていた。
全ては20日。
20日の会談が終われば、晴れてジュノー(聖女)は名実ともにナイゼルのものとなる。
ナイゼルにとっては、それが終わるまでは黙って見ていろということなのだ。
当然そんなナイゼルの考えは公国側はお見通しである。
ただ、近くに来ている、と知らしめることに意味があった。
公国としては、20日に王城の中に入れればいいだけで、その前段階はむしろ外にいた方が動きやすい。その方がロイ達や反抗組織との連携も取りやすい。
無論、20日にロイ達や決起した反対組織を王城内へ侵入させる役割も担っている。
ディーがこちら側の20日までの動きを伝えた上で、尋ねる。
「オリバー。王宮内部の情報を手に入れることは可能ですか」
ディーに尋ねられ、オリバーは言い淀む。
「現在、影が1人メイドとして潜入しております。
ですが、使用人達は監視されており、探りを入れることは不可能に近いかと」
本当は他にも内通者はいた。だが、粛清の手は使用人にも伸びており、その命が危ぶまれたため、内戦に怯える使用人が一斉に辞職した時に合わせて、その者達も退去させた。
潜入している1人は今現在命懸けで任務にあたっている。
ディーはオリバーの表情から察した。
「何かを探れとは言いません。
ただ、この先奴の元へ到着する聖女を…。ショーヘイのことを気にかけてもらえれば…」
ディーは懇願するように言った。
本当は彼が到着した後、どのような扱いを受け、どこへ監禁されるのか、その待遇と場所を調べてもらいたい。
だが、それは非常に厳しいだろうこともわかっている。
聖女が1人で公国を出て奴の元へ向かっているのは、ナイゼルと黒幕の配下しか知らない。
自分を擁立する派閥といっても、奴は信用していない。おそらくナイゼルはその事実を自分の部下にすら伝えておらず、20日以降に全てを都合よく公表する。
そうすることで、より自分が王に相応しいとアピールするつもりだ。奴はそういう性格だ。
「オリバー君。聖女自身について探りを入れる必要はありません。
ただ、ナイゼル周辺を注視してもらいたいのです。
彼が王宮内で出入りする場所、食事内容、彼の機嫌、メイドとして見れる範囲で構いません」
ギルバートが補足説明を入れると、オリバーはそれなら可能です、と受け入れた。
「我々が王都に到着するのは3日後16日を予定しています。
到着してからまた会いましょう」
「わかりました。
王都で秘密裏に会合出来る場所をご用意してお待ちしております」
オリバーが頭を下げる。
「よろしくお願いします」
ディーは再び立ち上がるとオリバーの前に行き、握手を交わした。
オリバーは宿を出ると雪の中、馬を駆る。
一刻も早く王都へ行き、まずはバルカム伯爵家に入ったバシリオと合流し、今の話を伝えること。
そして、反対組織の連絡役としての動きを頭の中で構想を練る。
あと1週間しかない。
1週間で全ての準備を整えなければと、オリバーは全速力で王都へ向かった。
会議が終わり、それぞれが自分の部屋へと戻って行く。
ディーもまた1人部屋の自分の部屋へ戻ろうとしたが、ジャニスとアビゲイルに引き止められた。
「ディー。あまり思い詰めちゃダメよ」
「そうよ。酷い顔をしてるわ」
2人にじっと顔を見られ、ディーは薄く笑う。
「そんなに、酷い顔をしてますか?」
「自分で思ってるよりもね」
さらに酷い酷いと言われ、ディーは笑った。
「ショーへーちゃんが心配なのはわかるわ。でも、先にディーが潰れそうよ」
「眠れてないんでしょ?」
アビゲイルがディーの目の隈を指摘すると、ディーは指先でその隈をなぞる。
「そんな顔でショーへーちゃんに会ったら、逆に心配されるし、怒られるわよ?」
ジャニスは苦笑しながらディーの肩を優しく叩く。
「そうですね」
ディーはジャニスの言葉にその通りだと笑う。
翔平の性格なら、確実に心配し、しかも不摂生を怒るだろうと、自分のことを棚にあげる行動を想像して笑った。
「ねぇ、ディー」
アビゲイルが不意に真顔になると、ディーを見つめる。
「これはあたしの予感だけどね。きっと、ショーへーちゃんはディーが考えるような最悪なことにはならないと思うのよ」
アビゲイルは自分でも気休めかもしれないが、と何かを考えるような素振りをする。
「でも、ショーへーちゃんはきっと大丈夫だって、あたしの勘が囁くのよね」
根拠はないけど、とアビゲイルは笑う。
「女の直感ってやつ?」
ジャニスが茶化すように言ったが、
「でも、あたしもそう感じるわ」
フッと笑顔を浮かべる。
「ディー。あなたが心から愛した人は、きっと大丈夫よ。そう信じましょう?」
「そうよ。だからあなたはショーへーちゃんと再会した時、いつもの綺麗な顔でいなきゃ駄目よ」
ジャニスの手がディーの頬に触れる。
「あらやだ。肌が少し荒れてるわよ」
そう言われ、思わず破顔した。
「ジャニス、アビー。ありがとう」
ディーは2人の言葉に心を覆っていたドス黒いモヤが薄くなったのを感じる。
「ちゃんと寝なさいね」
ポンポンと2人に肩や背中を叩かれ、別れた。
2人に慰められ、感謝しないと、とディーは肌荒れと言われた頬を摩りながら自室へ戻る。
確かに、ここ最近眠れていなかった。
熟睡出来ず、悪夢を見続けている。
夢の中で翔平は黒い影に犯され、泣き叫んでいた。
助けてと叫び、必死に逃げようと手を伸ばすが引きずり戻される。そして終いにはその影に全てを飲み込まれ、消えてしまう。
そんな夢を毎日のように見て、うなされていた。
起きている時もずっと翔平のことを考えてしまい、彼が今どんな状況にあるのか、それを考えるだけで吐きそうになるほど胸が苦しくなる。
思考は悪い方へ向かい、何度もこれでは駄目だと気持ちを切り替えても、また夢を見て元へ戻ってしまう。堂々巡りだった。
「ショーヘイ…」
自室に戻りベッドに倒れ込むと、小さく愛しい人の名を呟いた。
己の中に混ざっているという翔平の魔力を探すように、全身の魔力の流れを意識する。
完全に溶け込んでしまっているのか、その存在は全くわからない。
だが、翔平の魔力を感じたくて、その温かく優しい魔力が恋しくて、追い求めた。
名前を呼ばれたような気がして、俺は目を覚ました。
「ディー…?」
壁の方を向いて丸まって寝ていた姿勢のまま、わずかに口を動かして自分を呼んだであろう人の名を呼ぶ。
途端に、ジワリと胸の中に熱が籠るように熱くなった。
錯覚だとは思えない。
ああ…。
ディーが…俺を求めてる。
はっきりとそう感じた。
ギュッと両手で胸元を握りしめ、目を閉じる。
ひたすら愛しい名前を呼び、翔平もディーを求める。
ディーの綺麗な顔。優しい笑顔。心地よい声。
全て鮮明に思い出せる。
体全ての細胞がディーを記憶している。
触れた時の感触。
囁かれた時の吐息。
思い出すだけで全身が熱くなった。
ディー…。
ディーゼル。
ディーゼル…。
会いたい…。
翔平の体から力が抜けて行く。
握りしめた両手から力が失われ、パタリとシーツの上に落ちると、意識を失うように眠りに落ちた。
それと同時に別の所で意識が覚醒する。
ディーに会いたい。
その思いが魔力を覚醒させていた。
フワリと浮き上がる感覚を覚え、ゆらゆらと波間に浮かんでいるような心地良さが全身を包んだ。
ゆっくりと目を開けると、自分が本当に浮かんでいることを知る。
『これ…あの時の…』
目線を下に向けると、ベッドで丸くなって眠っている自分の姿を見ることが出来た。
その状態は、約2週間前にも起こった現象だった。
ロイの危機を察知し、数百キロ離れたロイの元へ意識を乗せた魔力だけで移動した。
今、あの時と同じように、ディーへの思いが同じ現象を引き起こしていた。
翔平は気付いていないが、ディーが強く翔平を求めたことが、翔平の魔力を覚醒させていた。
翔平はディーを思い浮かべる。
ディーの元へ行きたい、会いたいと強く願うと、引き寄せられるように勝手に移動を始める。
宿の壁をすり抜け、上空高く舞い上がった翔平は、そのまま空を飛んだ。
『こっち…?』
向かう先にディーがいるとわかっているが、その進行方向は思っていたのと逆で、公国の方ではなく、さらに北へと進んでいた。
下に見える街や村の灯りを幾つか通過し、飛び出して十数分後には高度を下げて街へと降り始める。
その時はひたすらディーのことだけ、ディーに会いたいとだけ考えており、ここが何処なのか、何故自分よりも北にいるのか、という疑問を考えなくなっていた。
フワリと大きな建物の窓の前に浮かぶと、そのまま窓をすり抜けて中へ入る。
そして、ベッドに横たわるディーの姿を見つけた。
『ディー』
翔平は、着替えもせず布団も被らず、ベッドに横になり丸まっているディーへ近寄ると、そっとその体を抱きしめる。
『会いたかった…』
抱きしめているが、触れることは出来ない。今の俺は魔力だけで実体はなく、触れようとしてもその体を通り抜けてしまう。
だが、それだけでも充分だった。
王都を黙って抜け出し、約10日ぶりの恋人の姿に、涙が流れる。愛しさが胸を締め付けた。
『ディーゼル…』
翔平はディーを包み込むように、その体に溶け込むように重なる。
また夢を見る。
闇の中、1人取り残されたように立ち尽くし、耐え難い不安と恐怖に身も心も襲われていた。
また、あれを見させられるのか、とディーは俯いていた顔を上げる。
だが、目に映ったのは、影に犯されて泣き叫ぶ翔平ではなく、優しく微笑む翔平の姿だった。
ディーの周囲を覆っていた闇が、その姿を見た途端、ブワッと一陣の風が吹き抜けるように一瞬で消え去り、真っ白い光の空間に包まれる。
『ショーヘイ…』
目を大きく見開き、目の前に現れた翔平を見つめた。
『ディー、会いたかった』
翔平が嬉しそうに微笑み、前に一歩進む。次の瞬間、両手を広げてディーに向かって駆け出し、飛びついた。
『ディー…、ディーゼル…』
『…ショーヘイ…、ショー…』
翔平の両手がしっかりとディーの体を抱きしめ、ディーも翔平の体を力強く抱きしめ返した。
互いに名を呼び合いながら、存在を確認し合う。
しばらく抱き合った後、僅かに体を離すと、指を絡ませて手を握りしめ、間近で顔を確認する。
2人ともボロボロと涙を流し、愛する人に会えた喜びで泣き笑いを浮かべる。
そして、静かに唇を重ねた。
『ショーヘイ…どうして1人で行ってしまったんですか』
何度もキスを繰り返した後、ディーはじっと翔平を見つめ、悲しげに質問した。
『ごめんな。これしか方法がなかった』
『…黙って1人で行くなんて…』
ディーの顔がさらに辛そうに歪み、翔平はごめんと謝る。
『ユリアちゃんを守るためだよ。
彼女は、絶対に守らなければならない人だ。必要な人なんだ』
そう言われ、ディーは口を噤む。
翔平が妹を守るためにしたことだとは理解している。それが嬉しいとも思う。
だが、自分を犠牲にしてまで守る必要があるのか、という思いもあった。
嬉しいが悲しい。自分が何も出来ない立場にいることが辛く、翔平に背負わせてしまったことへの罪悪感や悲しみ、無力さが複雑な思いを作り出していた。
『ディー、大丈夫。俺は大丈夫だから』
翔平がディーの頬に触れ、優しくキスを落とす。
『大丈夫。大丈夫だよ』
頬を撫で笑顔を浮かべる翔平に、ディーは切なげな表情を浮かべた。
『貴方の大丈夫は信用出来ません』
そう泣きそうな表情で言うと、翔平はおかしそうに破顔した。
『ディー…。何があっても、俺はお前を愛してる。
お前とロイだけを愛しているよ』
それは手紙にも書いてあった言葉だった。
何かがあると理解し、覚悟を決めた上での言葉だが、翔平は嬉しそうに言う。
『俺は全力で抵抗して、お前達が来るのを待ってるから』
翔平の両手がディーの顔を挟む。
『だから迎えに来い。来てくれるって信じてる』
翔平がディーの頬をムニムニとはさんで動かし笑った。
『…必ず、行きます』
『うん、待ってる』
翔平は、ディーの唇へチュッと口付けを落とすと、静かに両手を離し僅かに離れる。
『ショーヘイ…。何があっても、私も貴方を愛しています。
ロイも、きっと』
下ろされた手に触れ、離れたくないと強く握るが、翔平はそのまま静かに後退していく。
『ああ…知ってる…』
翔平が嬉そうに微笑むと、さらに後退して、その手が離れた。
『ディー…好きだよ…』
その姿が薄くなる。
もう時間切れで、このまま消えてしまうと、ディーは追いかけるように手を伸ばした。
『愛してます!貴方だけだ!!ショーヘイ!!』
ディーが叫ぶが、翔平の体はどんどん薄くなり嬉しそうに微笑む姿のまま、フワリと消えた。
翔平のいた場所に、金色の粒がキラキラと降り注ぎ、ディーは伸ばした手でその魔力の欠片を握りしめた。
『愛しています…』
その小さな欠片を胸元に引き寄せ、呟いた。
12月14日。
ゆっくりと目を開けた。途端に目の端からこぼれ落ちる涙をそのままにして、何度か瞬きを繰り返した。
久しぶりに良く眠れた。
悪夢を見ることなく熟睡出来た。
「ショーヘイ…」
ジワリと胸の中が熱くなる。
はっきりと翔平と共にいたと自覚した。
己の中にある翔平の魔力が、ロイの時と同じように共鳴し、実体はなくても、意識の中で会えたとわかった。
「ショーヘイ」
最後に感じた翔平の温かい魔力を思い出し、ディーは握りしめていた拳を胸元に引き寄せると、名を呟く。
あれだけ心を蝕んでいた深い闇が引いている。
大丈夫、と言った翔平の笑顔が、心を癒してくれたと悟った。
またしても、翔平が救ってくれた。
「ショーヘイ…」
愛している。
愛されている。
翔平への愛が、翔平からの愛が、ディーを包み込み、満たしていった。
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