ぼっちの田舎暮らしの青年、鉄仮面の貴公子を助けて溺愛される

猫の手

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第一章 出会い

襲われた貴公子

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 アシェルがルシルに拾われる2週間前。

 父と兄に呼ばれて父の執務室に向かった。
「おお、来たな」
 入ってきたアシェルに父が書類から顔を上げると、ソファに座るように促す。
「アシェル、実はお前に頼みがあってな」
 その向かい側に兄ライリーが座ると持っていた書類を弟に渡した。
「とりあえず目を通してくれ」
 そう言われ、数ページに及ぶ書類にざっと目を通した。

 そこに書かれていたのは、これから行う事業の計画書と、その事前調査報告書だった。
「来年から雪解けと共に始まるのか」
「ああ」
 読みながら言うと、ライリーが返事をする。
「もう一つ、これも読んでくれ」
 最後のページを読み終わるのを見計らってライリーは別の書類をアシェルに渡した。
 アシェルはそれを受け取るとその内容にも目を通す。
「何故報告書が二つもあるんだ」
 それは同じ場所と対象の報告書だった。
「一つは街の担当管理官から上がったもので、もう一つは影からの報告書だ」
「つまり…?」
 アシェルは無表情のまま結論を求める。
「アシェル直々に出向いて確認してきてほしいのだ」
「なるほど」
「人選などは任せる。頼めるか?」
「もちろんだ」
 アシェルは無表情のままだが、口角だけをニッと上げ、白い歯を見せる。どうやら本人は笑顔を作っているつもりらしい。
「頼むぞ」
 ライリーは弟の肩をぽんと叩き、お手本を見せるように笑顔を作った。


 その3日後、アシェルは私兵の中から5名の者を選抜し、頼まれた調査に向かった。




 調査対象は北の街『クレイス』とその町長であるドルフ・レイバン。そして、帝国へ続くベラニー街道の状況であった。

 現在メイフォール共和国からグランベル帝国へ続く街道は5箇所あり、首都から見て北東に位置するヒューバート伯爵家が管理するベラニー街道も含まれている。
 ただ、他の4箇所と比べて最も近距離でありながら、最も険しく危険な道であり、その街道を利用する者も少なかった。
 少ないが、他と比べてという話で、利用する者はいる。

 ベラニー街道を抜けた先には帝国貴族シーグヴァルド伯爵領となり、その地には大規模ダンジョンが存在している。
 メイフォール共和国や、隣のシグルド国からベラニー街道を通ってそのダンジョンに向かう、腕に覚えのある冒険者や狩人、傭兵が多かった。
 ダンジョンでの魔石狩りを目的に通る者が多いので、ついでにという形で一般人が彼らを護衛に雇ってベラニー街道を進むことが割と一般的だった。
 クレイスの街には、街道を通りたい人達のための護衛斡旋業社もあり、街は街道を通る者達の中継地点になっている。

 今回、このベラニー街道を整備、拡幅する事業が帝国側との共同出資で立ち上がった。
 正確には、共和国のヒューバート伯爵家と帝国のシーグヴァルド伯爵家がということになるが、お互いに中央政府に打診した結果、国としても出資する大きな事業へと発展したのである。

 そして、3年以上かけて計画を進め、街道その他周辺地域の調査が始まったのだが、ここでシーグヴァルド側から不穏な報告を受けることになった。

 それがアシェルが調査することになった、影からの報告内容である。

 実はこの影とは密偵のことで、表ではなく裏側から内偵調査を進めていた。
 街道整備にあたっては大きく人と金が動くことになる。こういった事業の場合、必ずと言っていいほど横からそれらを掠め取ろうとする輩が現れるのだ。
 なので、事業に携わる組織や個人の内偵調査が行われる。

 その結果、クレイスの町長であるドルフ・レイバンの名前が上がったのである。




 アシェルは5名の選抜メンバーと共に北の森、そしてクレイスへと出立した。

 認識阻害の魔法を展開しつつ身分を隠し、冒険者の体で10日かけてクレイスに到着した。
 クレイスよりも二つ前の街で乗ってきた馬車を領都に戻し、そこからは乗合馬車を使って移動した。
 一つ前の街で4:2に人員を分けると、クレイスに入った。
 その足でアシェルは、「アル」という偽名を使って、仲間3名と共に街道護衛斡旋業社に登録する。
 それと同時に別行動を取った2名が一般人を装って街道護衛を依頼し、その場で今知り合ったという状況を作って、依頼を引き受けた。

 そんな周りくどいことをしたのは、調査に来たと身バレすることなく、まずは斡旋業社の対応をその身で確認したかったのと、実際に街道の状況を見るために一度通過するためだった。
 斡旋業社は平均的な手数料を取っただけで、表面上は特に問題はなかった。

 クレイスに到着して一泊した後、翌日の早朝に再び6名でベラニー街道へ入る。


 最初は人の目もあるため、4人で護衛対象者を囲んで守りの陣形で森に入ったが、数時間経過し周囲に人の気配が完全に消えたのを確認すると、一度休憩のために立ち止まる。
「アル様、今の所は順調ですね」
「そうだな。斡旋業社もこれと言って問題もなかった」
 アシェルはモグモグと携帯食を頬張りながら答える。
「今は道の状況を確認しよう。
 予定通り一度帝国側に入り、シーグヴァルド伯爵家側と合流して情報交換。その後クレイスに戻って本格的な調査に入る」
 無表情に言うアシェルに5名は返事をし、再び歩き始めた。


 予定で行けば、森の中で一泊し、明日の昼前にはシーグヴァルド領に出られる。
 たった1日やそこらで帝国領に入れるのだから、この街道が整備されれば、ヒューバート伯爵領は、今よりももっと発展することになると、アシェルは頑張らねばと意欲を胸に燃やした。
 そう熱意を抱いても表情には全く出ないのだが。


 森に入って4時間後、道幅はどんどん狭くなり、木々に覆われて湿った土に足元も取られる。
「かなり道が悪いですね」
「周囲の木々を伐採するだけでも違うと思うんですが」
「そうだな」
 仲間達と会話しながら黙々と進む。
 今はまだ道は緩やかだが、時々前方の木々の間から見える高い山々が、この先急斜面であることを物語っていた。

「アル」
 不意にすぐ後ろを歩く仲間に声をかけられた。冒険者の体を崩さず偽名で呼び合う。
「ああ、わかってる」
 アシェルが返事をすると、全員が歩くペースを落とし、休憩場所を探すようなフリをしながら周囲へ視線を巡らせた。

 つい10分ほど前から、アシェル達を取り囲むような気配を感知していた。
 周囲100mの範囲で索敵魔法を展開しており、魔物へ備えていたのだが、引っかかったのは魔物ではなく人の魔力だった。
「7…、10…。多いな」
 仲間が呟く。
 ただの野盗にしては数が多い。 
 とうとう歩くのを止めて細い道の真ん中で立ち止まると、6人は背中合わせに丸い陣になると、全方位へ視線を向けた。
「金目の物出せやあ!!!」
 突然の怒鳴り声と同時に、頭上から3人の野盗が降って来た。
「各個撃破!」
 アシェルが叫びながら振り下ろされる斧を避けつつ、長剣を抜いた。
 仲間達も一瞬で抜剣し、乱戦に突入した。

 向かってくる野盗共を容赦無く斬り付ける。
 野盗は殺してでも金品を奪おうとするため、遠慮する必要はない。
 アシェルは鍛えた剣技に体術を合わせながら、1人1人確実に仕留めていく。
「おい!こいつら手練れだ!複数でかかれ!!」
 野盗の1人が叫ぶと、バラバラに動いていた野盗がまとまり始めた。


 なんだ!?
 これが野盗の動きか!?
 これはまるで…。


 アシェルはその統率され訓練された動きに、一瞬騎士団を思い出した。

 1人に対して集団で襲いかかられ、その数は増えて行く。
 しかも、その人数は入れ替わるため、追い込んだとしてもすぐに別の野盗がカバーに入ってくる。
 剣同士がぶつかり、金属音や火、雷の攻撃魔法が飛び交い、6人は次第にバラバラにされて行った。

 アシェルは明らかに野盗の動きではないと気付き、訓練された数十名規模の兵団に対して6人では無理だと撤退を叫ぼうとした。
 だが。

「ジャン!!」
 仲間の1人の声がした瞬間、ジャンと呼ばれた男と、叫んだ男がその強靭に倒れた。
 アシェルはそれを目撃して頭に血が上ると、2人を殺した野盗に向かって突進し、一瞬でその剣と放った雷撃で2名を撃破する。
 だが、さらに仲間の悲鳴が聞こえ、後方で、さらに左側でまた2名の仲間が倒れたことを知った。
「確実に仕留めろ。荷物は後でゆっくり回収すればいいんだ」
 木々の間から、リーダーらしき中年の男が現れると仲間に指示を出す。
 アシェルは、残った仲間に逃げるように叫びながら、一直線にリーダーへ向かった。
 仲間を逃がすために自らが殿となり、雑魚に目もくれずリーダー格の男を狙う。

 統率された一団に対して、その長を狙うのが戦闘のセオリーであり、アシェルは自らの力を出し惜しみすることなく突進した。

「追え」
 リーダーは顎で仲間に指示を出すと、1人に対して5名が猛然と走り出す。
「いい判断だが、ちいとばかり遅かったなあ」
 リーダーはニヤリと笑うと、振り下ろされたアシェルの剣を前腕に嵌めていた盾で受け取ると、滑らせるように流してかわした。

 リーダーは撤退の判断と、直接リーダーである自分に向かってきた判断は褒めたが、遅すぎると笑った。

 だがアシェルは受け流されることは想定済みで、すぐに剣の持ち手を変えると、弧を描くように流された反動を利用して再び男に向かって振り下ろす。
「お」
 リーダーはその反応に驚きつつ、一歩後方に引いた。だが、アシェルの鋭い剣筋から剣撃波が男の腕を切り裂いた。
「いい腕だ」
 男は楽しそうに笑うと、もう一歩下がりつつ腰の後ろに刺していた剣を抜いて横一戦に振った。
 その時、アシェルは展開していた感知魔法により、仲間の最後の1人の魔力が消失したことを知った。

 怒りに我を忘れそうになるが、あまりにも状況が悪い。アシェルは5人の仲間を殺されたことに怒りを感じながらも、自らも逃げる判断をする。

 男が再び剣を振るう一瞬、アシェルはマントをバサリと大きく振ると、自分の体全体を覆って爆発と炸裂の魔法を地面に叩きつける。
 アシェルと男の中間地点で音と光を放ち大火力を伴って爆発した。
 その爆発はアシェルを取り囲んでいた野盗を吹き飛ばし、リーダーの男も両腕で顔を守りながら一瞬で防御魔法を展開する。
 アシェルは自らのマントと防御魔法によって無傷であり、そのまま後方に大きく跳躍すると街道を挟んで逆側の森へ走り出した。

「やるね」
 爆発が収まると、男は腕を下ろし多少の火傷の傷が出来たものの、すぐに体勢を立て直してアシェルを追う。
 爆発によってそばにいた野盗は数人死亡し、重傷の数名が呻き声を上げてうずくまる。
 男は動ける仲間数人を連れてアシェルを追いかけ、氷魔法をアシェルに向かって放った。

 刃のように作り出された氷が背後からアシェルに襲いかかる。
 自分のそばをヒュンヒュンと音を立てて通過する氷を無視して身体強化を足に集中するのだが、その氷の幾つかがアシェルの体を掠めた。
 ピシッピシッと足や腕に切り傷を作り、足を抉った傷に、アシェルの速度が落ちた。

 逃げられないと悟ったアシェルは、目の前に現れた10mほどの幅がある川の手前で逃げるのを止めると、向かってくる男に対峙した。
 

 ガキイイインン!!


 二つの剣がぶつかり合う金属音が響く。
 そこからアシェルと男の1対1の戦闘が始まった。
 お互いに剣術や体術を駆使しながら斬り合い、殴り合い、蹴り合う。
 その戦いに、一緒になって追いかけてきた野盗達は、リーダーである男と対等にやりあうアシェルに驚きつつ、参戦することも出来ず、ただ逃げられないように退路を塞ぐように周囲を取り囲む。

 ガガガガ!ドン!!ドカン!!

 金属音と土や岩が抉られる音、バシャバシャと川水が跳ね、飛び交う魔法弾。
 お互いにかなりの傷を作り、その衣服は避け、血が流れていた。
 膝までの水量の川水の中に浸かり、足が取られても攻防は続いた。
 戦いながら徐々に移動し、数十メートル川下へ移動するが、その川の先が途切れ、さらに重低音と水の中にあっても振動が伝わってくる。

 その先が滝になっていた。
 かなりの高低差があるのか、その音と振動が伝わってくる。
 2人はその先に滝があるとわかっても、戦いを止めることはなかった。
 徐々に滝へと近付き、そしてとうとう滝壺が見える場所にまで到達する。

 川の中は藻が生えて滑りやすく、蹴り技は使えない。剣撃と打撃での攻防が続くが、男が振り下ろした剣を避けるために、足を動かした瞬間、アシェルの足が藻によってズルッと数センチ滑ってしまった。

 しまったと思った瞬間、その剣先がアシェルの胸を左肩から胸を斜めに引き裂いた。
 ブシュッと血が吹き出し、男が歯を剥き出して勝ったという表情を浮かべた瞬間、アシェルは体勢を崩しながらも炸裂魔法を男の顔に向かって放った。
 だが、その反動でアシェルの体は宙を舞い、着地地点に川はなく、50m下の滝壺へと真っ逆さまに落ちて行く。
「っち」
 男はその炸裂魔法も見事な反射で防いだが完璧に防ぐことは出来ず、顔の至る所に火傷を負い、さらに髪が焦げてチリチリになる。

 落ちて行くアシェルを見下ろし、その姿が滝壺に吸い込まれて白い水飛沫を上げたのを確認した後、浮き上がってくるのを待ったが、アシェルの体は数分待っても浮かんで来なかった。

 男は深い滝壺に住む肉食魚の餌食になったかと思いつつ、それでなくてもこの高さから受け身も取らず落ちたのだから生きてはいないだろうと、フンと鼻を鳴らして笑った。

「おい、お前ら荷物は」
 男はザブザブと川から上がると、追いかけてきた仲間へ確認する。
「それが…」
 仲間達はアシェル達が持っていた鞄を手にしているが、その中身を確認出来ていなかった。
「ものすごい強力な魔法がかけられていて、俺らじゃどうにも…」
 野盗が困ったように言うと、男は舌打ちする。
 さらに全ての荷物を回収し中身を確認したが、1番重要らしい革製の鞄だけはどうやっても開けることが出来なかった。
「開けられねえならしゃーねーわ」
 男は二つの鞄を掴むと。そのまま川へポイポイと放り投げる。
 鞄はアシェルと同様に滝壺へと落ちていった。
 野盗一味は開けることが出来た鞄から金や売れそうなものだけを回収し、放置した。
「全然話が違うじゃねえか」
 男は手にした金が聞いていたよりも少ないとボヤく。

 護衛斡旋業社からの情報では、護衛を依頼した2人は、かなり身なりもよく、帝国へ商談に行く目的だという話だった。
 斡旋料を支払う時にチラ見した財布には白金貨が入っており、鞄には商談に必要な金も入っていると聞いていた。

「ガセじゃねえか」
 男はさらに舌打ちする。
 アシェルの抵抗により、多くの仲間を失ってしまった。
 依頼主であるはずの2人も訓練された動きだったこと、そしてアシェルの強さに、男は嫌な予感を感じ、しばらくは大人しくしていた方がいいかと考える。


 この野盗一味は、アシェルが懸念した通り、帝国側の貴族に雇われていた元私兵団である。
 総勢40名に及ぶ私兵団は、雇い主である貴族の没落と共に解雇され、そのまま野盗へと身を落とした。
 帝国から共和国へと流れ落ち、そしてこのベラニー街道を拠点とすることになった。
 クレイスの護衛斡旋業社もこの野盗一味の仲間であり、金がありそうな依頼者を見つけては襲っている。
 この街道を利用するのは緊急性の高い案件を抱えた者が多く金払いが良く、大金を持って急いで移動する奴も多い。
 他の街道とは違って、他の野盗一味は魔物が跋扈する森と、クラスB以上の護衛がつくことも多いこの場所を避ける。
 さらにこの街道では魔物に襲われる事件も多く、襲った後の死体の処理は魔物がしてくれるため好都合だった。

 だが、ここに来てアシェルという強敵に出会った。

 男は森の中の拠点に戻りながら、一応連絡だけは入れておくか、と今回の件を情報として売って金に変えることを思いついた。






 滝壺へ落ちたアシェルは、水面に叩きつけられる直前に、全身に硬化魔法と防御魔法を展開させた。
 受け身を取れなかったが、かろうじて魔法の展開が間に合い難を免れ、そのまま滝壺の中を潜って下流へ進む。
 水の中にいる肉食魚が襲ってくるが、硬化魔法によって体を食いちぎられることもなく済んだ。
 そのまま息が続くまで潜水しながら進み、川の早い流れにも助けられて200mほど下流に進むと、ようやく水面から顔を出す。
 はあはあと何度か深呼吸した後、そのまま川の流れに身を任せてさらに下流に流されると、川幅が広くなるにつれて流れが遅くなり、ついには足が届く深さになった。
 懸命に体を動かして岸へ近付き、上がれる場所を探して大きな岩にしがみつく。
 だがここで限界を迎え、岩にうつ伏せに抱きつく形で意識を失った。




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