ぼっちの田舎暮らしの青年、鉄仮面の貴公子を助けて溺愛される

猫の手

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第一章 出会い

動揺と困惑。そして不可解な胸の高鳴り

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 しばらくお互いに硬直したまま見つめ合う。
 ルシルはアシェルの青い目を、アシェルはルシルの深緑の目をじっと見つめた。
 だが、あまりにも見ることだけに集中したせいか、ブランケットを羽織って胸元で手で押さえていたアシェルは、握力を失って離してしまった。
 ブランケットがズルッと落ち、それに引きずられるように腰に巻いたタオルも同時にパサッと落ちた。
「っひゃ!!」
 ルシルはボロンと現れた男根に驚き小さく悲鳴を上げ、一気に真っ赤になった顔を背けて身を捩り目を両手で塞いだ。
「うわ!ご、ごめん!!」
 アシェルは慌てて落ちてしまったタオルを拾うと股間を隠す。
「あ…あの…」
 ゴソゴソとタオルを再び腰に巻きつけなあら、ルシルへ声をかける。
 ルシルは顔を両手で覆ったまま耳まで真っ赤にして、指の隙間からチラッとアシェルを見た。
「君が、俺を…?」
 助けたのか、とその小柄な体では到底信じられず確認する。
 すると、ルシルは顔を覆ったままコクンと大きく頷いた。
 その仕草にアシェルの心臓が一度大きく跳ね、何故かドキドキしてしまった。
「あ…ありがとう…助けてくれて……」
 本当にこんなに細くて小さな体で?と思ったが、身体強化魔法を使えば可能であると気付いて納得することにした。
「お、起きて、大丈夫?」
 ルシルがまだ真っ赤になっている顔を隠したまま聞いてくる。
「あ、ああ」
「そ、そっか。よ、良かった、ね」
 ようやく顔から手を離すが、俯いたままアシェルの方を見ようともせず、真っ赤になった顔を背けたままだった。
 アシェルの鼓動がさらに早くなる。
「あの、これ」
 ルシルは俯いたことで落とした鞄が目に入り、その存在に気付くと2つの鞄を持ち直してアシェルに見せる。
「この鞄、あんたの?」
 アシェルは差し出された鞄を見て、紛れもなく自分の物であることに気付いた。
「そ、そうだ。これを何処で?」
 ルシルは肯定されてホッとすると、そのままアシェルに数歩近付くとそばに置いた。
「川であんたを見つける前に流されてきたんだ」
 鞄を置いた瞬間、ルシルはすぐにサササと後退して距離を取る。その間もアシェルを見ない。
「…本当にありがとう」
 アシェルは感謝し、嬉しさを伝えるがやはり表情は動かなかった。

 再び沈黙が訪れる。
 なんとも居た堪れない雰囲気に、ルシルは目を泳がせながらも口を開く。
「き、着替え、いるよね」
 ルシルは目を逸らしたまま外套を脱ぐとコート掛けにかけ、アシェルの横を通過して奥へと走って行った。
「あ……」
 そんなルシルを目で追い、行ってしまった方向を見つめた。


 着替えって…無理だろ…。


 アシェルは呆然としながらも、体格差というどうでもいいことを考えていた。
 それよりも、彼を見てから早鐘を打つ鼓動が止まらない。
 想像していた家主と全く違う姿だったっことにまだ驚いているせいなのかと、アシェルは自分が今どんな表情をしているのか気になった。
 きっと全く表情筋が動かない、いつも通りの無表情なんだとは思うが、それでもこんなに動揺したのは初めてかもしれないと思った。
「……っっぶしゅ!!」
 そして大きなくしゃみをして、鼻水を啜った。


 ルシルは居間から奥の部屋に入ると、キャビネットから服を漁る。
 彼が着られる物を見繕いながら、まだ顔が火照って仕方がなかった。
「なんだよこれ…」
 確かに綺麗な男だとは思ったが、目が合った後、恥ずかしくてまともに顔を見れなくなってしまった。
 顔を背けたまま、真っ赤になり、挙動不審になってしまって変な風に思われなかっただろうかと、変な汗が出る。
 服を引っ張り出し、それをギュッと握ると、自分を落ち着かせるために何度も深呼吸を繰り返した。


 なんとか正常に戻り居間に戻るとアシェルは暖炉のそばに立っていた。
「これ、どうぞ」
 持ってきた衣服をアシェルに差し出す。
「ありがとう……」
 アシェルは受け取りつつ、渡された服とルシルを交互に見つめる。
 明らかに渡された服は大きい。ルシルの物ではないとすぐにわかり、誰の物だとアシェルは訝しんだ。
「父さんの、なんだけど…。ちゃんと洗ってあるから」
 あ、父親か、とアシェルはホッとした。
 なぜホッとした?と思いながらも、下着も含まれていることに、贅沢は言えないと借りることにする。
 ルシルが背中を向けてキッチンに行ったので、アシェルは温かい暖炉の前で服を着る。
 その全てが身長185センチのアシェルでも少し大きくゆったりしている。
「父さん、オークの血が濃かったから」
 服を着終わった頃にそう言われ、納得した。オークの父親に似ず母親に似たのだろうと思った。
 だが、「濃かった」という過去形に引っかかった。
「お父上は…」
「4年前に…。母さんも」
 両親が亡くなっていると知り、アシェルは同情の気持ちが芽生える。
「すまん…」
「いや…」
 ルシルは少しだけ微笑むが、その笑顔は何処か寂しそうでもあった。

 ドンとマリーが亡くなって4年も経つが、服を処分しなくて良かったと思った。
 服だけでない。彼らの物は今も残っており、何度か処分しようと思ったこともあったのだが、今だにそのままになっていた。
 意外なところで役に立ったと思い、心の中で笑う。





 その後ルシルはアシェルを暖炉の前に座らせ、自分は布団類を片付け、そして食事の準備を始めた。
 1人分以外の食事を作るのは久しぶりで、少しだけ楽しくなった。
「名前を聞いてなかった。俺はアシェルだ」
「…ルシル、です」
 顔を合わせてすでに2時間近く経つのに、食卓テーブルに座って食事する前に初めて自己紹介をした。
 偽名を使おうと思ったのだが、恩人に対してそれは失礼だろうと本名を名乗った。家名は伏せたが。
「ルシル…。本当に助けてくれてありがとう」
 アシェルは食べる前にテーブルの上に両手をつくと、額を擦り付けるようにして向かい側のルシルに頭を下げた。
「いや…偶然見つけて…」
 ルシルは深々と頭を下げられ、照れながら言った。
「まあ、とにかく食べようよ。口に合えばいいけど」
 そう言って食事をアシェルに勧めながら自分もスープを口にする。
 アシェルもまた礼を言いながら食事を始めた。素朴だが美味しい料理に、口に運ぶの手を止められなかった。

 黙々と食べるアシェルの顔をチラリと見て、ルシルは本当に綺麗な人だと思った。
 街にも美人はいるけど、こんなに整った顔を見たのは初めてだった。
 綺麗で、とてもかっこいい。
 自分と違って背も高いし、鍛えられた筋肉もすごい。
 眩しいほどの金髪と真っ青の目は昔マリーが読んで聞かせてくれた童話の王子様を連想させた。
 再び見入ってしまいそうになり、慌てて別のことを考える。

「街道で野盗に襲われたの?」
「え?あ、ああ」
 突然ルシルに聞かれ、アシェルは答える。
「帝国に用事があって…。仲間を……全員やられた…」
「そっか…。怪我が治ったら、街に行って自警団に申告するといいよ」
「そうだな…」
 アシェルは一緒に来た5人のことを考え、食べる手を止める。
 全員、若かった。家族や恋人がいただろう。だが、俺が選んだせいで、命を落としてしまった。俺だけが助けられて…。
 アシェルは責任を感じて黙り込み、俯く。
 ルシルは仲間を失ったアシェルに同情し、慰めようと思い言葉を探す。
「アシェルだけでも助かって良かったと思わないと。
 じゃないと、亡くなった人の家族へ知らせることも出来ないんだから」
「…そうだな…」
 アシェルの頬が引き攣り、綺麗な顔が歪んだ。
 ルシルはアシェルの顔を見て、あまり顔に出さない人だと思った。
 それが、養父であるドンに似ていて、親近感を覚える。


 ドンも喜怒哀楽を表情に出さない、いや出せない人だった。
 若い時に負った怪我の後遺症で顔面の一部に麻痺が残り、表情が上手く作れない人だった。だが、声の抑揚で喜怒哀楽は伝わるため、表情がなくとも理解出来る。
 彼の手当てをする時、その体に無数の古傷があったのを思い出し、もしかしたら、アシェルもドンと同じなのかもしれないと思った。


「街まではどのくらいある?」
「ここから歩いて3時間くらいだよ」
「そうか…」
 アシェルは食べたらすぐに街に行こうかと考えた。
 だが、ジクジクとした痛みと患部が熱を持っていることを考えると、魔力が回復してヒールをかけてからの方が、と思った。
 あの野盗が徘徊しており、街に行く途中に再び襲われれば、その時は確実に終わる。
 今ここで死ぬわけには行かない。
 ルシルの言ったように、死んだ仲間たちの報告もしなければならない。
「ここら辺は魔物も多いし、行くなら怪我が治ってからの方がいいよ」
 見透かしたようにルシルに言われ、アシェルは口を真横に結ぶ。
「ここは結界で守られているから安全だし、僕1人だけだから」
 ルシルは治るまで居ればいいと微笑み、アシェルはその笑顔を見て、心臓がまた大きく跳ねた。
 やっと治ったと思った鼓動が再び大きく動き出し、アシェルは顔が熱くなるのを感じて、慌てて俯くと食事に集中する。
「すまん…」
 俯きながら顔を見ずに言うと、ルシルは恐縮していると思ったのか、大丈夫、と言ってくれた。


 その後、アシェルは暖炉のそばで休むように言われ、ルシルは仕事を始める。
 結局昨日はアシェルを助けるために必死で、畑も家畜の世話も何も出来なかった。
 1日の仕事を取り返すために、ルシルは大急ぎで猛然と仕事を片付けて行く。
 農作物の収穫。家畜小屋の掃除、餌と水の補充。そして洗濯。
 それらを一気に片付けると家に戻り、昼食のサンドイッチを作り大急ぎで食べた後再び外に行く。
 午後は収穫した作物の選別と堆肥造り。備蓄食料の確認や製作に取り掛かり、陽が沈み始めると外の作業を終え、今度は家に入って掃除を始めた。
「……」
 アシェルはただ黙ってルシルの行動を見ていた。
 休んでいろと言われたが、ただ寝っ転がっているのも気が引ける。かといって動けるわけでもないから、見守ることしか出来ない。
 それにしても、本当によく動く。
 疲れを知らないのか、ルシルはずっと働いていた。
 あんなに細くて小さい体なのに、収穫した野菜が入った木箱を3箱積み重ねて軽々と持ち上げている姿を見た時には驚いてしまった。
 やはり筋力アップなどの身体強化の魔法を使っているんだと納得したが、体に見合わない大きな木箱や、大量の干し草を抱えて運んでいる姿に、思わず笑ってしまった。
「休まないのか?」
 家の中を掃除しているルシルに声をかける。
「やることがいっぱいあるから」
 ルシルは手を休めず答え、その屈託のない笑顔に、アシェルは何度目かの胸の高鳴りを感じた。


 夕飯はシチューだった。
 結局ルシルは食事以外座ることはほぼなく、働き続けていた。
 そして今、アシェルは包帯を解かれ、手当てをされている。

 すぐそばでルシルの白い髪が揺れ、間近に顔がある。
 腕を取られて丁寧に薬を塗ってくれるルシルを見下ろす形でその顔を見た。

 髪と同じ、長く白い睫毛が瞬きする度に揺れ、綺麗だと見入ってしまう。
 新しい薬草を貼られ包帯を巻かれる。腕、足と手当てされ、最後に1番酷く広範囲の胸の傷を手当てする。
「痛む?」
「まあ、少し…」
 本当はかなり痛い。他は動かすと痛い程度だが、この胸の傷だけは別だ。動かさずともずっと鈍い痛みがあり、熱を持ち熱い。
「動かないでね」
 ルシルはその細い指で塗り薬を掬って撫でるように塗っていく。その指の動き、そして間近にあるルシルの顔に、アシェルはゾクゾクと鳥肌が立ってしまった。
「寒い?ちょっと我慢して」
 鳥肌を寒さのせいだと思ったルシルに言われるが、アシェルはその声にも反応してさらに鳥肌を立てた。
 薬を塗り終わり、薬草を充てて包帯を巻かれる時、背中までグルッと巻きつけるためにルシルに両腕を回される。
 密着しているわけではないが、抱きしめられているような錯覚に襲われ、自分の顔に触れたルシルの柔らかな髪、そしてその体からいい匂いがして、アシェルの体から力が抜けた。


 なんだ。
 すごくいい匂いがする。


 ルシルが動く度に陽だまりのような優しい匂いがして、アシェルは気付かれないようにゆっくりとその匂いを吸い込んだ。
 思わずもっと嗅ぎたいと思ってしまう。
「はい出来た」
 包帯を止めてルシルが体を離した瞬間我に返る。
「あ、ありがとう…」
 アシェルはハッとして咄嗟にお礼を言い、頬を赤らめた。
「…顔が赤いよ。傷のせいで熱が出たんじゃ…」
「いや…」
 赤面を指摘されアシェルは焦るが、ルシルが再び近寄り手が伸ばされると、額に手をピタッと添えられた。
「……」
 だが、赤い顔の割に熱はないと思い、ルシルは手を離す。
 手を離した瞬間、今までで最も近い距離で目がパチッと会い、ルシルもボッと真っ赤になった。
「あ、ごめ…」
 慌てて体を離して立ち上がり、顔も耳も真っ赤にしたままそそくさと薬を片付けて離れた。
 アシェルも頬を赤くしながら改めて服を着て立ち上がった。

 ルシルはアシェルに背中を向けて薬をしまいながら顔の火照りを必死に押さえ込もうとした。
 別のことに気をとられていれば平気なのだが、一度アシェルを意識してしまうと駄目だ。胸がドキドキして、一気に体温が上昇したように熱くなる。
 こうなると、短時間では治らない。
 一度離れなくてはと、ルシルはアシェルの方を見ずに、声をかける。
「む、向こうの部屋を、片付けて、くる」
「あ、ああ…」
 アシェルもルシルと同じだった。
 お互いに顔を赤くし、目を逸らしあったまま離れた。


 ルシルは居間から逃げるように奥の部屋に行くと、今は使われていないドンとマリーの部屋に入り、ドアを閉めた。
「何これ…」
 そして理由のわからない恥ずかしさと火照りに両手で顔を覆った。
 アシェルを意識する度にドキドキしてしまう。
 まともに顔を見れないし、近くにいると思うだけで恥ずかしくて仕方がない。
 こんなことは初めてのことで、ルシルは戸惑い、困惑した。
「落ち着け…落ち着け…」
 頬を摩り、深呼吸を何度も繰り返して、数分後にようやくドキドキが治った。
「はあ…」
 そうしてため息をつきながらベッドメイクを始めた。


 アシェルも同じように困惑していた。
 何故こんなに胸が高鳴るのか、体も顔も熱く火照るのか。
 こんなこと今まで感じたこともなく、怪我のせいなのかと考えたのだが、こんな怪我は何度も経験がある。
 これ以上の怪我の経験もあるのに、こんなことは起こらなかった。
「何だこれ…」
 アシェルは手当てしてくれた胸の包帯に触れ、そしてその時に嗅いだルシルの匂いを思い出した。
 嗅いだこともないようないい匂いに、もう一度、いや何度も嗅ぎたいと思ってしまった。
「落ち着け…」
 アシェルも深呼吸を繰り返し、何とか火照りと胸の高鳴りを鎮めた。



 アシェルにはドンとマリーの部屋を使ってもらい、ルシルは自室で眠る。

 寝る前の1時間程、2人でまったりと過ごしながら、改めてお互いのことを話した。

 アシェルは魔力が回復したらヒールで怪我を治してクレイスへ行くと言った。
 なので、その時は道案内も含めて一緒に行くと言うと、アシェルは何十回目かの礼を言う。
「何かお礼をしないとな」
「別にいいよ」
 笑顔で答え、その日は眠りにつく。


 ルシルは自室のベッドに入ると、魔力が回復したらすぐに行ってしまうんだと改めて考えてしまった。
 昨日助けて、会話するようになってまだ1日も経っていないのに、それを寂しく感じてしまう。
 必死に彼を助けたことで、情が移ってしまったのかと思いつつ目を閉じた。


 アシェルはルシルの隣の部屋で横になり、今後のことを考える。
 まずは魔力回復が優先。
 回復したらヒールで怪我を治しつつ、伝達魔鳥を帝国のシーグヴァルド伯爵と父に飛ばし、状況報告をする。
 その後、クレイスに移動し拠点を決めて調査に入る。
 最初のうちは1人で調査するが、報告には新たな人員の追加要請をするつもりだから、遅くても2週間後には誰か来てくれるはずだ。
 死んだ仲間達の家族への補償も手厚くして欲しいと依頼して、助けてくれたルシルにもお礼を…。


 ルシル…。


 最後にルシルのことを考え、数日後にはここを出ることを考えて、ズキンと胸が痛んだ。



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