18 / 23
第三章 両思いと甘い日々
出会って10日後にプロポーズします
しおりを挟む
夕食も食べ終わり、後は寝るだけという状態になってから暖炉の前に座った。
その手にお茶が入ったカップを持ち、椅子に座らず、膝を突き合わせてふわふわの毛足の長いラグの上に座った。
「話って…?」
ルシルが不安気にアシェルに尋ねる。
1週間という限定の同居は、すでに4日目が終わろうとしている。
7日目にはまたアシェルはここを出て行くが、もしかしてその前に出て行くという話かもしれないと、ルシルは不安で、怖くて、悲しくて、彼と離れたくないと胸が締め付けられていた。
「ルシル…」
アシェルに真剣に見つめられ、否が応でも緊張が高まり、ルシルはゴクリと唾を飲み込んだ。
「単刀直入に言う。俺と…」
アシェルは一度言葉を止めてルシルの手を握った。
「俺と、一緒に来て欲しい」
両手でしっかりと手を握り、じっとその目を見つめて言った。
「…え…?」
ルシルは意味がわからずに思わず聞き返していた。
「俺と一緒に領都へ行こう」
ルシルはじわじわと言葉の意味を飲み込み、目を丸くし、ポカンと口を開けた。
「ルシル、よく聞いてくれ」
アシェルは緊張で乾いた喉を潤すようにゴクリと唾を飲み込んだ。
「俺の名前は、アシェル・ヒューバート。ヒューバート伯爵家の次男だ」
「ひゅうば……はく、しゃく?」
ルシルは言われた言葉を反復して呟き、言葉を理解した。
「……ヒューバート伯爵家!?領主様??」
「ああ。現領主は俺の親父だ」
「え!?ええええ!!??」
ルシルはようやく理解し大きな声をあげた。
「嘘!?なんで!?ええ??」
かなり動揺し狼狽え目の前がぐるぐるして疑問符ばかりを口にする。そんなルシルにアシェルは苦笑いを浮かべ、落ち着くのを待つことにした。
しばらくしてルシルは落ち着きを取り戻し、胸に手を当てながらはあと息を吐き、アシェルをじっと見た。
「…アシェル、様?」
「様はいらない。ルシルの前では俺はただのアシェルでいたい」
ニコリと微笑むと、ルシルはいつものアシェルだと嬉しくなった。
「ルシル、もう一度言う」
落ち着いたところで、アシェルは再びルシルの手を取る。
「俺と一緒に来てくれ。もう離れたくない。ずっとそばにいたい。いて欲しい」
アシェルは心からの想いをルシルにぶつける。
「俺と結婚して欲しい」
ルシルは目を丸くし、プロポーズされたという事実に顔を真っ赤に染めた。
「……で、でも…まだ知り合って数日なのに…」
ルシルは嬉しいとは思ったがあまりにも急な話に戸惑いを見せ、目を逸らした。
「それに…僕は平民だし、釣り合わないよ」
「時間も身分も関係ない。俺はルシルがいい。ルシルしかいない」
アシェルははっきりと言い、握っていた手を引っ張るとルシルを引き寄せ、抱きしめた。
「ルシル、好きだ。こんな気持ち初めてなんだ。ずっと胸が痛いほど高鳴って、苦しい」
抱きしめられ、頭のすぐそばで辛そうな声で言われた。触れた所からアシェルの鼓動を感じ、言葉通り早鐘のように高鳴っているのを知った。
「こんなに辛いのに、そばにいると嬉しいし楽しい。顔を見ると安心する。とても幸せで満ち足りた気分になる」
アシェルはルシルを抱きしめる腕に力を込め、思いの丈を打ち明ける。
「お願いだ。ずっとそばにいさせてくれ。俺の隣で笑っていてくれ。
俺にルシルを、守らせてくれ」
ルシルは最後の言葉にハッとした。
アシェルはルシルが何をされたのかを知っている。
それを知って、守りたいと言ってくれていると気付いた。
ルシルの腕が上がり、アシェルの背中へ回されると抱きしめ返す。
「アシェル、ありがとう」
ルシルは静かに涙を流し、アシェルの胸に顔を埋める。
触れた所からアシェルの魔力が流れ込んでくるのを感じた。
守りたいと言ってくれたのが本心で、自分を包み込むような温かさを感じて、このまま何もかも委ねたいと思った。
ルシルは名残惜しむように体を少しだけ離すと、間近にあるアシェルの顔を見つめる。
「僕で、いいの?」
「ああ。ルシルがいい」
アシェルは即答し、優しく微笑むとルシルの頬を撫で、流れてくる涙を指で掬った。
「僕を、愛して、くれますか?」
震える声で尋ねる。
「ああ。愛してる」
ルシルは泣きながら笑顔で尋ねると、アシェルは頷きながら答えた。
その答えに、ルシルの目から大粒の涙がポロポロと溢れ落ちる。
「アシェル…。僕を、連れてって…」
泣きながら言ったルシルに、アシェルは愛おしくてたまらなかった。
「ルシル、好きだよ。愛してる。俺と一緒に行こう。ずっと一緒にいよう」
アシェルの目からも涙が流れ、再び強く抱きしめた。
「アシェル、好き…。愛してる」
その想いがどんどん深くなる。何度言葉にしても足りず、補うように触れた場所から流れてくる魔力が混ざり合い、互いの心を満たしていった。
その手にお茶が入ったカップを持ち、椅子に座らず、膝を突き合わせてふわふわの毛足の長いラグの上に座った。
「話って…?」
ルシルが不安気にアシェルに尋ねる。
1週間という限定の同居は、すでに4日目が終わろうとしている。
7日目にはまたアシェルはここを出て行くが、もしかしてその前に出て行くという話かもしれないと、ルシルは不安で、怖くて、悲しくて、彼と離れたくないと胸が締め付けられていた。
「ルシル…」
アシェルに真剣に見つめられ、否が応でも緊張が高まり、ルシルはゴクリと唾を飲み込んだ。
「単刀直入に言う。俺と…」
アシェルは一度言葉を止めてルシルの手を握った。
「俺と、一緒に来て欲しい」
両手でしっかりと手を握り、じっとその目を見つめて言った。
「…え…?」
ルシルは意味がわからずに思わず聞き返していた。
「俺と一緒に領都へ行こう」
ルシルはじわじわと言葉の意味を飲み込み、目を丸くし、ポカンと口を開けた。
「ルシル、よく聞いてくれ」
アシェルは緊張で乾いた喉を潤すようにゴクリと唾を飲み込んだ。
「俺の名前は、アシェル・ヒューバート。ヒューバート伯爵家の次男だ」
「ひゅうば……はく、しゃく?」
ルシルは言われた言葉を反復して呟き、言葉を理解した。
「……ヒューバート伯爵家!?領主様??」
「ああ。現領主は俺の親父だ」
「え!?ええええ!!??」
ルシルはようやく理解し大きな声をあげた。
「嘘!?なんで!?ええ??」
かなり動揺し狼狽え目の前がぐるぐるして疑問符ばかりを口にする。そんなルシルにアシェルは苦笑いを浮かべ、落ち着くのを待つことにした。
しばらくしてルシルは落ち着きを取り戻し、胸に手を当てながらはあと息を吐き、アシェルをじっと見た。
「…アシェル、様?」
「様はいらない。ルシルの前では俺はただのアシェルでいたい」
ニコリと微笑むと、ルシルはいつものアシェルだと嬉しくなった。
「ルシル、もう一度言う」
落ち着いたところで、アシェルは再びルシルの手を取る。
「俺と一緒に来てくれ。もう離れたくない。ずっとそばにいたい。いて欲しい」
アシェルは心からの想いをルシルにぶつける。
「俺と結婚して欲しい」
ルシルは目を丸くし、プロポーズされたという事実に顔を真っ赤に染めた。
「……で、でも…まだ知り合って数日なのに…」
ルシルは嬉しいとは思ったがあまりにも急な話に戸惑いを見せ、目を逸らした。
「それに…僕は平民だし、釣り合わないよ」
「時間も身分も関係ない。俺はルシルがいい。ルシルしかいない」
アシェルははっきりと言い、握っていた手を引っ張るとルシルを引き寄せ、抱きしめた。
「ルシル、好きだ。こんな気持ち初めてなんだ。ずっと胸が痛いほど高鳴って、苦しい」
抱きしめられ、頭のすぐそばで辛そうな声で言われた。触れた所からアシェルの鼓動を感じ、言葉通り早鐘のように高鳴っているのを知った。
「こんなに辛いのに、そばにいると嬉しいし楽しい。顔を見ると安心する。とても幸せで満ち足りた気分になる」
アシェルはルシルを抱きしめる腕に力を込め、思いの丈を打ち明ける。
「お願いだ。ずっとそばにいさせてくれ。俺の隣で笑っていてくれ。
俺にルシルを、守らせてくれ」
ルシルは最後の言葉にハッとした。
アシェルはルシルが何をされたのかを知っている。
それを知って、守りたいと言ってくれていると気付いた。
ルシルの腕が上がり、アシェルの背中へ回されると抱きしめ返す。
「アシェル、ありがとう」
ルシルは静かに涙を流し、アシェルの胸に顔を埋める。
触れた所からアシェルの魔力が流れ込んでくるのを感じた。
守りたいと言ってくれたのが本心で、自分を包み込むような温かさを感じて、このまま何もかも委ねたいと思った。
ルシルは名残惜しむように体を少しだけ離すと、間近にあるアシェルの顔を見つめる。
「僕で、いいの?」
「ああ。ルシルがいい」
アシェルは即答し、優しく微笑むとルシルの頬を撫で、流れてくる涙を指で掬った。
「僕を、愛して、くれますか?」
震える声で尋ねる。
「ああ。愛してる」
ルシルは泣きながら笑顔で尋ねると、アシェルは頷きながら答えた。
その答えに、ルシルの目から大粒の涙がポロポロと溢れ落ちる。
「アシェル…。僕を、連れてって…」
泣きながら言ったルシルに、アシェルは愛おしくてたまらなかった。
「ルシル、好きだよ。愛してる。俺と一緒に行こう。ずっと一緒にいよう」
アシェルの目からも涙が流れ、再び強く抱きしめた。
「アシェル、好き…。愛してる」
その想いがどんどん深くなる。何度言葉にしても足りず、補うように触れた場所から流れてくる魔力が混ざり合い、互いの心を満たしていった。
138
あなたにおすすめの小説
氷の婚約者様に破談を申し出たら号泣された
楽矢
BL
目が覚めると、レースの牢獄のような天蓋付きベッドの上だった。
何も覚えていない出来損ない下級貴族ミラ。無能だクズだと冷酷な罵詈雑言を浴びせてくる氷の騎士セティアス。
記憶喪失から始まる、2人のファンタジー貴族ラブコメディ。
----------
※注)
かっこいい攻はいません。
タイトル通りそのうち号泣しますのでご注意!
貴族描写は緩い目で雰囲気だけお読みいただけると幸いです。
ハッピーエンドです。
激重感情をこじらせた攻→受な関係がお好きな同志の方、どうぞよろしくお願いします!
全16話 完結済み/現在毎日更新予定
他サイトにも同作品を投稿しています。
様子を見ながらそのうち統合するかもしれません。
初めての一次創作でまだよく分かっておらず、何かおかしなことをしでかしていたら申し訳ないです!
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
ため息ひとつ――王宮に散る花びらのように
柴田はつみ
恋愛
「離縁を、お願いしたいのです」
笑顔で、震えずに、エレナはそう言った。
夫は言葉を失った。泣いてくれれば、怒ってくれれば、まだ受け止め方があった。しかしあの静けさは、エレナがもう十分に泣き終わった後の顔だと、ヴィクトルにはわかった。
幼なじみと結ばれた三年間。すれ違いは静かに始まり、深紅のドレスの令嬢によって加速した。ため息を飲み込み、完璧な微笑みを保ち続けた公爵夫人が、最後に選んだのは――。
王宮に散る花びらのような、夫婦の崩壊と再生の物語。
完結【強引な略奪婚】冷徹な次期帝は、婚姻間近の姫を夜ごと甘く溶かす
小木楓
恋愛
完結しました✨
タグ&あらすじ変更しました。
略奪された大納言家の香子を待っていたのは、冷徹な次期帝による「狂愛」という名の支配でした。
「泣け、香子。お前をこれほど乱せるのは、世界で私だけだ」
「お前はまだ誰のものでもないな? ならば、私のものだ」
大納言家の姫・香子には、心通わせる穏やかな婚約者がいた。
しかし、そのささやかな幸福は、冷徹と噂される次期帝・彰仁(あきひと)に見初められたことで一変する。
強引な勅命により略奪され、後宮という名の檻に閉じ込められた香子。
夜ごとの契りで身体を繋がれ、元婚約者への想いすら「不義」として塗り潰されていく。
恐怖に震える香子だったが、閉ざされた寝所で待っていたのは、想像を絶するほど重く、激しい寵愛で……?
「痛くはしない。……お前が私のことしか考えられなくなるまで、何度でも教え込もう」
逃げ場のない愛に心が絡め取られていく中、彰仁は香子を守るため、「ある残酷な嘘」を用いて彼女を試す。
それは、愛するがゆえに彼女を嫉妬と絶望で壊し、「帝なしでは息もできない」状態へ作り変えるための、狂気じみた遊戯だった。
「一生、私の腕の中で溺れていろ」
守るために壊し、愛するために縛る。
冷酷な仮面の下に隠された、
一途で異常な執着を知った時、香子の心もまた甘い猛毒に溶かされていく――。
★最後は極上のハッピーエンドです。
※AI画像を使用しています。
【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】
古森きり
BL
【書籍化決定しました!】
詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります!
たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました!
アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。
政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。
男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。
自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。
行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。
冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。
カクヨムに書き溜め。
小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
不思議の森の小さな家
エウラ
BL
ユーリは理由も分からず、一五年前、五歳の時に異世界に転移した。世間からは『聖域』と呼ばれるこの深い森に住んでいたハイエルフの青年エルリオに保護されて、魔法や錬金術を教わりながら暮らしていたが、ある理由で現在は一人暮らし。
森から出たことがないユーリはちょっと寂しいと思いながらものんびり過ごしていたが、ある日、行き倒れの冒険者を拾ってしまう。
彼はアイオンと名乗り、しばらくユーリの家に同居することになるのだが……。
R15。ハッピーエンド。
いつものように思いつきです。短編予定ですがたぶん不定期更新です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる