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こうして韓媛と阿佐津姫は急いで馬に乗ると、2人の皇子の元へと向かうことにした。
「でもまさか、韓媛あなたが馬に乗れるとは意外だったわね」
阿佐津姫は馬で走っている中、馬を乗りこなす韓媛を見てとても意外に思えた。
「はい、私の父がもしもの時の為にと、私に馬の乗り方を習わせてくれました。でも普段から良く乗っていた訳ではなく、あくまで非常時の時のために」
韓媛は馬を走らせながら阿佐津姫にそう説明する。だが実際に人を乗せて馬を走らせるのは彼女もこれが初めてだった。
「へぇーそうなの。私の母も多少馬には乗ることが出来たみたい。ただ父が母を余り1人で乗らせるのは嫌だったみたいで、滅多に1人で乗ることはなかったようだけど」
(阿佐津姫の父親といえば、雄朝津間大王の兄にあたる方よね。会ったことはないけど)
「阿佐津姫のご両親はとても仲が良かったと、父の円から昔聞いたことがあります」
「本当にそうだったわ。でも母がなくなると、そんな母を追うようにして、父もあっけなく亡くなったわ……」
阿佐津姫はそういうと、それ以降は口を閉ざして話さなくなる。
韓媛も、きっと彼女は亡くなった両親のことを思い出したのだろうと思い、特に追求しないことにした。
そしてさらに馬を走らせていると、先ほど韓媛が見た光景に似たような場所までやってくることができた。
すると何やら人のいるような気配がしてくる。
「阿佐津姫、何か音が聞こえてこないですか。まるで剣をぶつけ合ってるような……」
恐らく2人の皇子はこの近くにいるのだろう。彼女らは馬から降りると、急いでその音のする方へと向かった。
そこで2人は物凄い光景を目にすることとなる。
市辺皇子と大泊瀬皇子がひどいボロボロの状態で、剣をやりあっていた。
良く見ると所々に傷も出来ていて、血も少し流れている。
(何て状況なの。2人とも本気でやりあってる……)
2人の皇子も韓媛達がやってきたことに気付いたらしく、大泊瀬皇子が思わず叫んだ。
「韓媛!お前達は絶対にこっちに来るな!!」
大泊瀬皇子は物凄い血相をしている。
だが大泊瀬皇子がそういった瞬間に市辺皇子がすかさず剣を向けた。
ちょっとでも油断すると確実に相手の剣を受けてしまう。
大泊瀬皇子は急いで剣を前に出して市辺皇子の剣を受け止める。2人の強さはほぼ互角のようだ。
「そういえば、大泊瀬も市辺も雄朝津間大王から剣を習ったと聞いてる。
当時大和の大王や皇子の中では、雄朝津間大王が1番強かったそうよ。
私の父も生前に、弟とやりあったら正直勝つのは難しいだろうと話していたぐらいだから……」
阿佐津姫は2人の戦いを見て、ふとそんなことを思い出した。
「え、雄朝津間大王はそれほど強かったのですか」
韓媛もこの話しは初めて聞く内容だと思った。
「でもまさか、韓媛あなたが馬に乗れるとは意外だったわね」
阿佐津姫は馬で走っている中、馬を乗りこなす韓媛を見てとても意外に思えた。
「はい、私の父がもしもの時の為にと、私に馬の乗り方を習わせてくれました。でも普段から良く乗っていた訳ではなく、あくまで非常時の時のために」
韓媛は馬を走らせながら阿佐津姫にそう説明する。だが実際に人を乗せて馬を走らせるのは彼女もこれが初めてだった。
「へぇーそうなの。私の母も多少馬には乗ることが出来たみたい。ただ父が母を余り1人で乗らせるのは嫌だったみたいで、滅多に1人で乗ることはなかったようだけど」
(阿佐津姫の父親といえば、雄朝津間大王の兄にあたる方よね。会ったことはないけど)
「阿佐津姫のご両親はとても仲が良かったと、父の円から昔聞いたことがあります」
「本当にそうだったわ。でも母がなくなると、そんな母を追うようにして、父もあっけなく亡くなったわ……」
阿佐津姫はそういうと、それ以降は口を閉ざして話さなくなる。
韓媛も、きっと彼女は亡くなった両親のことを思い出したのだろうと思い、特に追求しないことにした。
そしてさらに馬を走らせていると、先ほど韓媛が見た光景に似たような場所までやってくることができた。
すると何やら人のいるような気配がしてくる。
「阿佐津姫、何か音が聞こえてこないですか。まるで剣をぶつけ合ってるような……」
恐らく2人の皇子はこの近くにいるのだろう。彼女らは馬から降りると、急いでその音のする方へと向かった。
そこで2人は物凄い光景を目にすることとなる。
市辺皇子と大泊瀬皇子がひどいボロボロの状態で、剣をやりあっていた。
良く見ると所々に傷も出来ていて、血も少し流れている。
(何て状況なの。2人とも本気でやりあってる……)
2人の皇子も韓媛達がやってきたことに気付いたらしく、大泊瀬皇子が思わず叫んだ。
「韓媛!お前達は絶対にこっちに来るな!!」
大泊瀬皇子は物凄い血相をしている。
だが大泊瀬皇子がそういった瞬間に市辺皇子がすかさず剣を向けた。
ちょっとでも油断すると確実に相手の剣を受けてしまう。
大泊瀬皇子は急いで剣を前に出して市辺皇子の剣を受け止める。2人の強さはほぼ互角のようだ。
「そういえば、大泊瀬も市辺も雄朝津間大王から剣を習ったと聞いてる。
当時大和の大王や皇子の中では、雄朝津間大王が1番強かったそうよ。
私の父も生前に、弟とやりあったら正直勝つのは難しいだろうと話していたぐらいだから……」
阿佐津姫は2人の戦いを見て、ふとそんなことを思い出した。
「え、雄朝津間大王はそれほど強かったのですか」
韓媛もこの話しは初めて聞く内容だと思った。
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