14 / 68
14P
しおりを挟む
「まぁ、こいつの場合。時々こうやって勝手にいなくなるから、別に珍しい事でもないけど」
そう言って雄朝津間皇子は、市辺皇子の頭を軽く叩いた。
だが市辺皇子は全然反省している感じはなかった。
「でも、市辺皇子がまだこの宮にいたのはちょっと意外でした」
この宮には、この皇子の親代わりになるような人がいるとは思えなかった。
「元々こいつの父親が亡くなった時、今の大王夫婦が引き取ろうかと言う話にもなった。あそこには4歳になる女の子もいるからね。
だが母親に続いて父親まで亡くなってしまい、さらに住み慣れたこの宮から離れさすのも可流石に哀想で、それにこいつが俺と離れたくないと駄々をこねたんだよ。こいつ俺にはひどく懐いていたから」
「え、そんな事が」
忍坂姫は市辺皇子を見た。確かに雄朝津間皇子にはとても懐いてる感じには見えるが、まさかそこまでとは。これは本当に意外だ。
「その時もこいつが大泣きで、それを見た今の大王夫婦が俺にこいつを託す事にしたんだ。幸い母親が亡くなってから、こいつの世話は宮の使用人の女がしていたから、そこまで困る事も無かったんで」
「そうだったんですね、こんなにお小さいのに」
忍坂姫は思わず市辺皇子をぎゅっと抱き締めた。
市辺皇子は急に忍坂姫に抱き締められて、少し不思議そうな顔をした。
「しかし、そんな市辺がここまで君に懐くのはちょっと意外だったよ」
雄朝津間皇子にしても、自分以外でここまでこの皇子が他人に懐くのは始めて見た。よほど忍坂姫の事を気に入ったのだろう。
「まぁ、私も妹がいて、昔は良く遊び相手をしてましたから」
忍坂姫は市辺皇子の頭を撫でながら言った。そんな光景が雄朝津間皇子にはちょっと興味深く映って見えた。
「そう言えば、君とも昔1回一緒に遊んだ事あったけど、あの時は本当に悲惨だったな」
それを聞いた忍坂姫は一瞬「え?」と思った。確かに彼とは昔1度遊んだ事があるのは覚えているが、何か問題でもあっただろうか。
「あの時の君はかなりのお転婆で、本当に散々振り回されたからね。今の市辺皇子なんてまだ全然可愛いよ」
それを聞いた忍坂姫は当時の事を思い返した。確かに外をあっちこっち走り回り、色々駄々をこねた記憶がある。
「えぇーと、そう言えばそうでしたね……」
忍坂姫はだんだん恥ずかしくなってきた。当時はそんな事全然気にしてなかったが、今思い返してみれば、確かにあの時はかなりお転婆だった気がする。
そんな思い詰めた忍坂姫の表情を見て、雄朝津間皇子は思わず吹き出して笑った。
(皇子、別に笑わなくても……)
「最初大王から君との婚姻の話しを聞いた時、あのお転婆娘は流石に無理だと、正直思ったぐらいだからね」
それを聞いた忍坂姫は一瞬頭が真っ白になった。雄朝津間皇子が最初自分との婚姻を断った原因が、まさかそんな理由だったとは。
「そ、それは昔の事であって。今はそんなんじゃないです……多分」
(わぁー、本当に最悪だわ)
忍坂姫はだんだん泣きそうになって来た。どうしてこんな性格で自分は生まれてしまったのか。
そんな表情の彼女を見て雄朝津間皇子は言った。
「でも、確かに昔の君とはちょっと違うみたいだね。もし君が昔のままだったら、市辺がこんなに懐かなかっただろうし」
そんな忍坂姫に対して雄朝津間皇子は少し興味を覚えた。
市辺皇子がここまで懐くと言う事は、それだけ彼女の内面が素直で優しく、とても女性らしいのだろう。
(雄朝津間皇子……)
忍坂姫は雄朝津間皇子にそう言われて、何とか涙を押さえる事が出来た。
そんな様子を見ていた市辺皇子が、急に忍坂姫の服を引っ張って、話し掛けて来た。
「僕何かお腹空いてきた。ねぉ忍坂姫一緒にご飯食べに行こうよ~」
皇子は宮の中を色々歩きまわったので、お腹が空いてきたようだ。
「まぁ、それは大変。雄朝津間皇子、市辺皇子と一緒に食事に行って来ても良いですか?」
どうやら、忍坂姫は本気で市辺皇子に気に入られてしまったみたいだ。
「あぁ、それは構わないさ。俺も朝が早かったら、軽く食事でもするか。じゃあ市辺、俺も一緒に食べる事にするよ」
それを聞いた市辺皇子は少しムッとした。
「えぇ~僕は忍坂姫と食べたいの。叔父上は邪魔しないでよ」
そう言って市辺皇子は忍坂姫にぎゅっとしがみついた。
市辺皇子はどうも忍坂姫に甘えたい気分なのか、雄朝津間皇子が少し邪魔な存在に思えたみたいだ。
「か、可愛い~」
それを聞いた忍坂姫は、思わず市辺皇子を抱き締めた。
「じゃあ2人でご飯食べに行きましょうか」
(へぇ?)
雄朝津間皇子は思わず言葉を失った。
「うん、じゃあ忍坂姫は僕の妃だね」
市辺皇子はニコニコしながら彼女にそう言った。彼女からしたら市辺皇子は本当に愛くるしい皇子だ。
(もぅ、本当になんて可愛い皇子なの)
忍坂姫は市辺皇子にそう言われてかなり上機嫌だ。
幼い市辺皇子の思考ははっきりとはしないが、親を早くに亡くしている為か、夫婦や親子間の関係がやや曖昧なのかもしれない。
そんな市辺皇子の発言を聞いた雄朝津間皇子は、妃と言う発言に少し動揺した。
(何だろう、この状況。過去にも少し似たような事があったような……)
「じゃあ雄朝津間皇子、私市辺皇子と一緒に食事に行ってきますね」
そう言って忍坂姫は、市辺皇子と一所にスタスタと歩きだした。
それを見た雄朝津間皇子は慌てて2人を追いかけた。
「こらぁ、ちょっと待てって!」
そしてその後、何とか市辺皇子の機嫌を取って、3人で無事に食事をする事が出来た。
そう言って雄朝津間皇子は、市辺皇子の頭を軽く叩いた。
だが市辺皇子は全然反省している感じはなかった。
「でも、市辺皇子がまだこの宮にいたのはちょっと意外でした」
この宮には、この皇子の親代わりになるような人がいるとは思えなかった。
「元々こいつの父親が亡くなった時、今の大王夫婦が引き取ろうかと言う話にもなった。あそこには4歳になる女の子もいるからね。
だが母親に続いて父親まで亡くなってしまい、さらに住み慣れたこの宮から離れさすのも可流石に哀想で、それにこいつが俺と離れたくないと駄々をこねたんだよ。こいつ俺にはひどく懐いていたから」
「え、そんな事が」
忍坂姫は市辺皇子を見た。確かに雄朝津間皇子にはとても懐いてる感じには見えるが、まさかそこまでとは。これは本当に意外だ。
「その時もこいつが大泣きで、それを見た今の大王夫婦が俺にこいつを託す事にしたんだ。幸い母親が亡くなってから、こいつの世話は宮の使用人の女がしていたから、そこまで困る事も無かったんで」
「そうだったんですね、こんなにお小さいのに」
忍坂姫は思わず市辺皇子をぎゅっと抱き締めた。
市辺皇子は急に忍坂姫に抱き締められて、少し不思議そうな顔をした。
「しかし、そんな市辺がここまで君に懐くのはちょっと意外だったよ」
雄朝津間皇子にしても、自分以外でここまでこの皇子が他人に懐くのは始めて見た。よほど忍坂姫の事を気に入ったのだろう。
「まぁ、私も妹がいて、昔は良く遊び相手をしてましたから」
忍坂姫は市辺皇子の頭を撫でながら言った。そんな光景が雄朝津間皇子にはちょっと興味深く映って見えた。
「そう言えば、君とも昔1回一緒に遊んだ事あったけど、あの時は本当に悲惨だったな」
それを聞いた忍坂姫は一瞬「え?」と思った。確かに彼とは昔1度遊んだ事があるのは覚えているが、何か問題でもあっただろうか。
「あの時の君はかなりのお転婆で、本当に散々振り回されたからね。今の市辺皇子なんてまだ全然可愛いよ」
それを聞いた忍坂姫は当時の事を思い返した。確かに外をあっちこっち走り回り、色々駄々をこねた記憶がある。
「えぇーと、そう言えばそうでしたね……」
忍坂姫はだんだん恥ずかしくなってきた。当時はそんな事全然気にしてなかったが、今思い返してみれば、確かにあの時はかなりお転婆だった気がする。
そんな思い詰めた忍坂姫の表情を見て、雄朝津間皇子は思わず吹き出して笑った。
(皇子、別に笑わなくても……)
「最初大王から君との婚姻の話しを聞いた時、あのお転婆娘は流石に無理だと、正直思ったぐらいだからね」
それを聞いた忍坂姫は一瞬頭が真っ白になった。雄朝津間皇子が最初自分との婚姻を断った原因が、まさかそんな理由だったとは。
「そ、それは昔の事であって。今はそんなんじゃないです……多分」
(わぁー、本当に最悪だわ)
忍坂姫はだんだん泣きそうになって来た。どうしてこんな性格で自分は生まれてしまったのか。
そんな表情の彼女を見て雄朝津間皇子は言った。
「でも、確かに昔の君とはちょっと違うみたいだね。もし君が昔のままだったら、市辺がこんなに懐かなかっただろうし」
そんな忍坂姫に対して雄朝津間皇子は少し興味を覚えた。
市辺皇子がここまで懐くと言う事は、それだけ彼女の内面が素直で優しく、とても女性らしいのだろう。
(雄朝津間皇子……)
忍坂姫は雄朝津間皇子にそう言われて、何とか涙を押さえる事が出来た。
そんな様子を見ていた市辺皇子が、急に忍坂姫の服を引っ張って、話し掛けて来た。
「僕何かお腹空いてきた。ねぉ忍坂姫一緒にご飯食べに行こうよ~」
皇子は宮の中を色々歩きまわったので、お腹が空いてきたようだ。
「まぁ、それは大変。雄朝津間皇子、市辺皇子と一緒に食事に行って来ても良いですか?」
どうやら、忍坂姫は本気で市辺皇子に気に入られてしまったみたいだ。
「あぁ、それは構わないさ。俺も朝が早かったら、軽く食事でもするか。じゃあ市辺、俺も一緒に食べる事にするよ」
それを聞いた市辺皇子は少しムッとした。
「えぇ~僕は忍坂姫と食べたいの。叔父上は邪魔しないでよ」
そう言って市辺皇子は忍坂姫にぎゅっとしがみついた。
市辺皇子はどうも忍坂姫に甘えたい気分なのか、雄朝津間皇子が少し邪魔な存在に思えたみたいだ。
「か、可愛い~」
それを聞いた忍坂姫は、思わず市辺皇子を抱き締めた。
「じゃあ2人でご飯食べに行きましょうか」
(へぇ?)
雄朝津間皇子は思わず言葉を失った。
「うん、じゃあ忍坂姫は僕の妃だね」
市辺皇子はニコニコしながら彼女にそう言った。彼女からしたら市辺皇子は本当に愛くるしい皇子だ。
(もぅ、本当になんて可愛い皇子なの)
忍坂姫は市辺皇子にそう言われてかなり上機嫌だ。
幼い市辺皇子の思考ははっきりとはしないが、親を早くに亡くしている為か、夫婦や親子間の関係がやや曖昧なのかもしれない。
そんな市辺皇子の発言を聞いた雄朝津間皇子は、妃と言う発言に少し動揺した。
(何だろう、この状況。過去にも少し似たような事があったような……)
「じゃあ雄朝津間皇子、私市辺皇子と一緒に食事に行ってきますね」
そう言って忍坂姫は、市辺皇子と一所にスタスタと歩きだした。
それを見た雄朝津間皇子は慌てて2人を追いかけた。
「こらぁ、ちょっと待てって!」
そしてその後、何とか市辺皇子の機嫌を取って、3人で無事に食事をする事が出来た。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
(学園 + アイドル ÷ 未成年)× オッサン ≠ いちゃらぶ生活
まみ夜
キャラ文芸
年の差ラブコメ X 学園モノ X オッサン頭脳
様々な分野の専門家、様々な年齢を集め、それぞれ一芸をもっている学生が講師も務めて教え合う教育特区の学園へ出向した五十歳オッサンが、十七歳現役アイドルと同級生に。
子役出身の女優、芸能事務所社長、元セクシー女優なども登場し、学園の日常はハーレム展開?
第二巻は、ホラー風味です。
【ご注意ください】
※物語のキーワードとして、摂食障害が出てきます
※ヒロインの少女には、ストーカー気質があります
※主人公はいい年してるくせに、ぐちぐち悩みます
第二巻「夏は、夜」の改定版が完結いたしました。
この後、第三巻へ続くかはわかりませんが、万が一開始したときのために、「お気に入り」登録すると忘れたころに始まって、通知が意外とウザいと思われます。
表紙イラストはAI作成です。
(セミロング女性アイドルが彼氏の腕を抱く 茶色ブレザー制服 アニメ)
題名が「(同級生+アイドル÷未成年)×オッサン≠いちゃらぶ」から変更されております
与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし
かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし
長屋シリーズ一作目。
第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。
十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。
頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。
一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。
日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー
黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた!
あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。
さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。
この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。
さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる