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63P《二人の想い》
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その頃、自分の宮に戻っていた忍坂姫は、久々に宮から少し行った所にある草原に来ていた。
「それにしても、まさかこんなに早く次の相手が紹介されて、トントン拍子で婚姻にまで進むとは思ってもみなかったわ」
彼女は先日その相手の男性と会っていた。葛城の皇子で、自分よりも5歳程年上の人だった。性格もとても温厚そうな人で、妻も私1人で構わないと言ってくれた。
彼女自身、彼の事が好きかはまだ良く分からない。でもとても優しそうな人だったのと、両親もこれで安心出来るととても喜んでいた。
そしてふと彼女は部屋から持って来たあの不思議な鏡を手に持って見た。こっちに戻って来てから、この鏡には何も不思議な光景が写る事はなかった。
「鏡に何も映らないと言う事は、きっとその必要性が今は無いって事なんでしょうね」
すると少し離れた所から人の声がした。
「何だ、こんな所にいたのか」
忍坂姫は慌てて鏡を横に置いて、それからその声の主の方を見た。
(な、何で彼がここにいるの)
そこには、本来いるはずのないあの人物が立っていた。
「お、雄朝津間皇子。何で皇子がここに来てるんですか?」
忍坂姫はいきなりの彼の登場に、かなり動揺した。でも皇子を前にして逃げる訳にも行かず、そのままその場で固まった。
すると彼はそのまま彼女の傍まで来て、彼女の横に腰を降ろして座った。
「へぇー、ここは君のお気に入りの場所?ここで昼寝とかしたらさぞ気持ち良いんだろうね」
彼はふと、そんなふうに思って言った。
「はい、私もうっかりここで寝た事は何度かあります」
それを聞いて皇子はやっぱりそうだろうなと思った。この姫なら普通にありえそうだ。
「多分、君ならそう言うと思ったよ」
雄朝津間皇子は少し笑いながら言った。
そして2人は、しばしそこからの景色を眺めていた。
そして暫くしてから皇子が話し出した。
「君はいつも、どちらかと言うと先に行動に出る感じだなとは思っていたけど、流石に今回は驚かされたよ。
宮に戻ったら君がいなくなっていて、それで宮の者に聞いたら、1ヶ月を待たずに自分の宮に戻ったって言うんだからさ」
雄朝津間皇子は少し拗ねたような感じで言った。
それを聞いた忍坂姫は、やっぱり何の挨拶も無しに宮を出ていった事に、彼は怒っているんだなと思った。まあ普通ならそう考えて当たり前だろう。
「雄朝津間皇子、その件については本当に済みませんでした。婚姻の事が無くなり、何か顔を会わせずらくなって……」
忍坂姫は思わず下を向いてしまった。まさか彼がここまで会いに来るとは思ってもみなかったのだ。
「まぁ、その理由は大王から全部聞いているよ。それにそうするよう指示したのは大王みたいだったから。お陰で今回は久々に、他の事も含めてだけど大王相手に怒鳴り散らしたよ」
(え!あの後そんな事になっていたの。それは知らなかった...皇子だけでなく大王に対しても本当に申し訳ないわ)
「それは本当に済みませんでした。その後大王との関係は問題ないでしょうか?」
先の大王が即位前に弟皇子の謀反にあったりもしていたので、皇族同士の言い争いは笑い事では済まされない。
「あぁ、その点は特に問題ない。単なる兄弟喧嘩のようなものだから。君は心配しなくて良い」
雄朝津間皇子はそう言うと、ふと彼女の横に置いてある鏡が目に入った。
これは恐らく不思議の光景が映っていたあの鏡であろう。
「あ、そうそう。その鏡の事も聞きたかったんだよね。忍坂姫はその鏡が普通の鏡じゃない事を知っていたんだろ?」
雄朝津間皇子は、ひょいっと手を伸ばして、その鏡を手に持ってみた。だが今は特に変わった感じには見られなかった。
「前回の嵯多彦の襲撃の時、部屋でこの鏡に君や大王の后が映っていた。それで不安になって、あの小高い丘に行ったんだよ」
(やっぱりあの時、雄朝津間皇子はこの鏡を見たんだ)
忍坂姫は雄朝津間皇子にそう言われたので、この鏡のこれまでの経緯を彼に話した。
雄朝津間皇子も少し驚きはしたが、それでも彼女の話しを横で真剣に聞いていた。
「なる程ね、ここ1ヶ月の君の行動の理由が分かったよ。全てはこの鏡が教えてくれていたんだ。
もしかすると、この鏡は元々儀式か何かで使われていたのかも知れないね」
彼はそう言って鏡を彼女に返した。どうもこの鏡を取り上げるつもりは彼には無いらしい。
「ただそれ以降は、特に変わった光景は映ってません」
「ふぅーん、何とも気まぐれな鏡だね。でも前回はその鏡がなかったら、本当に大変な事になっていたよ」
忍坂姫と皇子は、この鏡が何なのかは結局の所良く分からない。
「とりあえず、それは君が母親から貰った物なんだろう?であれば大事に持っていたら良いと思う。別に君に害が出るものでもないし」
皇子にそう言われ、彼女もそれもそうだと思った。もしかすると今後またこの鏡に不思議な光景が映る事が起こるかもしれない。
「これは見えない物を映す鏡って、お母様が言ってました。きっと自分達ではどうする事も出来ない時に、また教えてくれるのかも知れないわ」
忍坂姫はそう思いながら、鏡をまた自分の横に置いた。
「俺も何となく、そう思うよ。親から子に受け継がれている物だから、またこの鏡を必要とする日が来るんだろう」
雄朝津間皇子も、何となくそんな気がした。
「それにしても、まさかこんなに早く次の相手が紹介されて、トントン拍子で婚姻にまで進むとは思ってもみなかったわ」
彼女は先日その相手の男性と会っていた。葛城の皇子で、自分よりも5歳程年上の人だった。性格もとても温厚そうな人で、妻も私1人で構わないと言ってくれた。
彼女自身、彼の事が好きかはまだ良く分からない。でもとても優しそうな人だったのと、両親もこれで安心出来るととても喜んでいた。
そしてふと彼女は部屋から持って来たあの不思議な鏡を手に持って見た。こっちに戻って来てから、この鏡には何も不思議な光景が写る事はなかった。
「鏡に何も映らないと言う事は、きっとその必要性が今は無いって事なんでしょうね」
すると少し離れた所から人の声がした。
「何だ、こんな所にいたのか」
忍坂姫は慌てて鏡を横に置いて、それからその声の主の方を見た。
(な、何で彼がここにいるの)
そこには、本来いるはずのないあの人物が立っていた。
「お、雄朝津間皇子。何で皇子がここに来てるんですか?」
忍坂姫はいきなりの彼の登場に、かなり動揺した。でも皇子を前にして逃げる訳にも行かず、そのままその場で固まった。
すると彼はそのまま彼女の傍まで来て、彼女の横に腰を降ろして座った。
「へぇー、ここは君のお気に入りの場所?ここで昼寝とかしたらさぞ気持ち良いんだろうね」
彼はふと、そんなふうに思って言った。
「はい、私もうっかりここで寝た事は何度かあります」
それを聞いて皇子はやっぱりそうだろうなと思った。この姫なら普通にありえそうだ。
「多分、君ならそう言うと思ったよ」
雄朝津間皇子は少し笑いながら言った。
そして2人は、しばしそこからの景色を眺めていた。
そして暫くしてから皇子が話し出した。
「君はいつも、どちらかと言うと先に行動に出る感じだなとは思っていたけど、流石に今回は驚かされたよ。
宮に戻ったら君がいなくなっていて、それで宮の者に聞いたら、1ヶ月を待たずに自分の宮に戻ったって言うんだからさ」
雄朝津間皇子は少し拗ねたような感じで言った。
それを聞いた忍坂姫は、やっぱり何の挨拶も無しに宮を出ていった事に、彼は怒っているんだなと思った。まあ普通ならそう考えて当たり前だろう。
「雄朝津間皇子、その件については本当に済みませんでした。婚姻の事が無くなり、何か顔を会わせずらくなって……」
忍坂姫は思わず下を向いてしまった。まさか彼がここまで会いに来るとは思ってもみなかったのだ。
「まぁ、その理由は大王から全部聞いているよ。それにそうするよう指示したのは大王みたいだったから。お陰で今回は久々に、他の事も含めてだけど大王相手に怒鳴り散らしたよ」
(え!あの後そんな事になっていたの。それは知らなかった...皇子だけでなく大王に対しても本当に申し訳ないわ)
「それは本当に済みませんでした。その後大王との関係は問題ないでしょうか?」
先の大王が即位前に弟皇子の謀反にあったりもしていたので、皇族同士の言い争いは笑い事では済まされない。
「あぁ、その点は特に問題ない。単なる兄弟喧嘩のようなものだから。君は心配しなくて良い」
雄朝津間皇子はそう言うと、ふと彼女の横に置いてある鏡が目に入った。
これは恐らく不思議の光景が映っていたあの鏡であろう。
「あ、そうそう。その鏡の事も聞きたかったんだよね。忍坂姫はその鏡が普通の鏡じゃない事を知っていたんだろ?」
雄朝津間皇子は、ひょいっと手を伸ばして、その鏡を手に持ってみた。だが今は特に変わった感じには見られなかった。
「前回の嵯多彦の襲撃の時、部屋でこの鏡に君や大王の后が映っていた。それで不安になって、あの小高い丘に行ったんだよ」
(やっぱりあの時、雄朝津間皇子はこの鏡を見たんだ)
忍坂姫は雄朝津間皇子にそう言われたので、この鏡のこれまでの経緯を彼に話した。
雄朝津間皇子も少し驚きはしたが、それでも彼女の話しを横で真剣に聞いていた。
「なる程ね、ここ1ヶ月の君の行動の理由が分かったよ。全てはこの鏡が教えてくれていたんだ。
もしかすると、この鏡は元々儀式か何かで使われていたのかも知れないね」
彼はそう言って鏡を彼女に返した。どうもこの鏡を取り上げるつもりは彼には無いらしい。
「ただそれ以降は、特に変わった光景は映ってません」
「ふぅーん、何とも気まぐれな鏡だね。でも前回はその鏡がなかったら、本当に大変な事になっていたよ」
忍坂姫と皇子は、この鏡が何なのかは結局の所良く分からない。
「とりあえず、それは君が母親から貰った物なんだろう?であれば大事に持っていたら良いと思う。別に君に害が出るものでもないし」
皇子にそう言われ、彼女もそれもそうだと思った。もしかすると今後またこの鏡に不思議な光景が映る事が起こるかもしれない。
「これは見えない物を映す鏡って、お母様が言ってました。きっと自分達ではどうする事も出来ない時に、また教えてくれるのかも知れないわ」
忍坂姫はそう思いながら、鏡をまた自分の横に置いた。
「俺も何となく、そう思うよ。親から子に受け継がれている物だから、またこの鏡を必要とする日が来るんだろう」
雄朝津間皇子も、何となくそんな気がした。
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