琥珀と二人の怪獣王 建国の怪獣聖書

なべのすけ

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第8獣

怪獣8-9

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「だけど、このままだったらこっちもやられるぞ!」
『そうだ! 早く場所を変えるんだ!』
 以前、魚雷攻撃を受けたことを蘭とゴリアスは思い出す。
「蘭、ゴリアス! 動かないで! ここにいるんだ、むしろここが安全だよ」
(一体何を言い出すんだ……?)
(秀人なりに、考えがあるんだな……)
 蘭とゴリアスは、秀人の言葉に従い、動かないでその場に留まる。また、魚雷の発射音が小さく聞こえてくる。
「また来るぞ! どうするんだ!」
「いいから、動かないで!」
 水泡の線を描いて飛んできた二本の魚雷は再びグリフォンに命中する。もう二発もグリフォンに当たり、ゴリアスには当たらない。
『どうしたんだ? こっちには飛んでこないぞ?』
「本当だ……、どうして?」
「それは、誘導方式を逆手に取ったからだよ。魚雷の誘導方式はパッシブ方式とアクティブ方式があって、パッシブ方式は敵の発する音を目標に追尾する。アクティブ方式は魚雷自らの、音波の発射で目標を追跡するタイプがあるんだ」
『両方とも音をメインに使っている……、それなら……』
 秀人の言葉を、ゴリアスは理解した。
『それなら、黙っていればこっちに魚雷は来ないわけか……。だからここを動かなかったんだな!』
「そう、下手に動いたらこっちも目標になるからね!」
「流石秀人! やるな!」
 蘭が秀人を褒めると、魚雷攻撃が止まった。全弾撃ち尽くしたのだろう。それでもグリフォンの勢いは衰えていない。
『攻撃が止まったぞ』
「こっちも反撃開始だ! このまま行くぞ!」
 海中で足を動かして、立ち泳ぎの要領で進み、頭突きを叩き込む。
 肉の打ち付ける音が聞こえて、大きく頭が眩む。一瞬気が遠くなるがすぐに元に戻る。今は気絶なんてしている余裕はない。
 ゴリアスの頭突きを受けて、反撃を試みるも、潜水病に苦しんでいる上に頭突きの衝撃を受けて、どこに行ったらいいのか分からず、水中で縦にグルグル回っている。
 まるでハムスターの回し車のようだが、その中でも一瞬見えた、ゴリアス目掛けて進んでくる。回転の力を利用して、体をぶつけてダメージを与えようとしているのだろう。
 ぐるぐる回転しながら、手と足を振り回す。白い線を引いている水泡の中にきらりと光るものを秀人は見逃さなかった。
「蘭、気を付けて!」
「分かっている!」
 たちまち間隔詰まり、目の前に巨大な回転する輪がスーっと、体を掠めていく。
「危なかったね……」
「あぁ、あの野郎、鉤爪剥き出しにしてやがった。回転しながら切り刻むつもりなんだろうな……」
 遠ざかっていく輪を見ながら呟くが、ブーメランのように戻ってきた。線を引いた、水泡がくの字型に曲がる。
「また来やがる!」
『奴は、ああやって距離を測っていたんだろう! 今度は確実に当てて来るぞ!』
 ゴリアスの言葉を聞きながら、秀人は考える。
 どうやったら、あの回転から逃げられるのか? この水中で……。
 水中と言う場所だからこそ、さらに案が浮かぶ。
「蘭、このままここにいて! グリフォンが来たら、下に沈むんだ!」
「分かった!」
 再びターンをして、向かってくる。回転する水音のくぐもった木霊が、徐々に大きくなってくる。
「今だ!」
 合図と共に一気に体は海底すれすれまで沈む。
 回転しながら、ゴリアスがどこにいるのかグリフォンは分かったのだろう。ブーメランのように方向転換をしつつ、そのまま海底に衝突した。
 ズズズっと水と海底が震えて、衝撃音が伝わってくる。砂利とサンゴ、貝が粉々に砕け散って水中を汚している。見ると、グリフォンは体を円のように曲げながら、巨体をめり込んでいた。
 秀人の計算通りだった。回転しながら進み、方向転換中も回っているのなら周囲の確認はおろそかになっている。その隙を狙って動けば、かなり簡単にダメージを与えることは出来る。秀人の計算勝ちだ。
「やった!」
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