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第8獣
怪獣8-8
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「じゃあ水中に行くか!」
「もちろん!」
『二人とも、気を引き締めろ!』
ゴリアスの言葉に同意すると、海に飛び込む。波が揺れて、グリフォンが落っことした、デルタⅣ級原子力潜水艦の船尾部分を、海に引きずり込んだ。二基の加圧型原子炉とミサイル発射管が備え付けてあり、核燃料が沢山入っているのだった。
水中に隠れながら、グリフォンの出方を見た。
「様子見かな? グリフォンの奴……」
『多分な、だがどこから来るのか身構えていろ』
ゴリアスの言葉に、緊張感が走る。水の中に居て体が冷たいはずなのに、一切冷たさを感じなかった。
ドボンと音が響いて、黒い影と共に水泡が立った。「蘭! 目の前だ!」
秀人の言葉に身構えると、一直線にグリフォンが向かって来た。一瞬で距離が縮まり、鉤爪向けながら、進んでくる。
その鉤爪をかわし、両手で掴んでくるっとターンして、グリフォンの体を下に沈めさせ、両足で腕を掴み、逆方向に力を籠める。
ボキリとへし折れる音が、くぐもって聞こえてきた。
「よし! 片手を使えなくさせてやったぞ」
グリフォンの武器を無力化させ、思わず蘭が言う。
『まだだ、奴はまだ抵抗するぞ!』
ゴリアスの言葉と共に、グリフォンの尻尾がしなる。ゴリアスの体にまとわりつき、ミシミシと体が軋み始めた。
体の締め付けられる痛みが、蘭と秀人に伝わる。全身を万力で絞められている感じだ。内臓に痛みが伝わって、息が出来なくなる。
「くっ、くっ。こいつは……!」
『ぐぐっ! 絞め殺すつもりだ……』
このままなら、全身を締め付けられ砕かれて死ぬ。そんな考えが頭の中を過って消えて行く。
「蘭……、全身に……、体重をかけてそのまま沈ませるんだ……」
締め付けられ、苦しさで意識が飛んでしまいそうな中で、秀人が提案する。
二人は力み、体重をかける。ゆっくりとだが、海中にゴリアスの体は沈んでいく。それはグリフォンも同様だ。奈落の底に落ちていくかのように、体は徐々に引きずり込まれる。
二人はそれに気づいて、体を引き上げようとするも、ゴリアスの巨体は全く動かず、藻掻けば藻掻くほど、アリジゴクのように沈んで行く。
突如、グリフォンの体が小さく震え始めた。それはゴリアスの締め付けに限界が来たのかと思っていたのだが、違っていた。目に見えない何かがグリフォンを襲い始めた。黒く小さな影が武器を持って、全身を突き刺してくる。それから逃れるように、体をねじると、尻尾が離れてゴリアスは自由になった。
『一体何が?』
「どうしたんだ?」
何が起こったのか分からず、ゴリアスと蘭はきょとんとする。
「潜水病を引き起こしたんだ」
「昔、注意されたな」
幼い時に蘭と秀人は、お互いの家族同士で海水浴に行った。その時に注意されたのが深く潜りすぎると、潜水病を引き起こす可能性があると、五島博士に言われたのだ。
潜水病、高圧下での長時間潜水作業の減圧過程で起こる障害。秀人が海底に沈むよう、指示したのは、潜水病を狙ったためで、それが見事に成功した。
急速に海底に降下したため、急減圧による潜水病がグリフォンを襲ったのだ、今、酸素酔いという状に苦しめられている。
『これを狙っていたのか……』
秀人の考えに、ゴリアスが感嘆の声を漏らした。
海中で口を開けたため、海水が口の中に入り込んで、魚が地上に出た時のように苦しむ。
「一気にカタを付けてやる!」
「蘭、もう少し待って! 今すぐに援軍が来る!」
秀人の言葉に、蘭とゴリアスは戸惑う。
「なんだよそれって?」
『一体何のことだ?』
秀人の言葉通りに、援軍はやって来た。海中を進んでくる音がやがて大きくなり、グリフォンの体に命中して、灰色の雲と衝撃波が伝わってくる。
「もしかして、魚雷のことか!」
蘭の言葉に秀人は軽く頷いた。
「もちろん!」
『二人とも、気を引き締めろ!』
ゴリアスの言葉に同意すると、海に飛び込む。波が揺れて、グリフォンが落っことした、デルタⅣ級原子力潜水艦の船尾部分を、海に引きずり込んだ。二基の加圧型原子炉とミサイル発射管が備え付けてあり、核燃料が沢山入っているのだった。
水中に隠れながら、グリフォンの出方を見た。
「様子見かな? グリフォンの奴……」
『多分な、だがどこから来るのか身構えていろ』
ゴリアスの言葉に、緊張感が走る。水の中に居て体が冷たいはずなのに、一切冷たさを感じなかった。
ドボンと音が響いて、黒い影と共に水泡が立った。「蘭! 目の前だ!」
秀人の言葉に身構えると、一直線にグリフォンが向かって来た。一瞬で距離が縮まり、鉤爪向けながら、進んでくる。
その鉤爪をかわし、両手で掴んでくるっとターンして、グリフォンの体を下に沈めさせ、両足で腕を掴み、逆方向に力を籠める。
ボキリとへし折れる音が、くぐもって聞こえてきた。
「よし! 片手を使えなくさせてやったぞ」
グリフォンの武器を無力化させ、思わず蘭が言う。
『まだだ、奴はまだ抵抗するぞ!』
ゴリアスの言葉と共に、グリフォンの尻尾がしなる。ゴリアスの体にまとわりつき、ミシミシと体が軋み始めた。
体の締め付けられる痛みが、蘭と秀人に伝わる。全身を万力で絞められている感じだ。内臓に痛みが伝わって、息が出来なくなる。
「くっ、くっ。こいつは……!」
『ぐぐっ! 絞め殺すつもりだ……』
このままなら、全身を締め付けられ砕かれて死ぬ。そんな考えが頭の中を過って消えて行く。
「蘭……、全身に……、体重をかけてそのまま沈ませるんだ……」
締め付けられ、苦しさで意識が飛んでしまいそうな中で、秀人が提案する。
二人は力み、体重をかける。ゆっくりとだが、海中にゴリアスの体は沈んでいく。それはグリフォンも同様だ。奈落の底に落ちていくかのように、体は徐々に引きずり込まれる。
二人はそれに気づいて、体を引き上げようとするも、ゴリアスの巨体は全く動かず、藻掻けば藻掻くほど、アリジゴクのように沈んで行く。
突如、グリフォンの体が小さく震え始めた。それはゴリアスの締め付けに限界が来たのかと思っていたのだが、違っていた。目に見えない何かがグリフォンを襲い始めた。黒く小さな影が武器を持って、全身を突き刺してくる。それから逃れるように、体をねじると、尻尾が離れてゴリアスは自由になった。
『一体何が?』
「どうしたんだ?」
何が起こったのか分からず、ゴリアスと蘭はきょとんとする。
「潜水病を引き起こしたんだ」
「昔、注意されたな」
幼い時に蘭と秀人は、お互いの家族同士で海水浴に行った。その時に注意されたのが深く潜りすぎると、潜水病を引き起こす可能性があると、五島博士に言われたのだ。
潜水病、高圧下での長時間潜水作業の減圧過程で起こる障害。秀人が海底に沈むよう、指示したのは、潜水病を狙ったためで、それが見事に成功した。
急速に海底に降下したため、急減圧による潜水病がグリフォンを襲ったのだ、今、酸素酔いという状に苦しめられている。
『これを狙っていたのか……』
秀人の考えに、ゴリアスが感嘆の声を漏らした。
海中で口を開けたため、海水が口の中に入り込んで、魚が地上に出た時のように苦しむ。
「一気にカタを付けてやる!」
「蘭、もう少し待って! 今すぐに援軍が来る!」
秀人の言葉に、蘭とゴリアスは戸惑う。
「なんだよそれって?」
『一体何のことだ?』
秀人の言葉通りに、援軍はやって来た。海中を進んでくる音がやがて大きくなり、グリフォンの体に命中して、灰色の雲と衝撃波が伝わってくる。
「もしかして、魚雷のことか!」
蘭の言葉に秀人は軽く頷いた。
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