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第十三章:咆哮
71話
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(いや……違う!)
その魔物は、先に倒したそれよりも遥かに強大な威圧を放っていた。
全長にして六メートルは下らぬその圧倒的な体格は、明らかに先の個体よりも格が上であることを示している。
両腕全体に揺らめく紫色の魔力は濃密すぎる死の世界を感じさせ、目にするだけで気力を萎えさせ、体に震えを起こさせる。
その眼光は如何なる理知をも感じさせない、常軌を逸した殺意と狂気の色に染まっており、暴虐と蹂躙による凄惨を生み出すだけの暴力装置を思わせた。
いずれにしろ、尋常ならざる者であるのは明白である。
そして戦闘を避け得ぬことも、また明確であったのだ。
恐怖すら生温く感じられるほどの圧威を漲らせている凶獣を前に、さしものキーリも呆然として立ち竦まずにはいられなかった。
無意識に構えた大剣が微かに震えているのは、心の奥底から這い出ようとしている名も無き深淵によるものだろう。
糸の切れた人形のように立ち尽くす彼女を、しかし眼前の凶獣は何物とも思わない。
邪魔とすら、思っているかどうか。
彼の者は当然のように、目に見える動物を視界から消そうとして、その剛腕を無造作に振るった。
空間を叩き壊すようなその衝撃はしかし、キーリを直撃することは無かったのである。
掠らせすら、しなかったのだ。
自失していた彼女を救ったのは――
「……ロア……?」
「しっかりして下さい、キーリ! ……やれますね?」
キーリが誰よりも信頼している、相棒のロアであった。
今の四人パーティになる前からの、初期から組んでいた相棒である。
物心つかぬ幼き頃より一緒に育った、唯一無二の親友である。
その彼女の強い輝きが、笑んだ表情に浮かぶ眩しさが、虚脱に陥りかけていたキーリを救い出した。
恐怖を払い、生気を与え、心の底から這い出ようとしていた深淵を封じ込め、戦う力を取り戻させたのだ。
「……ありがとう、ロア。私はやれる」
「それでこそ、ですよ」
その魔物は、先に倒したそれよりも遥かに強大な威圧を放っていた。
全長にして六メートルは下らぬその圧倒的な体格は、明らかに先の個体よりも格が上であることを示している。
両腕全体に揺らめく紫色の魔力は濃密すぎる死の世界を感じさせ、目にするだけで気力を萎えさせ、体に震えを起こさせる。
その眼光は如何なる理知をも感じさせない、常軌を逸した殺意と狂気の色に染まっており、暴虐と蹂躙による凄惨を生み出すだけの暴力装置を思わせた。
いずれにしろ、尋常ならざる者であるのは明白である。
そして戦闘を避け得ぬことも、また明確であったのだ。
恐怖すら生温く感じられるほどの圧威を漲らせている凶獣を前に、さしものキーリも呆然として立ち竦まずにはいられなかった。
無意識に構えた大剣が微かに震えているのは、心の奥底から這い出ようとしている名も無き深淵によるものだろう。
糸の切れた人形のように立ち尽くす彼女を、しかし眼前の凶獣は何物とも思わない。
邪魔とすら、思っているかどうか。
彼の者は当然のように、目に見える動物を視界から消そうとして、その剛腕を無造作に振るった。
空間を叩き壊すようなその衝撃はしかし、キーリを直撃することは無かったのである。
掠らせすら、しなかったのだ。
自失していた彼女を救ったのは――
「……ロア……?」
「しっかりして下さい、キーリ! ……やれますね?」
キーリが誰よりも信頼している、相棒のロアであった。
今の四人パーティになる前からの、初期から組んでいた相棒である。
物心つかぬ幼き頃より一緒に育った、唯一無二の親友である。
その彼女の強い輝きが、笑んだ表情に浮かぶ眩しさが、虚脱に陥りかけていたキーリを救い出した。
恐怖を払い、生気を与え、心の底から這い出ようとしていた深淵を封じ込め、戦う力を取り戻させたのだ。
「……ありがとう、ロア。私はやれる」
「それでこそ、ですよ」
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