エルフだと思った? 残念! エルフじゃなくてゴブリンでした!

広畝 K

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六章「闘争」

264話

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 攻撃魔法を撃たなくなって久しい娘に、老人は告げた。

「勝負あったようだな」

 老人の息は乱れておらず、娘の息は乱れている。
 魔法によって疲労を回復する術もあるが、娘はそれすらもできないほどに魔力が枯渇しているらしい。
 顔を苦しげに歪めて老人を睨みつけているが、その手は自らの腹部に当てられ、僅かな魔法すら行使できない状態だ。
 誰の目から見ても、勝敗は決していた。

 老人は地に刺していた杖を抜き、魔法陣を解除した。
 解除して戦っても、今の娘は敵とするには弱り過ぎている。
 最早、相手になり得ない。

「命は取らぬ」

 だが、私たちの後を追うな、と老人は言った。
 もし追ってくれば、殺さざるを得なくなる、と言うのである。

 その言葉は娘にとって、侮辱ですらあった。
 殺すべき敵に、情けをかけられている。
 命を賭けて戦った敵から、お前の命などどうでも良いと言われたのだ。
 老人にその意思はないだろうが、少なくとも、娘は老人の言葉をそう解釈した。

 ――無様だ……!

 舐めて掛かった結果が、これである。
 命を奪えず、そして奪われず、何のために戦ったというのか。

 否、老人にとっては、意味があっただろう。

 娘をこの場に留め置いただけでなく、継戦能力すら奪ったのだ。
 命を奪わないのは、やがて娘の仲間が助けに来ると踏んでいるからである。
 そしてその仲間が娘を助けることによって、盗賊たちが逃げられる時間を僅かでも稼いでおきたいというのが老人の思惑であった。
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