Lv.1のチートな二人

Amane

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episode1

一日の終わり

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「はぁ…疲れた…。」

ベッドにゴロリと寝転がり、やっと今日一日が終わったのだという自覚を得る。

「でも、充実した一日だったね。」

ティアはランタンに火を灯し、俺のベッドの脇にある椅子に座った。
民家の一角に、少し離れた丘に立つ家。そこが今日から俺達の家だ。鍵もなく、電気もない木造建の家。昔、スキーに出かけた時に泊まったロッジに雰囲気が似ている。
ベッドは硬いが、前世でも畳の上で寝ていたので違和感がない。
家の中身が空っぽだったらどうしようかと思っていたが、最低限の家具と食材は揃っていた。
腐りそうな物は俺の無限収納で新鮮なまま収納出来るので、なんとかなりそうだ。
だけど、風呂は外の川で汗を流すだけ。そしてトイレに至っては昔懐かしいぼっとんトイレだ。
排出物は下に流された後、“リサイクル”という魔法で土に還ると言う。その辺りは地球より進化しているのかもしれない。
流石にこのままの状態で過ごすのは、嫌かもしれない。
いつかは快適に過ごせる家に建て替えたい所だ。

「…あれ?」
「どうしたの?」

[ゼロ・オル・ファース 17歳
人間族 Lv.1 エスポワール学園 2年
HP/99863  MP/67329
女神のスキル:神眼、引力、無限収納、創造、神聴]

[レティシア・オル・ファース 17歳
人間族 Lv.1 エスポワール学園 2年
HP/10674  MP/106275
女神のスキル:神の盾、無限通路、魔法生成、耐身]

HPとMPがぐんと上がっていた。トロールを倒した報酬として得た経験値では、ほんの少し上がる程度だったのに。
もしかして、ミノタウロスとスライム?
女神のスキルが二つ増えているのと何か関係があるのだろうか。

「ねぇ、どんなスキル?」

[創造:魔石を利用し、物を創り出す力。
神聴:心の声を聞く事が出来る。

[魔法生成:全てのエレメントの加護を受け、新たな魔法を作成出来る。
耐身:HPが0になる攻撃を受けても、1を残して生き残る。]

「魔法を作れるなんて、なんかゲームみたい。」
「即死魔法を受けても耐えてくれるなら、ちょっとは安心だな。」
「これもメモしておくわね。」

ティアは日記帳にペンを走らせる。
二人で話し合って、アリーヤに来てからの記録を付ける事にした。
紙とペンを用意して、日記のように書き綴るのはティアの役目だ。

「世界の名前はアリーヤ。6つのエレメントで均衡を保っている世界…と。」

王都アナスタシアを中心に、火の国“ファイラ”、水の国“ウォーリス“、風の国“ウィンディア、“土の国“アースィム“、光の国“ホーリア“、闇の国“ダークリオ“が各方面に存在する。
聞いた所、地球での月と曜日がこの世界にもある。其々火、水、風、土、光、闇の曜日となり、エレメントの加護を強く受ける日とされている。
一週間が4回でひと月、地球でいう半年で一年が終わり、今日は火の月火の曜日となるようだ。

魔法と武術が発達しており、それを学ぶ学園が王都のエスポワール学園。三つの校舎に分けられた、この世界唯一学び舎。
それぞれが特化した武術クラス、魔法クラスもあるというのに、俺達はLv.1にも関わらずSクラスになった。

ティアは武器に魔力を通すと、魔力ではなく体力が削られるバグを持ち、俺は下級魔法を使うだけで魔力が0になるバグを持つ。
魔力が0になると2、3日は目覚めない。今はリアンに教えてもらったアイテムに、ほとんどの魔力を蓄積している。
得意分野のHPとMPの回復はかなり早いので、俺の体力とティアの魔力は半分を切る事はまずないと言えるだろう。

「お金の種類は6種類。」

クラン(十円)、銅貨(百円)、銀貨(一万円)、金貨(十万円)、白金貨(百万円)、カイト(一千万円)。
カイトを持つのは王族で、信頼の証にそのメダルで買い物をするらしい。
ちなみに、そんな貴重なカイトを懐から出した俺達は、リアンから王族だと思われている。

学校は火の曜日の9時から授業開始。Sクラスはクエストが終わり次第授業終了。
文字や数字は違う文字だが、ちゃんと読めるのは助かった。
学生の休日は一日中夜の来ない光の日と、太陽が昇らない闇の日。

「…リアンくん、大丈夫かな…。」
「なんだよ、男の心配か?」
「ゼロも思わなかった?」
「……」

リアンは学園の人気者にも見えたが、逆に孤立しているようにも見えた。
そもそも、仲間であるはずのシロナとクロエが、リアンを頼ったり突き放したりと、どうも中途半端だ。
全員が信用出来ないなら、パーティとしてはあまり好ましくない。

「まぁ、無理して冒険者になる必要もないよな。」

命を危険に晒すより、魔物を狩って自給自足していく手もある。
今後この世界で生きていくために、信頼出来る仲間と共にパーティを…と思っていたが、そもそもLv.1の俺達じゃ、誰も相手をしてくれない。

「バグ体質だったっていう元国王、俺達がエレメントと神だって言った声と、煙で消えた爺さん…今は気になる事だらけだな。」

生まれ変わって一日目。空を見上げると、星が輝いて見える。

「転生しても、空は同じなんだな。」
「こんなに綺麗な星空は見た事がないけれどね。」

二人で空を眺めていると、少し物悲しい気持ちになる。今更ホームシックになったって、帰れる訳ないんだけどな。

パァァァァァァッ

目を閉じれば思い出す、“今日”の出来事。
痛み、怖さ、今になって全身が震える。

▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼

ー蒼空、何惚けてんの?ー

ーほら、誕生日祝いになんでも買ってあげるから。ー

ー当たり前でしょ?女に生まれて来たんだから、誰もが羨む美しさは憧れるわ。ー

ー溜息ばっかり吐いてると良い事ないよ。ほら、早く帰ってゲームしよう。ー

△▲△▲△▲△▲△▲

私が誕生日に一人じゃなければ、幸香を巻き込む事はなかったかもしれない。
大切で大好きな親友を守れなかった事を、とても後悔した。

「ゼロ?」
「神様を敵にしても、お前だけは絶対に守るからな。」
「ふふっ、キザな台詞。…私も守るよ。姿形は変わっても、あなたは私の親友なんだから。」

星が一つ流れた。地球のジンクスが通用するかはわからないが、祈らずにはいられなかった。


ーこの世界で、ティア(ゼロ)が幸せになれますように。ー




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