Lv.1のチートな二人

Amane

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episode3

スマホを作ってみた。

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「ねぇ、リアンくんはどうしてあの二人とパーティを組んでるの?」

流石に疑問を持ったティアが訪ねた。
リアンは、勇者に近いパーティにいた人物。いくら外されたとはいえ、強い事に変わりはない。行く先はいくらでもあったのではないだろうか。

「…オレ、前のパーティで、みんなを殺しかけたんだ。」
「?!」

リアンがルーク達のパーティに入ったのは、学生で唯一スキルを持っていたから。
学生証を発行した時から、錬金術のスキルがあったと言う。そこを見込んで、パーティに誘われた。
そしてある日、挑んだSランクのクエストで、大失敗をしてしまったのだ。

「敵だった羽人族に騙されちゃってさ…みんなを支援、出来なかったんだよ…。」

リアンはパーティの後衛で、魔力強化や防御壁を作る役目を担っていた。しかし、味方のフリをしていた羽人族を止める事が出来ず、ルーク達を追い込んだのだ。
力を振り絞ってなんとか倒す事は出来たが、それ以来、ルーク達がリアンをパーティに誘う事はなかった。Sクラスから移動する話まで出ていた程だ。
パーティは三人以上じゃないと組めない。
ルーク達のパーティは、それこそ勇者と言っても過言ではない。いくら人気者とはいえ、その一員だったリアンに声をかける生徒は居なかった。
その時出会ったのが、シロナとクロエだった。

▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼

「ねぇ、リアン。シロ達とパーティ組も?」
「…悪いけど、オレは…。」
「アタシ達、さっきクエストでメンバー二人が死んじゃって…。」
「!?どうしてSクラスのクエストで…?」
「マウシェルの群れに襲われて、二人がアタシ達を庇って…。」

シロナとクロエのパーティは、他にサーファスとユインという男子生徒がいた。
二人共Lv.68で、まだSクラスギリギリのレベルだったシロナとクロエをよくフォローしていた。
マウシェルは大きな耳と鋭い牙が特徴的な小さな魔物。大きさは小さいが、顎の力が強く、人間の骨まで喰らえる程だ。
群れで行動する事が多く、その数は百を超える。そのため、Bランクでも高度な戦闘技術を要する。しかし、剣術に長けたサーファスと魔法が得意なユインの二人なら、難なく倒せるはずだ。

「襲って来るマウシェル達が怖くて…何も出来なかったから…それで…。」
「っ…」
「助けてくれって叫んでたのに…。」
「わ、分かった…から、それ以上は言わないで。」

絵面が浮かんで吐きそうになったのは、リアンの方だった。昔死んでしまった友達の顔を思い出す。
何も出来なかった“あの頃”とは違う。今のリアンなら、余程の事がない限り二人を守れる自信があった。
だけど、少しだけ怖かった。
自分のミスで、また誰かを傷付けてしまうかもしれない。

「お願い、リアン。アタシ達、まだSクラスにいたい。」

△▲△▲△▲△▲△▲

「頷くしかなかったんだよ…オレも、Sクラスに居たかったから…。」

王になるには、まずエレメントに認められる強さを持たなくてはいけない。そして強さを得るには、学ばなければいけない。Sクラスは、勇者の教えを受ける事が出来る唯一の学舎だからだ。

「オレは…アナスタシアの王を倒すために、この学園に居るんだ。」

どうやらアナスタシアの王とリアンには、ただならぬ関係があるみたいだな。

「それにしても、どうするんだ?グランスネークって、災害級なんだろ?」
「オレも見た事はないけど、災害級の魔物は普段結界で姿を隠してるらしい。多分二人には見つけられないよ。」

見つからなければ、クエストは破棄。リアンは、探しに行った本人達がそれを認めるように仕向けたのだ。

「キミが今日熱心に授業を受けている理由も気になったしね。」
「そうだ、スマホ作るって言ってたよね?」
「すまほ?」

この世界の連絡手段は、鳥に要件を結んで飛ばす伝書鳩方式。クエストもそれで伝達するため、少しでも遅くなると手遅れになる可能性もある程だ。

「せめて、俺達だけでもすぐに連絡を取り合いたい。」

紙とペンを用意して、イメージを書き出す。
形は俺達の知っているスマホくらいの大きさ。小さくて、持ち運びしやすい方が良い。
モバイル式のオペレーティングシステムを備えた携帯電話。そして、俺達の魔力を原動力として電源や充電もされるようにする。あとは、俺達の持っている説明書を、そのままスマホに反映して検索出来る機能も付けておこう。
書けるだけ書いて、地面に置きそこに魔力を流した。バキバキと静電気のような小さな稲妻が走り、紙が小さな光の玉に変わる。そこから形を少しずつ変形させる。
頭の中で形を作ると、それ通りに形が変わるようだ。
二人に見守られながら、数分。

「…出来た。」

大きく息を吐いて地面に座り込む。こんなに集中して物を作ったのは、何年ぶりだろうか。中学生の時に文化祭で展示物を作った以来かもしれない。

「凄い、ほんとにスマホ…。」

ティアが出来を確認するが、性能までキッチリ俺達がよく知るスマホそのものだ。我ながら上手く出来た。

「リアン、これ渡しとく。」

スマホを受け取ったリアンは、不思議そうに眺める。ティアが使い方を教えている間、俺も手に取って見た。
ボタンを押せば画面が開き、スワイプで画面を切り替えられる。
通話、検索、マップ、記録。今の所この四つの画面しかない。何か必要になったら、その都度俺がアップデートすれば良いだろう。

「こんな物を作るなんて、君は本当に神様みたいだね。」
「未来の王様のパーティメンバーなんだ。これくらい軽く出来た方が便利だろ?」

そう言うと、リアンは優しく微笑んだ。今はまだ、このまま楽しい学生を続けていたい。そう思った。

「ねぇ、何か来るよ。」

ティアがキュッと裾を掴んだ。確かに遠くで足音が聞こえる。しかし、これは…。
ガサガサと足音が近付いて来て、こちらに飛び出した。
リアンがティアを庇ったので、俺は二人の前に出て、飛び出したソイツを捕まえた。




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