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秋の桜海祭編
桜海祭前日
しおりを挟むいよいよ明日から文化祭と体育祭の二日間『桜海祭』が始まるのだ。
今、私は吹雪の提案で来た屋上で放課後に、学校を見渡しながら喋っている。
「何か学校が魔法にかかっているみたいだね~~。」
「うん、綺麗だね。」
隣にいる吹雪が言うように学校全体の飾りつけが終わり、桜海高校が今だけ普段と違う特別な感じになっているのだ。
屋上からは飾りつけがよく見える。
「そういえばさ、今日桜海新聞の号外が出てたよ。 『松白 操VS竹之葉 勢也2年生頂上対決再び!』 って。」
「え?へぇ~そうなんだ。」
今日は準備の最終日で学校中が騒がしく、号外が出てたのに気づかなかった。
「ところでさ、さくらはどっちに勝ってほしいの?」
「松白君。」
「早っ!即答なのさくら。」
『だって、松白君が桜海高校からいなくなるかもしれないから』とは、言えなかった。
松白君には他の人には言わないようにお願いされている。
松白君は皆にいつものように振る舞っているが、そんなことがあるとは誰も知らないだろう。
「………さくら最近どうなの?」
隣にいる吹雪がぽつりと呟く。
「『どうなの』って何が?」
「松白君とに決まってるじゃん。」
「えっ!べ、別に普通だよ。」
「『普通』って、もぉ~ダメだなぁ。」
そういって吹雪は手すりにもたれかかる。
吹雪は何を望んでたか分からないが期待ハズレだったらしい。
(松白君かぁ…………。)
最初の頃は苦手なタイプだと思っていたっけ。
けど、いざ話してみたら面白いし楽しくもあった。
そのおかげかは分からないが、不思議と最近は自分の悪い部分もあまり出てない気がする。
「…………『普通』だけど、松白君には感謝してるよ。」
その瞬間、後ろから声が聞こえる。
「俺が何だって?」
「うわぁ!松白君?」
松白君だけじゃなく、笹山君に星宮ちゃんも来ていた。
物思いにふけていた私は、後ろの屋上入り口から来た松白君達に気付いていなかった。
吹雪はその様子を見て笑っている。
「みんなどうして屋上に?」
私は松白君達に聞く。
「吹雪が暇なら放課後屋上で喋ろうって言ってたから来たんだよ。」
と、松白君が答える。
「そうそう私のワガママに付き合ってもらったんだ。」
なるほどそういうことだったのか。
「しかし、屋上からの景色は相変わらず綺麗だな。」
そういって笹山君は景色を楽しんでいる。
「いよいよ明日から桜海祭って感じがしますね、楽しみです。」
星宮ちゃんがいうように明日から桜海祭が始まるのだ。
みんなで作りあげた文化祭、暑い中練習した体育祭、二日間だけある特別行事。
来年は違うクラスになるかもしれないからこのメンバーで楽しめるのは最後かもしれない。
(そう思うと寂しいなぁ。)
そう思いながらも、私は少し遅い時間まで皆と楽しい時間を過ごしていた。
そしていよいよ桜海祭が始まる。
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