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ドラゴンの肉編
14ー④.魔女との遭遇
しおりを挟む女の子は元通りになった玉に喜んだり、何で元通りになったのかと不思議な顔をしたりで大忙しです。
「ねぇ、人間。あんた何者なの?」
女の子は私に聞きます。
「私は普通のしゅ………。」
おっと、つい主婦と言ってしまいそうになりました。
「私は、普通の人間ですよ。」
「ふーん、普通の人間ねぇ。」
女の子はどこか疑った感じで私を見ます。
「そ、そんなことよりも玉が直ったのなら早くこの島から出ていった方がいいのではないですか?」
私は女の子に聞きます。
「準備が出来たらすぐに出ていくに決まってるじゃないこんな島。早く魔王様の所に帰りたいわ。」
そういえばさっきも"まおうさま"という人が話しに出てきましたね。
いったいどんな人なのでしょうか。
「まおうさまってどんな人なのですか?」
私は女の子に聞きます。
「偉大なお方よ!私達のお父様みたいな存在だわ。」
女の子は自信満々に答えます。
私はさらに女の子に聞いてみます。
「良かったら、その"まおうさま"について詳しく教えてくれませんか?」
「魔王様はとても力強くてかっこよくて………って、危ない。人間にペラペラ喋る所だったわ。」
「宝玉を直してくれたことには感謝するけど、それとこれとは別!さっさと帰りなさい。」
女の子はそう言って私達を外へと追いやろうとします。
もう少しで、いろいろ聞けそうだったのに。
私達は仕方なく、外へ出ることにしました。
グウゥゥ。
「………ん?」
お腹がなる音がしました、後ろの方から。
振り返ってみると、さっきまで元気だった女の子がまた静かになっています。
「……お腹が空いたのですか?」
私は女の子に聞きます。
「うん、美味しいものが食べたい。」
さっきまであんなに遊んでいたのだからお腹が空くのは当たり前ですね。
今日はお弁当は持ってきていませんが、別のものを持ってきています。
私はバッグからそれを取り出します。
「…………それ何?」
女の子は興味津々に聞きます。
「甘くて美味しいお菓子ですよ。」
「おかし?」
疑問に思った女の子はチョコレートを一つ口に放り込みます。
「何これ!甘い!」
チョコレート食べるのは始めてなのでしょうか。
女の子はとても幸せそうな顔をしています。
……どうやら帰るのは、まだ先になりそうですね。
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