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プロローグ
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広々とした室内。暗闇の中で散る火花。
室内に響く音は、青年二人の声と金属がぶつかる音。
室内の端には怪我をした青年一人の仲間。
反対側の端では、もう一人の青年の仲間が戦いが終わるのをじっと待っていた。
それを知ってか知らずか、二人の青年が剣を交えたときに言葉も交える。
「お前の敗けだ…魔王」
「くっくっくっ、何を言っているのかわからないなぁ…勇者」
「___っ、魔王の体力はそろそろ尽きる…違うのかぁ?」
「それは、貴様の事ではないのか?」
互いに乱れる呼吸。
空中戦を止め、床に足をつける。
勇者は剣を構え直し、魔王も勇者と同時に剣を構え直した。
乱れる二人の呼吸だけが、その室内に響く。次第に呼吸は落ち着き、勇者と魔王は相手を睨み続けながら右へゆっくりと進む。4・5歩進んでから先に動いたのは勇者だった。
人間離れしたスピードで魔王に一瞬で近づくが、そのスピードは魔王にとってはあまりにも遅いと言えるくらいのスピードであり、魔王は瞬時に魔法を唱える。
勇者の回りには赤い魔法陣が浮かび上がるのと同時に魔法が繰り出された。
勇者を中心に紅蓮の炎が柱を一本作り出される。だが、そんな攻撃で死ぬようならば勇者など名乗れるわけもなく、瞬く間に紅蓮の炎の柱は一刀両断される。
チッと舌打ちした魔王は一刀両断してからすぐに飛び出してくる勇者に向かって剣を前へと突き出す。
その考えは勇者も同じだったらしく、魔王とほぼ同時に前へ突き出し、その突き出した剣先は互いの心臓へと刺さる。
血反吐を吐きながらも、荒い息をしながらも、互いの剣が持つ能力を引き出した。
勇者が魔王に刺した剣は、魔を食らう聖剣。眩しいくらいに光を放ちながらも、魔王を刺した部分から食らっていく。
そして魔王が勇者に刺した剣は、何者をも飲み込む魔剣。背筋にゾッと気持ちが悪いくらいの悪寒が走る程のおぞましい闇が、刺した部分から勇者の体を飲み込んでいく。
互いが互いの剣たちに食われ、飲み込まれていく間にも魔王はブツブツと何かを呟く。その事に気づいた勇者は、既に動きにくくなっている唇を必死に動かす。
「次は……何をする気だ……ま、おう」
「………っ、さぁな、何をするのも……俺の自由…だっ」
そう言って目を見開くと同時に、魔王と勇者の足元に白い魔方陣が浮かび上がる。勇者は足元を見つめていたが次第に足から力が抜け、座り込む。
それは魔王も同じで、口元を軽くつり上げながらも座り込む。魔法陣はゆっくりと光を失い、消えていく。
勇者と魔王の仲間は、魔法陣が消えたと同時にそれぞれの仲間が近寄り生死を確認するが、既に死んでいることを確認する。
勇者が死んでいることを確認した仲間たちは遺体を持って退却をする。それを追うことはせずに、魔王の仲間たちは魔王の死を悲しんだ。
互いに大切な人物を亡くし、傷つき悲しんだが時間は止まることなく進み続けた。
室内に響く音は、青年二人の声と金属がぶつかる音。
室内の端には怪我をした青年一人の仲間。
反対側の端では、もう一人の青年の仲間が戦いが終わるのをじっと待っていた。
それを知ってか知らずか、二人の青年が剣を交えたときに言葉も交える。
「お前の敗けだ…魔王」
「くっくっくっ、何を言っているのかわからないなぁ…勇者」
「___っ、魔王の体力はそろそろ尽きる…違うのかぁ?」
「それは、貴様の事ではないのか?」
互いに乱れる呼吸。
空中戦を止め、床に足をつける。
勇者は剣を構え直し、魔王も勇者と同時に剣を構え直した。
乱れる二人の呼吸だけが、その室内に響く。次第に呼吸は落ち着き、勇者と魔王は相手を睨み続けながら右へゆっくりと進む。4・5歩進んでから先に動いたのは勇者だった。
人間離れしたスピードで魔王に一瞬で近づくが、そのスピードは魔王にとってはあまりにも遅いと言えるくらいのスピードであり、魔王は瞬時に魔法を唱える。
勇者の回りには赤い魔法陣が浮かび上がるのと同時に魔法が繰り出された。
勇者を中心に紅蓮の炎が柱を一本作り出される。だが、そんな攻撃で死ぬようならば勇者など名乗れるわけもなく、瞬く間に紅蓮の炎の柱は一刀両断される。
チッと舌打ちした魔王は一刀両断してからすぐに飛び出してくる勇者に向かって剣を前へと突き出す。
その考えは勇者も同じだったらしく、魔王とほぼ同時に前へ突き出し、その突き出した剣先は互いの心臓へと刺さる。
血反吐を吐きながらも、荒い息をしながらも、互いの剣が持つ能力を引き出した。
勇者が魔王に刺した剣は、魔を食らう聖剣。眩しいくらいに光を放ちながらも、魔王を刺した部分から食らっていく。
そして魔王が勇者に刺した剣は、何者をも飲み込む魔剣。背筋にゾッと気持ちが悪いくらいの悪寒が走る程のおぞましい闇が、刺した部分から勇者の体を飲み込んでいく。
互いが互いの剣たちに食われ、飲み込まれていく間にも魔王はブツブツと何かを呟く。その事に気づいた勇者は、既に動きにくくなっている唇を必死に動かす。
「次は……何をする気だ……ま、おう」
「………っ、さぁな、何をするのも……俺の自由…だっ」
そう言って目を見開くと同時に、魔王と勇者の足元に白い魔方陣が浮かび上がる。勇者は足元を見つめていたが次第に足から力が抜け、座り込む。
それは魔王も同じで、口元を軽くつり上げながらも座り込む。魔法陣はゆっくりと光を失い、消えていく。
勇者と魔王の仲間は、魔法陣が消えたと同時にそれぞれの仲間が近寄り生死を確認するが、既に死んでいることを確認する。
勇者が死んでいることを確認した仲間たちは遺体を持って退却をする。それを追うことはせずに、魔王の仲間たちは魔王の死を悲しんだ。
互いに大切な人物を亡くし、傷つき悲しんだが時間は止まることなく進み続けた。
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