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第三部
Sky's The Limit・1-2
しおりを挟む十五周年のコンサートは、本当に素晴らしかった。
今までの名曲シングルばかりになるのではないかというファンの予想を裏切り、ファンの大好きな隠れた名曲、コンサートで盛り上がる曲、ファンのことを思って制作された新曲を含めた、ファンの為のコンサートだった。もちろん、名曲シングルもあったけど、とてもかっこよくサンプリングされたメドレーとして披露されたのだ。
「特にさ、デビューコンサートを意識した演出が良かったよね……」
「わかる……私も十五周年好き。いつも心はそばにいるよってサンキュウ!の言葉、現場で号泣したもん……」
「思い出すだけで泣ける……」
「サンキュウ!のファンへの想いがすごい……」
いつも、いつもそうだ。サンキュウ!は、ファンの気持ちを大切にしてくれて、そばに寄り添っている。
嫌なことがあったり、悲しいことがあった時も、楽しいこと、嬉しいことも、サンキュウ!はどんな時もそばにいてくれる。
サンキュウ!は心の家族だ。
もう、彼等がいない人生なんて考えられない。
「お姉ちゃん、今回の円盤の感想、もう伝えたの?」
「あ、うん!今ねファンレター書いてるんだけど、すごい枚数になっちゃってさ!こんな長文を読む時間がないくらい忙しいから、推敲してるとこ!」
ゆっくりと根菜スープを飲み干した実音々が、呆れたように笑った。
「なんでこんなにそばにいるのに、わざわざファンレター書くんだろうねえ」
「俺のことは気にしなくていいから、二人で楽しんでて!」
キッチンから声を掛けて来たのは、私の彼氏であるきいくんだ。
「お兄ちゃんさあ、毎回思うんだけど、これされてて平気なの?慣れたの?」
「うん。慣れたし、面白いよ。あと、こんなに愛してくれるファンがいるって、ちゃんと理解してるけどさ。やっぱり間近で見ると、改めてファンのみんなの存在に感謝するよ」
キッチン越しの笑顔が、どう見ても彼氏ではなく、アイドルのそれで涙が出てきた。
「ううっ……こちらこそ……いつもありがとうございます。一生愛します」
ぶわっと涙腺が緩み、つい視界が歪む。
「アイドルの鏡かよ……泣ける……」
「ありがとう。ねえ、手羽元煮込みどう?いける?」
「めっちゃ美味しい!やっぱり甘酢使うの正解だと思う。お肉もホロホロだし、一杯やりたくなる感じ。お酒飲めないけど」
「自担の手料理……私はそろそろ寿命を迎えるのかもしれない……口に入れた瞬間、美味しさしか感じない。骨まで消化したい所存」
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