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第三部
Sky's The Limit・5-1
しおりを挟む「今日、泊まってく?」
事後の色っぽさ増し増しの30代男性が、ふわっと猫っ毛を揺らしながら首を傾ける。
えーそんな聞き方ずるい!だってめちゃくちゃかっこいいし、えっちだし、すごく好き。つい、うんって返事をしてしまいそうになる。
「きいくん、忙しいんじゃないの?」
昨日そう言ってたし、きいくんの部屋で一人慰めたら帰ろうと思ってた。だから、まさかきいくんと鉢合わせしてセックスすることになるとは、想定外だった。
「うん、だから…なかちゃんと離れたくない」
柔らかい唇がおでこに当たった。
「し…死ぬ…えっ…待って…今ちょっと無理っていうか…胸が苦しい」
致死量の甘さに、ときめき死する。
「それどっち?」
意地悪そうに笑うきいくんに、心臓を握り潰されそうだ。
「か、彼女としての方…」
「ならよし。で、泊まってくでしょ?」
彼氏の立場を強調するのに、キラキラアイドスマイルに切り替わったきいくんからは、有無を言わせないぞという強い意志を感じる。
「…はい。泊まらせていただきます」
私は粛々と妹へ連絡を送った。
昨日の気まずさが嘘みたいに、二人で並んで夕飯を作って食べ、他愛もない話をしてゆっくりと時間をすごした。
それは多分、気遣い屋さんのきいくんが、いつも以上に気遣ってくれたんだと思う。気遣っているのを感じさせないように振る舞うのが、とても上手なのだ。
でも分かってしまうんだ、ずっとずっと、きいくんが私を知る前からずっと見てきているから。私の人生の半分以上は、きいくんへの想いでできている。
今は、前の部屋より広いお風呂場で、二人で一緒に入っても大丈夫なバスタブの中、熱すぎないお湯に後ろから抱きしめられるように浸かっている。
「はー…それにしても、なかちゃんの一人えっち、見たかったなあ」
頭の上に顎を置いて、きいくんが不満そうに言う。
「ちょっと!振り返るのやめてください!」
もう本当恥ずかしくて、ふと瞬間に思い出して叫びたくなる現象の一部を担うだろう。一人えっちに関して話をしたとしても、目撃されるのは無理。
きいくんは後ろでブー垂れる。
「なかちゃんなんて、初めてのセックスより前に、目の前で俺に一人えっちさせたのに!」
それは仕方ない。自担の一人えっち見たいじゃないですか。
「あれは、今思い出しても最高の画でした」
「俺だって、可愛い彼女が俺のこと思って、一人でクチュクチュしてるの見たい」
「無理無理、そんなの見せらんないよ!」
「俺のは見てるのに!」
「きいくんは、かっこよくて可愛くてかっこよくて、何しててもかっこよくて、一人えっちすら溢れ出るフェロモンとセクシーさで芸術の域だからいいのです」
突然、両胸をムギュッと掴まれた。
「ぴゃっ?!」
「俺にとっても、なかちゃんは何してても可愛いしかっこいいのに!!」
「やっ、やめっ?!うえっ?!」
「そうじゃなかったら、掘られたりしない!」
待って待って、なにこのセンテンスの大渋滞?!空耳ではなくて?!
「ど、どういうこと?!え?!」
きいくんの唇が耳や頬や首筋に触れ、吐息混じりに追撃をしてくる。
「だって、なかちゃんて本当ずるいんだ。普段は可愛い小動物みたいに装ってるくせして、俺に対してだけ猛獣とか猛禽類みたいなんだもん」
「待って待って、初耳ですけど?!」
ぎゅうぎゅうと強く抱きしめられて、耳朶を噛まれる。
「ひうっ」
「なかちゃんになら、食べられちゃってもいいやって思っちゃうくらいには、かっこいいの!」
「なにそれ?!」
かぷかぷと耳の軟骨を甘噛みされて、ブルッと体が震えた。
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