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第三部
Sky's The Limit・15-2
しおりを挟む昨日は帰って来なかったから、きっときいくんのビタミンミネラルは枯渇しているだろうと思い、これでもかと緑黄色野菜を使ってサラダやスープを作った。お肉は団子にしてスープに入れたから、もし足らなければスープに米でも突っ込んでもらおう。おじやみたいになるじゃろ。
でも、思ったより帰宅が遅い。
既に夜九時を回っている。
もう先に食べてしまおうと、スープを温めていると、ガチャっと鍵が開いて家主が帰ってきた。
「なかちゃんん、たらいまー!」
ほっぺたから耳まで真っ赤にして、べろんべろんに酔っている。口も回っていない。
「わお、ぐにゃぐにゃきいくんだ!これはこれで可愛いですね!」
しかし、この状態で夕飯は食べられるのだろうか。
「なかちゃ…なかちゃ…」
強い力で後ろから羽交い締めにされた。
うむ、最近この流れ多いな。
きいくんから漂うアルコールの匂いがすごい!いや、これすらちょっとご褒美ですね!だってきいくんが摂取したアルコールが、体内から香りを発してるわけでしょ?!ありがとうございます!!
「きいくん、ご飯食べられる?無理なら明日の朝ご飯とかにするよ」
「食べるー!食べましよー!」
は?語尾可愛過ぎんか?は?
ぐふふと笑って頭の匂いを嗅がれた。
「ちょ、それは勘弁してつかあさい!お風呂入ってないんで!」
「だーめ、なかちゃいいにおい」
ダメだ、完璧な酔っ払いが爆誕している。
先輩の誘いを断れなくて、アルコールだけ摂取したとか、そういうことだろうか。
「スープあっためてるから、手洗いうがいして座って待ってて」
「あーい」
素直な酔っ払いは、洗面所に行った後、テーブル前でぐにゃりとしながら待機した。
温まったスープとサラダをテーブルに並べ、向かい合ってすわる。
「おいしそー」
「召し上がれ」
きいくんはお碗を両手で持ち、ゆっくりとスープを啜った。
「ん…五臓六腑に染み渡るー」
「久しぶりに聞いた、実家でお父さんが言ってた」
おじさんが使う言葉だと思ってたけど、きいくんが使うと可愛さが増す。
「なかちゃんのお父さん……厳しかったりする?」
「全然、ただの酔っ払いだよ」
「そっかー、じゃあ一緒にお酒飲めるかなあ」
「喜ぶと思う」
私がばんばん大好きなのは、家族中で知られてるから、両親はきっと腰を抜かすと思うけど。
「最近、うちの実家のことよく聞くね」
「そお?でも好きな人のことは全部知りたいの、なかちゃんは分かるでしょ?」
「分かる!知りたい!どんなことでも知りたい!お風呂に入ったらどこから洗うのとかも知りたい!」
キモヲタテンションがギュンッと上がったけど、待てよ…これ、きいくん結構恥ずかしいお言葉を発言されたのでは?
自覚して、カッと顔が熱くなる。
「あ、あ、ありがとうございます…」
「なんれ照れんの、俺いつも結構言ってるじゃん」
「私から発信なのと、分かりやすい言葉は自覚しやすいので、慣れたし大丈夫なんですけど。こう、さり気ない感じで言われると、後から気づくから……こう」
テーブル越しに頭を撫でられて、とてもこそばゆい。
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