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第三部
Sky's The Limit・35-3
しおりを挟む「生きてるきいくん最高ですね…」
「なにそれ、本当なかちゃん面白いね」
「普通です、三次元ヲタクとして普通の反応です」
「三次元…うん、確かに三次元だけど」
ふわふわのきいくんの髪の毛に、手を突っ込んで感触を楽しむ。
「生きてますねえ、新陳代謝されてますねえ」
「独特だなあ」
笑うきいくんの額に、自分の額をくっつけた。
「きいくん、産まれて来てくれてありがとう。健やかに育って、事務所に入って、アイドルになろうって決めてくれて、ありがとう。私は、サンキュウ!のばんばんがいたから、辛い時も楽しい時も変わらずに過ごしてこれました。私は一生、ずっとあなたのことが好きだから、隣で応援させてください」
みるみるうちに、きいくんの瞳が潤んで、ポロリと宝石がこぼれ落ちた。
「うん…ずっと隣にいて…俺のことだけ応援して…俺のことだけ好きでいて」
唇が重なって、微笑み合う。
「私と、結婚してください」
「はい、よろしくお願いします」
急に私を抱き上げたきいくんは、クローゼットの奥の棚を探るように言った。言われた場所に手を入れると、ビロードみたいな手触りの箱があった。
「もしや…これは…」
「うん、結婚指環。二人で選ぼうと思ってたんだけど、どうしてもなかちゃんにつけて欲しい指環があって…」
ごめんね、と謝られたけど、全然嫌じゃなかった。
「きいくんが選んだというだけで、この世で一番素敵な指環ですね。ありがとうございます」
「良かった…。ね、開けて!つけてみて!サイズ絶対にばっちりの自信あるから」
「落ち着いてつけたいので、ソファに戻ってもらっていいですか」
「はい!」
元の位置に戻って、私はきいくんの膝の上のまま、箱を開けると二つのリングが入っていた。
きらっと光る指環は、透かしの模様になっていて、途中に小さな石がついている。
「かわいい…」
「この模様はリーフで、永遠って意味。ダイヤモンドも永遠の象徴なんだって」
きいくんは、すっごく満足そうに笑っている。
「もしかして、きいくんがデザインしました?」
「あれ、もうバレた?」
もうちょっと小出しにしようと思ったんだけどなあ、とやっぱり嬉しそうに笑う。
「だって、きいくんの方は透かしじゃなくて、彫ってあるから。石も内側についてるし」
「俺には透かしだと可愛すぎるからさ」
照れて笑うきいくんに、愛しさが募る。
「俺がはめていい?」
「はい、お願いします」
私の左手を取ると、そっと薬指に指環をはめた。きいくんの左手にも、私が指環をはめる。
「ふふふ、浮かれる」
「そうですね、浮かれます」
「今日からつけようかな」
「絶対ダメ!」
スキャンダルになりかねない!
「えー!じゃあ、俺は外すから、なかちゃんはして!」
「…まだ結婚してないのに」
気が早いのではないか。
「男除けだから!」
「私に近づく男の人なんて、そもそもいない」
きいくんは、口を尖らせて怒る。
「そうだとしても、絶対つけて」
可愛すぎでは?なにこの顔…可愛いな。
「はい、分かりました」
「よろしい!あー、早く来年にならないかな。一年って長いよー!」
ぎゅうぎゅうと抱きしめる彼の背中を、なだめるように撫でた。
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