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終章・二人のこれから
85・戴冠式(2)
しおりを挟む係の人や多分偉い人達が、王冠や杖みたいな物を運ぶ。粛々と儀式が開始され、国王が立ち上がると、中央の通路の先にある大きな観音扉が開いた。
真っ白で丈の長い西洋法衣のような服を着たシャーリーが、ゆっくりと歩いて入ってくる。階段の下で止まり膝をつくと、国王が降りてきて、差し出された王冠をシャーリーの頭の上に載せた。
立ち上がったシャーリーは杖を受け取り、こちら側に体を向けると杖を床に三度突き、厳かに言った。
「第173代目国王ローズオブシャロンである。」
男性は跪き、女性は腰を落として礼をする。それにならって、私も腰を落とした。
思ったよりこの体勢きついんだけど、いつまでやってなきゃいけないのかな、ってちょっと思ってる。
そのままシャーリーが階段を上り王座に座ると、貴族達は礼をといて立ち、杖を突く音に合わせて着席した。
わーお、みんなリハーサルしたのかな…動きが揃ってるよ。
多分偉い人が、巻いた紙を長く伸ばして、聞いたことがない言語で何かを読み上げる。
古語とかかなあ、前の世界でも何言ってるか分かんない言葉を読み上げること、あるもんね。
ぽやーっと眺めていると、ソーヴィが私の腕をそっと引っ張って立たせてくれた。
視線を走らせると、王族らしき人達しか立ってない。
やばい、私、王族扱いされてる!
内心ビクビクしながら直立不動でいると、シャーリーと目が合った気がした。
偉い人がそのまま続けて何かを読み上げ、全員が起立し、急に歌い出した。
あっえっ、私、歌とか分かんないですけど!っていうか、歌を歌うなんて聞いてなーい!
そっとソーヴィを見上げれば、歌いながらウィンクをされる。
うん、分からん!
とりあえずジッとしておく!粗相だけはしたくない。
その後、立ったり座ったりを繰り返して、前国王とシャーリーが何かを唱えて、来た時のようにフッとどこかへ消えた。
わーお、転送魔法かな。
偉い人が会場を出ると、ソーヴィが私の腕を組ませてその後に続いた。
なんかよく分からないまま終わったっぽい。
広い廊下に出ると偉い人達から離れ、ソーヴィがまた自分の部屋へ戻る道を歩く。
「ソーヴィ、ねえ、もういいの?」
「うん、終わったよ。お疲れ様。」
「はあ…よく分からなくて緊張した。歌とか知らないし…」
明るく笑って、頬を撫でられる。
「あれは、新国王に忠誠を誓いますーみたいな歌だよ。歌えなくても別に平気。」
「そうなんだー。シャーリー消えちゃったけど、どこ行ったの?」
「国王しか入れない部屋があって、そこでまた違う儀式をしてるんだよ。」
シャーリー大変…この後もパーティしなきゃいけないし、仕事もあるし、王様って体力必要だなあ。
「私、早くもドレス脱ぎたい。」
「…俺に見せてくれるの?」
「違うよ!何言ってんの?!」
ニマニマ笑っているソーヴィの背中を叩いて否定すると、ケラケラと笑って部屋に入った。
後ろ手でドアを閉めると、ガチャリと鍵を閉める音がした。
「パーティまで時間あるよ?」
「えっ、本気?!」
「俺はいつでも本気。」
髪型崩れるのだけは、嫌だよ?!直せないからね!?
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