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2章

14・突きつけられた新事実(2)

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 お菓子を食べて気が緩んだのか、プルメリアは顔色が良くなり、態度も軟化。美味しいお菓子を頬張りながら、ジャスミンへ詳しく説明をした。
「だから、この世界は私のやり込んでたゲームの中なわけ。ここまでは、分かった?」
「はあ、そういう体で物事を判断すると、私は悪役令嬢という立場だということは理解できました。」
「そうよ!で、私は好きな人がいるの!その人とエンディングを迎える為には、デビュタントボールでイベントが起きなきゃいけなかったわけ!」
 同じ世界からの転生者同士とはいえ、ギャップを感じるな、とジャスミンは思った。
「起きなかったのですか。」
「起きなかったわよ!あなたが悪役令嬢の仕事をしないから!あなたのせいで!」
「あー…あの日、私は体調不良で、すぐ家に帰りました。」
 痛みと記憶…今の自分になったきっかけ。ジャスミンはふと思い出し、懐かしく感じた。それくらい月日は流れたのだ。
「そう…それは大変だったわね。」
 思っていたより、しおらしい反応に、ジャスミンは少し笑ってしまった。
「どうも、ありがとう。」
 ふんっと強気に笑うと、プルメリアが指をさしてきた。
「じゃあ、私に貸しがあるってことだから、協力してくれるわよね?嫌だなんて、言わないわよね?」
 ジャスミンは、この要求に驚いた。
 なんて欲深く、自分に正直なのだろう。いっそ羨ましいくらいだ。諦めてしまった自分とは違い、人間力がある。若さとは、こういうことを言うのだろうか。 
「私の好きな人はね、近衛騎士のオスマン様よ。背が高くて金髪碧眼、お顔も美しくて、女遊びが激しいんだけど、私と恋に落ちることで真実の愛に気づくの…」
 デビュタント前の自分もこうだったな…と眩しい気持ちで、話を続けるプルメリアを眺めた。
「オスマン様と恋に落ちる為には、デビュタントの日に、悪役令嬢であるあなたがオスマン様に言い寄らなきゃいけなかったのよ!」
 ははあ、そういうことか。ジャスミンはやっと腑に落ちた。
 「だから、次の王宮舞踏会に参加するわよ!」
 再び、ジャスミンはビシッと指をさされた。
「嫌です。」
「はあ?!」
「申し訳ありませんが、お断りいたします。」
「何を言ってるの?!私はあなたのせいで、2年もオスマン様と接点がないのよ!あなたの責任でしょう!」
 暴論である。ジャスミンは首を振った。
「お好きなら、ご自身でアプローチなさっては?」
「それじゃあ意味ないのよ!いくら私が話しかけても、見向きもされないわ!」
 プルメリアは顔が真っ赤になって、涙が溢れそうになっている。
「当日、迎えに来るから。準備して待ってなさいよ!絶対だから、逃がさないから!」
 最後の方は涙声になり言い切ると、部屋から駆け出して行った。
「ジャスミン様、何かありましたか?今、男爵家令嬢が飛び出して行きましたが。」
 入れ替わりにミュゲが部屋へ入って来る。
「…激しいパッションだったわ。すごいわ。私には出来ない。」
「はあ…」
 どっと疲れが押し寄せて、ジャスミンは椅子に座ってもたれかかった。


 
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