ただ1枚の盾に。

小隈 圭

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1章

序章

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 始まりはなんとなくだった・・・・なんとなく冒険者になろうと思い、なんとなく村を出て始まりの町、トリーアに来た。

 トリーア、冒険者になろうと思う者がまず向かうであろう場所で人口3千人ほどの町だ、この町に冒険者が集まる理由はいくつかあり、その一つがモンスターの強さだろう、トリーア周辺に現れるモンスターは近接職なら剣を魔法職なら初級魔法を使えるならまず死ぬことはない、初心者にはうってつけの場所だ。

 すべてはここから始まった、そしてのちに冒険者として頂に届くことを夢見て歩きだそう。






 真っ白な部屋で椅子に座り本を読む女性、彼女以外に居る者はなく音もない、静かにそして優しく先ほどまで開いていた本を閉じる。

 本のタイトルに目を通し優しく微笑みながら細く色白の手で彼女は本を撫でた。

 僅かに体を動かし、薄い水色の髪を揺らしながら彼女はつぶやく。

 「やっと動いてくれたのね、いつまでたっても動こうとしないからちょっとあきらめちゃってたわ。」

 「先に謝っておくわね、ごめんなさい・・・あなたにはこれから先とんでもない不幸や試練が待ち受けることになるの、そのすべてに女神である私は手を出せない、ただ・・・見守ることしかできないの」

 先ほどとは異なり悲しげな表情で彼女は手にしていた本を胸に抱きしめ、表紙のタイトルを読み上げる。

 「ただ・・・・一枚の盾」

 胸に抱いていた本から目を離し薄い水色の髪を揺らしながらゆっくりと天を仰ぎ彼女は立ち上がり、祈るように、そして彼女自身の思いが届くようにありったけの声で叫ぶ。

 「ここから始まる物語はただの物語ではない。

 何も力を持たない者がそれでもと、足掻いて足掻き続けて歩み、冒険者としての頂にたどり着く物語。

 さぁ共に歩みましょう、そしてともに始めましょう、たった一つの・・・・・物語を!」

 「そして見届けましょう、この者がたどり着く・・・・・未来を・・・・」

 真っ白な部屋に彼女の声が響くと同時に部屋も彼女もゆっくりと光に包まれ・・・・消えていった。

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