ただ1枚の盾に。

小隈 圭

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1章

剣と弓とダガーと杖。

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狩りを初めてからどれくらいがたったのか、俺は疲れ果てて地面に転がっていた、ハミィが提案したやり方は効率面でいえばかなり良かったのだがどうにも俺の体力がもたない。

それにハミィが釣り、俺が狩る、このやり方を続けるにはまず釣ったハミィに魔物が近ずく前に倒してしまわないと彼女が怪我をするおそれがある、弱いとはいえハニービーは普通の鉢に比べれば大きさが全く違う、そんなのにもし刺されでもしたらかなりの怪我をおうことになるだろう。

それを防ぐ為には近づいて来たところを倒すしかないのだが、そこにも少し問題があった。

ハミィは一匹目を釣り終るとすぐに二匹目を釣り、俺が倒しているのを確認したうえでまた次を釣る。
そんなやり方でやると当然俺の体力がもつわけがない、その結果俺は地面に転がり動けなくなるほどにまで疲労していた。まぁそのかいあってかハミィを中心に全方位に死体が転がっている状態にはなる。

数だけで言うとかなりの数を倒したが素材の回収はハミィに任せ、俺は兎に角動けるように休息をとるしかない。

目を閉じ、浅い呼吸を繰り返し休息を取る俺にハミィは素材を回収する手を動かしながら話しかけてくる。

「おつかれ~、大丈夫?そのままでいいよ!回収はこっちでやるから~」

なんだろう、いいように使われているような気にもなるが今はまかせよう。

「ごめん、ちょっと頼むわ。少しでいいから休ませて・・・。」

「はいはい、いいよ!そのまま転がってて~。」

その言葉に俺は甘えることにし、大の字になるながら閉じていた目を開け空を見る、始める前と今では空の色もほとんど変わりはなく、そんなに時間がたっていないのだろうか?と思うほどなのだが、気になったのは他にもある、倒した数だ。

近づいてくるのを倒す事に必死になっていて倒した数なんて考えてはいなかった。

「ハミィ、結局どれくらい倒せたの?」

自分のこの疲労感にあうだけの数を倒せているのだろうか?時間から考えるとそこまでの数にはなっていないような気もするのだが。

「んとねぇ、今32個目回収したところ~」

32個・・・だと・・・?疲れるわけだ・・・まぁでも悪い気分ではないな・・・。

収穫はあった。それに今回の事で自分には体力もまだたりない事がわかった、それが何よりの収穫だろう。
今後はそっち方面も鍛えていかなければ・・。

そんな事を考えながら今も地面に転がりながらも空を見て休息を取る俺にハミィの声が届いた。

「コウ~、終わったよ!お疲れ様~大丈夫?」

素材の回収を終え俺のそばに歩いて来たハミィがそう声をかけて来たのだが、地面に転がっている俺を立ったまま腰を折り曲げ、肩から流れてくる髪を抑えながら言うその仕草は目を引かれるような気持になる。

狩りを始める前もそうだったが、なぜか目をくぎ付けにされるその仕草はある意味反則だろうと思うが、もしかしたら自分が気にしすぎているだけなのか?とも考えてしまう。

今は男なのだから!。

しかしこれはもう一つの課題を付け足すことも考えてもいいかもしれない、精神面の強化という課題を。

そう考えているとハミィが俺に手を差し伸べ、立たせようとしてきた、その手は当然ではあるが男の手でゴツゴツとしている。でもなぜだろう?なんと言うか優しさを感じる様な手だ。

差し出されたその手を取り、立ち上がる。まだ少し疲れて足がおぼつかない感じはするが普通に行動することぐらいはできそうになってはいる。

手を貸してくれた事に礼をいい、深呼吸をして呼吸を整える、その間も彼女は待っていてくれた、その事にすこし申し訳なくなるが話をきりだす。

「ありがとうな、それでどれぐらいの数になったの?」

さっき聞いた時はまだ途中だったから最終的にどれぐらい俺は倒したのかな。

「えっとぉ~全部で39個!頑張ったね~コウ!それにね!いいもの見つけたよ!」

そういって差し出された手の平に乗っている物を見ると星石が一つあった。

これだけでもかなりのプラスにはなる、素材も考えると盾を買うこともできるだろう。

「頑張ったかいがあったよ・・・ハミィはこれぐらいの稼ぎで大丈夫?まだたりなさそう?」

勢いでペアを組んだものの彼女の必要とする額を聞いていなかった、足りないのに帰るってことはできないし、確認はしておかないと。

「そんなことないよ、十分すぎるぐらいだよ!石だけでもそれなりになるしコウのおかげで素材もかなり集めることができたしね!買い取ってもらったら二人で分けてもかなりの額になると思うよ!」

少し喜びながら言う彼女の表情は初めて会った時や、ギルドで話しかけた時と比べると見違えるように明るくなってはいた、喜んでもらえたならよかった。

「それじゃ町に戻ろうか、お腹も減ったしね。」

「そうだね!それじゃぁ戻ろっか!」

そう言葉を交わし並んで歩く二人の足取りは軽く、その先にある町へと進んでいった。




町に付き、門をくぐり、少し歩くとカマウリさんの店が見えて来る、店の前には店主であるカマウリさんが仁王立ちしている所しか見たことがなかったのだが今はいないようだ、やっと客捕まえれたのかな?などと思っていると店から見慣れた二人組が出てくるのが見えた。

一人はハンターでもう一人はヒーラー、その二人を見て俺はたまらず声をかける。

「マジェ! カッチェ! なにしてんの~?」

その声を聴き、振り向いたふたりは俺を見つけるとそばまで駆け寄り、嬉しそうにしていた。

「よう!そっちこそ何してたんだ?」

「どこかいってたの?疲れてない?」

機嫌よさそうにそう二人が話しかけてくれて、俺はまた会えたことからの喜びを抑えながら言う。

「今クエストの帰りなんだよ、少しお金稼ぎたくてね!疲れてはいるけどお腹減ってることの方がしんどいかな。」

「お?腹へってるのか?それじゃどっか食いにいこうぜ!」

「そうだね!私たちもお昼にしようかって話してたところだし!」

そう誘ってくれた二人だが問題がある、今の俺は一人じゃない。この町でハミィの事はほとんどの人が知っていることらしいが二人の反応がわからない。

どう答えたらいいかと考えていると。

「コウ、大丈夫だよ。コウが選んだ人なんでしょ?なら私達は何も思わないよ。」

「そうだな、気にする必要なんかないぞ!ってかカッチェ!俺達まだ挨拶すらしてないぞ!」

「あ、そうだね!それじゃぁ・・・」

そういうと二人は俺の後ろにいたハミィに近づき、手を伸ばし、こう言ってくれた。

「俺はマジェ、コウの仲間だからよろしくな!」

「はじめまして!カッチェスです、気軽にカッチェと呼んでくださいね。」

二人の唐突な自己紹介に困惑しながらも出された手を順番に握り返し、彼女は言う。

「コウさんとしばらくペアを組ませていただく事になりましたハミィです、よろしくおねがいします。」

おそらく緊張をしているせいか少し声が裏返っていたが三人のそんな姿を見れてよかった、と思った時だった。

ガチャガチャと音を立てながら近づいて来た人が俺のすぐ後ろで止まった事に気づき、振り返ってみると。

「コウではないか、こんなところであうとはな。頑張っているか?」

と声をかけて来た、そして俺は見た。その人の鎧はとても素晴らしい物だと・・・・

磨き上げられた青色のフルプレート。

何者をも寄せ付けぬ盾・・・・・

あぁ・・・これは・・・・これは・・・・




「貴方だれですか?」



そう自然と声が出た。

だって顔見えないんだもの!わからないよ!?


「ぬ?貴様、師匠の姿もわからんとは・・・なんてやつだ・・。」

そういいながら隠れていた兜を取ると、中からはいつものサイモンさんの顔がそこにあった。

「なんだ、サイモンさんじゃないですか。そんなの着てたらわかりませんよ。」

「何を言っている、気でわかるだろうが!」

いや、教えてもらったけどちゃんと使いこなせてないんだからそんな事まで感じとれませんよ?

「それでサイモンさん何しているのですか?」

「なに、鎧の整備に来てたが今から戻るところだ、しかしまだまだ修行がたりんな。
コウ!貴様はこのまま鍛錬所に来い!鍛えてやる!」

「ごはん食べてからでもいいですか?」

「許す!」

あ、いいんだ。言っといてなんだけどダメだと言われると思ってた。

「わかりました、ではあとでうかがいますね。」

「よし、それはそうと後ろにいる三人はコウの仲間か?」

後ろにいる三人、マジェ、カッチェ、ハミィのことだろう。

「はい、マジェとカッチェは俺が鍛錬所に行く前からの付き合いでハミィは今日ペアを組んだ相方です。」

「ふむ、そうか・・・」

そういいながら何かを考えこむサイモンさんだが、何故か俺にはそれがろくなことじゃないという感じがした。

「よし、後ろの三人もつれて鍛錬所に来い!」

なんだって?全員で来いと?他の三人はタンク職の訓練には関係ないでしょうが!?
それにあんな場所にみんなを連れていけるわけがない!

「いや、サイモンさんまっ―――」

「では待っているぞ!」

そう言い残し、俺の言葉も聞かずに行ってしまった。

やっぱりろくなことじゃなかった・・・。

恐る恐る後ろを振り返ると、先ほどまで仲良さそうに自己紹介をしていた三人は突然現れたサイモンさんの言葉に驚き呆然としている。驚くのも無理はないだろう、関係がない職業の人間まで来いといいはなったのだから。

全く、相変わらずとんでもない人だなと俺はサイモンさんが歩いて行った道をただただ見つめ、とりあえず動かない三人にこう言った。


「あきらめろ」と。
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