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「離婚するの早くない?」
発情期の最初の波が去って裸でベッドに転がりながら、後ろの誠也に言う。
誠也は僕を後ろから抱いて髪に小さくキスをしてくれる。
事後のこのスキンシップ好き。
「・・・お前こそ、オレを呼ぶの早かったな。他のやつはダメだったのか?」
見えないけど、にやにやした顔が目に浮かぶ。
誠也が結婚してさすがに発情期に呼ぶことが出来ず、他の夜のお友達を呼んだんだけど・・・。
一夜ならいいけど、ずっとはダメだった。
なんて言うか、僕の欲しい物をくれない。それが一夜だけなら我慢もできるし仕方がないと諦められるけど、発情期は一週間続く。結局、終わりに近づいて身体も落ち着いてくると我慢できなくなってベッドから蹴り落としてしまった。
そんなことがあって次はどうしようと思っていたところに、誠也の離婚の話を聞いたのだ。
「僕を一番良く分かってくれてるのは誠也だってよく分かったよ」
僕は首をよじって誠也にキスした。
「で、なんで離婚したの?」
そのまま身体も向きを変えて誠也の方を向いた。すると誠也は苦い顔をする。
「・・・怖いんだと」
「なにが?」
誠也が怖いなんて有り得ない。僕の知る限り優しさで言ったら1、2を争う。
「うなじを噛まれるのが怖いんだとさ。もし番になって関係がダメになったら、自分の人生はどうなるのか。それを考えると怖くて仕方がないらしい」
それって、そんなことを考えてる時点でダメじゃん。
僕はぽかんと誠也を見た。
年も年だし、そろそろ結婚したいと婚活サイトに登録して出会ったオメガくんと結婚したけれど、結局一年どころか半年持たなかった。
「なんで結婚したの?」
そんな程度の人と。
その僕の素朴な疑問に、誠也は片眉を器用に上げた。
「・・・それ、お前が言うか?」
実は婚活サイトに登録する前に結婚を申し込まれていたのだ。
考えてみれば、それは当然の成り行きだ。
僕と誠也は20年以上発情期を共にし、お互いの親も公認で、多分この世で一番相手を理解している。これ程人生を共にする伴侶としてふさわしい相手はいない。
だけど・・・。
「誠也は僕を愛してないでしょ?」
僕も誠也を愛していない。
好きだけど、それはそういう愛とは違う。
僕も誠也も人としてお互いを認め、好意を持っているけれど、互いに肌を重ねるのはただの打算だ。
僕は好きな相手に思いも告げられず、忘れることも出来ない思いを抱え、けれど訪れる発情期と性欲を一緒に満たしてもらいたい。誠也は特定の人にまだ出会えていないけれど、親からの結婚のプレッシャーの隠れ蓑に僕を使っていた。
「でもここまで来たら残りの人生、オレたちは上手く過ごせると思うけどな」
確かに。
今までは僕の想いが邪魔をしていたけれど、それを諦めると決めた。
結婚か・・・。
番になって結婚したら社会的に信用もされ、子供も育てやすい。
そう、僕は子供が欲しいんだった。
結婚の前に子供だ。
結婚はいつでもできるけど、子供は生めなくなる。
「そんなことより、今回は僕からお願いがあるんだけど」
半分プロポーズのような言葉を、そんなことと片付けて、僕は子種をお願いした。
「僕、子供が欲しいの。今回から避妊しないで、て言ったら、生でしてくれる?」
発情期の最初の波が去って裸でベッドに転がりながら、後ろの誠也に言う。
誠也は僕を後ろから抱いて髪に小さくキスをしてくれる。
事後のこのスキンシップ好き。
「・・・お前こそ、オレを呼ぶの早かったな。他のやつはダメだったのか?」
見えないけど、にやにやした顔が目に浮かぶ。
誠也が結婚してさすがに発情期に呼ぶことが出来ず、他の夜のお友達を呼んだんだけど・・・。
一夜ならいいけど、ずっとはダメだった。
なんて言うか、僕の欲しい物をくれない。それが一夜だけなら我慢もできるし仕方がないと諦められるけど、発情期は一週間続く。結局、終わりに近づいて身体も落ち着いてくると我慢できなくなってベッドから蹴り落としてしまった。
そんなことがあって次はどうしようと思っていたところに、誠也の離婚の話を聞いたのだ。
「僕を一番良く分かってくれてるのは誠也だってよく分かったよ」
僕は首をよじって誠也にキスした。
「で、なんで離婚したの?」
そのまま身体も向きを変えて誠也の方を向いた。すると誠也は苦い顔をする。
「・・・怖いんだと」
「なにが?」
誠也が怖いなんて有り得ない。僕の知る限り優しさで言ったら1、2を争う。
「うなじを噛まれるのが怖いんだとさ。もし番になって関係がダメになったら、自分の人生はどうなるのか。それを考えると怖くて仕方がないらしい」
それって、そんなことを考えてる時点でダメじゃん。
僕はぽかんと誠也を見た。
年も年だし、そろそろ結婚したいと婚活サイトに登録して出会ったオメガくんと結婚したけれど、結局一年どころか半年持たなかった。
「なんで結婚したの?」
そんな程度の人と。
その僕の素朴な疑問に、誠也は片眉を器用に上げた。
「・・・それ、お前が言うか?」
実は婚活サイトに登録する前に結婚を申し込まれていたのだ。
考えてみれば、それは当然の成り行きだ。
僕と誠也は20年以上発情期を共にし、お互いの親も公認で、多分この世で一番相手を理解している。これ程人生を共にする伴侶としてふさわしい相手はいない。
だけど・・・。
「誠也は僕を愛してないでしょ?」
僕も誠也を愛していない。
好きだけど、それはそういう愛とは違う。
僕も誠也も人としてお互いを認め、好意を持っているけれど、互いに肌を重ねるのはただの打算だ。
僕は好きな相手に思いも告げられず、忘れることも出来ない思いを抱え、けれど訪れる発情期と性欲を一緒に満たしてもらいたい。誠也は特定の人にまだ出会えていないけれど、親からの結婚のプレッシャーの隠れ蓑に僕を使っていた。
「でもここまで来たら残りの人生、オレたちは上手く過ごせると思うけどな」
確かに。
今までは僕の想いが邪魔をしていたけれど、それを諦めると決めた。
結婚か・・・。
番になって結婚したら社会的に信用もされ、子供も育てやすい。
そう、僕は子供が欲しいんだった。
結婚の前に子供だ。
結婚はいつでもできるけど、子供は生めなくなる。
「そんなことより、今回は僕からお願いがあるんだけど」
半分プロポーズのような言葉を、そんなことと片付けて、僕は子種をお願いした。
「僕、子供が欲しいの。今回から避妊しないで、て言ったら、生でしてくれる?」
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