ほたるのゆめ

ruki

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ふつふつと怒りが込み上げてくる。
なんで僕がこんな目に会わなきゃいけないんだ。
僕なんかした?
優人にも誰にも何にもしてないよ?
なのになんで・・・!

身体が怒りで震えてくる。
そういえばいつの間にか発情期は明けている。でもそんなのもう関係ない。

僕は掴まれた手をぎゅっと握る。

なんか悔しい。
こんなことされて、同意もなくうなじを噛まれて、なのに・・・なのにそれを喜んでる自分がいる。

オメガ嫌いの優人の理不尽な気まぐれで番にされたというのに・・・。

それでも優人を怒りきれない。粉々に凍って砕け散ったはずの心の破片が、再び集まって形を作ろうとしている。そしてその心が叫ぶ。優人が好きだって。

分かってるよ。
僕だって気づいてた。
僕の世界の輝きは色褪せなかった。今もキラキラ輝いている。

発情期で意識を飛ばしながら、僕は極彩色に光り輝く世界を見ていた。
この世界の美しい光はひとつも消えることなく、輝き続けている。

身体を重ねると消えてしまう輝きは、優人との交わりでは消えなかった。

優人が好きだ。

だけど、それを認めるのが悔しい。

「オメガが嫌いなくせに・・・」

悔しくて涙が出る。なのに優人は僕をぎゅっと抱きしめた。

「発情期の蛍はかわいい。蛍の香りもオレをおかしくする」

優人はさらに力を入れて、耳元で囁く。

「次の発情期もオレがやる。その次もまたその次も。そしてオレの子種を仕込んで、オレの子を生ます。その間のエッチもオレがする。誰にも触らせない。蛍はオレのだ」

抗えないほどの独占欲を発揮して、優人はガーゼの上からうなじにキスをした。

僕は動けずされるがまま。

優人の言葉の意味がよく理解できない。

「オメガ・・・嫌いなんだよね・・・?」

優人の言葉通りにとると、それは恋の告白のようだ。だけど、僕は優人の嫌いなオメガ。

「嫌いだよ。蛍以外は」

「・・・・・・・・・?」

僕以外?
僕は・・・好き?

「あの時蛍は言ったよな。子供を作って先に幸せになるって。でもそんなことさせない」

・・・僕を幸せにさせない?

「今まで好きになった子は、みんな幸せになってもらいたいと思った。あの子も、オレといるよりきっと好きな人の傍がいいと思った。だから二人を会わせたんだ。だけど、蛍はいやだ。蛍を誰かに幸せにしてもらうなんて、そんなの許せない」

優人は顔を上げて僕の目をじっと見た。

「蛍を幸せにするのはオレだ。オレ以外誰にもさせない」

優人の言葉がまだよく理解できない。
僕はなんて言っていいか分からなくて、視線を揺らした。

「分からない?分からないか。オレも自分で分かったばかりだし・・・」

独り言のようにそう言うと、優人は僕の頭の後ろにそっと手を当てた。

「オレは蛍が好きだ。だから一生傍にいてほしい。蛍の発情期も普段の欲情もオレが相手をしたい。そしてオレの子を生んで欲しい」

優人の顔が近づいてくる。鼻が触れたところで僕は言った。

「それ・・・プロポーズみたい」

その言葉に優人はふわっと笑う。

「プロポーズだよ」

そして唇が重なった。

発情期では無い、初めてのキス。
それはやっぱり、今までの優人からは想像もできないくらい激しいものだった。

頭が酸欠でくらくらして、ぼうっとする。

やっぱりこれは夢?

そう思った頃唇が離れ、優人が耳を舐めた。

「蛍・・・返事は?」

世界は相変らずキラキラ輝いている。

「・・・僕も好き」

「だから?」

いたずらっ子のような響きを含んだ優人の声。僕はそんな優人に身体を押し付けた。発情期は明けたはずなのに熱くなった身体。

「・・・もうするのは優人だけ」

だから早くこの熱を鎮めて・・・。

その言外の思いを受け取って、優人は再び激しいキスをした。


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