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待っててと言われても、家主が帰ってきたのにだらだらとベッドに横になっている訳には行かない。
僕は眠たい目を擦りながらベッドから降りると、リビングへ行った。するとそこからゴーっと言う機械音。
「ベッドで待っててよかったのに」
そう言う木佐さんはキッチンに立っていた。そして音の正体はミキサー。
ちょうど出来上がったのか、木佐さんはスイッチを切って中身をマグカップに移している。それを持って僕のところに来てソファに促すと、そのマグカップを渡してくれた。
「大丈夫そうなら飲んでみて」
これってさっきのフルーツのジュース?
僕はくんの匂いを嗅いで、それから一口飲んでみた。するとトロリとした甘い、でも爽やかな液体が口の中に広がり、喉の奥に流れていく。
おいしい。
「大丈夫そう?」
心配げに見つめる木佐さんに僕は微笑んだ。
「大丈夫です。すごくおいしいです。僕、こんなの初めて飲みました」
今日は朝、食パンを齧ったきりなので、僕はお腹がびっくりしないように少しずつジュースを飲んでいく。
「良かった。本当はバナナとフルーツの缶詰を使うんだけど、せっかくフレッシュな果物があったから・・・でもごめん、みかんだけはやっぱり缶詰を使ったよ。皮がね・・・舌触りが悪くって」
なんで缶詰だとごめんなんだろう?
変なところにこだわりのある木佐さんがおかしくて笑ってしまう。
そんな僕を木佐さんは目を細めてみている。
「良かった。大分顔色が良くなったね」
「たっぷり寝てしまいました。明日は会社に行けそうです」
胸のむかつきももやもや程度だし、明日は大丈夫そう・・・て、昨日の夜もそんなに調子悪くなかったんだよね。
明日大丈夫かな・・・?
それが顔に出てしまったのか、木佐さんはくすりと笑って僕の頭をぽんぽんと軽く叩く。
「明日のことは明日考えよう」
僕はそれに頷いた。
「さて、水森くんごはん食べられそう?僕は今から食べるけど、匂いとか大丈夫かな?」
そう言って出てきたのはコンビニ弁当。
「木佐さん、ごはんいつもそれですか?」
僕はちょっとびっくりして訊いてしまった。
「大体は外で済ませて帰ってくるんだけど、時間が無い時とか面倒な時はこれだよ」
そう言ってさらにおにぎりとパンも出てきた。
「食べられそうなもがあったら、食べてもらいたいんだけど、どうかな?」
そう言ってくれるけど、僕のお腹はジュースで満たされてしまった。
そうでなくても好き嫌いは無いので、今出してくれたものは全部食べられるけど、今の僕には分からない。
「今はもうお腹いっぱいなので大丈夫です。でも今後のために匂いとか試してみてもいいですか?」
と言っても片っ端から開けちゃっても、木佐さんもこんなに食べないよね?
「木佐さん、どれ食べますか?」
その意図が分かったのか、木佐さんはパンをよけた。
「パンは明日の朝食べるから、お弁当かな?あとおにぎり」
そう言っておにぎりの封を開けた。そこに鼻を近づけて匂いを嗅ぐ。
「大丈夫です」
全然大丈夫だった。
良かった。ごはんと海苔は大丈夫だ。それを見て木佐さんがお弁当のフタを少し開ける。これは鼻を近づけなくても匂いが飛んできた。
あ、これも大丈夫。
僕の顔を見て大丈夫だったことが分かったのか、木佐さんはお弁当の蓋を全部とった。
「案外大丈夫でした。ということは今のところピザまんだけかな?」
あ、でもあの後部屋に立ちこめる中華まんの匂いでもダメだったから・・・。
「いや、中華まん全般があやしい」
同じことを思ったのか、木佐さんが言う。
「ですね。当分コンビニには近寄らないようにします」
今は中華まんの季節。いつでもどこでもほかほかの肉まんが置いてある。
「そのほうがいいね」
木佐さんも頷いた。
その後食事をする木佐さんに付き合ってリビングでお話をしてからお風呂をいただいて、この日はベッドに入った。あんなに寝たのに僕のまぶたは程なくして閉じ、僕は眠りの底に落ちて行った。
次の日の朝、僕の体調は思ったほど悪くはなく、相変わらず胸のむかつきはあるものの会社に行けないほどじゃなかった。そんな僕の顔色を見て木佐さんからもOKが出て、この日は出社することが出来た。
僕は眠たい目を擦りながらベッドから降りると、リビングへ行った。するとそこからゴーっと言う機械音。
「ベッドで待っててよかったのに」
そう言う木佐さんはキッチンに立っていた。そして音の正体はミキサー。
ちょうど出来上がったのか、木佐さんはスイッチを切って中身をマグカップに移している。それを持って僕のところに来てソファに促すと、そのマグカップを渡してくれた。
「大丈夫そうなら飲んでみて」
これってさっきのフルーツのジュース?
僕はくんの匂いを嗅いで、それから一口飲んでみた。するとトロリとした甘い、でも爽やかな液体が口の中に広がり、喉の奥に流れていく。
おいしい。
「大丈夫そう?」
心配げに見つめる木佐さんに僕は微笑んだ。
「大丈夫です。すごくおいしいです。僕、こんなの初めて飲みました」
今日は朝、食パンを齧ったきりなので、僕はお腹がびっくりしないように少しずつジュースを飲んでいく。
「良かった。本当はバナナとフルーツの缶詰を使うんだけど、せっかくフレッシュな果物があったから・・・でもごめん、みかんだけはやっぱり缶詰を使ったよ。皮がね・・・舌触りが悪くって」
なんで缶詰だとごめんなんだろう?
変なところにこだわりのある木佐さんがおかしくて笑ってしまう。
そんな僕を木佐さんは目を細めてみている。
「良かった。大分顔色が良くなったね」
「たっぷり寝てしまいました。明日は会社に行けそうです」
胸のむかつきももやもや程度だし、明日は大丈夫そう・・・て、昨日の夜もそんなに調子悪くなかったんだよね。
明日大丈夫かな・・・?
それが顔に出てしまったのか、木佐さんはくすりと笑って僕の頭をぽんぽんと軽く叩く。
「明日のことは明日考えよう」
僕はそれに頷いた。
「さて、水森くんごはん食べられそう?僕は今から食べるけど、匂いとか大丈夫かな?」
そう言って出てきたのはコンビニ弁当。
「木佐さん、ごはんいつもそれですか?」
僕はちょっとびっくりして訊いてしまった。
「大体は外で済ませて帰ってくるんだけど、時間が無い時とか面倒な時はこれだよ」
そう言ってさらにおにぎりとパンも出てきた。
「食べられそうなもがあったら、食べてもらいたいんだけど、どうかな?」
そう言ってくれるけど、僕のお腹はジュースで満たされてしまった。
そうでなくても好き嫌いは無いので、今出してくれたものは全部食べられるけど、今の僕には分からない。
「今はもうお腹いっぱいなので大丈夫です。でも今後のために匂いとか試してみてもいいですか?」
と言っても片っ端から開けちゃっても、木佐さんもこんなに食べないよね?
「木佐さん、どれ食べますか?」
その意図が分かったのか、木佐さんはパンをよけた。
「パンは明日の朝食べるから、お弁当かな?あとおにぎり」
そう言っておにぎりの封を開けた。そこに鼻を近づけて匂いを嗅ぐ。
「大丈夫です」
全然大丈夫だった。
良かった。ごはんと海苔は大丈夫だ。それを見て木佐さんがお弁当のフタを少し開ける。これは鼻を近づけなくても匂いが飛んできた。
あ、これも大丈夫。
僕の顔を見て大丈夫だったことが分かったのか、木佐さんはお弁当の蓋を全部とった。
「案外大丈夫でした。ということは今のところピザまんだけかな?」
あ、でもあの後部屋に立ちこめる中華まんの匂いでもダメだったから・・・。
「いや、中華まん全般があやしい」
同じことを思ったのか、木佐さんが言う。
「ですね。当分コンビニには近寄らないようにします」
今は中華まんの季節。いつでもどこでもほかほかの肉まんが置いてある。
「そのほうがいいね」
木佐さんも頷いた。
その後食事をする木佐さんに付き合ってリビングでお話をしてからお風呂をいただいて、この日はベッドに入った。あんなに寝たのに僕のまぶたは程なくして閉じ、僕は眠りの底に落ちて行った。
次の日の朝、僕の体調は思ったほど悪くはなく、相変わらず胸のむかつきはあるものの会社に行けないほどじゃなかった。そんな僕の顔色を見て木佐さんからもOKが出て、この日は出社することが出来た。
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