爽やか王子のひとりごと

ruki

文字の大きさ
2 / 5

2

しおりを挟む

そんなことを考えながら、外回りからもどったら、後ろから声をかけられた。

「お、爽やか王子、珍しいなこんな時間に」

ちょうど向こうも外回りから帰って来たようで、同期の営業がオフィスに入ってきた。

オレの顔を見るなり、嫌な呼び方しやがって・・・。

「なんだよ、その呼び方」

「お前の影での呼び名だ。知らなかったのか?」

・・・知らなかった。
入社して十年経つが、一体いつからそんな呼び名が・・・。

大体、オレにあるならこいつにだって別の呼び名がありそうだが・・・。
顔良し、仕事良しの営業のトップなんだから。

「お前にはないのか?」

するとそいつは器用に片眉を上げて『知らん』と答えた。まあ影での呼び方は往々にして、本人の前では呼ばないからな。
オレも今まで知らなかった訳だし、そんなものか。
でも、オレが『王子』ならこいつは『暴君』か?
この男は時に、周りをねじふせて自分を押し通す。こんなのがなぜ営業トップなのかと疑問に思うが、そこは彼の手腕なのだろう。

そんなことを考えていたら、突然変なことを言い出した。

「ところでお前のアシとオレのアシ、交換しろよ」

急になんだ?するわけないだろ。

「なんでだよ」

営業にはみんなついていて、特にトップのアシスタントは優秀なはずだ。

「あの真面目メガネ・・・そっちのワンコの方がいいだろ?」

ワンコ、て・・・。

「・・・なんだよ、いきなり」

何を言い出すんだ。

「見ててつまらないんだよ。どうせ連れて歩くなら、かわいい方が楽しいだろ」

確かにこいつのアシスタントは真面目を絵に書いたような男だ。
でもそうなったのは、こいつが昔、アシスタントに手を出したからではないか。

元々性欲が強い割に特定の恋人を作らなかったこいつは、複数のセフレを持っている。週末は必ず彼女たちと楽しんで、再び始まる一週間に備えていたのだ。
しかし、そんな事情を知らない当時のアシスタントがこいつに迫り、またあっさり抱いてしまったことで一悶着あった。要するに、恋人になったつもりが実はセフレであり、しかも、複数いるうちの一人だったという事を知ったのだ。その時の彼女と言ったら・・・泣くは喚くは暴れるはで、当時は大変な騒ぎになった。

それ以来、こいつに付くアシスタントは何も問題が起きない、真面目な男になったのだ。

「楽しい・・・て、お前の好みじゃないだろ?それに、いくらかわいくても男だぞ」

そう、こいつの好みは綺麗なお姉さんタイプだ。あの子はかわいい子犬系だから全くタイプが違う。それにこいつはノンケだ。

「確かに以前、もろオレ好みの顔の男に誘われて乗ってみたことがあるけど、ムリだったな」

・・・乗ってみるなよ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

仲良くしようね

しち
BL
幼い頃から周囲が驚くほど仲良く育った年子の兄弟、豪と庵。庵は兄に特別な想いを抱いて育ち、その庵の気持ちに応える形で二人は恋人同士になった。 そんな二人が恋愛関係にあるとは知らないながらも、いつも優しく見守り、背中を押してくれた祖父を亡くした二人の話。兄×弟。

選択の物語

まめなぎ
BL
早川竜は、俺の幼なじみだ。 小学生の時、窃盗事件が起きた。 犯人は竜だと思った。 それでも、別の子を犯人にした。 罪悪感はあったけれど でも竜を失うよりはましだった。 高校生になったある日、クラスでまた盗難事件が起きる。 疑いの目が向けられたのは——また、竜だった。 あの時と同じだ。 俺は、また選ばなければならない。 ニ話完結

キサラギムツキ
BL
長い間アプローチし続け恋人同士になれたのはよかったが…………… 攻め視点から最後受け視点。 残酷な描写があります。気になる方はお気をつけください。

従僕に溺愛されて逃げられない

大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL! 俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。 その傍らには、当然のようにリンがいる。 荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。 高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。 けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。 当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。 居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。 さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。 主従なのか、恋人なのか。 境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。 従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。

【完結】報われないままの狂愛

佐藤さん
BL
七年前に逃げた地元で、狂気の男・星野柊斗が再び俺を追い詰める。 拒絶しても離れられない、救われない愛の物語。

俺の秘書に手を出すな

うさきち
BL
新しく雇った美貌の青年秘書は暗い過去がありそうで……

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか

BL
平凡な学生だったはずの俺が転生したのは、恋愛ゲーム世界の“王子”という役割。 ……けれど、攻略対象の女の子たちは次々に幸せを見つけて旅立ち、 気づけば残されたのは――幼馴染みであり、忠誠を誓った騎士アレスだけだった。 「僕は、あなたを守ると決めたのです」 いつも優しく、忠実で、完璧すぎるその親友。 けれど次第に、その視線が“友人”のそれではないことに気づき始め――? 身分差? 常識? そんなものは、もうどうでもいい。 “王子”である俺は、彼に恋をした。 だからこそ、全部受け止める。たとえ、世界がどう言おうとも。 これは転生者としての使命を終え、“ただの一人の少年”として生きると決めた王子と、 彼だけを見つめ続けた騎士の、 世界でいちばん優しくて、少しだけ不器用な、じれじれ純愛ファンタジー。

処理中です...