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第八章:散るは忠誠、燃ゆるは誇り――約束の交差点、勇者計画の終焉
第151話:エンプラの五日目──地底から来る第三の太陽、そして帝国最終兵器は“合体”を選ぶ
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山地エリアに、戦略級核ミサイルICBM-Xが投下された。
閃光が先だった。
山岳地帯の上空、一点から太陽が地上に堕ちたかのような白光が炸裂する。一瞬で夜を偽りの白昼に変え、岩肌の影を残忍なまでに消し去った。次の瞬間、火球が膨張する。灼熱の球体が山腹を飲み込み、岩盤を瞬時に熔解させ、膨大なエネルギーが周囲を放射する。
衝撃波が山々を蹂躙した。目に見える波紋として、爆心を中心に同心円状に拡がる。巨木は根こそぎなぎ倒され、岩峰は粉々に砕け、山肌は水面のように波打った。轟音は山峡を何度も反響し、雷鳴を数千倍に増幅したような地響きが続く。
爆心地に最も近い峡谷に潜んでいた四天王の一人、地竜エンシェントは、その巨体をもってしても逃れる術はなかった。閃光が襲った瞬間、分厚い岩のような鱗が一瞬で白熱し、蒸発した。火球の直撃を受け、巨体は熔けた岩と同化する。骨格すらも瞬時の高温で塵へと還り、数百万年の進化で獲得した頑強な肉体は、人類が生み出した究極の破壊力の前では無意味だった。
やがて火球が上昇し、特徴的なキノコ雲が立ち上る。雲柱は灰と蒸気と放射性塵を成層圏まで運び上げ、基部では灼熱の風が渦巻き続ける。爆発が収まった後、山肌には熔解した岩が流れ落ちた無残な痕跡が残り、中心部には巨大なクレーターが口を開けていた。
かつて地竜が棲んでいた峡谷は、ガラス質に変質した岩で覆われ、不気味に輝いている。放射能を帯びた風が、荒れ果てた新たな地形の上を吹き抜ける。そこにはもう、古代より大地を支配していた巨獣の痕跡は、微塵も残されていなかった。
*
「なかなか見事な最後の一撃だった。余興として、余は満足した。さらばだ、名も知らぬ勇者よ。」
しかし、爆心に最も近かったはずの魔王ダークソウルは、無傷だった。帝衣についた埃を軽く叩き落とし、何ごともなかったように振る舞う。
エンプラは本当に、この戦いで自らが発射した核ミサイルにより、命を散らしたのか?
「そいつはよかったでありますね。なら、次はお前が吾輩を楽しませる番であります。」
戦場から去ろうとするダークソウルの背後から、あのロボットの声が聞こえた。さすがの彼にも予想外だったのか、目をわずかに見開いたが、すぐに愉悦に満ちた笑みに変わった。
「まだ立てるのか!いいぞ!そうでなければ面白くない!さあ、まだ隠し玉があるだろう?出し惜しみせず、余に見せてみよ!」
突然、爆発の残る煙の中から、白く寒気を漂わせる砲撃が放たれ、ダークソウルに直撃した。ダークソウルは今回も何もせず、それを受け止めた。
だが──
寒気が彼に着弾した瞬間、彼を含む周囲一帯が凍結した。ダークソウルはすぐに宝剣を振るい、体に張り付く氷を払い落とした。しかし、彼はある事実に気付いた。
彼は、ダメージを受けていた。
「へえ~。核ミサイルすら無事だったのに、これには弱いか。つまり、物理攻撃には絶対的な耐性を持つが、魔法属性の攻撃にはそうでもない……でありますね。ああ、なんだこれは?なぜ吾輩が喋ると、エンプラの口調になるでありますか?」
煙が完全に晴れ、エンプラの姿がはっきりと見えるようになった。しかし、先ほどまでのどこか間の抜けた可愛らしさはなく、目つきは鋭く、威圧感のあるイメージを帯びている。
「誰だ……貴様は?」ダークソウルも感じ取っていた。同じエンプラの姿ながら、今のエンプラと今までのエンプラは、明らかに「別人」であることを。
「帝国軍、貪狼将軍、エンタープライズCVN-6であります。」
「ふざけるな!」
宝剣を振るい、黒い炎をまとった斬撃がエンプラへと襲いかかる。
「ベリアルの黒炎ほどでは……ないでありますな。」エンプラの指先に、青白いエネルギーが再び光る。先ほどと同じ寒気を帯びた砲撃が放たれた。
黒い炎と青白い液体が衝突する。
そして──
液体の方が勝った。 その勢いは止まらず、そのままダークソウルへ直撃しようとする。
「ほう?……避けたでありますか。馬鹿正直に受けるんじゃなかったでありますか?どうです、吾輩の最強の技を受けてみては?」
ダークソウルは、その攻撃を避けた。あの核ミサイルすら顔色一つ変えずに受けたダークソウルが、この液体の砲撃を避けた。それはダークソウル自身さえ驚くことだった。
「ただの水ではない……この骨の髄まで届く寒さ……貴様、何をしやがった!」
「敵に聞いてどうするでありますか。でもまあ、冥土の土産に、無知なお前に教えてやる。これは水ではない。液体窒素であります。」
液体の水は通常、0℃から100℃の間で存在する。しかし、窒素なら-196℃まで下がる。さらに、魔法によってその温度を下げると──
-273℃、絶対零度に限りなく近づける。
「小細工め!その程度で余の炎は消えぬ!余の雷には届かぬ!」ダークソウルの体に黒い炎が燃え上がり、宝剣には黒い雷がまとう。二つの属性が融合し、雷炎と化す。
「なるほど、第二形態に入ったでありますか。では、こちらも『変身』するであります。」
エンプラは四次元武器庫から、一つの仮面を取り出し、顔に付けた。
カチッ!
確かな嵌合音。
仮面が顔面に密着、固定される。
「認証。変身、許可であります!」
元のエンプラの元気な音声が、仮面内部から直接、頭蓋骨に響く。
「スタート・アップ。」
高速の起動音が流れ、キーンという高周波の充填音が空間を震わせる。仮面が光る──目となる部分が鋭い青い光を帯び、額からは幾何学模様の光のラインが走り始める。
「システム、起動。プロテクター、装着であります。」
ジジジッ! という唸りと共に、光の粒子がエンプラの体を上下に駆け抜ける。その軌跡に沿って、漆黒の軍服の生地がまず展開する。詰襟のコートが肩から流れるように形成され、銀のボタンと金線の飾緒が瞬時に浮かび上がる。
「アーマー、実体化。」
ガシャン、ガシャン! 金属装甲の装着音が連続する。肩、肘、膝──黒く鈍く光る強化装甲が、軍服の上から次々と覆い被さる。胸部には銀の鷲章が浮かび上がり、腰のベルト両側には拳銃と短剣のホルスターが物質化する。
「仮面ナイト・グレイゴースト。」
最後の宣言と共に、全身の光のラインが一斉に最大輝度で閃き、消える。
そこに立つのは、漆黒の軍服に身を包み、無機質な仮面を戴いた、苛烈なエンプラの姿だった。銀の装甲が冷たく光り、コートの裾だけが微かに揺れている。
「かっこいいであります!吾輩、こんなこともできるでありますか!」(元の声)
「そうだ。その力の半分すら出しておけば、この程度の相手に手こずることもなかったのに。反省しろであります。」(重く冷たい別の声)
「なに一人でブツブツ言っている!頭でも狂ったか!」今のダークソウルから見ると、【変身】した後のエンプラの声は、二つに分裂している。一つは、今まで通りの少し間の抜けたエンプラの声。そして──
「自律AIと手動操作の違いを、分からせてやるであります。」重く冷たく、もう一つのエンプラの声だった。
*
空気が氷のように張り詰めた。エンプラとダークソウルは、互いを睨み合い、一瞬の隙をうかがっていた。
「『Ignition Spark Blade(イグニッション・スパーク・ブレイド)』!」
最初に沈黙を破り、攻撃を仕掛けたのはダークソウルだった。雷の如き速さで接近し、炎の如く雷炎をまとった宝剣で大斬撃を振るう。
「ダメですね。大振りすぎて、隙だらけであります。」エンプラは軽やかに初撃をかわし、ビームソードを抜き放ち、クイックスラッシュを叩き込んだ。ダメージはさほどではないが、ダークソウルにわずかな硬直を生じさせる。そしてエンプラの攻撃は、まだ終わらない。
さらにもう一振りのビームソードを取り出し、交差させてツインスラッシュ。ダークソウルの硬直の隙を逃さず、アッパーブレードでその巨体を空中へ打ち上げる。エンプラは背中の電子翼を展開し、打ち上げられたダークソウルへ追撃。まず追尾ミサイルを数発放ち硬直時間を延長させ、武器をマシンガンに瞬時に切り替え、弾幕でダークソウルをさらに高空へ押し上げていく。
「貴様……!」ダークソウルは大ダメージを受けているわけではない。しかし、エンプラの攻撃リズムによって生じた硬直状態が解けず、動けず、反撃もできず、ただ打ち上げられるがままだった。
「喋っている暇はないでありますよ。」ダークソウルに追いついたエンプラは、ビームソードでエアスラッシュ、そしてエアツインスラッシュを連続で決める。その間、自身の攻撃後の硬直をキャンセルするため、エンプラはスラッシュとスラッシュの合間に微細な回避動作を挿入する。これにより攻撃後の隙が消え、ほぼ無限にスラッシュを繰り出し、ダークソウルをより高く、より速く打ち上げ続ける。ダークソウルは依然、硬直状態から脱せずにいた。
「さあ、踊れ!魔王だろう?みっともないダンスは見せないでほしいでありますよ。」
「ドクター!吾輩の体をそんな風に動かさないでくださいであります!壊れちゃうでありますよ!」エンプラの操縦席で、次々と繰り出されるキャンセル動作の連続に、エンプラ自身の精神が追いつかず、抗議の声を上げた。
「大丈夫だ。君をそんな脆いロボットには作っていない。創造者である私が保証する。」
どうやら、二日目にノックターンに夜襲されたドクターは、次の暗殺に備え、その朝からずっとエンプラの操縦席に潜んでいたらしい。
エンプラは自律戦闘アンドロイドだが、当然、手動操縦も可能だ。
ただ、その操縦席は非常に狭く、ドクターは本来の毛玉の姿でなければ入れない。
それに、エンプラが自身の機体制御権を操縦者より優先させていたため、ドクターが乗り込んでいても、ずっと手動モードへの切り替えを拒否し続けていた。
だが、今は違う。
エンプラのスラッシュの速度はますます加速し、最後は「終末のソード・ダンス」で、一瞬にしてダークソウルを大気圏の外縁へと切り上げた。
「ドクター!機体の熱量が限界点に達しましたであります!これ以上動くと、吾輩の核動力炉が暴走しますでありますよ!」
「ならば、すべてを放出すればいい。『無限カノン砲』で撃て。」
エンプラは右手を開き、機体全体に蓄積された膨大な熱量を一点に集中させ始める。
「了解しましたであります!無限カノン砲、エネルギー充填開始であります!2%……5%……」
「ようやく……止まったな!よくも余をここまで散々にしたな!」攻撃の間隙を突き、ダークソウルは徐々に硬直状態から解放されつつあった。
「20%……間に合いませんであります!」
「ならば、時を加速する!」
その次の瞬間、エンプラはすでにダークソウルの真上に移動しており、充填率は──
「120%!無限カノン砲、発射でありますッ!!」
右手から迸る赤黒いエネルギーの奔流が、ダークソウルを直撃する。体の自由を完全に取り戻す、あと一歩のところで、エンプラの砲撃により、さらに強力な硬直状態に囚われたダークソウルは、そのまま地面へ一直線に墜落していく。いや、地面さえもその衝撃を受け止めきれず、ダークソウルはさらに深い、地底の深淵へと貫かれ、消えていった。
「おのれ……!おのれ……!おのれ……!!」
なす術もなく、カノン砲の圧倒的なエネルギーに押し流され、ダークソウルは大地の奥底へと葬り去られた。
*
「やったであります!ドクター!」
「いや、まだだ。」
大地が胎動する。
深い地底から、岩石が呻くような重く鈍い轟音が湧き上がってきた。山々が微かに震え、谷間にひび割れが走る。その裂け目から、まずは熱風が噴き出す──が、それは地熱ではない。冷たい、しかし全てを焼き尽くす不気味な熱気だった。
そして、地心の闇から、一点の黒い炎が噴き上がる。
漆黒の太陽が地底で爆発したかのようだ。炎は噴火のように地表を破り、しかし溶岩は一切伴わない。ただ、純粋な「黒」が、光さえも吸い込む深淵の色が、渦巻きながら天空へと立ち上る。
その炎の柱の中から、翼が現れる。
最初は影のように、そして次第に確かな輪郭を結ぶ。翼を広げれば、その影で山すら覆い隠す巨大な鳥の姿。全身を、先ほどまで地心を満たしていた黒い炎がまとわりつくように燃え上がっている。炎は羽根一枚一枚から逆立ち、静かに、しかし激しく揺らめく。炎の隙間から見える体躯は漆黒の鋼のように硬質で、光を反射しない闇を纏っている。
バリバリッ!
鋭い、世界を切り裂くような音と共に、その生物の周囲に黒い雷が走る。紫がかった靄を帯びた闇の電撃が、翅端から翅端へ、あるいは鋭い鉤爪から三本の足へと迸る。その雷は音を殺し、空間を歪ませる。
八咫烏(ヤタガラス)が、ゆっくりと首を上げる。
その目は、燃える炭のごとく赤く、深遠な知性と、計り知れない古の神性を宿している。三本の足は大地を掴むように踏ん張り、その爪の一蹴りでさえ、岩盤を粉砕する力を秘めている。
翼をひとたたきする。
ドォオオオオッ! という風圧が山肌を削り、黒炎と黒雷が混じり合った奔流が周囲に放射される。それは破壊の波動であると同時に、畏怖と崇敬を強いる神威の放出でもあった。
大地より現れし古の神鳥は、黒炎の衣を翻し、闇雷の冠を戴き、ただそこに在るだけで、世界の理が歪むほどの存在感を放っていた。その姿は、神話そのものが具現化し、地の底より這い出でたかのようだ。
「な…なんでありますか、あれ!?」
「ダークソウル以外にいないだろう。私は嫌いよね、こんなボスを倒したと思いきや第二形態とか第三形態とか。いらないよ、そんな仕様」と、操縦席のドクターが呆れたように呟く。
「貴様が帝国の博士か。あんなちっぽけなガラクタの中にしか籠れない臆病者。器のほどは知れている」
「ドクター、言われているでありますよ」
「事実だし。そんなことでいちいち怒る子供でもないからな。おっと!」会話しながらも、ドクターはエンプラを操縦し、八咫烏化したダークソウルの攻撃をかわしていた。
「でも、あのサイズじゃエンプラ単体ではちょっと無理があるかもな。そうだ、CVN-6よ。ロボットアニメで、でかい敵が出てきたら何をする?」
「合体!!」
「そうだ。巨大なモンスターの相手なら、やはり合体巨大ロボットだよな」
エンプラは空中で姿勢を整え、宣言した。
「全機、合体シーケンスを開始するであります!吾輩は頭部ユニットやるであります!」
「え?合体?聞いていませんが!とCVN-2の声には驚きが混じりながらも、合体に対する興奮を隠し切れていませんでした。」
エンプラCVN-1からCVN-5は、ICBM-X核ミサイルをロケット代わりに搭載し、帝国からここへ向かっていた。着弾5分前にミサイルから脱出し、高空で戦場データを収集、ドクターに送信し続けていた。
「やれやれ、別に合体なんかしたくないですからねとCVN-5は少しツンデレ風に言ったが、その声には喜びが滲んでいました。」
どうやら、ロボットとして造られた彼女たちも、心のどこかで「合体」に憧れていたようだ。
合体シーケンス、開始。
CVN-1の機体が空中で水平になり、胸部から青白い光のフィールドが展開する。初号機としての威厳を持って、合体の基盤となる。
「CVN-1、コアユニット、受諾しました」
CVN-2の機体が分解し、細かなパーツ群となりCVN-1の左側に集結。無数のパネルが組み合わさり、精密な機械腕が形成される。
「CVN-2、左腕・精密システム、接続します」
CVN-3は豪快に変形。重厚な装甲と多数の砲門がCVN-1の右側に融合し、圧倒的な破壊力を備えた腕が完成する。
「CVN-3、右腕・戦闘システム、統合します。火力、全開でお願いしますね」
CVN-4の機体が縦に分割され、脚部パーツへと変形。無数のハッチが開き、様々な武装のシルエットがちらつく。
「CVN-4、脚部・装備システム、展開します。武器は…丁寧に使ってください」
CVN-5は翼を広げ、背中ユニットへと展開。大型のセンサーディッシュと通信アンテナが現れ、電子的な視界を広げる。
「CVN-5、背部・索敵システム、オンライン。全領域、監視を開始します」
「さあ、主役の登場であります!」CVN-6が宙返りを決め、編隊の頂点へ移動する。
CVN-6の機体がコンパクトに変形。脚部が折り畳まれ、背中の翼が頭部の装甲へと再構成される。特徴的なアンテナが王冠のように輝き、眼部センサーが鋭い青い光を放つ。
「接続、開始であります!」
CVN-6の頭部ユニットが、完成しつつある胴体の首部分へ落下。カチッ! と確かな嵌合音が響く。
天を覆う蒼光が走り、巨大なシルエットが完全に形を成した。
「全システム、接続完了。エネルギー、循環開始とCVN-1が報告します」。
「照準システム、オンライン。敵性反応を捕捉とCVN-2が続けます」。
「戦闘システム、起動。全火器、使用可能とCVN-3が宣言します」。
「装備システム、スタンバイ。好きな武器をどうぞとCVN-4が控えめに言う。」
「センサーシステム、全領域を監視中。死角なしとCVN-5が締めくくります」
そして最後に、CVN-6の声が全ての声を束ねるように響いた。
「よし!これでみんな、一つになったであります!心も体も、ばっちりであります!」
巨大ロボットの眼が一斉に青く輝く。全高50メートル。白と青を基調とし、各CVNの特徴を組み合わせた威容が、黒炎の神鳥と対峙する。
「機神──『貪狼将軍・ビッグE』であります!さあ、黒焦げ焼き鳥、最終ラウンド開始であります!」
「面白い。ならば――万象を焦土へ還す、第三の太陽を見せてやろう。」
ビッグEが構えを取る。右腕の砲門が唸りを上げ、左腕のビームソードが展開する。その背後では、八咫烏が黒炎の翼を広げ、天地を揺るがす咆哮を上げた。
エンプラサイド、五日目終了。
閃光が先だった。
山岳地帯の上空、一点から太陽が地上に堕ちたかのような白光が炸裂する。一瞬で夜を偽りの白昼に変え、岩肌の影を残忍なまでに消し去った。次の瞬間、火球が膨張する。灼熱の球体が山腹を飲み込み、岩盤を瞬時に熔解させ、膨大なエネルギーが周囲を放射する。
衝撃波が山々を蹂躙した。目に見える波紋として、爆心を中心に同心円状に拡がる。巨木は根こそぎなぎ倒され、岩峰は粉々に砕け、山肌は水面のように波打った。轟音は山峡を何度も反響し、雷鳴を数千倍に増幅したような地響きが続く。
爆心地に最も近い峡谷に潜んでいた四天王の一人、地竜エンシェントは、その巨体をもってしても逃れる術はなかった。閃光が襲った瞬間、分厚い岩のような鱗が一瞬で白熱し、蒸発した。火球の直撃を受け、巨体は熔けた岩と同化する。骨格すらも瞬時の高温で塵へと還り、数百万年の進化で獲得した頑強な肉体は、人類が生み出した究極の破壊力の前では無意味だった。
やがて火球が上昇し、特徴的なキノコ雲が立ち上る。雲柱は灰と蒸気と放射性塵を成層圏まで運び上げ、基部では灼熱の風が渦巻き続ける。爆発が収まった後、山肌には熔解した岩が流れ落ちた無残な痕跡が残り、中心部には巨大なクレーターが口を開けていた。
かつて地竜が棲んでいた峡谷は、ガラス質に変質した岩で覆われ、不気味に輝いている。放射能を帯びた風が、荒れ果てた新たな地形の上を吹き抜ける。そこにはもう、古代より大地を支配していた巨獣の痕跡は、微塵も残されていなかった。
*
「なかなか見事な最後の一撃だった。余興として、余は満足した。さらばだ、名も知らぬ勇者よ。」
しかし、爆心に最も近かったはずの魔王ダークソウルは、無傷だった。帝衣についた埃を軽く叩き落とし、何ごともなかったように振る舞う。
エンプラは本当に、この戦いで自らが発射した核ミサイルにより、命を散らしたのか?
「そいつはよかったでありますね。なら、次はお前が吾輩を楽しませる番であります。」
戦場から去ろうとするダークソウルの背後から、あのロボットの声が聞こえた。さすがの彼にも予想外だったのか、目をわずかに見開いたが、すぐに愉悦に満ちた笑みに変わった。
「まだ立てるのか!いいぞ!そうでなければ面白くない!さあ、まだ隠し玉があるだろう?出し惜しみせず、余に見せてみよ!」
突然、爆発の残る煙の中から、白く寒気を漂わせる砲撃が放たれ、ダークソウルに直撃した。ダークソウルは今回も何もせず、それを受け止めた。
だが──
寒気が彼に着弾した瞬間、彼を含む周囲一帯が凍結した。ダークソウルはすぐに宝剣を振るい、体に張り付く氷を払い落とした。しかし、彼はある事実に気付いた。
彼は、ダメージを受けていた。
「へえ~。核ミサイルすら無事だったのに、これには弱いか。つまり、物理攻撃には絶対的な耐性を持つが、魔法属性の攻撃にはそうでもない……でありますね。ああ、なんだこれは?なぜ吾輩が喋ると、エンプラの口調になるでありますか?」
煙が完全に晴れ、エンプラの姿がはっきりと見えるようになった。しかし、先ほどまでのどこか間の抜けた可愛らしさはなく、目つきは鋭く、威圧感のあるイメージを帯びている。
「誰だ……貴様は?」ダークソウルも感じ取っていた。同じエンプラの姿ながら、今のエンプラと今までのエンプラは、明らかに「別人」であることを。
「帝国軍、貪狼将軍、エンタープライズCVN-6であります。」
「ふざけるな!」
宝剣を振るい、黒い炎をまとった斬撃がエンプラへと襲いかかる。
「ベリアルの黒炎ほどでは……ないでありますな。」エンプラの指先に、青白いエネルギーが再び光る。先ほどと同じ寒気を帯びた砲撃が放たれた。
黒い炎と青白い液体が衝突する。
そして──
液体の方が勝った。 その勢いは止まらず、そのままダークソウルへ直撃しようとする。
「ほう?……避けたでありますか。馬鹿正直に受けるんじゃなかったでありますか?どうです、吾輩の最強の技を受けてみては?」
ダークソウルは、その攻撃を避けた。あの核ミサイルすら顔色一つ変えずに受けたダークソウルが、この液体の砲撃を避けた。それはダークソウル自身さえ驚くことだった。
「ただの水ではない……この骨の髄まで届く寒さ……貴様、何をしやがった!」
「敵に聞いてどうするでありますか。でもまあ、冥土の土産に、無知なお前に教えてやる。これは水ではない。液体窒素であります。」
液体の水は通常、0℃から100℃の間で存在する。しかし、窒素なら-196℃まで下がる。さらに、魔法によってその温度を下げると──
-273℃、絶対零度に限りなく近づける。
「小細工め!その程度で余の炎は消えぬ!余の雷には届かぬ!」ダークソウルの体に黒い炎が燃え上がり、宝剣には黒い雷がまとう。二つの属性が融合し、雷炎と化す。
「なるほど、第二形態に入ったでありますか。では、こちらも『変身』するであります。」
エンプラは四次元武器庫から、一つの仮面を取り出し、顔に付けた。
カチッ!
確かな嵌合音。
仮面が顔面に密着、固定される。
「認証。変身、許可であります!」
元のエンプラの元気な音声が、仮面内部から直接、頭蓋骨に響く。
「スタート・アップ。」
高速の起動音が流れ、キーンという高周波の充填音が空間を震わせる。仮面が光る──目となる部分が鋭い青い光を帯び、額からは幾何学模様の光のラインが走り始める。
「システム、起動。プロテクター、装着であります。」
ジジジッ! という唸りと共に、光の粒子がエンプラの体を上下に駆け抜ける。その軌跡に沿って、漆黒の軍服の生地がまず展開する。詰襟のコートが肩から流れるように形成され、銀のボタンと金線の飾緒が瞬時に浮かび上がる。
「アーマー、実体化。」
ガシャン、ガシャン! 金属装甲の装着音が連続する。肩、肘、膝──黒く鈍く光る強化装甲が、軍服の上から次々と覆い被さる。胸部には銀の鷲章が浮かび上がり、腰のベルト両側には拳銃と短剣のホルスターが物質化する。
「仮面ナイト・グレイゴースト。」
最後の宣言と共に、全身の光のラインが一斉に最大輝度で閃き、消える。
そこに立つのは、漆黒の軍服に身を包み、無機質な仮面を戴いた、苛烈なエンプラの姿だった。銀の装甲が冷たく光り、コートの裾だけが微かに揺れている。
「かっこいいであります!吾輩、こんなこともできるでありますか!」(元の声)
「そうだ。その力の半分すら出しておけば、この程度の相手に手こずることもなかったのに。反省しろであります。」(重く冷たい別の声)
「なに一人でブツブツ言っている!頭でも狂ったか!」今のダークソウルから見ると、【変身】した後のエンプラの声は、二つに分裂している。一つは、今まで通りの少し間の抜けたエンプラの声。そして──
「自律AIと手動操作の違いを、分からせてやるであります。」重く冷たく、もう一つのエンプラの声だった。
*
空気が氷のように張り詰めた。エンプラとダークソウルは、互いを睨み合い、一瞬の隙をうかがっていた。
「『Ignition Spark Blade(イグニッション・スパーク・ブレイド)』!」
最初に沈黙を破り、攻撃を仕掛けたのはダークソウルだった。雷の如き速さで接近し、炎の如く雷炎をまとった宝剣で大斬撃を振るう。
「ダメですね。大振りすぎて、隙だらけであります。」エンプラは軽やかに初撃をかわし、ビームソードを抜き放ち、クイックスラッシュを叩き込んだ。ダメージはさほどではないが、ダークソウルにわずかな硬直を生じさせる。そしてエンプラの攻撃は、まだ終わらない。
さらにもう一振りのビームソードを取り出し、交差させてツインスラッシュ。ダークソウルの硬直の隙を逃さず、アッパーブレードでその巨体を空中へ打ち上げる。エンプラは背中の電子翼を展開し、打ち上げられたダークソウルへ追撃。まず追尾ミサイルを数発放ち硬直時間を延長させ、武器をマシンガンに瞬時に切り替え、弾幕でダークソウルをさらに高空へ押し上げていく。
「貴様……!」ダークソウルは大ダメージを受けているわけではない。しかし、エンプラの攻撃リズムによって生じた硬直状態が解けず、動けず、反撃もできず、ただ打ち上げられるがままだった。
「喋っている暇はないでありますよ。」ダークソウルに追いついたエンプラは、ビームソードでエアスラッシュ、そしてエアツインスラッシュを連続で決める。その間、自身の攻撃後の硬直をキャンセルするため、エンプラはスラッシュとスラッシュの合間に微細な回避動作を挿入する。これにより攻撃後の隙が消え、ほぼ無限にスラッシュを繰り出し、ダークソウルをより高く、より速く打ち上げ続ける。ダークソウルは依然、硬直状態から脱せずにいた。
「さあ、踊れ!魔王だろう?みっともないダンスは見せないでほしいでありますよ。」
「ドクター!吾輩の体をそんな風に動かさないでくださいであります!壊れちゃうでありますよ!」エンプラの操縦席で、次々と繰り出されるキャンセル動作の連続に、エンプラ自身の精神が追いつかず、抗議の声を上げた。
「大丈夫だ。君をそんな脆いロボットには作っていない。創造者である私が保証する。」
どうやら、二日目にノックターンに夜襲されたドクターは、次の暗殺に備え、その朝からずっとエンプラの操縦席に潜んでいたらしい。
エンプラは自律戦闘アンドロイドだが、当然、手動操縦も可能だ。
ただ、その操縦席は非常に狭く、ドクターは本来の毛玉の姿でなければ入れない。
それに、エンプラが自身の機体制御権を操縦者より優先させていたため、ドクターが乗り込んでいても、ずっと手動モードへの切り替えを拒否し続けていた。
だが、今は違う。
エンプラのスラッシュの速度はますます加速し、最後は「終末のソード・ダンス」で、一瞬にしてダークソウルを大気圏の外縁へと切り上げた。
「ドクター!機体の熱量が限界点に達しましたであります!これ以上動くと、吾輩の核動力炉が暴走しますでありますよ!」
「ならば、すべてを放出すればいい。『無限カノン砲』で撃て。」
エンプラは右手を開き、機体全体に蓄積された膨大な熱量を一点に集中させ始める。
「了解しましたであります!無限カノン砲、エネルギー充填開始であります!2%……5%……」
「ようやく……止まったな!よくも余をここまで散々にしたな!」攻撃の間隙を突き、ダークソウルは徐々に硬直状態から解放されつつあった。
「20%……間に合いませんであります!」
「ならば、時を加速する!」
その次の瞬間、エンプラはすでにダークソウルの真上に移動しており、充填率は──
「120%!無限カノン砲、発射でありますッ!!」
右手から迸る赤黒いエネルギーの奔流が、ダークソウルを直撃する。体の自由を完全に取り戻す、あと一歩のところで、エンプラの砲撃により、さらに強力な硬直状態に囚われたダークソウルは、そのまま地面へ一直線に墜落していく。いや、地面さえもその衝撃を受け止めきれず、ダークソウルはさらに深い、地底の深淵へと貫かれ、消えていった。
「おのれ……!おのれ……!おのれ……!!」
なす術もなく、カノン砲の圧倒的なエネルギーに押し流され、ダークソウルは大地の奥底へと葬り去られた。
*
「やったであります!ドクター!」
「いや、まだだ。」
大地が胎動する。
深い地底から、岩石が呻くような重く鈍い轟音が湧き上がってきた。山々が微かに震え、谷間にひび割れが走る。その裂け目から、まずは熱風が噴き出す──が、それは地熱ではない。冷たい、しかし全てを焼き尽くす不気味な熱気だった。
そして、地心の闇から、一点の黒い炎が噴き上がる。
漆黒の太陽が地底で爆発したかのようだ。炎は噴火のように地表を破り、しかし溶岩は一切伴わない。ただ、純粋な「黒」が、光さえも吸い込む深淵の色が、渦巻きながら天空へと立ち上る。
その炎の柱の中から、翼が現れる。
最初は影のように、そして次第に確かな輪郭を結ぶ。翼を広げれば、その影で山すら覆い隠す巨大な鳥の姿。全身を、先ほどまで地心を満たしていた黒い炎がまとわりつくように燃え上がっている。炎は羽根一枚一枚から逆立ち、静かに、しかし激しく揺らめく。炎の隙間から見える体躯は漆黒の鋼のように硬質で、光を反射しない闇を纏っている。
バリバリッ!
鋭い、世界を切り裂くような音と共に、その生物の周囲に黒い雷が走る。紫がかった靄を帯びた闇の電撃が、翅端から翅端へ、あるいは鋭い鉤爪から三本の足へと迸る。その雷は音を殺し、空間を歪ませる。
八咫烏(ヤタガラス)が、ゆっくりと首を上げる。
その目は、燃える炭のごとく赤く、深遠な知性と、計り知れない古の神性を宿している。三本の足は大地を掴むように踏ん張り、その爪の一蹴りでさえ、岩盤を粉砕する力を秘めている。
翼をひとたたきする。
ドォオオオオッ! という風圧が山肌を削り、黒炎と黒雷が混じり合った奔流が周囲に放射される。それは破壊の波動であると同時に、畏怖と崇敬を強いる神威の放出でもあった。
大地より現れし古の神鳥は、黒炎の衣を翻し、闇雷の冠を戴き、ただそこに在るだけで、世界の理が歪むほどの存在感を放っていた。その姿は、神話そのものが具現化し、地の底より這い出でたかのようだ。
「な…なんでありますか、あれ!?」
「ダークソウル以外にいないだろう。私は嫌いよね、こんなボスを倒したと思いきや第二形態とか第三形態とか。いらないよ、そんな仕様」と、操縦席のドクターが呆れたように呟く。
「貴様が帝国の博士か。あんなちっぽけなガラクタの中にしか籠れない臆病者。器のほどは知れている」
「ドクター、言われているでありますよ」
「事実だし。そんなことでいちいち怒る子供でもないからな。おっと!」会話しながらも、ドクターはエンプラを操縦し、八咫烏化したダークソウルの攻撃をかわしていた。
「でも、あのサイズじゃエンプラ単体ではちょっと無理があるかもな。そうだ、CVN-6よ。ロボットアニメで、でかい敵が出てきたら何をする?」
「合体!!」
「そうだ。巨大なモンスターの相手なら、やはり合体巨大ロボットだよな」
エンプラは空中で姿勢を整え、宣言した。
「全機、合体シーケンスを開始するであります!吾輩は頭部ユニットやるであります!」
「え?合体?聞いていませんが!とCVN-2の声には驚きが混じりながらも、合体に対する興奮を隠し切れていませんでした。」
エンプラCVN-1からCVN-5は、ICBM-X核ミサイルをロケット代わりに搭載し、帝国からここへ向かっていた。着弾5分前にミサイルから脱出し、高空で戦場データを収集、ドクターに送信し続けていた。
「やれやれ、別に合体なんかしたくないですからねとCVN-5は少しツンデレ風に言ったが、その声には喜びが滲んでいました。」
どうやら、ロボットとして造られた彼女たちも、心のどこかで「合体」に憧れていたようだ。
合体シーケンス、開始。
CVN-1の機体が空中で水平になり、胸部から青白い光のフィールドが展開する。初号機としての威厳を持って、合体の基盤となる。
「CVN-1、コアユニット、受諾しました」
CVN-2の機体が分解し、細かなパーツ群となりCVN-1の左側に集結。無数のパネルが組み合わさり、精密な機械腕が形成される。
「CVN-2、左腕・精密システム、接続します」
CVN-3は豪快に変形。重厚な装甲と多数の砲門がCVN-1の右側に融合し、圧倒的な破壊力を備えた腕が完成する。
「CVN-3、右腕・戦闘システム、統合します。火力、全開でお願いしますね」
CVN-4の機体が縦に分割され、脚部パーツへと変形。無数のハッチが開き、様々な武装のシルエットがちらつく。
「CVN-4、脚部・装備システム、展開します。武器は…丁寧に使ってください」
CVN-5は翼を広げ、背中ユニットへと展開。大型のセンサーディッシュと通信アンテナが現れ、電子的な視界を広げる。
「CVN-5、背部・索敵システム、オンライン。全領域、監視を開始します」
「さあ、主役の登場であります!」CVN-6が宙返りを決め、編隊の頂点へ移動する。
CVN-6の機体がコンパクトに変形。脚部が折り畳まれ、背中の翼が頭部の装甲へと再構成される。特徴的なアンテナが王冠のように輝き、眼部センサーが鋭い青い光を放つ。
「接続、開始であります!」
CVN-6の頭部ユニットが、完成しつつある胴体の首部分へ落下。カチッ! と確かな嵌合音が響く。
天を覆う蒼光が走り、巨大なシルエットが完全に形を成した。
「全システム、接続完了。エネルギー、循環開始とCVN-1が報告します」。
「照準システム、オンライン。敵性反応を捕捉とCVN-2が続けます」。
「戦闘システム、起動。全火器、使用可能とCVN-3が宣言します」。
「装備システム、スタンバイ。好きな武器をどうぞとCVN-4が控えめに言う。」
「センサーシステム、全領域を監視中。死角なしとCVN-5が締めくくります」
そして最後に、CVN-6の声が全ての声を束ねるように響いた。
「よし!これでみんな、一つになったであります!心も体も、ばっちりであります!」
巨大ロボットの眼が一斉に青く輝く。全高50メートル。白と青を基調とし、各CVNの特徴を組み合わせた威容が、黒炎の神鳥と対峙する。
「機神──『貪狼将軍・ビッグE』であります!さあ、黒焦げ焼き鳥、最終ラウンド開始であります!」
「面白い。ならば――万象を焦土へ還す、第三の太陽を見せてやろう。」
ビッグEが構えを取る。右腕の砲門が唸りを上げ、左腕のビームソードが展開する。その背後では、八咫烏が黒炎の翼を広げ、天地を揺るがす咆哮を上げた。
エンプラサイド、五日目終了。
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