まおうさまの勇者育成計画

okamiyu

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第九章:魔王とは何か、王が王になる前の話――千年前の地獄と九つの罪

第163話:欲望は歌い、戦い、笑う――それが色欲の王アスモデウス

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アスモデウスは恋愛相談所を開く前、何をしていたのか?
衆合地獄で毎日のようにライブを開き、アイドルのように輝いていた。
もちろん、今日もギターの音と彼女の歌声が地獄に響き渡る。
________________________________________
あの子もいいね この子もいいね
スクリーン越しに 触れてる気分
それで今日は 満足ですか?
手を伸ばす勇気 ありますか?
あの子でいいや これでいいや
妥協上手は 才能です
でも本音では 知ってるでしょ?
欲しいのは 「本物」でしょう?
________________________________________
納めなさい アス税
あなたの夢を 叶えるために
想像だけの 安全圏
そんな檻から 降りましょう
欲しいなら 現実に
今 未来を 差し出して
アレしたい病も 触れたい衝動も
さぁ 痛いの 向こう側へ
________________________________________
汚れた妄想は
汚れた現実で 叶えましょう
ねえ♡
________________________________________
君が欲しい その笑顔も
君が欲しい その身体も
君が羨む 誰かの人生も
全部 用意してあげる
君が願う その夜も
君が怖がる その一線も
越えたら戻れないだけ
それでも――欲しいでしょ?
________________________________________

「驚いちゃったね♪ あたしの幻術が、モリリンとホモ明星以外に効かない相手がいるなんて。それも、二人も♡」
アスモデウスは世界一の幻術使い。彼女の幻術は五感を通じて人を幻惑の世界へ誘い込む。それも、本人が気づけないほど自然に。
「幻術を解いてもらおうか、アスモデウス」
「嫌だね♪ あれだけアスにゃんを恥ずかしめておいて、都合のいい時だけ思い出すの? アスにゃんは軽い女だけど、安い女じゃないよ♡」
驚くべきことに、セリナたちが見た幻術はある程度“現実”だった。アスモデウスによる一日誘惑挑戦も実際にあったが、セリナたちが衆合地獄に入った時点で既に幻術にかかっていたため、一部始終は幻術の世界で体験しただけ。今の彼女たちは幻術の世界に囚われ、意識が戻っていない状態だ。ただ一人を除いて。
「なぜ。吾輩は大丈夫でありますか」
エンプラも毛玉と同じく、幻術にかからなかった。
「君は未来から来た、私が作ったアンドロイドだろう? 命も魂も込められていない。あるのは高性能なOSだけ。幻術が効くわけがない。まあ、彼女もまだ魂すら持たない存在を初めて見たから、無理もないけど」
エンプラは人間とは違うが、古くから存在する人形ともまた違う。動く人形は魂が生まれたからこそのものだが、エンプラは完全に科学の結晶。その意識すらAIによって形成されている。魂さえ幻術世界に引き込むアスモデウスの幻術は、エンプラのような現代のロボットにはどうしようもない。
「魂がないのに意識があるなんて、面白い。だけど、アスにゃんは幻術だけじゃないよ♪」
アスモデウスはギターを空中に放り投げ、背中から六枚の黒い翼を生やした。千年前の彼女は現代の彼女と違い、亡者たちの精気をたっぷり吸収し、万全な状態にある。
「エンプラ、変身だ!」
「はいであります!」
エンプラは四次元武器庫から仮面を取り出し、自らの顔に装着する。操縦室のゲートが開き、毛玉はエンプラに乗り込んだ。
「仮面ナイト!グレイゴースト!」
「遅いよ♪」
正義のヒーローの変身シーンに無敵時間はない。その一瞬の隙を突き、アスモデウスは背後からエンプラの両腕を押さえつけた。
「卑怯であります! 正義のヒーローの変身シーンを邪魔するなんて、悪魔でありますか!」
「はい、悪魔よ♪ それも、とびきりエロい悪魔。さて、エンプラちゃんは男の子? それとも女の子? お姉さんに確かめさせて・あ・げ・る♡」
そう言いながら、舌なめずりをしつつ、片手をエンプラのズボンの中へ伸ばす。
「え? 何もない? 男の子のアレも、女の子のアレも…ない!?」
「バカ。エンプラは機械だから性別なんてないんだよ。喰らえ!」
エンプラの首が、人間ではありえないほど180度回転し、渾身のヘッドバットを食らわした。
ガチンッ!
合金製のエンプラの頭部は、少々硬すぎたようだ。何よりエンプラには痛覚がない反面、アスモデウスにはしっかり痛覚がある。
「痛いッ! なにこの石頭、硬すぎじゃない!」
痛さでエンプラを拘束していた手が緩む。その隙を、毛玉たちは逃がさなかった。
「エンプラ、ビームソードだ」
「はいであります」
武器庫からソードを取り出し、アスモデウスの急所へ致命の一撃を狙うが──
「アスにゃんを舐めないことね。いや、舐めてもらってもいいかも♡」
アスモデウスはエンプラが突き刺そうとする手首を握り、投げの体勢に入った。
(やばい、柔道だ!)
鉄の塊であるエンプラを軽々と持ち上げ、地面に叩きつけた。一本背負い投げだ。
痛みはないが、重さだけあってこの一撃のダメージは大きく、エンプラのあちこちにひびが入っている。
「まだまだ終わらないよ♪」
アスモデウスは攻勢を緩めず、その手を放さないまま、自らの両脚と体幹でエンプラを締め上げる──腕挫十字固。
(まずい、まずい、まずい。あれは決められたら終わりだ)
「エンプラ、あれを使え」
「はいであります。ロケットパンチ!」
アスモデウスが固めていたエンプラの腕が、ロケットのように発射された。初めてロボットと戦うアスモデウスに、自分の腕を発射する技への対応策はもちろんない。だが、今回毛玉たちはその隙に突っ込まず、速やかに撤退を決めた。

アスモデウスの追跡を避けながらも完全振り切るわけにもいかない。
その時彼女は毛玉を諦め今毛玉が隠させている幻術に囚われたセリナたちにターゲットを切り替えはず。毛玉が餌として一番価値があったこそ、セリナたちの安全は一時的守られている。でもそれも長くはない。
(セリナたちが自力でアスモデウスの幻術から逃げ出すのは無理だろ…これは彼女たちを舐めているではなく、アスモデウスの幻術はそういう仕様だ。例え幻術だと理解しても、蜘蛛の巣に落ちた羽虫のように逃れない。万が一できたとしても、今の彼女たちの体力ではむしろさらに危なくなる。)
頼られるのは…
「ドクター?」
「エンプラよ、これから私たちの生死はすべて君にかかっている。」
「吾輩でありますか!ええええ、マジでありますか。」
「大マジ、君とアスモデウスの相性が一番いいからだ。彼女が得意とする幻術は君に効かない、彼女の性魔術は粘膜がない君には無効、最も厄介な柔道も、痛みもない君にとって脅威がだいぶ減るだろ。」
「ふんふん、ついに吾輩の時代が来たでありますね。」
「調子に乗るな、脅威が減るのはあくまで減るだけ、ないじゃないだ。投げ技は重い君に取って致命傷になれる、現に体のあちこちでひび割れしているだろ。」
「ナノマシンで修理したであります。」
「…マジで?それと、彼女の寝技も強い、手足を簡単に捥げると思ったほうがいい、現に君は腕一本無くした。これは痛い。」
「予備のパーツなら常備しているであります。」エンプラは武器庫から自分の腕パーツを取り出し自分に付けた。まるで何事もないように、エンプラ完全復活。
「噓だろ、どんだけバグだ性能がよ、千年後の私凄すぎだろ、なのになぜ頭がそんなに残念に出来ているだ?おかしいだろ。」
「ふんふん、吾輩はすごいであります。」
「いや、褒めてないから。」
「見・つ・け・た♡」移動の痕跡もなくアスモデウスの顔は上からぶら下が、両手はエンプラの肩を掴み、一瞬視野が反転する。
「巴投げ」綺麗な円弧を描き、治ったばかりのエンプラは再び地面に重く投げられた。
操縦室に色んなエラー音がなり始め状況の危険さを知らしめてくる。
「ぐへへ、エンプラちゃんはどんな味か、毛玉君を食べる前に味見を♪」エンプラの両手を押さえたまま、アスモデウスの口はエンプラの口をふさみこんで、舌を容赦なく侵入し中を蹂躙する。だけど。
「ぺ、ぺ、なにこれ、ぺ、鉄の味しかしないし柔らかくもない、うげ、まずい、鍵を口に入れた気分。ぺ」
「これがキスでありますか、牛タンを食べる食感がして、美味しいであります。もう一回!」
今度はエンプラの方からアスモデウスに『キス』を入れて、アスモデウスからは性的喜びではなく、拷問をかけられているように苦しめ始めた。
(あれ絶対舌を嚙んているな、お気の毒に、肉挽き器に舌を入れてと同じだろに、尊敬すらするぞ、アスモデウスよ。)
苦しんでいるアスモデウスはその押さえる両手を離した。今だ!
毛玉はエンプラを操縦し、一気にアスモデウスとの距離を引き、ガトリング砲を取り出した。
「喰らえ。一分間に六千発の徹甲弾を、その身で受け止めてみろ」
「オープンファイアであります!」
ガトリング砲の砲身が高速で回転し、7.62x51mm NATO弾が肉眼で追えない速度でアスモデウスを襲う。
しかし──
「数だけあってもいいものじゃないわよ♡」
六枚の黒翼が振るわれ、全ての弾丸が弾き飛ばされた。
「あん♪いっぱい出したね♡でも、中に出さないと“無駄撃ち”っていうのよ♡」
柔道で近接戦のみ得意と思われがちだが、遠距離攻撃への対策も当然できている。世界最初の“女”である彼女に、抜かりはない。
だが、相手はあの性悪な毛玉。普通の手で挑むはずがない。
アスモデウスがNATO弾を全て弾いたその時、一つ、違うものが混じっていた。
「なに?!いつの間に!?」
それは、ブースターを全開にしてタックルを仕掛けてきたエンプラだった。
時間差攻撃だ。
エンプラは弾丸を撃ち尽くすと同時に砲を捨て、弾丸と同じ、いやそれ以上の速度でブースターを噴射し、タックルに移行していた。近接戦を避け、遠距離射撃で勝負を仕掛けようとするだろうというアスモデウスの読みを、逆手に取ったのだ。
「だけど、自ら近接戦に持ち込むとは……勝てると思っているの?このあたし相手に」
「勝てるさ。格ゲーでは、コンボを決められたら試合終了だ」
コンボ?!このタックルは終わりではない。まだ何かがある。態勢を立て直せば──
とアスモデウスは思ったが、もうそんな余裕を毛玉は与えない。
次は肩でのショルダーバッシュ。アスモデウスの体勢をさらに崩し、ガードを無効にする。
その隙にハンマーを取り出し、真上までゆっくりと引き上げる。重力と推進力を全て乗せて振り下ろす。
バン!
鈍い音。それは確実に命中した証だ。アスモデウスの体はそれほどダメージを受けていないが、重い衝撃で硬直し、動けない。それこそが毛玉の狙いだ。
コンボはまだ終わっていない。
エンプラはハンマーを引き抜かず、機体の重量をさらに乗せ、内部出力を一段階上げて衝撃を“押し込む”。
一拍遅れて地割れが広がる。これはアスモデウスが空中へ逃げることを防ぐためだ。
そしてそのまま片足を踏み込む。踏み込みと同時に、足裏のブースターを瞬間噴射。衝撃波が円状に走る。
その勢いでアスモデウスをハンマーで引っ掛け、持ち上げ──ではなく、浮かせてしまう。そしてすぐさま真下へ叩きつける。
アスモデウスは悲鳴を上げないが、確かに何かが折れる音がした。砂塵が一度、静まる。
千の鎖が彼女を縛り上げる。待ち受けるのはエンプラの最後の一撃だ。
エンプラはその場で踏ん張り、全ブースターを逆噴射させ、機体を一瞬沈み込ませる。ハンマーにエネルギーが集中する。
静かに振り下ろす。接触した瞬間、音が消え、次の瞬間、衝撃波だけが遅れてくる。
周囲の剣の葉を生やした木々は一掃され、何もない大きな穴だけが残った。
防御の隙を与えず、派手さは一切ない、ただ“潰す”だけのコンボ。
これで終わりだ──そう思いたかった。
しかし、森の剣の葉が、一斉にざわめいた。
血に濡れた枝が、まるで恐怖に震える獣の毛のように逆立つ。
「じゃあ、仕方ないね♡
“本当の姿”で遊んであげる♪」
指を鳴らす音が、雷鳴のように響いた。
──ぐしゃり。
空間が潰れる音がする。
消えたはずのアスモデウスの身体が、空の上に現れ、中心から裂けるように歪む。
皮膚の下から、別の顔が押し出されてくる。
一つではない。二つでもない。
三つの頭部が、重なり合いながら現れた。
中央の顔は、先ほどまでのギャルの面影を残しつつ、その瞳は完全に“捕食者”のものへと変貌している。
左右の顔は、それぞれ異なる表情を浮かべている。
──笑う女。
──泣く女。
──欲しがる女。
三つの口が、同時に異なる声色で囁く。
「欲しい」
「奪いたい」
「壊したい」
その背後から、六本の腕が展開する。
人の腕ではない。肘の関節が一つ多く、しなやかで、獣じみている。
それぞれの手には、異なる“象徴”が握られていた。
一つは、燃え盛る紅蓮の火輪。
一つは、心臓の鼓動を模した脈打つ鎖。
一つは、鏡のように光る欲望の刃。
一つは、糸のように細い操りの紐。
一つは、血に濡れた契約の巻物。
そして最後の一つは──何も持っていない、空の手。
だが、その空の手こそが、最も恐ろしい。“奪う必要すらない”ことを示している。
背中からは、光でも闇でもない、色気を孕んだ異質な炎が噴き上がり、輪のように彼女の周囲を巡る。
哪吒の風火輪を思わせるそれは、地面に触れず、空間そのものを蹂躙している。
「これが──」
三つの顔が、同時にエンプラを見据える。
「世界で最初に“女”を名乗った存在」
「色欲という概念を形にした王」
「男を滅ぼすために生まれた悪魔」
森に吊るされた罪人たちが、一斉に悲鳴を上げる。
いや、悲鳴ですらない。
歓喜と絶望が混ざった、壊れた声だ。
アスモデウスは、ゆっくりと宙に浮かび、六本の腕を広げる。
「さあ、毛玉君♡ 耐久戦の続き、いこっか♪」
三つの口が、同時に笑った。
「落ちなさい」
「壊れなさい」
「それでも、欲しがりなさい」
──衆合地獄が、完全に彼女の舞台と化した瞬間だった。

「私が大嫌いな、二段三段変身するボスだね……気が萎えるな」
「ドクター……本当に勝てるでありますか?」
いつも自信満々のエンプラも、さすがにこの姿のアスモデウスを見て、勝てる相手か疑い始めていた。
「勝てる。だけど時間はかかるだろう。それで勝ったとしても、セリナ君たちは餓死してしまう。でも──」
毛玉の口元が上がる。何か悪いことを企んでいる。
「アスモデウスよ、最初の約束を忘れたか? 『私が一日、君の誘惑に耐えられたら私の勝ち』だったよな。もう一日過ぎたぞ。君の負けだ」
「それがどうした♪ 悪魔が約束を守るって本気で思ってるの? 毛玉君、案外頭がおめでたいね♪」
そう、絶対的な力を持つ悪魔が約束を守らないのは普通のこと。この地獄では特に。でも、なぜ負けた彼らが大人しくコインを毛玉に渡すのか? それは──
「ダメよ、約束を破っちゃ。だって私が怒るからもの。」
アスモデウスの背後から、懐かしい声が聞こえた。その声は甘く、そして心を凍らせるほど冷たい。
「モ……リリン……」
先ほどまで意気揚々だったアスモデウスは、一気に勢いを失い、借りてきた猫のように従順になった。
「でも、アスにゃんはまだ戦いで負けてないし、これからが本番で──」
「ならば最初から戦いで挑めばいいじゃない? なんで勝手にくだらない約束をしたのかしら。まあ、結果は変わらないけど、もうちょっとましな終わり方ができたはずよ。そんなに自分の女らしさに自信があったのかしら? それとも──」
満面の笑みを浮かべるモリアの目は、全然笑っていない。それはアスモデウスにもわかる。
「『親友の彼氏』を寝取るのがそんなに面白いのかしら?」
モリアは背後から金砕棒を取り出し、アスモデウスの三つの頭めがけて振り下ろした。アスモデウスは抵抗することもできず、その一撃を受け地面に叩きつけられる。変身は解け、元のギャル娘の姿に戻った。
「ははは、冗談だよ♪ 冗談。アスにゃんはモリリンの彼氏を本気で寝取るわけないじゃない♪ ちょっと試しただけよ。ね? 毛玉君♡」
「じゃ、私の勝ちでいいよね? だって私は最後までモリアしか愛してない」
「あら、偉いわ。知っているけど、その事実を目の当たりにするのが何より嬉しいの。私の彼はあのアスモデウスの誘惑にも負けず、私に忠実でい続けるなんて……健気で可愛らしいわ。ふふふ」
全知の悪魔モリアは、もちろんアスモデウスがやることを最初から知っていた。毛玉が誘惑に勝てることも知っていた。だけど、彼女は大好きな彼がそうすることを「事実」として見たかった。だから今までアスモデウスの誘惑に目をつぶっていた。でも、毛玉が試練に勝った今、彼女が嫉妬の炎を抑える必要はなくなったわけだ。
「もちろんだよ♪ さすがモリリンの彼氏! はい♪ これはあたしのコインだよ♡」
アスモデウスは慌てて胸の谷間から自分の刻印を押したコインを取り出し、エンプラに渡した。
「セリナ君たちにかけられた幻術も解いてもらうか」
「はいはい、お任せ~、えい♪」
指を鳴らすと、セリナたちの長い幻術世界の旅もようやく終点を迎えた。
「あの、こう言うのもなんだが……プライドがないでありますか?」
先ほどまで苦戦を強いられ、悪魔の恐怖を植え付けられたエンプラには、ここまで卑屈なアスモデウスを見ていられなかったらしい。
「いいの♪ いいの♪ アスにゃんの一番の親友はモリリンだし、モリリンが本気になったら彼女苦手な物理攻撃で殴ったりしないよ♡ こんなのじゃれ合いだけだよ♡」
そう言いながら、アスモデウスはモリアに抱きつく。その豊満な胸は彼女の顔を包み込み、モリアのさらなる反感を買うことになった。
「巨乳は敵よ。その概念を作ったあなたも大嫌いわ」
「まあ、モリリンは顔はかわいいけど、体は男の子だもんね♡」
調子に乗ったアスモデウスは、モリアの背後からその寂しい胸を揉み上げた。
「やっぱ本物の女の子より硬いかも。アスにゃんが大きくしてあ・げ・る♡ 大きくな~れ♪ 大きくな~れ♪」
「あいつ死んだでありますな。ポンコツの吾輩でもそのくらいはわかるであります」
「ねえ、こんな言葉を知ってるかしら?」
モリアは怒りをこらえ、毛玉たちに告げた。
「地獄の沙汰も金次第。金があれば地獄でも何でも買えるわ。もちろん食事もね。ふふふ」
モリアの指先に小さなキューブが現れた。それはまるでこの地獄の世界そのものだった。
「誘惑に勝ったあなたへのご褒美だわ。次は、あなたたちが行く地獄は必ず食事が買える黒縄地獄。せいぜい楽しんでください。でも忘れないで、時間はそんなにないわ。ふふふ」
「ありがとう、モリア。孤独地獄でまた会おう。その時は私が君を手に入れる」
「ええ、頑張りなさい。私はただ待つのは嫌いよ。さて、いつまで揉んでるのかしら?」
モリアは金砕棒を振るい、彼女の胸を揉み続けるアスモデウスを殴り飛ばした。
「ぴぴるぴるぴるぴぴるぴ~ やはり悪魔には金棒よ。ふふふ、明星に代わってお仕置きだわ」
「いやん♡~ それはむしろご褒美♡ もっとその黒くて硬い大きな棒でアスにゃんを突いて♡ アスにゃんがどんだけ『もうダメ♡』って叫んでも止めないで♡」
その日、撲殺悪魔は衆合地獄に降臨した。千回の撲殺で、アスモデウスの悲鳴ではなく甘い喘ぎ声が衆合地獄に響き渡り、罪人たちはさらに煩悩を増し、血の嵐を呼んだらしい。
依頼期限まで、残り20日。
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