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序章:すべての旅は、茶番から始まる――剣も魔法もまだいらない
第14話:コーヒー一杯、指名手配付き。
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グラナールの酒場で、
私はコーヒーを楽しんでいた。
泥棒と間違われて捕まりかけたが、
真犯人はすぐに捕まった。
そのお詫びとして、
コーヒーを奢られている。
――この、銀髪の「少年」に。
「ほんと、ごめんね。
おっさんがいかにも悪人ヅラしてたから、
つい早とちりしてさ……
この一杯で許して?」
「うむ、許そう。コーヒーに免じてな」
正直、
人間の店が出すものに味は期待していない。
今、大事なのは――接点を持つことだ。
「いや、助かるぜ。
それにしても、おっさん、
普通は酒場で酒頼むだろ?
それをコーヒーとか……
変わってるね。
あ、俺はレン。
おっさんの名前は?」
「マオウだ」
「っははは!
何それ、"魔王"ってこと?
魔王が人間の町のど真ん中でコーヒー飲んでるとか、受ける!
マジ面白い、おっさん!」
「それほどでもあるな。
それより――
偶然出会った少年が、
王国の第二王女と同じ名前だとは、
私としても"受ける"話だな」
少年の笑顔が一瞬止まった。
気まずそうに視線を逸らす。
……図星のようだ。
駆け引きには弱いタイプか。
……まあ、セリナと同い年でそれが上手だったら、
それはそれで怖いが。
「そ、そうだよねー。
うん、すごい偶然。
そんなとこにお姫様がいるわけないし、
それに俺、こんなガサツな男だし。
な、マオウ?」
ふむ、"男"を強調するか。
まあ、私の姿も身分も偽物だ。
お互い様だな。
――仲良くやろうじゃないか。
「ええ、まったく。
偶然って、怖いね」
話がそれなりにまとまりそうになった、
まさにその時――
「ひ、ひぃ……!
あなた様、こんなところで何をなさっているのですか!?
さあ、お戻りください、
奥様が心配しておられます!」
――先ほど見かけた神官だ。
こちらに気づいたか。
さて、ここは一旦――
「くそっ……
あのインチキ悪魔の言葉、外れたじゃねーか!
逃げるぞ!」
「えっ!?」
私が思考するよりも早く、
少年が私の腕を引っ張って、
窓から飛び出した。
……いや、待て。
私、逃げる必要あったか?
*
「はー……逃げ切った……!」
神官たちを振り切り、
少しだけ静かな時間を得られた。
しかし、すごい奴だ。
あんな小さな体で、
成人男性の姿の私を引きずりながら逃げ切るとは。
……いや、
単にあの神官たちが運動不足なだけか?
「それにしても……
私、逃げる必要あったか?
それに君、コーヒー代を払ってないな。
私はこれ、飲み逃げ扱いではないか?」
「ははっ、つい……。
ま、俺は怪しいもんじゃないよ。
あれは俺のストーカー。
もう迷惑でさ、いつも追いかけてきて」
「君、男じゃなかったのか?」
「奴らはホモだ。
神職って女性に手を出せないから、
持て余した性欲を幼気な俺にぶつけてくるんだよ。
あぁ、俺はなんて罪深い男なんだ……」
……私は突っ込まないぞ。
そんなネタを私に振るな。
私は魔法使いであって、
道化師にジョブチェンジした覚えはない。
「……なるほど、わかった」
――流そう、お互いのために。
「ははっ、信じてくれるとか、ありがたいけどさ……
おっさん、あんた、なんか色々おかしいよな」
……私にどうしろと言うんだ。
まったく、理不尽だ。
これだから人間は。
とりあえず、
セリナのいる宿へ戻ろう。
場合によっては、
この町を一刻も早く離れる必要があるかもしれない。
「……あれ?
おっさん、有名人じゃん。
顔の絵、貼ってあるぜ?」
――この人は児童誘拐犯です。
見かけたら衛兵に知らせてください。
1ゴルドの褒美が出ます。
……う、嘘だろ。
魔王、
人間社会初デビュー。
まさかの、
児童誘拐犯扱いでした。
私はコーヒーを楽しんでいた。
泥棒と間違われて捕まりかけたが、
真犯人はすぐに捕まった。
そのお詫びとして、
コーヒーを奢られている。
――この、銀髪の「少年」に。
「ほんと、ごめんね。
おっさんがいかにも悪人ヅラしてたから、
つい早とちりしてさ……
この一杯で許して?」
「うむ、許そう。コーヒーに免じてな」
正直、
人間の店が出すものに味は期待していない。
今、大事なのは――接点を持つことだ。
「いや、助かるぜ。
それにしても、おっさん、
普通は酒場で酒頼むだろ?
それをコーヒーとか……
変わってるね。
あ、俺はレン。
おっさんの名前は?」
「マオウだ」
「っははは!
何それ、"魔王"ってこと?
魔王が人間の町のど真ん中でコーヒー飲んでるとか、受ける!
マジ面白い、おっさん!」
「それほどでもあるな。
それより――
偶然出会った少年が、
王国の第二王女と同じ名前だとは、
私としても"受ける"話だな」
少年の笑顔が一瞬止まった。
気まずそうに視線を逸らす。
……図星のようだ。
駆け引きには弱いタイプか。
……まあ、セリナと同い年でそれが上手だったら、
それはそれで怖いが。
「そ、そうだよねー。
うん、すごい偶然。
そんなとこにお姫様がいるわけないし、
それに俺、こんなガサツな男だし。
な、マオウ?」
ふむ、"男"を強調するか。
まあ、私の姿も身分も偽物だ。
お互い様だな。
――仲良くやろうじゃないか。
「ええ、まったく。
偶然って、怖いね」
話がそれなりにまとまりそうになった、
まさにその時――
「ひ、ひぃ……!
あなた様、こんなところで何をなさっているのですか!?
さあ、お戻りください、
奥様が心配しておられます!」
――先ほど見かけた神官だ。
こちらに気づいたか。
さて、ここは一旦――
「くそっ……
あのインチキ悪魔の言葉、外れたじゃねーか!
逃げるぞ!」
「えっ!?」
私が思考するよりも早く、
少年が私の腕を引っ張って、
窓から飛び出した。
……いや、待て。
私、逃げる必要あったか?
*
「はー……逃げ切った……!」
神官たちを振り切り、
少しだけ静かな時間を得られた。
しかし、すごい奴だ。
あんな小さな体で、
成人男性の姿の私を引きずりながら逃げ切るとは。
……いや、
単にあの神官たちが運動不足なだけか?
「それにしても……
私、逃げる必要あったか?
それに君、コーヒー代を払ってないな。
私はこれ、飲み逃げ扱いではないか?」
「ははっ、つい……。
ま、俺は怪しいもんじゃないよ。
あれは俺のストーカー。
もう迷惑でさ、いつも追いかけてきて」
「君、男じゃなかったのか?」
「奴らはホモだ。
神職って女性に手を出せないから、
持て余した性欲を幼気な俺にぶつけてくるんだよ。
あぁ、俺はなんて罪深い男なんだ……」
……私は突っ込まないぞ。
そんなネタを私に振るな。
私は魔法使いであって、
道化師にジョブチェンジした覚えはない。
「……なるほど、わかった」
――流そう、お互いのために。
「ははっ、信じてくれるとか、ありがたいけどさ……
おっさん、あんた、なんか色々おかしいよな」
……私にどうしろと言うんだ。
まったく、理不尽だ。
これだから人間は。
とりあえず、
セリナのいる宿へ戻ろう。
場合によっては、
この町を一刻も早く離れる必要があるかもしれない。
「……あれ?
おっさん、有名人じゃん。
顔の絵、貼ってあるぜ?」
――この人は児童誘拐犯です。
見かけたら衛兵に知らせてください。
1ゴルドの褒美が出ます。
……う、嘘だろ。
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まさかの、
児童誘拐犯扱いでした。
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