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第二章:壊せ、偽りの楽園――不夜城に咲く嫉妬と誘惑の花
第33話:闇に呼ばれし者たち
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「なんだよこれ……勇者セリナ大活躍って……」
新聞に載った見出しを睨みつけながら、真・勇者マサキは悔しげに呟いた。
「俺が宣伝やら挨拶回りで忙しくしてる間に、あんな小娘が……おいしいところ持っていきやがって」
まさか、あの“元・メイド”が、こんな短期間で功績を立てるとは――。完全に油断していた。内心では、完全に自分のほうが格上だと思っていたのだ。
「くそ……俺にだってできるさ。なあ、ガルド。あいつに匹敵する依頼はないか?」
隣で静かに新聞を眺めていたガルドは、首を横に振った。そして一言だけ、短く告げる。
「焦りは禁物」
「……うるさい。あの剣もまともに振れなかった奴ができて、俺にできないってか?」
「……ああ。今のお前じゃ無理」
いつになく鋭い返しだった。だが、長年付き合ってきたからこそ言える言葉でもあった。
「いいだろ、俺ひとりでも行ってやる。俺は“真・勇者”だからな!」
そう言い捨て、マサキは勢いよく依頼掲示板の方へ歩いていった。
*
「はー……あれ、マジでやめてほしいっすね。自分でカッコいいとでも思ってんのすか」
これまで王子(=マサキ)をずっと無視していた魔法使いのリリアンヌが、ようやく口を開いた。
「マサキはただ“心が弱い”だけだ」
ガルドの冷静な言葉に、彼が本質を理解していることが伝わってくる。
「甘やかしたあんだと信仰系が悪いっす。あーあ、うちの親父があれの父親と旧知じゃなかったら、うち、あんな奴と組んでねえわ」
「いけません、リリアンヌ様」
聖女にして天使でもあるマーリンが、眉を寄せながら口を挟む。
「私たちは同じパーティーの仲間。仲良くしなければいけません。それが神のお召しです」
「は? なにか“神のお召し”だ? 神が本当にいるなら、あれを外に出すなっての。てか、あれが勇者なら、まだレンの方がマシだっての」
「レンなら、ここにいる」
ガルドが、新聞の片隅に載っていた“ユウキ”の名に指を当てた。
「ユウキ? ないない、あれってまだ4歳っしょ? 4歳児がオリハルコン冒険者とか、ちょっとうけるけど」
「レンは、4年前“ユウキ”の名を借りた」
「マジかよ……あの剣の化け物が脱獄したって話、そういうこと? まあ、レンなら、こんなの余裕っしょ」
「……レンは幽霊がダメ。“レン”じゃない」
「……え、マジで? じゃあ、ほんとにあのメイドがやったっての? マジで? あれ?信仰系、なんで先から黙ってんの? 普段はうるさいくらい喋るくせに!」
「その……いてはならない“お方”の名前が、そこに……いえ、なんでもありませんっ」
マーリンの顔から血の気が引いた。その手は小刻みに震えている。
「ル、ルキエル様……私は、決して貴方様の悪口など……なので、明星だけは……明星だけはお許しを……!」
「な、なにこいつ。ついに神の電波で頭イカれた?」
リリアンヌが呆れながら距離を取る。
「……“マオウ”」
ガルドが別の名に視線を落とした。
「魔王? いるいる、そういうイタイやつ。魔法の研究で頭やられた系。うちの親父もだいぶヤバいっすよ。“俺の右手には封印された悪魔が……”とか言って、毎回左手と間違えてるし。……あ、バカ王子帰ってきた」
「おい、お前ら! 俺はこれに決めた!」
そう言ってマサキが掲げた依頼書には、こう書かれていた。
「不夜城の探索」
「幽霊屋敷はメイドにでも任せとけ! “真の勇者”にふさわしい舞台は――ここしかない!」
新聞に載った見出しを睨みつけながら、真・勇者マサキは悔しげに呟いた。
「俺が宣伝やら挨拶回りで忙しくしてる間に、あんな小娘が……おいしいところ持っていきやがって」
まさか、あの“元・メイド”が、こんな短期間で功績を立てるとは――。完全に油断していた。内心では、完全に自分のほうが格上だと思っていたのだ。
「くそ……俺にだってできるさ。なあ、ガルド。あいつに匹敵する依頼はないか?」
隣で静かに新聞を眺めていたガルドは、首を横に振った。そして一言だけ、短く告げる。
「焦りは禁物」
「……うるさい。あの剣もまともに振れなかった奴ができて、俺にできないってか?」
「……ああ。今のお前じゃ無理」
いつになく鋭い返しだった。だが、長年付き合ってきたからこそ言える言葉でもあった。
「いいだろ、俺ひとりでも行ってやる。俺は“真・勇者”だからな!」
そう言い捨て、マサキは勢いよく依頼掲示板の方へ歩いていった。
*
「はー……あれ、マジでやめてほしいっすね。自分でカッコいいとでも思ってんのすか」
これまで王子(=マサキ)をずっと無視していた魔法使いのリリアンヌが、ようやく口を開いた。
「マサキはただ“心が弱い”だけだ」
ガルドの冷静な言葉に、彼が本質を理解していることが伝わってくる。
「甘やかしたあんだと信仰系が悪いっす。あーあ、うちの親父があれの父親と旧知じゃなかったら、うち、あんな奴と組んでねえわ」
「いけません、リリアンヌ様」
聖女にして天使でもあるマーリンが、眉を寄せながら口を挟む。
「私たちは同じパーティーの仲間。仲良くしなければいけません。それが神のお召しです」
「は? なにか“神のお召し”だ? 神が本当にいるなら、あれを外に出すなっての。てか、あれが勇者なら、まだレンの方がマシだっての」
「レンなら、ここにいる」
ガルドが、新聞の片隅に載っていた“ユウキ”の名に指を当てた。
「ユウキ? ないない、あれってまだ4歳っしょ? 4歳児がオリハルコン冒険者とか、ちょっとうけるけど」
「レンは、4年前“ユウキ”の名を借りた」
「マジかよ……あの剣の化け物が脱獄したって話、そういうこと? まあ、レンなら、こんなの余裕っしょ」
「……レンは幽霊がダメ。“レン”じゃない」
「……え、マジで? じゃあ、ほんとにあのメイドがやったっての? マジで? あれ?信仰系、なんで先から黙ってんの? 普段はうるさいくらい喋るくせに!」
「その……いてはならない“お方”の名前が、そこに……いえ、なんでもありませんっ」
マーリンの顔から血の気が引いた。その手は小刻みに震えている。
「ル、ルキエル様……私は、決して貴方様の悪口など……なので、明星だけは……明星だけはお許しを……!」
「な、なにこいつ。ついに神の電波で頭イカれた?」
リリアンヌが呆れながら距離を取る。
「……“マオウ”」
ガルドが別の名に視線を落とした。
「魔王? いるいる、そういうイタイやつ。魔法の研究で頭やられた系。うちの親父もだいぶヤバいっすよ。“俺の右手には封印された悪魔が……”とか言って、毎回左手と間違えてるし。……あ、バカ王子帰ってきた」
「おい、お前ら! 俺はこれに決めた!」
そう言ってマサキが掲げた依頼書には、こう書かれていた。
「不夜城の探索」
「幽霊屋敷はメイドにでも任せとけ! “真の勇者”にふさわしい舞台は――ここしかない!」
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