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第二章:壊せ、偽りの楽園――不夜城に咲く嫉妬と誘惑の花
第37話:蜘蛛の巣への招待状
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「危なかったわ、なんちゃって♡」
俺の剣は、悪魔アスモデウスに届く寸前で止まり、空をかすめた。
「さすがは一流の戦士ね。一瞬で“私が敵”だと理解し、今が唯一の好機と見て一撃を放つ――その判断力と速さ、大したものだわ」
アスモデウスは、にこりと笑いながら、まるで何事もなかったように言った。
だが俺は確信していた。
こいつは、不夜城と確実に関わっている。
彼女が兄の居場所を“親切で”教えるわけがない。
あれは明らかに“餌”だった。
そして、その先に誘われるのは……マオウ。
俺は“不夜城に入れない”。
だからこそ、兄の危機を聞いた俺はマオウを頼むしかないと読んでいた。
――それが、アスモデウスの狙い。
だが、惜しかった。
俺は――唇を噛んだ。
倒すなら今しかなかった。
一瞬の隙、それが唯一のチャンスだったのに。
もう、彼女は完全に警戒している。
これから先、一本も取れないだろう。
俺にも、それくらいは分かる。
彼女は――格が違う。
「もう、そんな怖い顔しないで。レンレンの推測、半分は正解。でも、それだけじゃ彼らは助からないわよ?」
アスモデウスの声がふわりと漂う。
「本当は、もっとあなたと話したいところだけど……さすがに長く居すぎると天使が来ちゃう。続きは、不夜城でゆっくりね?」
そう言い残し、彼女の姿は徐々に薄れていき――
やがて、完全に消えた。
*
「坊主、なにボーッとしてるだ? りんご、いるか」
意識が戻った先にあったのは、街角のりんご屋台だった。
「……恋愛相談所……? アスにゃんの恋愛相談所は……?」
俺はさっきまであったはずの“あの店”を探した。
だが――どこにもない。
ここはただの路地裏。
すれ違うのは、ごく普通の通行人と商売人たちだけ。
「なに、そりゃ。頭おかしい名前の店だな。俺はもう十年ここで商売してるけど、そんなの聞いたことも見たこともねぇな。……坊主、恋に焦がれすぎたんじゃねぇか? ほら、りんご一個やるよ」
「……ありがと」
優しげな店主からりんごを受け取りながら、俺はあの名刺のことを思い出した。
夢じゃない。
確かに、アスモデウスはいた。
証拠は――あの名刺だ。
ポケットから取り出して、確認しようとして……
俺は凍りついた。
そこに書かれていたのは、もはや“恋愛相談所”ではなかった。
《不夜城へようこそ》
それは、蜘蛛の巣へと誘う“招待状”に変わっていた。
*
「私が直接、あの子に“真実”を教えてあげることもできましたが……
それでは、また舞台の外から“傍観者”として見ているだけになってしまいます。
でも――それでは、劇として面白くありませんわ」
モリアは、カップを指先でくるくると回しながら微笑んだ。
「彼女には、観客ではなく“役者”として舞台に立ってもらわなければ。
だからこそ――アスちゃんと会わせたのです」
そして、最後に悪戯っぽく囁いた。
「……“不夜城”への招待状を、受け取ってもらうためにね」
俺の剣は、悪魔アスモデウスに届く寸前で止まり、空をかすめた。
「さすがは一流の戦士ね。一瞬で“私が敵”だと理解し、今が唯一の好機と見て一撃を放つ――その判断力と速さ、大したものだわ」
アスモデウスは、にこりと笑いながら、まるで何事もなかったように言った。
だが俺は確信していた。
こいつは、不夜城と確実に関わっている。
彼女が兄の居場所を“親切で”教えるわけがない。
あれは明らかに“餌”だった。
そして、その先に誘われるのは……マオウ。
俺は“不夜城に入れない”。
だからこそ、兄の危機を聞いた俺はマオウを頼むしかないと読んでいた。
――それが、アスモデウスの狙い。
だが、惜しかった。
俺は――唇を噛んだ。
倒すなら今しかなかった。
一瞬の隙、それが唯一のチャンスだったのに。
もう、彼女は完全に警戒している。
これから先、一本も取れないだろう。
俺にも、それくらいは分かる。
彼女は――格が違う。
「もう、そんな怖い顔しないで。レンレンの推測、半分は正解。でも、それだけじゃ彼らは助からないわよ?」
アスモデウスの声がふわりと漂う。
「本当は、もっとあなたと話したいところだけど……さすがに長く居すぎると天使が来ちゃう。続きは、不夜城でゆっくりね?」
そう言い残し、彼女の姿は徐々に薄れていき――
やがて、完全に消えた。
*
「坊主、なにボーッとしてるだ? りんご、いるか」
意識が戻った先にあったのは、街角のりんご屋台だった。
「……恋愛相談所……? アスにゃんの恋愛相談所は……?」
俺はさっきまであったはずの“あの店”を探した。
だが――どこにもない。
ここはただの路地裏。
すれ違うのは、ごく普通の通行人と商売人たちだけ。
「なに、そりゃ。頭おかしい名前の店だな。俺はもう十年ここで商売してるけど、そんなの聞いたことも見たこともねぇな。……坊主、恋に焦がれすぎたんじゃねぇか? ほら、りんご一個やるよ」
「……ありがと」
優しげな店主からりんごを受け取りながら、俺はあの名刺のことを思い出した。
夢じゃない。
確かに、アスモデウスはいた。
証拠は――あの名刺だ。
ポケットから取り出して、確認しようとして……
俺は凍りついた。
そこに書かれていたのは、もはや“恋愛相談所”ではなかった。
《不夜城へようこそ》
それは、蜘蛛の巣へと誘う“招待状”に変わっていた。
*
「私が直接、あの子に“真実”を教えてあげることもできましたが……
それでは、また舞台の外から“傍観者”として見ているだけになってしまいます。
でも――それでは、劇として面白くありませんわ」
モリアは、カップを指先でくるくると回しながら微笑んだ。
「彼女には、観客ではなく“役者”として舞台に立ってもらわなければ。
だからこそ――アスちゃんと会わせたのです」
そして、最後に悪戯っぽく囁いた。
「……“不夜城”への招待状を、受け取ってもらうためにね」
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