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第四章:勝者も敗者も、恋を知る――月下の武闘会は乙女を育てる
第73話:これが最強武闘会!秒で散る者、立つ者、変わる者
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武闘会、ついに開幕。
毎年強者が集うが、今年はとくにレベルが高い。
その分、力の差が明確な試合は一瞬で決着する。
◆
「白虎貫撃掌びゃっこかんげきしょう! 青龍流転脚せいりゅうるてんきゃく! 太極穿心打たいきょくせんしんだ!」
王 小梅の三連撃が炸裂した。
推進力を乗せた掌底で“破砕型”の打撃を加え、間髪入れず回転蹴り三段――
そして最後に、体幹を破壊する直打ちをリッパーの胴へ叩き込む。
まさに一瞬。反撃の隙すら与えず、実況の解説すら追いつかないまま――
「……勝者、王 小梅!」
間を置いて歓声が爆発する。
誰もが理解していた。“強い”のではない、“規格外”なのだ、と。
◆
一方その頃、レンの試合。
(……影に潜んで、死角から狙ってくるか)
対戦相手は、暗殺系スキルに特化した【影毒融合】ベノム・シャドウ。
姿を消し、影の中を滑るように動き、ナイフで一撃――
麻痺毒を塗られたその刃に掠れば、立つこともできなくなる。
だが――
(もらった)
彼が放った一撃は、レンの“残像”を斬り裂いた。
(なっ……速すぎる!?)
影殺し専門の自分より速い相手など、想定していなかった。
「――影月流し(えいげつながし)」
残像の中に紛れた本体の一撃が、ベノムを切り裂いた。
「勝負あり! ユウキ選手の勝利!」
「ユウキ様素敵ーっ!」「結婚してー! 抱いてー!!」
女子からの黄色い歓声が鳴り止まない。
レン、人気がすごすぎる。
◆
「お疲れ」
レンの控室に、ふわふわの毛玉が現れる。
「……セリナが、参加している……あの子が、誰より優しいあの子が」
「遅れて来た反抗期さ。今まで“いい子”でい続けた分、反動も大きい。
まあ、誰かさんみたいに家出しないだけマシだが?」
「……悪かったよ。家出して。でも、聖剣って、人を傷つけられないんだろ?
あんなのじゃ、まともに戦えない――」
「舐めるな、レン。あの剣を持つのは、セリナ君だ。
私と君が育てた弟子だぞ。油断すれば、君だって――負ける」
レンの表情が一瞬、引き締まる。
◆
一方その頃――
「よっしゃー勝ったぜ! さすが俺様!」
マサコ(マサキ)は腐っても剣聖の弟子。
剣の腕前はレンには及ばずとも、凡百の戦士とは格が違う。
初戦は順当に突破。
「勝者、マサコ! あの胸で剣を振るとは……ブルンブルンしてる! あれは自慢か?当てつけかッ!」
「まあまあ、気持ちは分かりますよ。
さあ、続いては今年の大穴――当代勇者セリナ選手の登場です!」
「対するは、“砲撃拳”キャノン・ハンド! デカイ!ゴツい!くまみたい!」
身長差、体格差、経験差――全てでキャノンの方が上に見える。
それでもセリナは、無言のまま聖剣を抜いた。
「嬢ちゃん……やめとけって。俺、元チャンピオンなんだぜ? 弱者を痛めつける趣味はない。棄権しろ」
しかし、セリナは答えなかった。
ただ静かに剣を構える。それだけで、戦意は伝わる。
「……そうかい。なら、遠慮なくいかせてもらうぜ!」
開幕と同時に、キャノンが砲撃のような拳を放つ。
だが――
「なにっ!?」
セリナはそれを軽やかに回避。
そしてそのまま、キャノンの膝裏にカウンターの重い蹴りを叩き込んだ。
「がっ……!」
膝裏は装甲で守れない急所。
巨大な体重を支える脚を崩されれば、当然バランスを失う。
ドン――!
巨体が崩れる音と同時に、
セリナは距離を詰め、今度は――
「くっ……ぁあっ!」
膝蹴り。顎に叩き込み、脳を揺らす。
ふらついたキャノンの巨体が崩れ落ちる。
床に倒れた彼の胸元には、抜かれた聖剣が――「突きつけられて」いた。
聖剣は、人を“傷つけられない”。
それを知る者は少ない。
だがキャノンには、それを見抜く術がない。
彼女の“覚悟”に、気圧された彼は――
「……参りましたっ!!」
*
――ブラックセリナ、初戦突破。
静かに、確実に。
その歩みは“感情”と“聖剣”を乗せ、加速していく。
毎年強者が集うが、今年はとくにレベルが高い。
その分、力の差が明確な試合は一瞬で決着する。
◆
「白虎貫撃掌びゃっこかんげきしょう! 青龍流転脚せいりゅうるてんきゃく! 太極穿心打たいきょくせんしんだ!」
王 小梅の三連撃が炸裂した。
推進力を乗せた掌底で“破砕型”の打撃を加え、間髪入れず回転蹴り三段――
そして最後に、体幹を破壊する直打ちをリッパーの胴へ叩き込む。
まさに一瞬。反撃の隙すら与えず、実況の解説すら追いつかないまま――
「……勝者、王 小梅!」
間を置いて歓声が爆発する。
誰もが理解していた。“強い”のではない、“規格外”なのだ、と。
◆
一方その頃、レンの試合。
(……影に潜んで、死角から狙ってくるか)
対戦相手は、暗殺系スキルに特化した【影毒融合】ベノム・シャドウ。
姿を消し、影の中を滑るように動き、ナイフで一撃――
麻痺毒を塗られたその刃に掠れば、立つこともできなくなる。
だが――
(もらった)
彼が放った一撃は、レンの“残像”を斬り裂いた。
(なっ……速すぎる!?)
影殺し専門の自分より速い相手など、想定していなかった。
「――影月流し(えいげつながし)」
残像の中に紛れた本体の一撃が、ベノムを切り裂いた。
「勝負あり! ユウキ選手の勝利!」
「ユウキ様素敵ーっ!」「結婚してー! 抱いてー!!」
女子からの黄色い歓声が鳴り止まない。
レン、人気がすごすぎる。
◆
「お疲れ」
レンの控室に、ふわふわの毛玉が現れる。
「……セリナが、参加している……あの子が、誰より優しいあの子が」
「遅れて来た反抗期さ。今まで“いい子”でい続けた分、反動も大きい。
まあ、誰かさんみたいに家出しないだけマシだが?」
「……悪かったよ。家出して。でも、聖剣って、人を傷つけられないんだろ?
あんなのじゃ、まともに戦えない――」
「舐めるな、レン。あの剣を持つのは、セリナ君だ。
私と君が育てた弟子だぞ。油断すれば、君だって――負ける」
レンの表情が一瞬、引き締まる。
◆
一方その頃――
「よっしゃー勝ったぜ! さすが俺様!」
マサコ(マサキ)は腐っても剣聖の弟子。
剣の腕前はレンには及ばずとも、凡百の戦士とは格が違う。
初戦は順当に突破。
「勝者、マサコ! あの胸で剣を振るとは……ブルンブルンしてる! あれは自慢か?当てつけかッ!」
「まあまあ、気持ちは分かりますよ。
さあ、続いては今年の大穴――当代勇者セリナ選手の登場です!」
「対するは、“砲撃拳”キャノン・ハンド! デカイ!ゴツい!くまみたい!」
身長差、体格差、経験差――全てでキャノンの方が上に見える。
それでもセリナは、無言のまま聖剣を抜いた。
「嬢ちゃん……やめとけって。俺、元チャンピオンなんだぜ? 弱者を痛めつける趣味はない。棄権しろ」
しかし、セリナは答えなかった。
ただ静かに剣を構える。それだけで、戦意は伝わる。
「……そうかい。なら、遠慮なくいかせてもらうぜ!」
開幕と同時に、キャノンが砲撃のような拳を放つ。
だが――
「なにっ!?」
セリナはそれを軽やかに回避。
そしてそのまま、キャノンの膝裏にカウンターの重い蹴りを叩き込んだ。
「がっ……!」
膝裏は装甲で守れない急所。
巨大な体重を支える脚を崩されれば、当然バランスを失う。
ドン――!
巨体が崩れる音と同時に、
セリナは距離を詰め、今度は――
「くっ……ぁあっ!」
膝蹴り。顎に叩き込み、脳を揺らす。
ふらついたキャノンの巨体が崩れ落ちる。
床に倒れた彼の胸元には、抜かれた聖剣が――「突きつけられて」いた。
聖剣は、人を“傷つけられない”。
それを知る者は少ない。
だがキャノンには、それを見抜く術がない。
彼女の“覚悟”に、気圧された彼は――
「……参りましたっ!!」
*
――ブラックセリナ、初戦突破。
静かに、確実に。
その歩みは“感情”と“聖剣”を乗せ、加速していく。
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