80 / 190
第四章:勝者も敗者も、恋を知る――月下の武闘会は乙女を育てる
第73話:これが最強武闘会!秒で散る者、立つ者、変わる者
しおりを挟む
武闘会、ついに開幕。
毎年強者が集うが、今年はとくにレベルが高い。
その分、力の差が明確な試合は一瞬で決着する。
◆
「白虎貫撃掌びゃっこかんげきしょう! 青龍流転脚せいりゅうるてんきゃく! 太極穿心打たいきょくせんしんだ!」
王 小梅の三連撃が炸裂した。
推進力を乗せた掌底で“破砕型”の打撃を加え、間髪入れず回転蹴り三段――
そして最後に、体幹を破壊する直打ちをリッパーの胴へ叩き込む。
まさに一瞬。反撃の隙すら与えず、実況の解説すら追いつかないまま――
「……勝者、王 小梅!」
間を置いて歓声が爆発する。
誰もが理解していた。“強い”のではない、“規格外”なのだ、と。
◆
一方その頃、レンの試合。
(……影に潜んで、死角から狙ってくるか)
対戦相手は、暗殺系スキルに特化した【影毒融合】ベノム・シャドウ。
姿を消し、影の中を滑るように動き、ナイフで一撃――
麻痺毒を塗られたその刃に掠れば、立つこともできなくなる。
だが――
(もらった)
彼が放った一撃は、レンの“残像”を斬り裂いた。
(なっ……速すぎる!?)
影殺し専門の自分より速い相手など、想定していなかった。
「――影月流し(えいげつながし)」
残像の中に紛れた本体の一撃が、ベノムを切り裂いた。
「勝負あり! ユウキ選手の勝利!」
「ユウキ様素敵ーっ!」「結婚してー! 抱いてー!!」
女子からの黄色い歓声が鳴り止まない。
レン、人気がすごすぎる。
◆
「お疲れ」
レンの控室に、ふわふわの毛玉が現れる。
「……セリナが、参加している……あの子が、誰より優しいあの子が」
「遅れて来た反抗期さ。今まで“いい子”でい続けた分、反動も大きい。
まあ、誰かさんみたいに家出しないだけマシだが?」
「……悪かったよ。家出して。でも、聖剣って、人を傷つけられないんだろ?
あんなのじゃ、まともに戦えない――」
「舐めるな、レン。あの剣を持つのは、セリナ君だ。
私と君が育てた弟子だぞ。油断すれば、君だって――負ける」
レンの表情が一瞬、引き締まる。
◆
一方その頃――
「よっしゃー勝ったぜ! さすが俺様!」
マサコ(マサキ)は腐っても剣聖の弟子。
剣の腕前はレンには及ばずとも、凡百の戦士とは格が違う。
初戦は順当に突破。
「勝者、マサコ! あの胸で剣を振るとは……ブルンブルンしてる! あれは自慢か?当てつけかッ!」
「まあまあ、気持ちは分かりますよ。
さあ、続いては今年の大穴――当代勇者セリナ選手の登場です!」
「対するは、“砲撃拳”キャノン・ハンド! デカイ!ゴツい!くまみたい!」
身長差、体格差、経験差――全てでキャノンの方が上に見える。
それでもセリナは、無言のまま聖剣を抜いた。
「嬢ちゃん……やめとけって。俺、元チャンピオンなんだぜ? 弱者を痛めつける趣味はない。棄権しろ」
しかし、セリナは答えなかった。
ただ静かに剣を構える。それだけで、戦意は伝わる。
「……そうかい。なら、遠慮なくいかせてもらうぜ!」
開幕と同時に、キャノンが砲撃のような拳を放つ。
だが――
「なにっ!?」
セリナはそれを軽やかに回避。
そしてそのまま、キャノンの膝裏にカウンターの重い蹴りを叩き込んだ。
「がっ……!」
膝裏は装甲で守れない急所。
巨大な体重を支える脚を崩されれば、当然バランスを失う。
ドン――!
巨体が崩れる音と同時に、
セリナは距離を詰め、今度は――
「くっ……ぁあっ!」
膝蹴り。顎に叩き込み、脳を揺らす。
ふらついたキャノンの巨体が崩れ落ちる。
床に倒れた彼の胸元には、抜かれた聖剣が――「突きつけられて」いた。
聖剣は、人を“傷つけられない”。
それを知る者は少ない。
だがキャノンには、それを見抜く術がない。
彼女の“覚悟”に、気圧された彼は――
「……参りましたっ!!」
*
――ブラックセリナ、初戦突破。
静かに、確実に。
その歩みは“感情”と“聖剣”を乗せ、加速していく。
毎年強者が集うが、今年はとくにレベルが高い。
その分、力の差が明確な試合は一瞬で決着する。
◆
「白虎貫撃掌びゃっこかんげきしょう! 青龍流転脚せいりゅうるてんきゃく! 太極穿心打たいきょくせんしんだ!」
王 小梅の三連撃が炸裂した。
推進力を乗せた掌底で“破砕型”の打撃を加え、間髪入れず回転蹴り三段――
そして最後に、体幹を破壊する直打ちをリッパーの胴へ叩き込む。
まさに一瞬。反撃の隙すら与えず、実況の解説すら追いつかないまま――
「……勝者、王 小梅!」
間を置いて歓声が爆発する。
誰もが理解していた。“強い”のではない、“規格外”なのだ、と。
◆
一方その頃、レンの試合。
(……影に潜んで、死角から狙ってくるか)
対戦相手は、暗殺系スキルに特化した【影毒融合】ベノム・シャドウ。
姿を消し、影の中を滑るように動き、ナイフで一撃――
麻痺毒を塗られたその刃に掠れば、立つこともできなくなる。
だが――
(もらった)
彼が放った一撃は、レンの“残像”を斬り裂いた。
(なっ……速すぎる!?)
影殺し専門の自分より速い相手など、想定していなかった。
「――影月流し(えいげつながし)」
残像の中に紛れた本体の一撃が、ベノムを切り裂いた。
「勝負あり! ユウキ選手の勝利!」
「ユウキ様素敵ーっ!」「結婚してー! 抱いてー!!」
女子からの黄色い歓声が鳴り止まない。
レン、人気がすごすぎる。
◆
「お疲れ」
レンの控室に、ふわふわの毛玉が現れる。
「……セリナが、参加している……あの子が、誰より優しいあの子が」
「遅れて来た反抗期さ。今まで“いい子”でい続けた分、反動も大きい。
まあ、誰かさんみたいに家出しないだけマシだが?」
「……悪かったよ。家出して。でも、聖剣って、人を傷つけられないんだろ?
あんなのじゃ、まともに戦えない――」
「舐めるな、レン。あの剣を持つのは、セリナ君だ。
私と君が育てた弟子だぞ。油断すれば、君だって――負ける」
レンの表情が一瞬、引き締まる。
◆
一方その頃――
「よっしゃー勝ったぜ! さすが俺様!」
マサコ(マサキ)は腐っても剣聖の弟子。
剣の腕前はレンには及ばずとも、凡百の戦士とは格が違う。
初戦は順当に突破。
「勝者、マサコ! あの胸で剣を振るとは……ブルンブルンしてる! あれは自慢か?当てつけかッ!」
「まあまあ、気持ちは分かりますよ。
さあ、続いては今年の大穴――当代勇者セリナ選手の登場です!」
「対するは、“砲撃拳”キャノン・ハンド! デカイ!ゴツい!くまみたい!」
身長差、体格差、経験差――全てでキャノンの方が上に見える。
それでもセリナは、無言のまま聖剣を抜いた。
「嬢ちゃん……やめとけって。俺、元チャンピオンなんだぜ? 弱者を痛めつける趣味はない。棄権しろ」
しかし、セリナは答えなかった。
ただ静かに剣を構える。それだけで、戦意は伝わる。
「……そうかい。なら、遠慮なくいかせてもらうぜ!」
開幕と同時に、キャノンが砲撃のような拳を放つ。
だが――
「なにっ!?」
セリナはそれを軽やかに回避。
そしてそのまま、キャノンの膝裏にカウンターの重い蹴りを叩き込んだ。
「がっ……!」
膝裏は装甲で守れない急所。
巨大な体重を支える脚を崩されれば、当然バランスを失う。
ドン――!
巨体が崩れる音と同時に、
セリナは距離を詰め、今度は――
「くっ……ぁあっ!」
膝蹴り。顎に叩き込み、脳を揺らす。
ふらついたキャノンの巨体が崩れ落ちる。
床に倒れた彼の胸元には、抜かれた聖剣が――「突きつけられて」いた。
聖剣は、人を“傷つけられない”。
それを知る者は少ない。
だがキャノンには、それを見抜く術がない。
彼女の“覚悟”に、気圧された彼は――
「……参りましたっ!!」
*
――ブラックセリナ、初戦突破。
静かに、確実に。
その歩みは“感情”と“聖剣”を乗せ、加速していく。
0
あなたにおすすめの小説
【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】
~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~
ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。
学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。
何か実力を隠す特別な理由があるのか。
いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。
そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。
貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。
オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。
世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな!
※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。
木を叩いただけでレベルアップ⁉︎生まれついての豪運さんの豪快無敵な冒険譚!
神崎あら
ファンタジー
運動も勉強も特に秀でていないがめっちゃ運が良い、ただそれだけのオルクスは15歳になり冒険者としてクエストに挑む。
そこで彼は予想だにしない出来事に遭遇する。
これは初期ステータスを運だけに全振りしたオルクスの豪運冒険譚である。
【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度がカンスト!? ~追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と甘々ライフ~
月城 友麻
ファンタジー
『お前みたいな無能、最初から要らなかった』
恋人に裏切られ、仲間に陥れられ、家族に見捨てられた。
戦闘力ゼロの鑑定士レオンは、ある日全てを失った――――。
だが、絶望の底で覚醒したのは――未来が視える神スキル【運命鑑定】
導かれるまま向かった路地裏で出会ったのは、世界に見捨てられた四人の少女たち。
「……あんたも、どうせ私を利用するんでしょ」
「誰も本当の私なんて見てくれない」
「私の力は……人を傷つけるだけ」
「ボクは、誰かの『商品』なんかじゃない」
傷だらけで、誰にも才能を認められず、絶望していた彼女たち。
しかしレオンの【運命鑑定】は見抜いていた。
――彼女たちの潜在能力は、全員SSS級。
「君たちを、大陸最強にプロデュースする」
「「「「……はぁ!?」」」」
落ちこぼれ軍師と、訳あり美少女たちの逆転劇が始まる。
俺を捨てた奴らが土下座してきても――もう遅い。
◆爽快ざまぁ×美少女育成×成り上がりファンタジー、ここに開幕!
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います
ゆさま
ファンタジー
ベテランオッサン冒険者が、美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされてしまった。生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれて……。
懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
犬の散歩中に異世界召喚されました
おばあ
ファンタジー
そろそろ定年後とか終活とか考えなきゃいけないというくらいの歳になって飼い犬と一緒に異世界とやらへ飛ばされました。
何勝手なことをしてくれてんだいと腹が立ちましたので好き勝手やらせてもらいます。
カミサマの許可はもらいました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる