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第五章:沈みゆく天使と黒真珠の誓い――海賊王の財宝に眠る、最後の願い
第86話:この街には、心がない――帝国、入港
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キャプテン魔王が海賊たちを狩りまくっていた頃――
セリナたちの船は、特に何事もなく帝国の港へ到着していた。
道中の海賊たちは……もうすでに“駆除”されたのかもしれない。
「陸だーっ! 揺れない地面って……最高……」
レン、完全復活。航海の間じゅう、彼女にとっては拷問でしかなかった。
「帰りも船を使いますのよ? ふふふ……」
モリアの一言で、レンの顔がさらに青くなった。
「皆さん、ありがとうございました! 帰りもよろしくね!」
マリは笑顔で同人誌の箱を荷台に乗せ、即売会の会場へと向かっていった。
「お姉さんが全部おごるから、みんなは自由に帝国の街を楽しんでいいよ!」
*
「これが……帝国、ですか」
セリナの目に映る光景は、王国とはまるで違っていた。
一軒家はほとんどなく、代わりにそびえ立つのは十階以上ある高層ビル。
石畳の凹凸道ではなく、一直線に舗装された滑らかな公道。
馬車の姿はなく、魔力も使わず走る“車”と呼ばれる鉄の馬。
市場の屋台も見当たらない。
大規模なショッピングモールが、生活のすべてを担っている。
「まるで……異世界のようです」
セリナは小さくつぶやいた。
*
「お嬢さん方、ようこそ帝国の港へ。私、この街の案内人でございます」
町に入ると、老紳士が優雅な口調で話しかけてきた。
「あの、ここって……なんて名前の街なんですか?」
「帝国の港です」
「えっと……街の名前は?」
レンが首をかしげて尋ねる。
「帝国の港です。“複雑な名称”よりも、“機能性”を重んじるのが、我々帝国流の美学です」
淡々とした口調が、かえって不気味に感じられた。
「では、お嬢さま方、ご希望の行き先はございますか?」
「……なにか、美味しい食べ物が食べたいです」
セリナの希望に、老紳士は頷いた。
「かしこまりました。フードコーナーへご案内いたします」
だが――
セリナは、彼の笑顔の奥に“心”を感じなかった。
笑顔は社会が求めたからそうしている。
案内も、礼儀も、丁寧語も――
彼自身がそうしたいからではない。ただ、“正しいとされる行動”を選んでいるだけだ。
光にあふれているのに、どこか冷たい街だった。
*
「ホットドッグ……ハンバーガー……?」
レンが戸惑うメニューを眺めていると、白衣の料理人が応じた。
「肉、野菜、炭水化物。人間に必要な栄養素をすべて含みます。調理時間は約五分。非常に効率的です」
にこやかに話すが、その笑顔もまた、型通りの“正解”の表情にしか見えなかった。
「私はハンバーガーをお願いします」
「じゃあ、俺はホットドッグで」
「私は遠慮しますわ。カロリーが高すぎますもの。戦士でもない私が食べたら……太っちゃいますわ」
「ご安心くださいませ。こちらに“レディーセット”もご用意しております」
「……サービスはいいのは嫌いじゃないわ、だけど今回は遠慮します、ファーストフードは好みじゃありません。」
モリアは言葉だけ礼儀正しく、静かに断った。
「かしこまりました。まだのご来店お待ちしております。」笑顔が崩さない、まるで機械のような不気味さだ。
料理はすぐに運ばれてきた。が――
「うわ、油すごっ。あと塩辛すぎ……これじゃ全部同じ味じゃねぇか」
レンが渋い顔をする。
セリナは黙って口を動かした。
ハンバーガーを一口、もう一口。
食べ終えると、静かに立ち上がり、金を払い――
「ごちそうさまでした」
それだけ言って、店を出た。
*
「なんなんだこの町……みんなからくり人形みたいだ。まるで魔族にでも魂を抜かれたようだぞ」
レンのぼやきに、モリアは静かに応じた。
「これは帝国の“日常”ですわ。帝国は実力社会。性別や出自に関係なく、能力さえあれば誰でも認められます。
ですが――能力のない者には、“生きる場所”すらない」
モリアの目は、どこか冷めていた。
「だから、競争は過酷。最適化と効率化がすべてを支配する……それが帝国がここまで強くなった理由であり――
娯楽も、心も、生まれない砂漠となった理由でもありますわ」
セリナは、小さく首を横に振った。
「セリナは――この街が、嫌いです」
セリナたちの船は、特に何事もなく帝国の港へ到着していた。
道中の海賊たちは……もうすでに“駆除”されたのかもしれない。
「陸だーっ! 揺れない地面って……最高……」
レン、完全復活。航海の間じゅう、彼女にとっては拷問でしかなかった。
「帰りも船を使いますのよ? ふふふ……」
モリアの一言で、レンの顔がさらに青くなった。
「皆さん、ありがとうございました! 帰りもよろしくね!」
マリは笑顔で同人誌の箱を荷台に乗せ、即売会の会場へと向かっていった。
「お姉さんが全部おごるから、みんなは自由に帝国の街を楽しんでいいよ!」
*
「これが……帝国、ですか」
セリナの目に映る光景は、王国とはまるで違っていた。
一軒家はほとんどなく、代わりにそびえ立つのは十階以上ある高層ビル。
石畳の凹凸道ではなく、一直線に舗装された滑らかな公道。
馬車の姿はなく、魔力も使わず走る“車”と呼ばれる鉄の馬。
市場の屋台も見当たらない。
大規模なショッピングモールが、生活のすべてを担っている。
「まるで……異世界のようです」
セリナは小さくつぶやいた。
*
「お嬢さん方、ようこそ帝国の港へ。私、この街の案内人でございます」
町に入ると、老紳士が優雅な口調で話しかけてきた。
「あの、ここって……なんて名前の街なんですか?」
「帝国の港です」
「えっと……街の名前は?」
レンが首をかしげて尋ねる。
「帝国の港です。“複雑な名称”よりも、“機能性”を重んじるのが、我々帝国流の美学です」
淡々とした口調が、かえって不気味に感じられた。
「では、お嬢さま方、ご希望の行き先はございますか?」
「……なにか、美味しい食べ物が食べたいです」
セリナの希望に、老紳士は頷いた。
「かしこまりました。フードコーナーへご案内いたします」
だが――
セリナは、彼の笑顔の奥に“心”を感じなかった。
笑顔は社会が求めたからそうしている。
案内も、礼儀も、丁寧語も――
彼自身がそうしたいからではない。ただ、“正しいとされる行動”を選んでいるだけだ。
光にあふれているのに、どこか冷たい街だった。
*
「ホットドッグ……ハンバーガー……?」
レンが戸惑うメニューを眺めていると、白衣の料理人が応じた。
「肉、野菜、炭水化物。人間に必要な栄養素をすべて含みます。調理時間は約五分。非常に効率的です」
にこやかに話すが、その笑顔もまた、型通りの“正解”の表情にしか見えなかった。
「私はハンバーガーをお願いします」
「じゃあ、俺はホットドッグで」
「私は遠慮しますわ。カロリーが高すぎますもの。戦士でもない私が食べたら……太っちゃいますわ」
「ご安心くださいませ。こちらに“レディーセット”もご用意しております」
「……サービスはいいのは嫌いじゃないわ、だけど今回は遠慮します、ファーストフードは好みじゃありません。」
モリアは言葉だけ礼儀正しく、静かに断った。
「かしこまりました。まだのご来店お待ちしております。」笑顔が崩さない、まるで機械のような不気味さだ。
料理はすぐに運ばれてきた。が――
「うわ、油すごっ。あと塩辛すぎ……これじゃ全部同じ味じゃねぇか」
レンが渋い顔をする。
セリナは黙って口を動かした。
ハンバーガーを一口、もう一口。
食べ終えると、静かに立ち上がり、金を払い――
「ごちそうさまでした」
それだけ言って、店を出た。
*
「なんなんだこの町……みんなからくり人形みたいだ。まるで魔族にでも魂を抜かれたようだぞ」
レンのぼやきに、モリアは静かに応じた。
「これは帝国の“日常”ですわ。帝国は実力社会。性別や出自に関係なく、能力さえあれば誰でも認められます。
ですが――能力のない者には、“生きる場所”すらない」
モリアの目は、どこか冷めていた。
「だから、競争は過酷。最適化と効率化がすべてを支配する……それが帝国がここまで強くなった理由であり――
娯楽も、心も、生まれない砂漠となった理由でもありますわ」
セリナは、小さく首を横に振った。
「セリナは――この街が、嫌いです」
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