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第六章:奪われた王冠に、炎の誓いを――動乱の王都で少女は革命を選ぶ
第95話:焦げた目玉焼きと下乳と、俺の家族と勇者の決意
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クーデターにより、かつての王族は今や罪人のように各町に懸賞令を張られている。
もちろん、デュエロポリスにもその追跡の手が迫っている。
「この顔の男を見なかったか」
「いいえ、俺は――違った、私は見ていませんわ。おほほ」
「協力に感謝する」
衛兵が去り、ただ途方に暮れていたマサコが、そこにいた。
今の女性の姿に助けられていたのは――マサキだった。
(どうなっているんだ……?)
*
俺はレンと別れてから、ずっとデュエロポリスで小梅の下で修行していた。
なのに、いきなり王子から罪人で、しかも今回、俺は何もしていないのに!
「聞いていた? クセリオス公爵が新たな王になるらしいよ」
「え? マジで? じゃあ、カズキ王はどうなるの?」
「斬首ですって。王妃様も。可哀想だけど、これが権力争いの敗者のさだめよね」
周囲の奥様たちの噂話から、俺は現状をようやく把握した。
父上と母上が斬首だって……冗談じゃない。
クセリオスって、あのいつもニコニコしているおじさんだろ? あんなに怖い人だったか?
悪人って言うのは、あんな感じじゃなくて、もっと如何にもブサイクで太ってて、って奴が務めるもんだろ?
「……で、ここはラノベじゃなかった」
思わず自分にツッコミを入れた。
父上と母上は、俺がこの世界で得た“両親”。
前世の記憶を持つ俺は、最初、彼らを本当の両親として見られていなかった。
だって、こんなキャラは大体、主人公を引き立てるための道具――今まで見た作品は、そうだったから。
だけど――
思い出が、蘇る。あの時――
*
「父上も、日本から来たんですか?」
「まさか、わしの息子が転生者、それも同じ日本人とはな……嬉しいよ。で、ナ●トは終わったのか?」
「とっくに終わったぞ。父上はいつの時代から転移したんです?」
「わしは平成だが」
「俺は令和だ」
「なにそれ!? そんなに進んだのか!? なら、ハ●ターX●ンターも終わったのか!?」
「それはまだだけど、俺も死ぬ前にエンディングが見られなかったの、ちょっと残念だった」
「ははは……」
お互いが元日本人だと知って、俺とカズキさんは父と子であると同時に、オタク友達にもなった。
なにせ趣味が合う。漫画の好みから、性癖の偏りまで。
「男はやっぱり巨乳だよな。ドレスの横から見る横乳、あれはたまらん」
「甘いな、カズキさん。今は下乳が旬だ。下から崇めるあのマニアックさが最高なんだよ」
「マサキ、お前は……天才か……!」
時に親子であることすら忘れるくらい、熱く語り合っていた。
でも――やっぱりこんな似てるところが、親子なんだなって思った。
そして、同人誌の創作。
「マサキよ。この作品タイトル、ちょっと長くないか?」
「これが今の時代の正解だよ。カズキさんの時代みたいな短いタイトルじゃ、読者はめくりもしてくれない。埋もれるだけさ」
――親子合作、俺たちの最初の一冊。
『神に「はい」と答えたら異世界で最強スキル《無限のうんこ製造》を授かりましたが、実はそれが世界を滅ぼす最終兵器だった件』
くだらない。でも、真剣だった。
ペンを握ってゲラゲラ笑いながら、俺たちは“家族”になっていた。
――楽しかった。
クリシアさんも、俺に優しくしてくれた。
俺が日本の転生者だから、髪はカズキさんと同じく黒い。
それで、彼女からとっくに愛情を注がれていた。
「マサキ、お母さんよ。今日は何か食べたいものある? お母さんが作ってあげる」
王女だった彼女は、子どもの食事は自分で作ると言い張って、使用人に任せなかった。
そして俺とツバキ姉の前に出されたのは――
まる焦げの目玉焼きだった。
「あれ? 卵をただ焼くだけのはずなのに……お母さん、不器用だから。ごめん、無理に食べなくてもいいのよ?」
こういうイベントは、普通はヒロインがやるもんじゃないか?
なんでお袋なんだよ。……でも、前世のお袋も料理下手だったな。
いつもインスタントで、家のテーブルが埋まってたっけ。だから……これも、悪くないかもしれない。
俺は、黒く焦げたそれを口にした。
苦い。もう炭になってる。……どんだけ火力使ったんだよ。
「まずい。次はもっと上手く作ってほしい」
「えっ……?」
ちょっと意外そうだったけど――なんだか嬉しそうにも見えた。
「私が、作り直してあげるよ」厨房へ向かったのは、まだ5歳のツバキ姉。
母の焦げ料理を見て、いきなり“ちゃんとした目玉焼き”を作ってのけた。
「うまい!」
なんなんだこの姉……。天才かよ。この焼き加減、この味付け、とても初めてとは思えない。なんと恐ろしい娘!
その後、ツバキ姉が教師になって、クリシアさんの料理スキルも徐々に上達していった。
あの時も……楽しかったな。
――その人たちの死を、ただ見ているだけでいいのか、マサキ?
お前は、“勇者”を目指していたんじゃなかったのか?
自分の家族すら救えず、なにか勇者だ。お前は世界を救い後親の墓の前で涙を落とすか?
俺はいやだ!そんな情けない勇者になりたくない。
ならば、答えは一つだ。
「剣を取れ。……我が家族を救うために」
覚悟を決めて。俺は、城門を目指した。
……しかし、そこには懐かしい人物が、すでに立っていた。
俺の師匠―――王 小梅だ。
「師匠として、あなたを行かせわけにはいかないある。」
もちろん、デュエロポリスにもその追跡の手が迫っている。
「この顔の男を見なかったか」
「いいえ、俺は――違った、私は見ていませんわ。おほほ」
「協力に感謝する」
衛兵が去り、ただ途方に暮れていたマサコが、そこにいた。
今の女性の姿に助けられていたのは――マサキだった。
(どうなっているんだ……?)
*
俺はレンと別れてから、ずっとデュエロポリスで小梅の下で修行していた。
なのに、いきなり王子から罪人で、しかも今回、俺は何もしていないのに!
「聞いていた? クセリオス公爵が新たな王になるらしいよ」
「え? マジで? じゃあ、カズキ王はどうなるの?」
「斬首ですって。王妃様も。可哀想だけど、これが権力争いの敗者のさだめよね」
周囲の奥様たちの噂話から、俺は現状をようやく把握した。
父上と母上が斬首だって……冗談じゃない。
クセリオスって、あのいつもニコニコしているおじさんだろ? あんなに怖い人だったか?
悪人って言うのは、あんな感じじゃなくて、もっと如何にもブサイクで太ってて、って奴が務めるもんだろ?
「……で、ここはラノベじゃなかった」
思わず自分にツッコミを入れた。
父上と母上は、俺がこの世界で得た“両親”。
前世の記憶を持つ俺は、最初、彼らを本当の両親として見られていなかった。
だって、こんなキャラは大体、主人公を引き立てるための道具――今まで見た作品は、そうだったから。
だけど――
思い出が、蘇る。あの時――
*
「父上も、日本から来たんですか?」
「まさか、わしの息子が転生者、それも同じ日本人とはな……嬉しいよ。で、ナ●トは終わったのか?」
「とっくに終わったぞ。父上はいつの時代から転移したんです?」
「わしは平成だが」
「俺は令和だ」
「なにそれ!? そんなに進んだのか!? なら、ハ●ターX●ンターも終わったのか!?」
「それはまだだけど、俺も死ぬ前にエンディングが見られなかったの、ちょっと残念だった」
「ははは……」
お互いが元日本人だと知って、俺とカズキさんは父と子であると同時に、オタク友達にもなった。
なにせ趣味が合う。漫画の好みから、性癖の偏りまで。
「男はやっぱり巨乳だよな。ドレスの横から見る横乳、あれはたまらん」
「甘いな、カズキさん。今は下乳が旬だ。下から崇めるあのマニアックさが最高なんだよ」
「マサキ、お前は……天才か……!」
時に親子であることすら忘れるくらい、熱く語り合っていた。
でも――やっぱりこんな似てるところが、親子なんだなって思った。
そして、同人誌の創作。
「マサキよ。この作品タイトル、ちょっと長くないか?」
「これが今の時代の正解だよ。カズキさんの時代みたいな短いタイトルじゃ、読者はめくりもしてくれない。埋もれるだけさ」
――親子合作、俺たちの最初の一冊。
『神に「はい」と答えたら異世界で最強スキル《無限のうんこ製造》を授かりましたが、実はそれが世界を滅ぼす最終兵器だった件』
くだらない。でも、真剣だった。
ペンを握ってゲラゲラ笑いながら、俺たちは“家族”になっていた。
――楽しかった。
クリシアさんも、俺に優しくしてくれた。
俺が日本の転生者だから、髪はカズキさんと同じく黒い。
それで、彼女からとっくに愛情を注がれていた。
「マサキ、お母さんよ。今日は何か食べたいものある? お母さんが作ってあげる」
王女だった彼女は、子どもの食事は自分で作ると言い張って、使用人に任せなかった。
そして俺とツバキ姉の前に出されたのは――
まる焦げの目玉焼きだった。
「あれ? 卵をただ焼くだけのはずなのに……お母さん、不器用だから。ごめん、無理に食べなくてもいいのよ?」
こういうイベントは、普通はヒロインがやるもんじゃないか?
なんでお袋なんだよ。……でも、前世のお袋も料理下手だったな。
いつもインスタントで、家のテーブルが埋まってたっけ。だから……これも、悪くないかもしれない。
俺は、黒く焦げたそれを口にした。
苦い。もう炭になってる。……どんだけ火力使ったんだよ。
「まずい。次はもっと上手く作ってほしい」
「えっ……?」
ちょっと意外そうだったけど――なんだか嬉しそうにも見えた。
「私が、作り直してあげるよ」厨房へ向かったのは、まだ5歳のツバキ姉。
母の焦げ料理を見て、いきなり“ちゃんとした目玉焼き”を作ってのけた。
「うまい!」
なんなんだこの姉……。天才かよ。この焼き加減、この味付け、とても初めてとは思えない。なんと恐ろしい娘!
その後、ツバキ姉が教師になって、クリシアさんの料理スキルも徐々に上達していった。
あの時も……楽しかったな。
――その人たちの死を、ただ見ているだけでいいのか、マサキ?
お前は、“勇者”を目指していたんじゃなかったのか?
自分の家族すら救えず、なにか勇者だ。お前は世界を救い後親の墓の前で涙を落とすか?
俺はいやだ!そんな情けない勇者になりたくない。
ならば、答えは一つだ。
「剣を取れ。……我が家族を救うために」
覚悟を決めて。俺は、城門を目指した。
……しかし、そこには懐かしい人物が、すでに立っていた。
俺の師匠―――王 小梅だ。
「師匠として、あなたを行かせわけにはいかないある。」
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