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第一章

村へ帰ろう

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その時、鑑定した残りの子達と引率の大人が帰って来た。

まずいところを見られた訳でもないのにそそくさと何事もなかったかの様に座り直す。

皆、手に入れたスキルについて思い思いに感想とこれからの話を言い合っている。どうやら僕ら以外は有益なスキルを手に入れたらしく、概ね満足そうだ。中には剣技中とアイテムボックス小を手に入れた子もいるらしく、早速王都の兵からスカウトが来たらしい。

明るい話題で盛り上がる中、僕とポポの周りは触れちゃいけないスポットの様に場所が空いていた。

「どうするって…?」

「オレ…私…?は冒険者になるつもりなんだ。お前も良かったら…来るか?」

普通アイテムボックス小だけのスキル持ちを冒険者にするのは自殺行為だ。
だけど僕のスキルがあれば戦える、戦えてしまう。
ポポにもその点は分かったのだろう。
確かに冒険者として稼げれば家を借りる事も、家を買う事も夢ではない。
財を成して優雅に生活する事もできる。
生きていれば…だが。

「ポポはなんで冒険者になりたいんだ?」

ポポが起き上がり無造作にあぐらをかきながら答える。

「え…?カッコイイだろ?それに金も沢山稼げるし…。あと、このスキルをどうにかしなきゃいけないしな。稼げるまではこのスキルは必要だけど、稼ぎ切ったら使わなくてもよくなるだろ?それなら普通には暮らしていける。先にケンタにスキルを取ってもらうのもアリだよな。」

ボフン…と音がして煙と共にポポが男に戻った。

「戻れた…数時間で戻れるみたいだ、良かったあああぁ!」


戻れて本当に嬉しいのか脚をバタバタさせながら喜んでいる。

いやなんで一部の奴らは残念そうな顔してるんだよ。

「おー本当に戻った…すごいな」

ペタペタと脚を触って確かめる。先程の女性らしい脚つきから、ほとんど変わらないものの少年の脚になった様な気がする。

「…………」

ふとポポを見ると顔を真っ赤にして固まっていた。

「あ!ご、ごめんポポ…」

「い、いや大丈夫…」

男同士で顔を赤くする謎の時間が流れた。一部の女子が鋭い目で見ていたけど気のせいだろう。

「冒険者の件だけど、少し考えてもいいかな?アラウにも話をしたいし…、俺の夢の話も知ってるだろう?」

「そ、そうだよな、分かった。一旦村に戻ろう。」




とんでもない一日だった…。
何もかも分からない事だらけだ。
僕が手に入れたスキルはなんなのか、村に戻ったら確かめなくちゃ。
考え事をしている間に疲れのせいかぐっすりと寝てしまった。




「な、なんだこの気持ち…。何だこれ、何だこれ!ケンタだぞ!ありえない!」

1人ポポだけが遅くまで寝付けずにいた。
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