追放騎士メアの交響詩

白木はる

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別れと自由

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目的地に着いた二人、辺りを見回すと今回の依頼主らしき若者達が集まっていた。
その内の一人がこちらに気が付き駆け寄ってくる。

「あなた達が今回依頼した護衛さんですか?」
「はーい、今回護衛をさせていただくアンリでーす、よろしくお願いしまーす」
「おいアンリ、真面目に挨拶をしないか!」
「いえいえ、喋り方とかそういうのは自由で構いませんよ」

気を遣ってくれたのだろうか、あの少女には何だか申し訳なかった。
そんなこんなで護衛の仕事が始まった。
転生者達の近くで周りを警戒しながら着いて行くと、大きめの宿屋に着いた。
話によると、この宿屋の広い部屋を借りて定期的に行っているという、「会議」をするそうだ。
転生者のみでの話し合いには多少興味があったが、やはり外で待機だそうだ。

ー6時間後ー

「騎士長、「え」ですよ「え」!!」
「アンリよ、もう私が知っている限りの「え」が付く物は言い尽くした、他の物にしてくれ」
「えー、私も他に知ってる物言い尽くしましたよー」
「そうか·····それにしてもアンリよ」
「何です?騎士長?」
「会議····長引いてるようだな····」
「そうですねー···かれこれ6時間は経ってますよー?」

私達が暇過ぎて、転生者達が広めて行ったという「しりとり」で遊び飽きて次は何をして暇を潰そうかと悩んでいたその時!!

会議中の部屋から悲鳴と爆発音がした!

「!! 行くぞアンリ!」
「了解!」

爆発のあった部屋へ勢い良く飛び込む。
すると、そこで待ち構えていた景色は「地獄」だった。
地面は血の海、そこには大量の人の肉片が浮かんでいた。そして、その部屋の中心で6人の少年少女が、剣や刀、魔法に銃を使い、殺し合っていた。
その中の一人の少女が黒いオーラを纏い、狂ったように剣を仲間達に振るっていた。
その狂った光景を見て私が立ち尽くしていると、最初に話した少女が混乱してしまったのか、仲間の血に濡れた刀を手に、こちらに目にも止まらぬ速さで斬りかかってくる。

「騎士長!危ない!」

アンリは私を突き飛ばし、少女の攻撃を何とか盾で受ける。

「···っ!すまない、助かったぞアンリ」
「気を付けて下さいね!」

私は自分の剣を抜き放ち、少女の無力化を試みる。
少女の背後に回り攻撃を仕掛ける、一瞬無力化に成功したと思ったが、目の前に少女の姿がない。

「アンリ!この少女は[神速]の能力者だ!気を付けろ!」
「騎士長!そんな事より後ろから攻撃来てます!!」
「!!」

寸での所で攻撃を回避し、同時に少女に鞘で一太刀入れることに成功した。
少女はその場で気絶した、これで無力化できただろう、残りは5人そう思い部屋を見ると···。
黒いオーラを纏った少女のみが、そこに立っていた。
無意識に剣を握る力が強くなる、こちらが戦闘体制に入るとその少女は、空高く飛翔し遠くへ飛んでいってしまった。

「何なんだ、アイツは····」

とりあえず難は去ったので、気絶させた少女を起こしに向かった。
少女に何度も声を掛けてみたが、特に反応は無かった。まぁ、あと1時間もしたら起きるだろう。

「アンリ!この少女を馬車に乗せるのを手伝ってくれ」
「アイアイサー騎士ちょ···!?避けて!!!」

その瞬間後ろを振り向く、気絶しているはずの少女は立っており、私の首めがけて刀が迫ってきていた。
アンリは「間に合わない」と判断し、腰にぶら下げていた大きめのナイフを手に取り、少女に向けて投擲、そのナイフは少女の喉元に突き刺さり、少女は血を流しながらその場で絶命した。

「ハァハァ···助かった···」

自分の安全を確認し、安心したところで私はすぐにあることに気が付いてしまった。そして即座にアンリを見ると、案の定アンリは座り込んで大きな涙を流しながら大声で泣いていた。

理由は、この国では転生者は唯一魔王達を殲滅できる英雄とされているため、転生者を殺したりすると、死刑か運が良くても、現在の地位は剥奪のみならずこの国から追放されるからだ。

だが、今回の失敗は私の安易さが呼んだものだ、この子に罪は無い。私はアンリを置いて一人、国王の元へ急いだ。

王の間にて···

「お主がそんなに急いで任務から帰ってくるとは珍しいのぅ」
「はい、今すぐお伝えしたい事がありまして」
「ほう、なんだ?申してみよ、お主の願いとあらば出来るだけ叶えてみせるぞ?」
「護衛任務中に転生者達が急に殺し合いを始め、混戦の中で私の命が危うくなり、やむを得ず襲いかかってきた転生者一名の命を奪ってしまいました」

その場にいる王含めた全ての国の人間達に、どよめきが走る。

「お、お主嘘をつくでない···お主はそんなヘマをする人間ではないはずじゃ!!」

王が涙声で叫ぶ

「····事実···です」
「う···う···嘘じゃーーーーーー!!!」

王が泣きながら叫ぶ、王の泣く姿は王の幼少期の時以来だった。
私は昔、帝国騎士団に入団したての時の仕事が、当時まだ9歳の少女だった王の遊び相手だった。
ご両親は、仕事に追われ我が子と遊ぶどころでは無かった。それから王が12歳で王冠を継ぐまでの3年間、王と私は時に笑い、時に泣き、時にぶつかり、時に励まし合いながら共に成長し、少女は王に、私は騎士長にまでもなった。

「···(そんな王と、まさかこんな形で別れることになるなんて···)」

王が涙を拭って覚悟を決め、私に判決を下す。

「騎士長メアよ貴様を追放する····去れ···」

こうして私は帝国を追放となった、悲しいがこれでアンリが助かるのだ、後悔は無い。

「そうだ、この帝国の先に多種族混合の国があったな、そこで前から興味があった冒険者になってみるか」


こうして私は自由の身になった。
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