追放騎士メアの交響詩

白木はる

文字の大きさ
4 / 6

美しい国「ミラト」

しおりを挟む
しばらく走っていると、遠くに巨大な外壁が見えてきた。

「おぉ···あそこが、多種族混合の国ミラトか」

よく見ると、国の入り口から長い行列ができている、その先頭で入国審査らしきものを行っているようだ。

「入国審査か···入れて貰えれば良いのだが··」

私は、走る速度を少しずつ落として、急いで列に並んだ。まだまだ先頭は遠い、時間が掛かりそうだな。

「あのー···暇でしたら、僕の話相手になってくれませんか?」
「む?構わんぞ?」

私の前で並んでいた少年が話しかけてきた。
この少年の装備を見た限り転生者だろう、持っている剣がどう見ても神器の類いだからな。

「少年よ、剣は揃っているようだが···防具は装備しないのか?」
「え?···防具ですか?ハハハッそんな物、僕には必要無いですよ、転生する時に貰ったこの神器があれば、どんな魔物も一撃ですから!」
「···そうか··ところで、その神器はどの神から
貰ったんだ?」
「確か白髪で、聖職者のローブを着てる女性でしたね」
「ふむ···それは、戦神ヘファイス様だな、賜ったその神器、大事にするのだぞ···後、信仰心もな」
「はい!」

転生者の少年と話をしていると、列の先頭がすぐそこまで来ていた。

「はい、そこの少年、身分を証明できる物は?」
「この武器です」
「こ···これは、戦神ヘファイス様の神器!!···
これは失礼しました、どうぞ先へお進み下さい」

転生者は転生した証明になる物を見せれば、審査を通過できるようだ。

「次!そこの冒険者!身分を証明できる物は?」
「私か、困ったな····この剣でできるだろうか?」
「この金細工は···帝国騎士団の物だな、何かの
任務か?」
「まぁ·····そんなところだ···」
「?··まぁいい、通って良いぞ。」

何とか審査に合格し、ようやくミラトへ脚を踏み入れる、すると、そこは今まで見たことの無い景色で溢れていた。

「なんと···これほどとは···」

エルフに、樹人、竜人、狼人、有翼人、魔骨人、
獣人、人間、角人、サキュバス、液状人、ドワーフ、妖精等、様々な種族が種族の垣根を越えて、
楽しげにコミュニケーションをとっている。
それだけでなく今いる住宅街もとてもオシャレな作りとなっている。
さらに商店街を見ると、帝国では見た事が無いような物が沢山売られていた。

「なんと素晴らしい国だ···!」

私は、この街を見て回りながら街の役所へ向かった。
街の住人に道を訪ねながらだったので、役所には
想定より早く役所を見つける事が出来た。

「この街は住人も優しい者ばかりで、本当に感動させられっぱなしだな」

私は独り言を呟きながら案内された役所へ入る。

「こんにちは!今日はどのようなご用件で?」
「この街に住みたいと思っているのだが、何を
したら良いか教えて貰っても良いだろうか?」
「はい、国民登録するためには、こちらの書類が必要になりますが、今すぐに登録しますか?」
「ああ、頼む」
「かしこまりました、今こちらに書類を転送しますので、少々お待ち下さいね♪」

そう言って少女が短い呪文を唱えると、後ろに置いてある機械が動き出す。
今、書類を転送中なのだろうか、時間が少し掛かるようだ。

「·····」
「·····」

私と受付の少女との間に微妙な空気が流れる。
すると、受付の少女が口を開く。

「あ···あの冒険者の方なんですか?」
「ああ、この街で冒険者登録をしようと思っている」
「へぇ···鎧とかは、今装備してらっしゃる
頭鎧と身隠しの衣だけで良いんですか?」
「そうだが···随分と装備に詳しいんだな」
「実は私、前にやってた仕事が冒険者だったんですよ、良ければ良い鍛治屋教えましょうか?」
「悪いな···頼む」
「了解しました!···あ、書類が来ましたよ」
「ありがとう、すぐ完成させる」
「わかりました!」

私は書類を書き進めながら、あることが気になったので、少女に話し掛ける。

「さっき冒険者だったと言っていたが、何で止めたんだ?」
「え!?···あぁ···あの···えっと」

少女が急に焦り出す。

「あの···えっと···秘密です!」
「そ、そうか」

そんな事をしている間に書類が完成したので、
少女に渡す。

「できたぞ、確認してくれ」
「あ、はい確認しますね」

少女が書類を確認する。

「はい、問題なくできてましたよ」
「そうか、良かった」
「ご利用ありがとうございました!···あ、あとこれ」
「む?···これは鍛治屋への地図か、感謝する」
「いえいえ」
「では、世話になった」

役所を出た私は、次に少女が教えてくれた加治屋へ脚を運ぶのであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

「お前を愛する事はない」を信じたので

あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することは無い。お前も私を愛するな。私からの愛を求めるな」 お互いの利益のために三年間の契約結婚をしたアヴェリンとロデリック。楽しく三年を過ごしたアヴェリンは屋敷を出ていこうとするのだが……。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

【1話完結】あなたの恋人は毎夜わたしのベッドで寝てますよ。

ariya
ファンタジー
ソフィア・ラテットは、婚約者アレックスから疎まれていた。 彼の傍らには、いつも愛らしい恋人リリアンヌ。 婚約者の立場として注意しても、アレックスは聞く耳を持たない。 そして迎えた学園卒業パーティー。 ソフィアは公衆の面前で婚約破棄を言い渡される。 ガッツポーズを決めるリリアンヌ。 そのままアレックスに飛び込むかと思いきや―― 彼女が抱きついた先は、ソフィアだった。

転生後はゆっくりと

衣更月
ファンタジー
貧しい集落で生まれたリリは、生まれた瞬間から前世の記憶があった。 日本人特有の”配慮”に徹した赤ん坊を演じていたことで、両親から距離を置かれた挙句、村人からも「不気味な子」として敬遠されることに…。 そして、5才の誕生日に遠くの町に捨てられた。 でも、リリは悲観しない。 前世の知識チートは出来ないけど、大人メンタルで堅実に。 目指すは憧れのスローライフが出来るほど、ほどほどの守銭奴としてリリは異世界人として順応していく。 全25話(予定)

処理中です...