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番外編①
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本編完結後のお話です。
二人はあれから順調な交際を続けていて、高校も無事卒業しました。
番外編には、本編のような切なさやシリアスさはないので……そういうお話が好きな方には、ご期待に応えられず申し訳ないです、すみません。
何とか二人をイチャイチャさせてあげたくて、その一心で書きました。
それでは、以下から番外編となります。
※※※
最近の俺の贅沢な悩み……それは、慎があまりに可愛いという事だ。
今もこうして俺の部屋で同じソファーに腰掛け、一緒にテレビを見ているが……俺の肩に時々頭をコテンと預けてみたり、おやつが欲しくてクイクイと袖を引っ張りおねだりしてみたり。
そして口に一つクッキーを入れてやれば、慎はありがとうと俺の頬に軽くキスをくれた。
あぁ……これはヤバいな。
「慎さ……前に言ってたよな。言葉や態度で、俺にちゃんと愛を伝えて行こうって決めたって。」
「うん。今まで出来なかった分を取り戻したくて……俺、ついつい甘えちゃって……。ごめん、鬱陶しかったよな?」
「まさか。」
俺は嫌じゃないよという気持ちを伝えたくて、よしよしと慎の頭を撫でた。
「最初は……ここがどんな世界なのかもハッキリしなくて……慎を演じてるシンとして、俺は生活してたんだ。だって、俺が完全に慎と同じになっちゃったら……もし亮が幸を選んで別れる事になった時、とても心が耐えられないと思って。そうなるのが怖くて、そうやって予防線を張ってたのかな。だから、こんなふうに素直に甘えたりなんて出来なかった……。」
シンとして生きてた時に俺に想いが通じず、慎となってもまた失恋なんて事になったら、そりゃそんな気持ちになるよな。
俺は前世の自分の行いを思い出し、苦虫を噛み潰したような顔になった。
俺が前世でお前を傷つけた事を謝っても、亮はそんな事してない、もう謝らないでと、逆に彼は俺を慰めてくれる。
だから俺は、慎に詫びの言葉を言うのはもう辞めた。
その分、好きだ、愛してると言った方が、彼は喜び笑顔になってくれると分かったから──。
「でも……こうして付き合っていく内に、もうそんなふうにしなくてもいいって確信出来たから……だから安心して気が抜けて、こうして甘えちゃうんだろうな。」
そう言って慎は、頭を撫でる俺の手を取り……その手に自身の指を絡ませ、ニコリと微笑んだ。
※※※
だから、そういう所が可愛いんだよ──!
俺はそんな慎を抱き締めると、そのままソファーに押し倒した。
「フフ、何だよ……亮だって甘えたじゃない。」
慎はお返しだと言って、俺の頭をよしよしと撫でた。
すっごい嬉しいんだけど……慎、俺を余り煽らないでくれ──。
俺たちはこうして恋人同士になったが、前世で余りに幼馴染として長く過ごし、そして想いを通じ合わせる事がなかったせいなのか……俺たちは、まだキス以上の事はしていないのだ。
まぁ……まだ高校卒業したばかりだし、この関係は健全といったら健全だけど。
でも、俺たち元の中身はもう少し年上の……成人近い男だ。
否、そう考えるなら……正確には、俺の中身はもっともっと上なんだよな──。
実は、まだ慎には言ってないが……俺はシンが死んだ後、かなり長生きをして……百歳であの世界を去ったのだ。
俺はそんな長い人生を生きてく中で、あのドラマの撮影中に感じた自身の気持ちが、恋心であった事に漸く気付けた。
ユキと恋愛しておきながら、何を勝手なと言われても仕方ないが……俺はシンを失ってからしか、その存在の大きさに気付けなかったから……。
その後も、自身や皆の記憶の中のシン、雑誌や映像に残るシンと向き合う内に……俺の中で、彼の存在はかけがえのない愛しい者となった。
それをハッキリと自覚した時、俺は生涯独身で居る事を決意した。
それがあの時の俺に出来る、唯一のシンへの愛の証だった。
俺の愛は、あの世界に居るシン、お前だけに捧げるんだ。
俺はこの先、お前しか愛さないから……リョウとして一生懸命生きたら、必ずそこに行くから待っててくれと……まぁ、あいつに操を立てた感じだな。
そういう事だから……俺はもう百年近く、お前にずっと恋してるんだ。
そして……百年近く、そういう事をしてない訳であってだな──!
だからお前のその可愛さは、すごく嬉しいけど……理性との戦いでもあるんだ……。
俺は……せっかくお前とこうして再び出会い、気持ちを通じ合わせる事が出来たんだ。
だからキスもしたいが……出来たら、その先も──。
否、駄目だ……俺の気持ちを押し付けたり暴走する事で、慎に辛い思いや嫌な思いをさせたくない──!
二人はあれから順調な交際を続けていて、高校も無事卒業しました。
番外編には、本編のような切なさやシリアスさはないので……そういうお話が好きな方には、ご期待に応えられず申し訳ないです、すみません。
何とか二人をイチャイチャさせてあげたくて、その一心で書きました。
それでは、以下から番外編となります。
※※※
最近の俺の贅沢な悩み……それは、慎があまりに可愛いという事だ。
今もこうして俺の部屋で同じソファーに腰掛け、一緒にテレビを見ているが……俺の肩に時々頭をコテンと預けてみたり、おやつが欲しくてクイクイと袖を引っ張りおねだりしてみたり。
そして口に一つクッキーを入れてやれば、慎はありがとうと俺の頬に軽くキスをくれた。
あぁ……これはヤバいな。
「慎さ……前に言ってたよな。言葉や態度で、俺にちゃんと愛を伝えて行こうって決めたって。」
「うん。今まで出来なかった分を取り戻したくて……俺、ついつい甘えちゃって……。ごめん、鬱陶しかったよな?」
「まさか。」
俺は嫌じゃないよという気持ちを伝えたくて、よしよしと慎の頭を撫でた。
「最初は……ここがどんな世界なのかもハッキリしなくて……慎を演じてるシンとして、俺は生活してたんだ。だって、俺が完全に慎と同じになっちゃったら……もし亮が幸を選んで別れる事になった時、とても心が耐えられないと思って。そうなるのが怖くて、そうやって予防線を張ってたのかな。だから、こんなふうに素直に甘えたりなんて出来なかった……。」
シンとして生きてた時に俺に想いが通じず、慎となってもまた失恋なんて事になったら、そりゃそんな気持ちになるよな。
俺は前世の自分の行いを思い出し、苦虫を噛み潰したような顔になった。
俺が前世でお前を傷つけた事を謝っても、亮はそんな事してない、もう謝らないでと、逆に彼は俺を慰めてくれる。
だから俺は、慎に詫びの言葉を言うのはもう辞めた。
その分、好きだ、愛してると言った方が、彼は喜び笑顔になってくれると分かったから──。
「でも……こうして付き合っていく内に、もうそんなふうにしなくてもいいって確信出来たから……だから安心して気が抜けて、こうして甘えちゃうんだろうな。」
そう言って慎は、頭を撫でる俺の手を取り……その手に自身の指を絡ませ、ニコリと微笑んだ。
※※※
だから、そういう所が可愛いんだよ──!
俺はそんな慎を抱き締めると、そのままソファーに押し倒した。
「フフ、何だよ……亮だって甘えたじゃない。」
慎はお返しだと言って、俺の頭をよしよしと撫でた。
すっごい嬉しいんだけど……慎、俺を余り煽らないでくれ──。
俺たちはこうして恋人同士になったが、前世で余りに幼馴染として長く過ごし、そして想いを通じ合わせる事がなかったせいなのか……俺たちは、まだキス以上の事はしていないのだ。
まぁ……まだ高校卒業したばかりだし、この関係は健全といったら健全だけど。
でも、俺たち元の中身はもう少し年上の……成人近い男だ。
否、そう考えるなら……正確には、俺の中身はもっともっと上なんだよな──。
実は、まだ慎には言ってないが……俺はシンが死んだ後、かなり長生きをして……百歳であの世界を去ったのだ。
俺はそんな長い人生を生きてく中で、あのドラマの撮影中に感じた自身の気持ちが、恋心であった事に漸く気付けた。
ユキと恋愛しておきながら、何を勝手なと言われても仕方ないが……俺はシンを失ってからしか、その存在の大きさに気付けなかったから……。
その後も、自身や皆の記憶の中のシン、雑誌や映像に残るシンと向き合う内に……俺の中で、彼の存在はかけがえのない愛しい者となった。
それをハッキリと自覚した時、俺は生涯独身で居る事を決意した。
それがあの時の俺に出来る、唯一のシンへの愛の証だった。
俺の愛は、あの世界に居るシン、お前だけに捧げるんだ。
俺はこの先、お前しか愛さないから……リョウとして一生懸命生きたら、必ずそこに行くから待っててくれと……まぁ、あいつに操を立てた感じだな。
そういう事だから……俺はもう百年近く、お前にずっと恋してるんだ。
そして……百年近く、そういう事をしてない訳であってだな──!
だからお前のその可愛さは、すごく嬉しいけど……理性との戦いでもあるんだ……。
俺は……せっかくお前とこうして再び出会い、気持ちを通じ合わせる事が出来たんだ。
だからキスもしたいが……出来たら、その先も──。
否、駄目だ……俺の気持ちを押し付けたり暴走する事で、慎に辛い思いや嫌な思いをさせたくない──!
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