ハナキリンの恋

お粥定食

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熱い風呂に入り、身体を綺麗に拭き、寝床に入ろうとしたシャルルをコンコンと扉を叩く音がした。
ミト「こんにちは恩人さん、これ良かったら貰ってください。」
ミトという少年は顔を真っ赤にしながら、シャルルにクッキーを渡した。
シャルル「ありがとう、ちゃんと頂くよ。」
シャルルは微笑みながら、ミトにお礼を言う。
ミトは更に顔を真っ赤にして、部屋から出ていく。
ミト「ありがとうございます。でっでは僕はこれで!」
ミトは頭を抱え込みながら、今日あった事を思い出す。
ミト(あの恩人さんの顔物凄い綺麗な顔だなー。一瞬女の子かと思ったよ。)
ミトはこっそりシャルルが入っている湯船を覗き見にして、シャルルの素顔を見た。
ミト(あの顔、まるでこの世の者とは思えない程の美しい顔だなー。)
ミトはシャルルの睫毛が長くて、海のように青い瞳をした透き通るように白い肌の顔を思い出して顔を真っ赤にしながら、夢想に耽る。
シャルル(今日はとても大変だったなー。この街の人達にとても親切にしてもらったし。)
シャルルは仮面越しで天井を見やる。
シャルル(でももし、僕がこの仮面を取って素顔を晒してしまうと。)
シャルルは悲しげに眼を伏せる。
シャルルはルーサリー王国の第1王子として生まれ、王子としての教育や剣術を学んできたが、
成長するにつれて段々と母と生き写しの美貌が輝くにつれ、城の側近、兵士達、貴族達、国の男達がこぞってシャルルに求婚し始めた。
中にはシャルルを手駒にしようとしてくるものも多数いた。
やがて、シャルルを取り合ってルーサリー王国で内乱が起き、血で血を洗う戦いが数週間後続き、国は滅びた。
シャルルは自分のこの顔を恨めしく思い、決して素顔をさらさぬようにお手製の仮面を着けて今まで生きてきた。
シャルル(もしマリーを助けてもマリーはこの僕を受け入れてくれるだろうか?)
今までシャルルに向けられてきたのは好色な眼と嗜虐心に満ち溢れた眼だった。
シャルル(マリー、僕は君の事が。)
シャルルは瞳を閉じて、眠りにつく。
一方ミトはというと
ミトはシャルルの顔を見てから自身の身体が煮え滾る様に熱くなるのを感じている。
白樺のように白い肌、長い睫毛、海のように深い青い瞳、しなやかは細い腰、まるでこの世の者とは思えない程の美しく整った顔。 
その姿にミトは心を奪われた。
ミトはその晩とても眠れず、朝までシャルルの事を思っては身体を悶えさせた。
ミト(この気持ちは一体何だろう?)
ミトはモヤモヤした気持ちでベッドの中で考え事をする。
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