ウチのメイドがお嫁に出るので、没落貴族の俺が死にかけ奴隷を購入したら記憶喪失でなんだか様子がおかしくて…?

蔓巍ゆんた

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本編

27 ご主人様すきすきすき

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 数日の療養後、殆ど本調子を取り戻したアルヴィンはまたいつもの生活に戻った。
 多少の違和感は残っているが生活には支障はなかった。その違和感も直ぐに消えるだろうとの事だった。

 久しぶりにギルドを訪れると"毒犬サベラス謎の大量死"と言う情報を聞いた。
 長年被害に悩んでいた町の人々は喜んでいるが、急な生態系変化に憂慮する者も居るらしい。
 ちょうどサベラスによる被害に苦しんだ記憶が新しいアルヴィンは、少々不思議に思ったがすぐに忘れてしまった。

 *

 家に帰り、レドの熱烈な歓迎を受けながら夕食、入浴を済ませるとアルヴィンは寝支度を整えた。
 
「怖い夢を見そうなのです。ご主人様…」
「…おいで、レド」

 決まり文句になってしまった台詞を口に乗せ、レドは主人の布団に潜り込む。
 レドの為に購入したベッドは殆ど使われる事がなかった。
 そうして当初、人が1人寝転べそうな距離で設置されていたベッドは今や主人の物とピッタリと隙間なく並べられている。
 ぬくぬくと主人の体温で暖まっているレドの幸せそうな顔を見て、アルヴィンはふと思いついた事を囁いた。

 小さい頃のセレスとの戯れを思い出したのだった。

「…怖い夢を見ないように、おまじないをかけてやる」
「?…どういったものですか?」

 不思議そうな顔をするレドの顔をそっと引き寄せ、アルヴィンも自らの顔を寄せた。

 乾いた唇が優しく触れて、擦れた。
 
「…これが、おまじないですか?」
「…そうだ、おまじないだ…」

 うっとりと陶酔するレドにアルヴィンは再び口付けた。
 もちろん幼いセレスとは頬に口付けるだけだったが、なんとなくレドの柔らかい唇に口付けしたくなったのだった。

 何度も何度も優しく唇を触れ合わせる。

 子供の遊びのようなふれあいは、やさしく、柔らかく、2人が眠りに落ちるまで続いた。


 その日、レドは悪夢を見る事はなかった。
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