ウチのメイドがお嫁に出るので、没落貴族の俺が死にかけ奴隷を購入したら記憶喪失でなんだか様子がおかしくて…?

蔓巍ゆんた

文字の大きさ
47 / 52
それが始まりだった

ポール6

しおりを挟む
『栄光を!繁栄を!安寧を!』『栄光を!繁栄を!安寧を!』『栄光を!繁栄を!安寧を!』『栄光を!繁栄を!安寧を!』『栄光を!繁栄を!安寧を!』『栄光を!繁栄を!安寧を!』

「………栄光を…繁栄を…安寧を……」

 ぬらり…とそれが蠢いた。
 今にも崩れてしまいそうだった触手がより固まり、元の肉の形に戻っていく。
 その動きは緩慢で、とてもゆっくりだったが確実にポールという肉の姿を形どった。

「随分と…まぁ……私の事を馬鹿にしてくれましたね…」

 ズルズルと寄り集まり、やがて完全な姿を取り戻した。
 しかし生前のポールでは浮かべることの無かったあざけりと侮蔑ぶべつで顔を歪めた。

「たかだか人間風情が……何様のつもりなのでしょうね?まったく不愉快だ…」

 ポールは大きく伸びをした。そうして立ち上がる。
 久しぶりの肉の器は慣れないが、ふらつく様な醜態は見せなかった。その足で目指すのは首を裂かれ絶命したポールの両親の元だった。

「父さん。母さん。その願い聞き届けたよ。

 ぷちり、ぷちりとポールは自身をちぎり取り両親の上に落とした。それは蠢いて首の傷口に潜り込むとあっという間に切り口が塞がった。
 パチリと父の目が開いた。

「…おお、ポール!愚かな父を許してくれ!…さぁ、忙しくなるぞ!まだまだこの商会は全盛期及ばない!もっともっと繁栄していかなくては!」
「ええ、ポール、ありがとう!!あなた、頑張りましょう!栄光を!安寧を!」
「うんうん。そうだね。父さん、母さん。でも僕たちだけでは難しいから頑張ろうか?」

 血溜まりが、腐肉が、ヌタヌタと固まっていく。鮮度が落ちているためか、両親ほど上手く形どれなかったが、ほとんど生前のケイン達が蘇った。

「んあー、坊ちゃん悪りぃな…俺の尻拭いさせちまったなぁ…。あれ、目玉が片方ねぇ…」
「…ポール。……すまなかった…。…俺は髪がない…」

「いいよ。みんな気にしないで!とりあえずの目標はうちの商会の繁栄とだ!やられっぱなしじゃあ商人の名折れだからね!!」

『うおぉぉぉぉぉぉお!!そうだ!そうだ!八つ裂き!八つ裂き!やつざきッ!』

「うんうん。元気でよろしい。…しかし確かに今の私では弱すぎますね…。どうにか、力が、欲しいですが…」

 そうしてポールの中の記憶を遡っていく。
 そこには鮮明に銀髪の少女の笑顔と…黒髪のとても美味しそうな少年がいた。


「…彼を食べればすぐに解決しそうですね!…そして、彼女にもう一度、会える…」

 最後の呟きはポール自身無意識だった。


「さて、皆の願いを叶えましょう。…栄光を!繁栄を!安寧を!…そして復讐を!!」

 
 
しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

【完結】国に売られた僕は変態皇帝に育てられ寵妃になった

cyan
BL
陛下が町娘に手を出して生まれたのが僕。後宮で虐げられて生活していた僕は、とうとう他国に売られることになった。 一途なシオンと、皇帝のお話。 ※どんどん変態度が増すので苦手な方はお気を付けください。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

悪役令嬢の兄、閨の講義をする。

猫宮乾
BL
 ある日前世の記憶がよみがえり、自分が悪役令嬢の兄だと気づいた僕(フェルナ)。断罪してくる王太子にはなるべく近づかないで過ごすと決め、万が一に備えて語学の勉強に励んでいたら、ある日閨の講義を頼まれる。

獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果

ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。 そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。 2023/04/06 後日談追加

転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした

リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。  仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!  原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!  だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。 「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」  死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?  原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に! 見どころ ・転生 ・主従  ・推しである原作悪役に溺愛される ・前世の経験と知識を活かす ・政治的な駆け引きとバトル要素(少し) ・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程) ・黒猫もふもふ 番外編では。 ・もふもふ獣人化 ・切ない裏側 ・少年時代 などなど 最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。

悪役神官の俺が騎士団長に囚われるまで

二三@冷酷公爵発売中
BL
国教会の主教であるイヴォンは、ここが前世のBLゲームの世界だと気づいた。ゲームの内容は、浄化の力を持つ主人公が騎士団と共に国を旅し、魔物討伐をしながら攻略対象者と愛を深めていくというもの。自分は悪役神官であり、主人公が誰とも結ばれないノーマルルートを辿る場合に限り、破滅の道を逃れられる。そのためイヴォンは旅に同行し、主人公の恋路の邪魔を画策をする。以前からイヴォンを嫌っている団長も攻略対象者であり、気が進まないものの団長とも関わっていくうちに…。

【Amazonベストセラー入りしました】僕の処刑はいつですか?欲しがり義弟に王位を追われ身代わりの花嫁になったら溺愛王が待っていました。

美咲アリス
BL
「国王陛下!僕は偽者の花嫁です!どうぞ、どうぞ僕を、処刑してください!!」「とりあえず、落ち着こうか?(笑)」意地悪な義母の策略で義弟の代わりに辺境国へ嫁いだオメガ王子のフウル。正直な性格のせいで嘘をつくことができずに命を捨てる覚悟で夫となる国王に真実を告げる。だが美貌の国王リオ・ナバはなぜかにっこりと微笑んだ。そしてフウルを甘々にもてなしてくれる。「きっとこれは処刑前の罠?」不幸生活が身についたフウルはビクビクしながら城で暮らすが、実は国王にはある考えがあって⋯⋯?(Amazonベストセラー入りしました。1位。1/24,2024)

転生悪役弟、元恋人の冷然騎士に激重執着されています

柚吉猫
BL
生前の記憶は彼にとって悪夢のようだった。 酷い別れ方を引きずったまま転生した先は悪役令嬢がヒロインの乙女ゲームの世界だった。 性悪聖ヒロインの弟に生まれ変わって、過去の呪縛から逃れようと必死に生きてきた。 そんな彼の前に現れた竜王の化身である騎士団長。 離れたいのに、皆に愛されている騎士様は離してくれない。 姿形が違っても、魂でお互いは繋がっている。 冷然竜王騎士団長×過去の呪縛を背負う悪役弟 今度こそ、本当の恋をしよう。

処理中です...