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本編(不定期更新中)
14.パスワードは設定しないとあぶないよ
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今日は約束していたスマホを買う日だ。
父親とのお出かけは久しぶりなので自然と少年のテンションが上がる。
「新しいショッピングモールすごい!広い!とうちゃん!電気屋だけじゃなくてここの店も行こー!」
「宇多は元気だなー。お、ここの飯屋美味そうだな。お昼はここにするか」
「うん!」
父親の周りをぐるぐると回る少年は飼い主に遊んで貰って喜ぶ犬のようだった。
少年は、本当は父親と手を繋ぎたかった。が高校生にもなって恥ずかしいし、そもそも父親自体そういうコミュニュケーションの取り方は苦手のようだった。
「とーちゃん」
「どうした?」
「えへ」
それでも側にいてくれるだけで充分満足だった。
テストは散々だったが約束だったのでちゃんとスマホは買ってくれた。しかし次回のテストまでソシャゲ禁止令は出されてしまった。
点数が良くなれば遊びにも使っていいと言われた。
「すごい…。これがスマホ…」
「大事にしろよ」
それは当然のことだ。お気に入りのカバーも買ってもらい、少年は充実した1日を過ごした。
次の日。何度目かの家庭教師の日だ。
一通りの勉強が終わると、テーブルに置いてあるピカピカのスマホの話題になった。
「スマートフォン買ったんだね」
「そう!昨日とーちゃんに買ってもらった!…んです」
「ふふ、新しい物は嬉しいね」
男の目が「可愛いなぁ」と言っていた。少しはしゃぎ過ぎたかもと恥ずかしくなった。
「それで学校から出された宿題は?」
一気に頭が冷える。宿題の管理もしてくれるらしい。
「…はい」
出された宿題を先生の前に並べた。
「高校生の夏休みの宿題ってこんな感じなんだねー。なんか可愛いなぁ」
それを見て何が面白いのか楽しそうに先生は確認している。
「こういうのは早めに終わらせたほうが楽だから頑張ろうか」
「…はい」
「自由研究のテーマとか決まった?」
「全然まだです」
「じゃあダイラタンシー現象とか簡単で書きやすいからそれにしようか」
「なにそれ」
「片栗粉とね、お水でね…」
そう説明する男は子供のようにはしゃいでいるのが感じられた。宿題なんて憂鬱で嫌いだが、そんな男の姿を見ていると少年も段々と楽しくなってきた。
「ふふふ。読書感想文の本とかも一緒に探しに行こうか」
「え、いいの?なに読んでいいか悩んでたんだ!」
普段本などなかなか読まない少年はオタ君にオススメなどを聞こうと思っていたが、本屋で一緒に探してくれるならその方が良いかも知れないと思った。
「いいよ。一緒に買いに行こう」
「うん!」
基本的に先生は変な行動はしない。優しく穏やかな喋り方や雰囲気に少年は徐々に心を許しはじめている。
エアコンの効いた部屋で座っているとちょっと冷えてきて尿意が湧いてきた。
「先生、おれションベン行ってくる」
「はい、いってらっしゃい」
穏やかに笑う男を置いてそそくさとトイレに向かう。ちょっとだけ後ろを気にしつつ鍵をかけのんびりと用をたした。
手を洗い部屋に戻ると少年が出て行った時のままニコリと男は笑った。
テーブルには少年のスマホがある。
「おかえりなさい」
「………」
スマホを机の上に置きっぱなしにしてしまった事を意識した。持ち歩く習慣がまだ付いていないのだった。
「宇多君」
「…なに?」
「連絡先、交換しよう?」
「…いいよ」
先生と連絡先を交換した。今少年のそれには父親と先生の連絡先しか入っていない。
オタ君にも連絡先教えて貰おうと思った。
「宇多君」
「はい」
「パスワードはちゃんと設定しようか」
「……」
「危ないからね」
「………うん」
先生に教えてもらいながらパスワードを設定した。
父親とのお出かけは久しぶりなので自然と少年のテンションが上がる。
「新しいショッピングモールすごい!広い!とうちゃん!電気屋だけじゃなくてここの店も行こー!」
「宇多は元気だなー。お、ここの飯屋美味そうだな。お昼はここにするか」
「うん!」
父親の周りをぐるぐると回る少年は飼い主に遊んで貰って喜ぶ犬のようだった。
少年は、本当は父親と手を繋ぎたかった。が高校生にもなって恥ずかしいし、そもそも父親自体そういうコミュニュケーションの取り方は苦手のようだった。
「とーちゃん」
「どうした?」
「えへ」
それでも側にいてくれるだけで充分満足だった。
テストは散々だったが約束だったのでちゃんとスマホは買ってくれた。しかし次回のテストまでソシャゲ禁止令は出されてしまった。
点数が良くなれば遊びにも使っていいと言われた。
「すごい…。これがスマホ…」
「大事にしろよ」
それは当然のことだ。お気に入りのカバーも買ってもらい、少年は充実した1日を過ごした。
次の日。何度目かの家庭教師の日だ。
一通りの勉強が終わると、テーブルに置いてあるピカピカのスマホの話題になった。
「スマートフォン買ったんだね」
「そう!昨日とーちゃんに買ってもらった!…んです」
「ふふ、新しい物は嬉しいね」
男の目が「可愛いなぁ」と言っていた。少しはしゃぎ過ぎたかもと恥ずかしくなった。
「それで学校から出された宿題は?」
一気に頭が冷える。宿題の管理もしてくれるらしい。
「…はい」
出された宿題を先生の前に並べた。
「高校生の夏休みの宿題ってこんな感じなんだねー。なんか可愛いなぁ」
それを見て何が面白いのか楽しそうに先生は確認している。
「こういうのは早めに終わらせたほうが楽だから頑張ろうか」
「…はい」
「自由研究のテーマとか決まった?」
「全然まだです」
「じゃあダイラタンシー現象とか簡単で書きやすいからそれにしようか」
「なにそれ」
「片栗粉とね、お水でね…」
そう説明する男は子供のようにはしゃいでいるのが感じられた。宿題なんて憂鬱で嫌いだが、そんな男の姿を見ていると少年も段々と楽しくなってきた。
「ふふふ。読書感想文の本とかも一緒に探しに行こうか」
「え、いいの?なに読んでいいか悩んでたんだ!」
普段本などなかなか読まない少年はオタ君にオススメなどを聞こうと思っていたが、本屋で一緒に探してくれるならその方が良いかも知れないと思った。
「いいよ。一緒に買いに行こう」
「うん!」
基本的に先生は変な行動はしない。優しく穏やかな喋り方や雰囲気に少年は徐々に心を許しはじめている。
エアコンの効いた部屋で座っているとちょっと冷えてきて尿意が湧いてきた。
「先生、おれションベン行ってくる」
「はい、いってらっしゃい」
穏やかに笑う男を置いてそそくさとトイレに向かう。ちょっとだけ後ろを気にしつつ鍵をかけのんびりと用をたした。
手を洗い部屋に戻ると少年が出て行った時のままニコリと男は笑った。
テーブルには少年のスマホがある。
「おかえりなさい」
「………」
スマホを机の上に置きっぱなしにしてしまった事を意識した。持ち歩く習慣がまだ付いていないのだった。
「宇多君」
「…なに?」
「連絡先、交換しよう?」
「…いいよ」
先生と連絡先を交換した。今少年のそれには父親と先生の連絡先しか入っていない。
オタ君にも連絡先教えて貰おうと思った。
「宇多君」
「はい」
「パスワードはちゃんと設定しようか」
「……」
「危ないからね」
「………うん」
先生に教えてもらいながらパスワードを設定した。
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